野口取引企画課長
 正直申しまして、問題がたくさんたまってから注意するわけではなく、早い段階に動いているという面があるわけですけれども、違反者が繰り返すことは一般的に多いです。こっちの店舗で問題になったり、あっちの店舗で問題になったりということですが、業者の方もだんだんと「いつも御迷惑をおかけしてすみません、今度気をつけます」ということで、少しずつ変わってきた感じもいたします。そういう意味ではある程度学習はしているはずですけれども、一方で、擁護する必要もないんですが、競争の中でどうしても客を引きたいというのがあって、露骨なことは減ってきていると思うんですけれども、軽微な形で調べてみたら少し問題につながるおそれがあるなということで注意する場合がございます。そういうところは厳しくやればいいのではないかというふうにも言えるわけですけれども、一方でだんだん明確な形での違反ではなくなっているとは言えます。こっちの言うことを全く無視するような人であれば別ですけれども、余りひどい廉売はしないようになっているということで、繰り返したから厳しくできるかというと、立証する上で難しいかなという感じはします。
それから、ガイドラインでございますけれども、仕入原価を割っている場合には、それ以上にいろいろな販売管理費がかかっているわけですから、明らかに著しく下回っているということが言えるわけですけれども、下回っていない場合については、個々に見ていくようなことになってまいります。そうすると、やはり相当下回っているという状態が必要ですし、そういうことが1回限りだということではなくて継続しているとか、もちろん、他も対抗廉売でやっているとかという面ももちろん考慮の対象にはしております。
ただ、そもそも、みんなが下げないのに1人だけ下げる、どんどん下がっちゃうということはあまりなくて、多くの場合は何らかの意味、つまり対抗廉売になっているんですけれども、ただ、強いところが来てやむにやまれずの対抗なのかどうかというようなことも個別には見ることになります。
ガイドラインでどこまでかということになってまいりますと、ある程度一般的なことは示せるんですけれども、個別にはまた個別に見ていくということになります。原価割れであればかなり線が引きやすいのですが。

寺内酒税課長
 13年度、14年度、15年度と全体の件数も減っているわけですけれども、ことに酒類について注意件数が減っているということをどう評価するのかということについて、恐らく先生方も御疑念の部分がおありだと思うんですね。今、野口課長の御説明で大体のアウトライン、背景はおつかみになられたと思いますが、過去の経緯を申し上げますと、平成10年4月に国税庁で「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針」というものを示しております。また、このいわゆる酒類ガイドラインというのが12年11月に出ています。そういう行政サイドのいろいろな努力、あるいは業界に対する周知、啓発、指導というものを公正取引委員会とも連携しながらやってきたわけでございます。特にここ数年は人の交流等も含めてやってきています。
 それから、国税庁では取引実態調査というものをやっていまして、業界に対して千数百件の調査をやっているわけです。そんな牽制効果といってはあれですが、そういうこともあろうかとは思うんですが、そういう行政のガイドラインをはじめ、あるいは指針等も12年末に示されて、それ以降13年となってきたということが、一つの施策の効果としてあらわれていると考えていいのか。例えばほかの石油、家電、その他というのは余り変わっておりません、酒は減ったと思いますけれども、というふうに見るとして仮に見てもいいのかと。
それから、同時に、だとすれば、15年に例えば秋田でこういった不当廉売のものが出てきていますね、警告までいくような。そうすると、残っているものはかなりそういう意味では確信犯的な、相場観がだんだん分かっているのにやってしまっているという意味では、コア的なものもある種あるのか。そういう意味では、決して改善したわけではなくて、そういうものに対しては厳しく見ていかなければいけない問題というのは、まだいろいろ残っていると。我々はそういう認識だと思っているのですが、そういう考え方でよろしいのでしょうか。

野口取引企画課長
 東京でも地方でもそうですけれども、国税職員が公正取引委員会に併任でおいでいただき、一緒に相当な苦労をしていただいております。業者からは文句を言われ、公表したりしますと消費者からばんばん電話がかかってきて、余計なことをするなというおしかりをいただくということで、喜ばれることが少ないのですけれども、そういうことを繰り返していくうちに、相手方にもだんだんと納得していただけるようになってきたのだろうと思われます。コア部分が残るかどうかを判断することも非常に難しいかと思いますが、経済的に考えますと、業者としてはなるべく高く売りたいにもかかわらず安売りするのは、そのほかとの競争があって、しかも客寄せに使えるものだからです。そのために歯どめがなくなりやすいのですが、ほかとの競争の中でだんだん下がっていく側面がありますので、「ほかは撤退しても自分だけはこの道を進むんだ」というインセンティブ、つまり1名だけで安売りを続けるインセンティブはほとんど無いと思われます。ほかが安売りをやっているので、どんどんと更新、もしくは累進していくという面がございます。そういう意味では、件数の減少というのは、行政効果の表れでございましょう。楽観視していても、現実に安売りが行われれば、もちろんやらなければいけなくなるわけですから、楽観視しているということではなく、一般的な経済的な原理で考えると、極めて悪質なケースの減少により全体として底上げされているということでございます。何百件あるうちの、極めて悪質な1件、2件が問題にならないかどうかについては、特定のケースの話ですから、特定の地域では非常に行き過ぎてしまうということが十分考えられますので、何とも言えませんが。決して楽観視しているわけではございません。

奥村座長
 ありがとうございました。今日は4名の方からヒアリングを行う予定ですので、御質問も多いことかと思いますが野口先生からのヒアリングを終わりにさせていただきます。野口さん、どうもありがとうございました。委員の先生方にはもし追加質問ございましたら、また事務局を経由して後からお教えいただいて御連絡するということでよろしいですか。よろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。

野口取引企画課長
 今日はどうもありがとうございました。

奥村座長
 引き続きまして、尾崎様、お願い申し上げます。御紹介させていただきます。厚生労働省の医薬食品局総務課の課長補佐をなさっています尾崎様です。「医薬品販売に係る規制緩和等について」のお話をいただきます。よろしくお願いいたします。

尾崎課長補佐
 それでは、ただいま御紹介いただきました厚生労働省医薬食品局総務課の尾崎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
では、お配りさせていただいております説明資料、「医薬品販売に係る規制緩和等について」というこの資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。主なポイントの方を御説明させていただきたいと思います。
まず1ページ目ですが、医薬品の販売について、そもそも医薬品というのはどのような範囲のものがあるかということを整理したものでございます。一番上から薬局、それから一般販売業、薬種商、配置販売業、それから最後に特例販売業の5つがございますが、その右側に一般用医薬品、それから※印の部分ですが処方せん医薬品があるかと思います。一般的に薬局、薬店というところで売られている医薬品につきましては、医師の処方せんに基づいて医療の一環として薬を受けるものが処方せん医薬品ということでございますが、そのほかにも医師の処方せんなしに一般の薬局あるいは薬店で顧客が自由に買えるのが一般用医薬品でございまして、その一般用医薬品の中でも幾つか種類があるということでございます。薬局におきましては、すべての一般用医薬品が販売できるということになっております。薬種商というのは、昔ながらの制度ということもございまして、薬種商というのは、薬剤師の資格がなくても都道府県レベルで試験を受けて、指定医薬品と呼ばれるもの以外の一般用医薬品を販売することができる許可を持った許可業者でございます。
次に、指定医薬品について説明いたします。既に胃潰瘍になられた方は御存知かと思いますが、ガスターと呼ばれる医薬品の中でも非常に効き目が強い薬がございまして、ガスターができることによって、胃潰瘍は手術しなくてもよくなったという薬がございます。一昔前までは医師の処方せんによって、ガスターが売られていたわけでございますけれども、全体的な医療費の抑制という大きな流れの中で、簡単な軽い病気につきましては、薬剤師の助言・指導を踏まえてでき得る限り自分の責任で健康を維持していこうというセルフメディケーションの考え方から、こういった今までは処方せんなしには飲めなかった薬の一部を、成分を薄めることによって一般用医薬品として転売するものもでてきています。ただし、指定医薬品は効果が非常に強いため、薬種商は売れないということになっております。
配置業者としては、富山の薬売りというのが非常に有名でございますけれども、富山の薬売りのような配置業者は、配置品目と呼ばれるものを取り扱います。特例販売業とは、駅や空港あるいは離島等の、薬局あるいは薬剤師があまりいないような地域で、利便性を確保する観点から特例的に薬を限定して取り扱っているものです。医薬品販売業としては、こういったものがございまして、それぞれにおいて制度が図られております。薬局が取り扱う医薬品の範囲が一番広くて、徐々に範囲が狭まってくるというようになっております。
3ページ目は、どのくらいの業態数があるのかということでございまして、薬局、一般販売業、薬種商販売業、配置販売業、特例販売業それぞれの業態数を載せております。専門家の配置に関しては、薬局には必ず薬剤師がおります。一般販売業のように薬剤師がいるお店では、すべての医薬品を売ることができます。薬種商の場合は、ガスターなどの指定医薬品以外の医薬品を売ることができます。業態数は資料に示しているような状況になっているということでございます。参考ということで28ページの方に、薬局等の業態別の年次推移を示させていただいております。薬局については、ドラッグストア等がどんどんと増えてきている影響で、このような数値となっておりますが、特例販売業は徐々に減ってきているということでございます。
4ページ目では、薬種商の資格についてまとめております。薬種商については、知らない方もいらっしゃると思いますし、店の外から見ると、どれが薬局でどれが薬種商なのかというのがよく分からないものもあるわけでございます。薬局につきましては、薬剤師という国家資格を持った資格のある方が配置されているわけでございますが、薬種商については資格があるものではなくて、あくまでもこういう販売業を営む許可が与えられた者という意味での薬種商業者ということになっております。この都道府県知事が行う試験の受験資格としては、高校又はそれと同等以上の学校を卒業した者であり、かつ3年以上の実務経験がある者といった要件がございます。それから、※印の2番でございますけれども、(イ)(ロ)(ハ)とあるうち、おおむね多くの方が(ハ)の部分、「5年以上配置販売業の実務に従事した者であって、都道府県知事が適正と認めた者」が配置販売業の業者になっております。
ここまでが制度そのもの、つまり医薬品販売及び医薬品の分類についての概要でございます。
10ページ目の規制緩和について、非常に大きな問題になっているもともとの根幹の部分を御説明させていただきたいと思います。
薬局・薬店に行きますと、薬剤師がいるお店の方が多いわけでございますが、制度の趣旨と実態が十分に合っていないのではないかという御指摘が多々ございまして、それが規制緩和の要求と結びついているのではないかという意見を様々な方から伺っております。
その制度というのはどうなっているのかということについてですが、法律上は薬局あるいは薬店におきましてはきちんと薬剤師あるいは薬種業者といった者が配置されてなくてはいけないという規定をしております。10ページの薬事法の第八条で(薬局の管理)について規定しておりますが、第二項で、「その薬局を実地に管理させなければならない。」ということで「実地に管理」という規定を条文にしております。
それから、第二十六条で、薬局だけではなく薬剤師及び薬店に関しては、一般販売業についても「第六条の規定を準用する」と規定しております。あるいは、第二十七条で「第八条から第九条の二までの規定を準用する」ということで、薬局だけでなく一般販売業の薬店におきましても、薬剤師が実地に管理するということになっております。「実地に管理」という言葉の解釈についても様々な議論があります。12ページを見ていただきたいと思いますが、私どもの方では、この「実地に管理」という言葉の意味について次の二つの規制を示しております。まず、平成10年12月の通知の2に示させていただいておりますとおり「開局中又は開店中は、薬剤師を薬局等に常時配置」、つまり、営業時間中に必ずそこにいるということです。それから、もう一つは、これも平成10年12月の通知の2に示しておりますけれども、「医薬品の販売に当たり、購入者等に対し医薬品の適正な使用のために必要な情報を提供する」ということで、対面で販売をし、必ず必要な情報を対面でお客に伝えなくてはいけないということです。しかし現実には、私どもの方で指導等の問題もあったのかもしれませんが、必ずしも常に薬局に薬剤師がいて、必要な情報提供を必ず店の側から行うというわけではないじゃないかという御指摘をいただいております。御参考までに資料の27ページの表1に示しました不在率、つまり薬剤師等がいない率を見ていただきますとお分かりのように、薬局の不在率は非常に少ないのですが、一般販売業におきましては不在率が23%、特に問題になっているところは15.81%ということでございます。これだけの数の不在率があるということは、結局、薬局で買っても、薬局、薬店ではない一般のお店で薬を買っても同じではないかというような御指摘が、コンビニ等の一般小売店における販売という形に結びついていくという状況になっているところでございます。
昨年既に、新聞報道等でも大きく問題になったわけでございますけれども、総合規制改革会議あるいは様々な政治折衝等を経て、13ページの(5)の平成15年6月27日に決定された、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」の部分におきまして、「医薬品の一般小売店における販売については、利用者の利便と安全の確保について平成15年中に十分な検討を行い、安全上特に問題がないとの結論に至った医薬品すべてについて、薬局・薬店に限らず販売できるようにする。」という方針が政府によって示されたわけでございます。
厚生労働省の方では「安全上特に問題がない」という薬はないということをずっと申し上げてきたわけでございまして、医薬品と名のつくものはすべて薬理作用がございまして、多かれ少なかれ副作用というものは必ず出てきます。また、副作用で大きな社会問題になって、政府あるいは厚生労働省が、相当批判をいただいたこともございました。特に厚生労働省におきましては、そういった薬害問題に対してそういったことが二度と起きないようにするという観点で、非常に慎重かつ厳しく対応していくという方針でございました。基本方針2003とこの方針との整合性については論点があったわけでございますが、様々な専門家会議を経て、14ページの(6)の1にございますように、安全上特に問題がないというものはないけれども、医薬品の薬理作用等を踏まえて、人体への作用が非常に緩和かどうかといったような観点、あるいは販売に当たって専門家による情報提供が必要かどうかといったような観点を専門的に分析いたしました。最終的には、特に問題がないというものはないけれども、(7)にあるような15製品群については、必ずしも薬剤師がお店で相談を行うあるいは情報提供を行うということでなくても人体への作用は比較的緩和で副作用等の問題は生じにくいのではないだろうかという結論になり、これまで薬局以外では売れなかった15製品群について、本年夏以降、恐らく6月以降になるかと思いますが、コンビニあるいは一般販売店でも売れるという手続について、今、準備を進めているというところでございます。これまで薬剤師が情報提供をするという観点で製品化許可されてきたわけでございますけれども、薬剤師がいなくても情報を適切に説明できるように、外箱に注意事項をきちんと表示をするため、商品を外見で見てすぐ分かるようにしていくという観点で、今、メーカーと厚生労働省において様々な検討等の準備を進めている状況でございます。

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