出題のポイント

〔第一問〕

問1

 青色申告制度は、不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき業務を行う居住者について、適正な記帳等に基づく申告を推進する制度である。
 税理士が税務代理を行う納税者の大半が青色申告を選択すると想定されるところ、本問は、青色申告を希望する納税者に対して税務代理業務を行う場合に必要な記帳義務、帳簿書類の保存義務、青色申告書に添付する書類に関する基本的な事項の理解を問うものである。

問2

 損益通算制度は、不動産所得の金額、事業所得の金額、山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上生じた損失の金額があるときは、一定の順序により、その損失の金額を他の各種所得の金額から控除し、その控除後の各種所得の金額を基礎として課税標準の額を計算するという所得税特有の制度である。
 本問は、所得税特有の制度である損益通算に関する基本的な事項の理解を問うものである。

〔第二問〕

 所得税法では、所得を10種類に分類した上で、これらの各種所得ごとにその所得金額を計算し、課税標準である総所得金額等を計算することとしている。そして、課税標準額から所得控除額を控除して課税総所得金額等を計算し、その課税総所得金額等に対する税額を計算することとしている。問1及び問2ともに、この一連の計算過程の理解を問うものである。

問1

 本問は、会社の役員が会社を退職して事業を立ち上げたという事例を通じて、給与所得、退職所得及び事業所得を中心に、一連の計算過程の理解を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。

  1. (1) 消費税等の還付税額の収入金額の計上時期
  2. (2) 棚卸資産の評価方法における総平均法の計算方法
  3. (3) 減価償却資産の償却計算における付随費用の処理及び中古資産の耐用年数計算等
  4. (4) 消費税等の経理処理について税込経理方式を採用している場合における減価償却資産の取得価額及び中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例の適用の可否
  5. (5) 貸倒引当金の計算における個別評価及び一括評価の計算
  6. (6) 前年以前4年以内に退職金の支払いを受けている場合の退職所得控除額の計算
  7. (7) 医療費控除における原則と特例(セルフメディケーション税制)の選択
  8. (8) 開業年における雇用者給与等支給額が増加した場合の所得税額の特別控除の計算

問2

 本問は、会社員が従前から賃貸住宅経営を行っているが、本年においては、不動産の譲渡、株式の譲渡、株式に係る配当の受領があるという事例を通じて、不動産所得、配当所得及び譲渡所得を中心に、一連の計算過程の理解を問うものであり、その主なポイントは次のとおりである。

  1. (1) 賃貸住宅に補助金を受領して太陽光発電装置を設置した場合の固定資産の計上額及び余剰売電収入の所得区分
  2. (2) 資本的支出の償却方法
  3. (3) 不動産所得における事業的規模の判定
  4. (4) 上場株式の譲渡と配当の損益通算
  5. (5) 株式に係る配当の申告の要否
  6. (6) 被相続人の居住用家屋等を譲渡した場合の特別控除の特例と相続財産を譲渡した場合の取得費の特例との選択