[令和6年10月1日現在法令等]

対象税目

法人税

概要

情報技術事業適応設備を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除

青色申告書を提出する法人で産業競争力強化法の認定事業適応事業者(注1)であるものが、産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律の施行の日(令和3年8月2日)から令和7年3月31日までの期間(以下「適用期間」といいます。)内に、認定事業適応計画に従って実施される情報技術事業適応(「情報技術事業適応設備を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除」および「事業適応繰延資産となる費用の額を支出した場合の特別償却または法人税額の特別控除」において「情報技術事業適応」といいます。)の用に供するために特定ソフトウエアの新設もしくは増設をし、または情報技術事業適応を実施するために利用するソフトウエアのその利用に係る費用(繰延資産となるものに限ります。以下同じです。)を支出する場合において、情報技術事業適応設備の取得または製作をし、国内にあるその法人の事業の用に供したときは、その供用年度において特別償却または税額控除(注2、3)のいずれかの規定の適用を受けることができます。

(注1)認定事業適応計画(産業競争力強化法第21条の23第2項に規定する認定事業適応計画をいいます。)に従って実施される情報技術事業適応(生産性の向上または需要の開拓に特に資するものとして主務大臣の確認を受けたものに限ります。以下「情報技術事業適応」といいます。)を行う同法第21条の35第1項 に規定する認定事業適応事業者をいいます。

事業適応計画の認定要件および主務大臣が確認を受けるための基準として、データ連携を行うこと、クラウド技術を活用すること、情報処理の促進に関する法律第31条の認定を受けていること、対象事業の売上高が一定の期間における全事業の売上高の平均値の10%以上の達成が見込まれること、対象事業の海外売上高比率が一定割合以上となることが見込まれることなどがありますが、詳細については、経済産業省ホームページをご覧ください。

(注2)中小企業者(適用除外事業者または通算制度における適用除外事業者に該当するものを除きます。)または農業協同組合等以外の法人が平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度において、下記「注意事項」の1の要件のいずれにも該当しない場合には、税額控除の規定の適用が受けられません。

(注3)所有権移転外リース取引により取得した情報技術事業適応設備については、特別償却の規定は適用されませんが、税額控除の規定は適用されます。所有権移転外リース取引の内容については、コード5704「所有権移転外リース取引」を参照してください。

事業適応繰延資産となる費用の額を支出した場合の特別償却または法人税額の特別控除

青色申告書を提出する法人で産業競争力強化法の認定事業適応事業者であるものが、適用期間内に、情報技術事業適応を実施するために利用するソフトウエアのその利用に係る費用を支出した場合には、その支出年度において特別償却または税額控除のいずれかの措置の適用を受けることができます。

対象者または対象物

適用対象法人

適用対象法人は、青色申告書を提出する法人で認定事業適応事業者である法人です。

適用対象資産

本制度の適用対象資産は、情報技術事業適応設備(その製作の後事業の用に供されたことのないものに限ります。)または事業適応繰延資産です。

1 情報技術事業適応設備(上記の「情報技術事業適応設備を取得した場合の特別償却または法人税額の特別控除」に対応)

認定事業適応事業者が、指定期間内に、情報技術事業適応の用に供するために特定ソフトウエアの新設もしくは増設をし、または情報技術事業適応を実施するために利用するソフトウエアのその利用に係る費用を支出する場合における、その特定ソフトウエアならびにこれらのソフトウエアとともに情報技術事業適応の用に供する機械および装置ならびに器具および備品(主として産業試験研究の用に供される一定の資産を除きます。)をいいます。

ただし、令和5年4月1日前に産業競争力強化法上の認定の申請がされた認定事業適応計画(同日以後に変更の認定の申請がされた場合において、その変更の認定があったときは、その変更後のものを除きます。)に従って実施される情報技術事業対応の用に供する情報技術事業対応設備で同日以後に取得または製作されたものは適用対象資産から除かれます。

2 事業適応繰延資産(上記の「事業適応繰延資産となる費用の額を支出した場合の特別償却または法人税額の特別控除」に対応)

認定事業適応事業者が、指定期間内に、情報技術事業適応を実施するために利用するソフトウエアのその利用に係る費用を支出した場合における、その支出した費用に係る繰延資産をいいます。

ただし、令和5年4月1日前に産業競争力強化法上の認定の申請がされた認定事業適応計画(同日以後に変更の認定の申請がされた場合において、その変更の認定があったときは、その変更後のものを除きます。)に従って実施される情報技術事業対応を実施するために利用するソフトウエアのその利用に係る費用で同日以後に支出される繰延資産は適用対象資産から除かれます。

(注)情報技術事業適応設備の取得価額および事業適応繰延資産の額の合計額のうち本制度の対象となる金額は300億円が上限とされています。

対象期間

適用の対象となる期間(年度)

情報技術事業適応設備については、適用対象法人が、適用期間内に、情報技術事業適応設備でその製作の後事業の用に供されたことのないものを取得し、またはその情報技術事業適応設備を製作して、これをその適用対象法人の適用対象事業の用に供した場合におけるその事業の用に供した日を含む事業年度(以下「供用年度」といいます。)(注)とされています。

事業適応繰延資産については、適用対象法人が、適用期間内に、事業適応繰延資産となる費用を支出した場合におけるその支出した日を含む事業年度(以下「支出年度」といいます。)(注)とされています。

(注)供用年度および支出年度からは、合併以外の事由による解散の日を含む事業年度および清算中の各事業年度を除くこととされています。

計算方法・計算式

特別償却限度額

特別償却限度額は、次の区分に応じそれぞれ次により計算した金額となります。

1 情報技術事業適応設備の取得価額および事業適応繰延資産の額の合計額(以下「対象資産合計額」といいます。)が300億円以下の場合

特別償却限度額=情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額×30パーセント

2 対象資産合計額が300億円を超える場合

特別償却限度額=300億円×{(情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額)/対象資産合計額}×30パーセント

税額控除限度額

税額控除限度額は、次の区分に応じそれぞれ次により計算した金額とされています。

1 対象資産合計額が300億円以下の場合

税額控除限度額(調整前法人税額の20パーセント(注1)を上限)=情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額×3パーセント(一定の場合(注2)には5パーセント)

2 対象資産合計額が300億円を超える場合

税額控除限度額(調整前法人税額の20パーセント(注1)を上限)=300億円×{(情報技術事業適応設備の取得価額または事業適応繰延資産の額)/対象資産合計額}×3パーセント(一定の場合(注2)には5パーセント)

(注1)情報技術事業適応設備を取得した場合の法人税額の特別控除、事業適応繰延資産となる費用の額を支出した場合の法人税額の特別控除コード5925「カーボンニュートラルに向けた投資促進税制(生産工程効率化等設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除)」による法人税額の特別控除およびコードNo.5922「戦略分野国内生産促進税制」.との合計で調整前法人税額の20パーセント相当額が上限とされています。

(注2)一定の場合とは、情報技術事業適応のうち産業競争力強化法第2条第1項に規定する産業競争力の強化に著しく資するものとして経済産業大臣が定める基準に適合するものであることについて主務大臣の確認を受けたものの用に供する情報技術事業適応設備に該当する場合またはその確認を受けた情報技術事業適応を実施するために利用するソフトウエアのその利用に係る費用に係る事業適応繰延資産に該当する場合をいいます。

手続き

特別償却の適用を受けるためには、確定申告書等に償却限度額の計算に関する明細書等を添付して申告する必要があります。

また、税額控除の適用を受けるためには、控除を受ける金額を確定申告書等に記載するとともに、その金額に関する明細書等を添付して申告する必要があります。

(注)特別償却の適用を受けることに代えて、特別償却限度額以下の金額を損金経理により特別償却準備金として積み立てることまたはその事業年度の決算確定日までに剰余金の処分により特別償却準備金として積み立てることにより、損金の額に算入することも認められます。この場合、確定申告書等に特別償却準備金として積み立てた金額の損金算入に関する申告の記載をし、その積み立てた金額の計算に関する明細書を添付する必要があります。

注意事項

1 特定の税額控除の規定(注1)は、中小企業者(注2)または農業協同組合等以外の法人が、平成30年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度(以下「対象年度」といいます。)において次の(1)から(3)までに掲げる要件のいずれにも該当しない場合には、適用できません。

(1) 継続雇用者給与等支給額 (注3) > 継続雇用者比較給与等支給額 (注4)

ただし、その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合またはその対象年度終了の時において常時使用する従業員の数が2,000人を超える場合(※)で、その対象年度が設立事業年度もしくは合併等事業年度(注5)に該当する法人またはその対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合の前事業年度が黒字の法人は、次の要件も満たす必要があります。

※ 令和6年4月1日前に開始した事業年度においては、対象となる法人は「その対象年度終了の時において、資本金の額または出資金の額が10億円以上、かつ、常時使用する従業員の数が1,000人以上である場合」となります。

(継続雇用者給与等支給額-継続雇用者比較給与等支給額)/継続雇用者比較給与等支給額≧1パーセント

(2) 国内設備投資額 (注6) > 当期償却費総額 (注7) × 30パーセント(上記(1)のただし書きの法人は、40パーセント)

(3) その対象年度の所得金額 ≦ 前事業年度の所得金額(※)

(※) (3)の要件は、その対象年度が設立事業年度および合併等事業年度(注5)のいずれにも該当しない場合にのみ判定します。

2 一の資産についてこの制度による特別償却と税額控除との重複適用は認められません。

3 本制度による特別償却または税額控除の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の圧縮記帳、他の制度による特別償却または他の制度による税額控除の規定の重複適用は認められません。

(注1)特定の税額控除の規定とは、次に掲げる規定をいいます。

1 試験研究を行った場合の法人税額の特別控除(措法42の4①⑦)

2 地域経済牽引事業の促進区域内において特定事業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の11の2②)

3 認定特定高度情報通信技術活用設備を取得した場合の法人税額の特別控除(措法42の12の6②)

4 事業適応設備を取得した場合等の法人税額の特別控除(措法42の12の7④~⑥)

(注2) 中小企業者とは、次の1および2に掲げる法人をいいます。ただし、中小企業者のうち適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人等をいいます。)または通算制度における適用除外事業者(※1)に該当するものは除かれます。

1 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち次の(1)から(3)までに掲げる法人以外の法人(受託法人を除きます。)

(1) その発行済株式または出資(その有する自己の株式または出資を除きます。以下同じです。)の総数または総額の2分の1以上を同一の大規模法人(※2)に所有されている法人

(2) 上記(1)のほか、その発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を複数の大規模法人(※2)に所有されている法人

(3) 他の通算法人のうちいずれかの法人が次のイまたはロに掲げる法人に該当せず、または受託法人に該当する場合における通算法人

イ 資本金の額または出資金の額が1億円以下の法人のうち上記(1)および(2)に掲げる法人以外の法人

ロ 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人(受託法人およびその法人が通算親法人である場合における上記1(3)に掲げる法人を除きます。)

(※1)通算制度における適用除外事業者の詳細については、「グループ通算制度に関するQ&A」問83「通算制度における適用除外事業者の取扱いについて」を参照してください。

(※2) 大規模法人とは、次の1から4までに掲げる法人をいい、中小企業投資育成株式会社を除きます。

1 資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人

2 資本または出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

3 大法人(次の(1)から(3)までに掲げる法人をいいます。以下同じです。)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人

(1)資本金の額または出資金の額が5億円以上の法人

(2)相互会社および外国相互会社のうち、常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人

(3)受託法人

4 普通法人との間に完全支配関係があるすべての大法人が有する株式(投資口を含みます。) および出資の全部をすべての大法人のうちいずれか一の法人が有するものとみなした場合においてそのいずれか一の法人とその普通法人との間にそのいずれか一の法人による完全支配関係があることとなるときのその普通法人(3に掲げる法人を除きます。)

(注3)継続雇用者給与等支給額とは、法人の対象年度および前事業年度の期間内の各月分のその法人の給与等の支給を受けた国内雇用者(雇用保険法の一般被保険者に限られ、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度の対象者を除くこととされています。以下「継続雇用者」といいます。)に対するその対象年度の給与等の支給額(その給与等に充てるために他の者から支払を受ける金額(雇用安定助成金額および役務の提供の対価として支払を受ける金額を除きます。以下「補塡額」といいます 。)がある場合には、その補塡額 を控除した金額になります。以下同じです。)をいいます。

(注4) 継続雇用者比較給与等支給額とは、法人の継続雇用者に対する前事業年度の給与等の支給額をいいます。

(注5)合併等事業年度とは、設立事業年度以外の事業年度で、合併、分割もしくは現物出資(分割又は現物出資は事業を移転するものに限ります。以下「合併等」といいます。)に係る合併法人、分割法人もしくは分割承継法人もしくは現物出資法人もしくは被現物出資法人であり、事業の譲渡もしくは譲受け(以下「譲渡等」といいます。)に係るその事業の移転をした法人もしくはその事業の譲受けをした法人であり、または特別の法律に基づく承継に係る被承継法人もしくは承継法人である場合等におけるその合併等の日、その譲渡等の日またはその承継の日等を含む事業年度をいいます。

(注6) 国内設備投資額とは、法人が対象年度において取得等をした国内にあるその法人の事業の用に供する法人税法施行令第13条各号に掲げる資産(時の経過によりその価値の減少しないものは除きます。)でその対象年度終了の日において有するものの取得価額の合計額をいいます。

(注7) 当期償却費総額とは、法人が有する減価償却資産につき対象年度においてその償却費として損金経理をした金額の合計額をいいます。

根拠法令等

措法42の12の7、42の13、52の3、53、措令27の12の7、39の47の2、令3改正法附則1十、令6改正法附則1十三イ、38

関連コード

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