[令和2年4月1日現在法令等]

(再建支援等事案に係る事前照会の回答の性格等)

Q1-1

 再建支援等事案に係る事前照会の意義はどのようなものでしょうか。

A1-1

 いわゆるバブル経済の崩壊以降、法人が経営危機に陥った系列会社や取引先等の倒産等を防止するため又は整理するために損失負担、債権放棄及び無利息貸付け等(以下「損失負担等」といいます。)を行ういわゆる再建支援等事案が増加しています。
 これらの事案にあっては、損失負担等を行う者(以下「支援者」といいます。)の損失負担等の額が寄附金に該当するか否かが、支援者の所得計算に多大な影響を及ぼすこととなります。
 このため、再建支援等事案の損失負担等の税務上の取扱いについては、事前照会に応じているところです。
 照会窓口は、各国税局の審理課(審理官)・沖縄国税事務所の法人課税課又は調査課であり、特定調停(注)に関する事前照会は地方裁判所の所在地を管轄する税務署でも受け付けています。
 なお、事前照会の有無自体及びその内容については、国家公務員法及び法人税法等に規定する守秘義務の対象となるものとして取り扱うことになります。

(注) 特定調停とは、民事調停法の特例として定める特別の調停手続きのことです。

Q1-2

 再建支援等事案の事前照会に対する回答はどのような性格でしょうか。

A1-2

 事前照会は、照会事案に係る事実関係を前提として検討し、これに対する税務上の取扱いを回答するものであって、税務当局がその再建支援計画の実施に対して事前に許可又は認可を与えるというようなものではありません。
 事前照会は、支援者が行う損失負担等が寄附金に該当するか否かを検討するものです。
 したがって、支援を受ける側からのみの事前照会はその対象となりません。
 また、事後の税務調査等において、検討の前提とした事実関係と異なる事実が判明した場合には、その事実関係に基づき適正に処理することとなります。
 なお、再建支援等事案については、必ず事前照会を行わなければならないといったものではありません。

Q1-3

 事前照会に当たっての基本的な考え方はどのようなものでしょうか。

A1-3

 事前照会に際しては、基本的には、策定された整理計画又は再建計画に基づく損失負担等の額が寄附金に該当するか否かの検討を行うこととなります。
 また、事前照会に当たっては、法令の規定の趣旨等も勘案しつつ、単に通達の規定中の部分的字句に固執し、通達に例示がないとか、通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨等に即さない解釈に陥ったりすることなく、個々の具体的事例に即した総合的な判断を行うこととなります。

【参考】
昭和44年5月1日付直審(法)25(例規)「法人税基本通達の制定について」前文(抜すい)
(略)
 したがって、この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。いやしくも、通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に即しない解釈におちいったりすることのないように留意されたい。

(寄附金課税の対象となるか否かの検討)

Q2-1

 法人税法上の寄附金は、どのようなものをいうのでしょうか。

A2-1

 法人税法は、寄附金そのものについての直接的な規定を置かず、「寄附金の額」についての規定を置くことにより、寄附金を間接的に意義付けています。

【参考】
 法人税法第37条 省 略
 第2項〜第6項 省 略
 第7項 前各項に規定する寄附金の額は、寄附金、拠出金、見舞金その他いずれの名義をもってするかを問わず、内国法人が金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与(広告宣伝及び見本品の費用その他これらに類する費用並びに交際費、接待費及び福利厚生費とされるべきものを除く。次項において同じ。)をした場合における当該金銭の額若しくは金銭以外の資産のその贈与の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額によるものとする。
 第8項 内国法人が資産の譲渡又は経済的な利益の供与をした場合において、その譲渡又は供与の対価の額が当該資産のその譲渡の時における価額又は当該経済的な利益のその供与の時における価額に比して低いときは、当該対価の額と当該価額との差額のうち実質的に贈与又は無償の供与をしたと認められる金額は、前項の寄附金の額に含まれるものとする。
 なお、過去の裁判において、寄附金について次のような判決があります。

  1. 1 寄附金とは、名義のいかんや業務の関連性の有無を問わず、法人が贈与又は無償で供与した資産又は経済的利益、換言すれば、法人が直接的な対価を伴わないでした支出を広く指称するものと解すべき(昭57.9.30広島高裁松江支部昭56(行コ)1)。
  2. 2 法人が無利息貸付け等により経済的利益の供与をした場合、相手方からこれと対価的意義を有するものと認められる経済的な利益の供与を受けているか、あるいは、その経済的利益を手放すに足る何らかの合理的な経済目的その他の事情が存する場合でない限り、経済的利益相当額は、その法人の収益として認識される(寄附金課税の対象となる)ことになる(昭53.3.30大阪高裁昭47(行コ)42)。

Q2-2

 再建支援等により損失負担等をした場合において、損金算入が認められるときとはどのようなものでしょうか。

A2-2

 寄附金の額とは、法人税法第37条第7項において「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」とされていますが、その経済的利益を供与することについて、経済合理性が存する場合には、その供与した経済的利益の額は寄附金の額に該当しないものとして取り扱うこととしています。
 再建支援等事案における損失負担等の額の損金算入が認められる経済合理性とは、経済的利益を供与する側からみて、再建支援等をしなければ今後より大きな損失を被ることが明らかな場合や子会社等の倒産を回避するためにやむを得ず行うもので合理的な再建計画に基づく場合などその再建支援等を行うことに相当な理由があると認められる場合をいいます。

Q2-3

 法人税基本通達9−4−1、9−4−2の趣旨は、どのようなものでしょうか。

A2-3

 法人税基本通達9−4−1、9−4−2は、次のとおりです。

【参考】
 法人税基本通達
 (子会社等を整理する場合の損失負担等)
 9−4−1 法人がその子会社等の解散、経営権の譲渡等に伴い当該子会社等のために債務の引受けその他の損失負担又は債権放棄等(以下9−4−1において「損失負担等」という。)をした場合において、その損失負担等をしなければ今後より大きな損失を蒙ることになることが社会通念上明らかであると認められるためやむを得ずその損失負担等をするに至った等そのことについて相当な理由があると認められるときは、その損失負担等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注) 子会社等には、当該法人と資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者が含まれる(以下9−4−2において同じ。)。

 (子会社等を再建する場合の無利息貸付け等)
 9−4−2 法人がその子会社等に対して金銭の無償若しくは通常の利率よりも低い利率での貸付け又は債権放棄等(以下9−4−2において「無利息貸付け等」という。)をした場合において、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しないものとする。

(注) 合理的な再建計画かどうかについては、支援額の合理性、支援者による再建管理の有無、支援者の範囲の相当性及び支援割合の合理性等について、個々の事例に応じ、総合的に判断するのであるが、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱う。

 上記通達の趣旨は、次のとおりです。
 法人税の執行上、民商法重視の立場に立てば親子会社といえどもそれぞれ別個の法人ですから、仮に子会社が経営危機に瀕して解散等をした場合であっても、親会社としては、その出資額が回収できないにとどまり、それ以上に新たな損失負担をする必要はないという考え方があります。しかしながら、一口に子会社の整理といっても、親会社が、株主有限責任を楯にその親会社としての責任を放棄するようなことが社会的にも許されないといった状況に陥ることがしばしば生じ得ます。
 つまり、親会社が子会社の整理のために行う債権の放棄、債務の引受けその他の損失負担については、一概にこれを単純な贈与と決めつけることができない面が多々認められるということであり、このようなものについて、その内容いかんにかかわらず、常に寄附金として処理する等のことは全く実態に即さないといえます。
 また、一概に無利息又は低利貸付けといっても、そのことについて経済取引として十分説明がつくという場合には、子会社整理等の場合における損失負担等と同様に、常にこれを寄附金として取り扱うのは相当でないといえます。
 そこで、そのようなものについては、税務上も正常な取引条件に従って行われたものとして取り扱い、寄附金として認定をしない旨を明らかにしたものです。

Q2-4

 子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等が経済合理性を有しているか否かはどのように検討するのでしょうか(合理的な整理計画又は再建計画とはどのようなものをいうのでしょうか。)。

A2-4

 子会社等を整理又は再建する場合の損失負担等については、その損失負担等に経済合理性がある場合には寄附金に該当しませんが、この経済合理性を有しているか否かは、次のような点について、総合的に検討することになります。

  1. 1 損失負担等を受ける者は、「子会社等」に該当するか。
  2. 2 子会社等は経営危機に陥っているか(倒産の危機にあるか)。
  3. 3 損失負担等を行うことは相当か(支援者にとって相当な理由はあるか)。
  4. 4 損失負担等の額(支援額)は合理的であるか(過剰支援になっていないか)。
  5. 5 整理・再建管理はなされているか(その後の子会社等の立ち直り状況に応じて支援額を見直すこととされているか)。
  6. 6 損失負担等をする支援者の範囲は相当であるか(特定の債権者等が意図的に加わっていないなど恣意性がないか)。
  7. 7 損失負担等の額の割合は合理的であるか(特定の債権者だけ不当に負担を重くし又は免れていないか)。

(注) 子会社等を整理する場合の損失負担等(法基通9ー4ー1)の経済合理性の判断の留意点

  • ・ 上記2については、倒産の危機に至らないまでも経営成績が悪いなど、放置した場合には今後より大きな損失を蒙ることが社会通念上明らかであるかを検討することになります。
  • ・ 上記5については、子会社等の整理の場合には、一般的にその必要はありませんが、整理に長期間を要するときは、その整理計画の実施状況の管理を行うこととしているかを検討することになります。

(再建支援等事案の各検討項目の内容) 子会社等の範囲

Q3-1

 事業関連性のある「子会社等」の範囲は、どのようなものでしょうか。

A3-1

<共通> 「子会社等」とは、資本(親子)関係、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有するものをいいますから(法基通9−4−1(注))、単に資本(親子)関係がないことのみをもって「子会社等に該当しない」とするものではありません。
 例えば、業界の上部団体等が、業界全体の信用維持のために支援を行う場合などは、その上部団体等にとって、個々の業者は子会社等に該当すると考えられます。

Q3-2

 金融機関等にとって融資を行っている個人は「子会社等」に該当するのでしょうか。

A3-2

<再建> 子会社等とは、資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において、事業関連性を有する者が含まれることとされています。
 したがって、貸付先が個人であっても取引関係を有する者に含まれ、金融機関等が債権放棄することにより、例えば、個人の破産を未然に防ぐことにより、破産した場合に回収できる債権額を上回る額を回収することが見込まれる場合など、債権放棄する側において経済合理性を有すると認められるときは、その債権放棄の額は寄附金の額に該当しないと考えられます。
 また、個人が自己破産と同等な状態に陥っており、貸付債権が回収できないことが明らかな場合において、金融機関等がその貸付債権を放棄したときは、その放棄による損失は、貸倒損失として損金の額に算入されると考えられます。

子会社等は経営危機に陥っているか

Q3-3

 経営危機に陥っていない子会社等に対して支援を行った場合、法人税法上どのように取り扱われるのでしょうか。
 また、子会社等が経営危機に陥っているとは、どのような状況をいうのでしょうか。

A3-3

<再建> 経営危機に陥っていない子会社等に対する経済的利益の供与は、その利益供与について緊急性がなく、やむを得ず行うものとは認められませんから、寄附金に該当することとなります。
 子会社等が経営危機に陥っている場合とは、一般的には、子会社等が債務超過の状態にあることなどから資金繰りが逼迫しているような場合が考えられます。
 なお、債務超過等の状態にあっても子会社等が自力で再建することが可能であると認められる場合には、その支援は経済合理性を有していないものと考えられます。

<整理> 子会社等の整理に当たり、整理損失が生じる子会社等は、一般的に実質債務超過にあるものと考えられます。

Q3-4

 債務超過の状態にない債務者に対して債権放棄等をした場合でも、寄附金課税を受けない場合はあるのでしょうか。

A3-4

<共通> 一般的に、債務超過でない債務者に対して債権放棄等をした場合でも、営業状態や債権放棄等に至った事情等からみて経済合理性を有すると認められる場合には、債権放棄等による経済的利益の供与の額は、寄附金の額に該当しないものとして法人税法上損金算入が認められます。

 例えば、実質的に債務超過でない子会社等の再建等に際して債権放棄等を行う場合としては、次のような場合などが考えられます。

  1. 1 営業を行うために必要な登録、認可、許可等の条件として法令等において一定の財産的基礎を満たすこととされている業種にあっては、仮に赤字決算等のままでは登録等が取り消され、営業の継続が不可能となり倒産に至ることとなるが、これを回避するために財務体質の改善が必要な場合
  2. 2 営業譲渡等による子会社等の整理等に際して、譲受者側等から赤字の圧縮を強く求められている場合

 なお、財務諸表上は債務超過でないが資産に多額の含み損があり実質的な債務超過によって経営危機に陥っている子会社等に対して、合理的な再建計画に基づいてやむを得ず債権放棄等を行ったといったような場合は、経済合理性を有することはいうまでもありません。

Q3-4-2

 子会社は、当期において大口の貸倒れが生じたため大幅な欠損となるとともに、多額の不良債権を有することから、これら不良債権の貸倒れにより今後も経常的に欠損となる見込みであり、これをこのまま放置した場合には倒産することは必至です。
 そこで、親会社は子会社の再建計画を策定し、貸付金の金利の減免を予定していますが、子会社は前期末まで債務超過とはなっていません。
 このような場合に、貸付金の金利の減免による経済的利益の供与は、税務上どのように取り扱われるのでしょうか。

A3-4-2

<再建> 前期末において債務超過となっていない場合でも、倒産の原因となる事由が発生した事業年度において倒産を防止するため策定した再建計画が合理的な再建計画と認められれば、その再建計画に基づいて行われる貸付金の金利の減免は正常な取引条件に基づいたものと考えられますので、その金利の減免による経済的利益の供与は、寄附金に該当しないものとして差し支えありません。
 金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けた場合において、その貸付けが、倒産の危機にある子会社等の倒産を防止するために緊急に行う資金の貸付けで合理的な再建計画に基づくもの等である場合には、税務上もこれを正常な取引として認めています(法人税基本通達9-4-2)。
 一般的に倒産の危機にあるといわれるのは、債務超過の状況が数年継続し、かつ、近い将来債務超過の状態が解消される状態にない場合が多いようですが、黒字倒産という場合もあるように、必ずしも債務超過の状態の継続が条件となるということにはならないと考えられます。
 したがって、再建支援が認められるのは、倒産の危機にある子会社に対して、その倒産を防止するために策定された合理的な再建計画に基づき行う支援であることが重要であり、その支援の方法も税務上合理的なものであれば、その取引は正常な条件に基づくものとして取り扱われるものと考えられます。
 つまり、ご質問の場合のように前期末には債務超過の状態にない場合でも、子会社等が倒産の危機にあり、倒産防止のために策定された合理的な再建計画に基づいて行われる貸付金の金利の減免による経済的利益の供与は、寄附金として取り扱わないことが適当と考えられます。

支援者にとって損失負担等を行う相当な理由

Q3-5

 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由があるか否かは、どのように検討するのでしょうか。

A3-5

<共通> 支援者にとって損失負担等を行う相当な理由があるか否かは、損失負担等を行い子会社等を整理することにより、今後被るであろう大きな損失を回避することができる場合、又は、子会社等を再建することにより、残債権の弁済可能性が高まり、倒産した場合に比べ損失が軽減される場合若しくは支援者の信用が維持される場合などが考えられます。

損失負担(支援)額の合理性

Q3-6

 損失負担(支援)額の合理性は、どのように検討するのでしょうか。

A3-6

<共通> 損失負担(支援)額が合理的に算定されているか否かは、次のような点から検討することとなります。

  1. 1 損失負担(支援)額が、子会社等を整理するため又は経営危機を回避し再建するための必要最低限の金額とされているか。
  2. 2 子会社等の財務内容、営業状況の見通し等及び自己努力を加味したものとなっているか。

 子会社等を再建又は整理するための損失負担等は、子会社等の倒産を防止する等のためにやむを得ず行われるものですから、損失負担(支援)額は、必要最低限の金額でなければなりません。一般的に、支援により子会社等に課税所得が発生するようなケースは少ないと考えられます。
 支援金額が過剰と認められる場合には、単なる利益移転とみなされ、寄附金課税の対象となります。
 なお、支援の方法としては、無利息貸付、低利貸付、債権放棄、経費負担、資金贈与、債務引受けなどがあり、その実態に応じた方法が採用されることになるものと考えられます。
  更に必要最低限の支援であり、子会社等はそれなりの自己努力を行っていることが通例ですから、損失負担(支援)額は、被支援者等の自己努力を加味した金額となります。
 この場合、どのような自己努力を行うかは、法人の経営判断ですが、一般的に遊休資産の売却、経費の節減、増減資等が考えられます。

Q3-6-2

 再建計画中の経済情勢の変化等を考慮すれば、再建後の状況(事業規模、資産・負債等の状況等)は流動的なものとなることはやむを得ないと考えますので、再建後の姿が不確定なままの再建計画に基づく要支援額であっても、その要支援額は、的確に算定されていると考えてよろしいでしょうか。

A3-6-2

<共通> 不確定なままの再建計画に基づく要支援額は、的確に算定されているものとは認められません。
 被支援者に対する要支援額の算定に当たっては、再建計画策定時点における被支援者の経営危機の状況(含み損の状況等)を検討し、被支援者による自己努力を加味した上で、その要支援額の総額を見積もり、再建期間中の各期に要支援額を割り振ることになりますので、その前提として「再建後のあるべき姿(再建後の状況)」を明確にしておくことが必要となります。
 再建計画が合理的なものであるためには、経済情勢の変化等による若干の不確定要素が認められたとしても、当然、再建の最終的な目標である再建後のあるべき姿(再建像)は明確にされているものと考えられます。したがって、再建後のあるべき姿が不明確なままの再建計画における要支援額は、的確に算定されているものとは認められません。

Q3-6-3

 一般的に被支援者に対する要支援額は、再建期間において実現する損失額及びそれ以前に生じた損失の累計額の合計額から自己努力による利益額を控除した金額を基礎として算定することになると考えられますが、その要支援額の算定に当たっては会計上の累積欠損金額を無条件に含めてよいのでしょうか。

A3-6-3

<共通> 被支援者に対する要支援額は、累積欠損金額をも含め、経営危機の原因となっている損失の総額を基礎として算定することとなります。
 経営危機の原因となる損失には、その発生時期の違いから、支援開始時においては、1資産の含み損(不良債権の担保割れ額、有価証券の含み損等)のように顕在化していないものや、1不良債権の償却、有価証券の評価損の計上、本業の経営悪化による損失の発生等により累積欠損金となって既に顕在化しているものがあると考えられます。
 これらの損失は、経営危機の原因になっているという点において異なるところはなく、また、再建計画の最終目標は、これらの損失を根本的に解消して被支援者を健全な状態に回帰させることにあると言えますので、要支援額を計算するに際して、累積欠損金額を計算の基礎に置くことによって計算の合理性が損なわれるものとは言えません
 したがって、被支援者に対する要支援額は、累積欠損金額をも含め、経営危機の原因となっている損失の総額を基礎として算定することとなります。
 なお、再建後のあるべき姿を明確にする過程で、累積欠損金額のすべてを解消する必要があるかどうかについて検討し、単に累積欠損金額であるということのみでその全額を支援額に含めるのではなく、再建計画中に必要とされる支援額を的確に算定することが重要です。

Q3-6-4

 被支援者は、再建計画において、借入金返済の原資とするため、含み損を有する遊休資産の売却を予定していますが、このようなものについても自己努力の一環と考えることはできるのでしょうか。

A3-6-4

<共通> 自己努力の一環として考えることも可能です。
 一般的な自己努力としては、含み益を有する資産の売却、経費の節減等が考えられますが、「含み損」を有する遊休資産の売却等であっても、その売却代金を、例えば、借入金の返済原資に充てて支払利息の削減等を図るといったようなものは、自己努力の一環として考えることも可能です。

再建管理等の有無

Q3-7

 支援者による再建管理等は、なぜ必要なのでしょうか。また再建管理の方法には、どのようなものがあるのでしょうか。

A3-7

<再建> 子会社等の再建を図るためにやむを得ず行う支援である以上、損失負担(支援)額は、必要最低限のものでなければなりません。
 このため、支援者が子会社等の再建状況を把握し、例えば、再建計画の進行に従い、計画よりも順調に再建が進んだような場合には計画期間の経過前でも支援を打ち切る(逆の場合には、追加支援を行うための計画の見直しを行う)などの手当て(再建管理)が必要となります。
 なお、再建管理の方法としては、例えば、支援者から役員を派遣すること又は子会社等から支援者に対して毎年(毎四半期、毎月)再建状況を報告させるなどの方法が考えられます。

<整理> 一般的に子会社等の整理は、解散後速やかに行われますから、整理計画の実施状況に関する管理については、検討を要しないものと考えられます。
 しかしながら、資産処分に時間を要するなどの理由から、整理計画が長期間にわたる場合には、整理計画の実施状況に関する管理が的確に行われるか否かを検討する必要があります。

Q3-7-2

 子会社は金融機関から多額の借入れにより株式投資を行っていましたが、昨今の株価の暴落により多額の含み損を有することとなり、このまま放置しておくと子会社の倒産は必至の状況となっています。そこで、親会社の貸付債権の一部を免除し、残債権に係る金利の免除を基本とする再建計画を策定しました。再建計画は、当初再建期間を5年としていることから金利の減免の期間も5年間としていましたが、3年後から子会社が利益を計上するような場合においても、親会社は金利免除の期間を5年としていますので、契約に基づき5年経過するまで子会社から利息を減免しなければなりませんか。

A3-7-2

<共通> 再建計画に基づく契約の期間にかかわらず倒産の危機を回避できた時点で再建のための支援を終了する必要があります。したがって、倒産の危機を脱した後においても金利減免を継続している場合はその金利減免額は寄附金として取り扱われることとなります。
 親会社が子会社等に経済的利益の供与をした場合、その経済的利益の供与等が寄附金として取り扱われないための条件として、子会社が業績不振等の理由により倒産の危機の状態にあることが必要です。したがって、倒産の危機を脱した後においても金利減免を継続している場合はその金利減免は寄附金として取り扱われるものと考えられます。

支援者の範囲の相当性

Q3-8

 支援者の範囲の相当性は、どのように検討するのでしょうか。

A3-8

<共通> 関係者が複数いる場合に、子会社との事業関連性が強いと認められる者が支援者に加わっていないときは、どのような理由によるかを検討することになります。支援者の範囲は、事業関連性の強弱、支援規模、支援能力等の個別事情から決定されるものですから、関係者全員が支援しないから不合理であるとは必ずしもいえません。
 なお、支援者の範囲は、当事者間の合意により決定されるものです。
 例えば、多数の関係者がいる場合であっても、出資している者、出資はしていないが役員を派遣している者、取引(債権)金額又は融資金額の多額な者等に支援者の範囲を限定することも考えられます。

Q3-9

 関係者が複数いる場合の支援者の範囲(例えば1社支援の場合)の相当性はどのように検討するのでしょうか。

A3-9

<共通> 支援者の範囲は、事業関連性、支援規模等の個別事情から関係者間で決定されるものですから、その関係者の一部が支援者となっていないとしても、必ずしも不合理な整理計画又は再建計画とはいえないと考えられます。
 例えば、親会社1社の支援にならざるを得ない場合として、次のような事情により親会社と子会社との事業関連性がより強く、他の関係者に支援を求められない場合が考えられます。

  1. イ 資本の大部分を有している
  2. ロ 系列の会社で、親会社の名称等の冠を付している
  3. ハ 役員の大部分を親会社から派遣している
  4. ニ 借入れの大部分を親会社からの融資で賄っている

Q3-10

 支援者は、その子会社の経営が破綻したため、再建支援を行うこととしました。支援に当たり、子会社の赤字関連会社について整理、再建するための損失負担等を含めて支援することとしていますが、債務超過である子会社が行う支援等について経済合理性が認められますか。

A3-10

<共通> 本問のスキームの概要は以下のとおりとなります。
本問のスキームの概要の図
 一般に実質的に債務超過の状態にある法人は、子会社等を支援する体力がなく、そもそも支援は行い得ないものと思われます。
 しかしながら、本問のように支援者が行う子会社に対する支援の一環として、つまり関連会社の清算又は再建に伴う子会社の損失負担額を含めて支援者が子会社の支援を行う場合において、それが子会社の再建を図るために必要不可欠であると認められるときは、支援者の子会社に対する支援及び子会社の関連会社に対する支援等について、それぞれ法人税基本通達9−4−1又は9−4−2に該当するかを検討することとなります。

損失負担(支援)割合の合理性

Q3-11

 損失負担(支援)割合の合理性は、どのように検討するのでしょうか。

A3-11

<共通> 支援者ごとの損失負担(支援)額の配分が、出資状況、経営参加状況、融資状況等の子会社等と支援者との個々の事業関連性の強弱や支援能力からみて合理的に決定されているか否かを検討することとなります。
 なお、損失負担(支援)割合は、当事者間で合意されるものです。
損失負担(支援)額の配分については、例えば、総額を融資残高であん分し負担する方式(プロラタ方式)による場合のほか、出資比率、融資残高比率及び役員派遣割合の総合比率であん分し、個々の負担能力を考慮した調整を行ったうえ決定するといった例があります。

Q3-12

 支援者が複数いる場合の損失負担(支援)割合の合理性は、どのように検討するのでしょうか。

A3-12

<共通> 損失負担(支援)割合の合理性については、一般的に支援者の出資状況、経営参加、融資状況等の事業関連性や支援体力からみて合理的に決定されているか否かを検討することとなります。
 このため、合理性が認められるケースとしては、次のようなものが考えられます。
例えば、

  1. 1 融資残高比率に応じた割合(プロラタ方式)による場合
  2. 2 損失負担(支援)総額を、出資状況、融資残高比率及び役員派遣割合等の事業関連性を総合的に勘案し、各支援者に配分する場合
  3. 3 メインとなる支援者(出資責任、融資責任、経営責任等のある者)が、その責任に応じたできる限りの支援を行い、他の支援者については、融資残高等の事業関連性を総合的に勘案し、責任を求めるといった場合
  4. 4 親会社としては、優先的に大部分の損失負担をし、経営責任を果たさなければ一般の取引先の同意が得られず、再建計画が成立しないため、やむを得ず損失負担をして、再建を果たそうとする場合

Q3-13

 支援者によって支援方法が異なる内容の再建計画であっても、合理的な再建計画と認められますか。

A3-13

<再建> 支援者によって支援方法が異なる内容の再建計画であっても合理的な再建計画と認められる場合としては、例えば、債権放棄が主な支援方法である再建計画において一部の債権者が債権放棄に応じないが金利減免には応じている場合や融資残高を維持するにとどめている場合などが考えられます。
 なお、それぞれの支援者がどのような支援方法を採るかは、当事者間の合意により決定されるものです。

Q3-13-2

 複数の支援者による支援を行う場合において、そのうちの1社については、自身の体力等から損益面での支援(直接的な経済的利益の供与)を行わず、増資の引受け等による資金面での支援を行ったときに、この増資の引受け等についても支援の一環として考えてもよいのでしょうか。

A3-13-2

<再建> 支援の一方法と考えて、これも含めたところで再建計画の全体像を検討することになります。
 支援者の中には、自身の体力等から損益面での支援が行えず、増資の引受け、担保物件の時価による買取り等、資金的な面での支援を行う場合もありますが、このような支援も間接的には損益に影響する資金効果が認められますし、また、支援者の資金繰りという面からも再建に向けての効果が認められますので、損益支援そのものではないということで、形式的にその再建計画は合理的ではないと判断することなく、それらの方法も加味した上で再建計画の全体像を検討することになります。

Q3-14

 大口の債権者(親会社)だけでなく一般の(小口)債権者も債権を放棄するようなものは、合理的な整理計画又は再建計画とはいえないのではないでしょうか。

A3-14

<共通> 再建支援の対象となる子会社等には資本関係を有する者のほか、取引関係、人的関係、資金関係等において事業関連性を有する者も含まれます。
 一般の(小口)債権者についても取引関係、人的関係、資金関係等の事業関連性があれば、会社が整理されることによって将来発生する損失の回避や再建されることによって得られる利益等を考慮に入れて、経営判断により債権放棄を行うこともあり得ることです。
 したがって、いわゆる大口債権者ではなくても、取引関係、人的関係、資金関係等の事業関連性の程度により保有する債権を放棄せざるを得ない場合もあり得ると考えられます。

その他

Q3-15

 利害の対立する複数の支援者の合意により策定された再建計画であることが確認できれば、「合理的な再建計画」と認められるのでしょうか。

A3-15

<再建> 利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたものと認められる再建計画は、原則として、合理的なものと取り扱うこととしています(法基通9−4−2(注))。
 これは、それぞれの支援者が経済合理性に基づいて判断していることから相互に牽制効果が働くこととなり、同族・グループ法人間でなされがちな恣意的な利益操作が行われる可能性が少ないと考えられることなどから、原則として、合理的な再建計画として取り扱うこととされているものです。

Q3-16

 「利害の対立する複数の支援者の合意」といっても、支援者がごく少数であれば必ずしも利害の対立する者とは限らないため、合理的な再建計画と認められないのではないでしょうか。

A3-16

<再建> 利害の対立する複数の支援者(債権者)が協議して、自主的に再建計画を策定する場合には、相互に牽制効果が働き、個々の支援者(債権者)の利益操作、つまり恣意性が排除されますから再建計画全体の合理性が担保されると考えられます。
 したがって、支援者が極少数であるからといって、一律に恣意的な再建計画と決めつけることは相当ではありません。
 一方、支援者の多寡にかかわらず、恣意的な再建計画は、不当に税を免れるなど課税上の弊害がありますから、当然、経済合理性があるとは考えられません。

Q3-17

 債権放棄した額が寄附金の額に該当するか否かが争われた事例はありますか。

A3-17

<共通> 債権放棄した額が寄附金の額に該当するか否かが争われた事例として、原告は、本件債権放棄が寄附金に当たると認定された場合には、これを撤回する旨を債権放棄通知書に記載しているが、これは、本件債権放棄によって、その子会社に対する親会社責任を果たすとともに、自らの危機を回避するという法人税基本通達9−4−1の趣旨に沿うものではないとされた(寄附金として認定された)判決(平7.5.30東京高裁平5(行コ)94)があります。

Q3-18

 経営が破綻した子会社等を他の法人に営業譲渡又は合併するために親会社の責任として損失を負担しなければその目的を達成できない場合があります。
 このような場合、その損失を負担することに相当な理由があるか否かの判断に当たって、どのような点を検討することとなるのでしょうか。

A3-18

<共通> 営業譲渡や合併により支援者が損失負担等を行う場合には、そのことに相当な理由があるか否かの判断に当たって、次のような点を検討する必要があります。

  1. 1 支援者にとって破綻した子会社等の事業を継続する必要性があること(例えば、経営が破綻した地域販売子会社の保有する販路を維持する必要がある場合など)
  2. 2 子会社等の事業を継続するために営業譲渡若しくは合併によらざるを得ないこと又は営業譲渡若しくは合併を選択したことにつき経済合理性(例えば経営が破綻した子会社等を清算したり、そのまま存続させ再建を図った場合よりも損失負担額が少ないなど)が認められること

Q3-18-2

 A社の子会社は、昨今の不況により不良債権が増加し、倒産の危機にあることから、A社はA社及び子会社のメイン銀行である甲銀行と緊急の無利息及び低金利での貸付けを行うこととしました。
 子会社の再建計画は、今後このようなことのないように営業債権についてすべての洗い出しを行い策定することとし現在作成中です。したがって、再建計画の骨子はできていますが、現時点では具体的な再建計画はできていません。
 このような状況で行うA社及び甲銀行の無利息及び低金利による経済的利益の供与は、子会社に対する寄附金となりますか。

A3-18-2

<共通> 再建計画の骨子を明らかにし、計画を現在策定中であることが確認される場合で、その貸付けが緊急に行う必要がある場合には、無利息及び低金利による経済的利益の供与は、寄附金に該当しないものとして差し支えありません。
 子会社等の倒産防止のために金銭を無償又は通常の利率よりも低い利率で貸し付けることが認められるのは、その貸付けが合理的な再建計画に基づく場合等無利息又は低金利で融資することに相当な理由があると認められる場合とされています(法人税基本通達9-4-2)。
 したがって、子会社の再建について具体的な検討がされずに無利息貸付等を行う場合には、他に相当な理由があると認められることが必要ですが、それが倒産を防止するために必要なものである場合には、再建計画の骨子が明らかになった時点、すなわち具体的な再建計画が策定される前であっても緊急に無利息及び低金利での融資等を行わなければならないことも相当の理由があると認められます。
 つまり、A社及び甲銀行が行った無利息貸付等は倒産を防止するために緊急に行うことが必要であるいわゆる「つなぎ融資」として正常な取引条件での取引と考えられますので、A社及び甲銀行の無利息及び低金利による経済的利益の供与は、税務上も寄附金として取り扱わないことが適当と考えられます。

Q3-18-3

 A社の子会社は、主要な取引先について前期から大口の貸倒れが続き、債務超過の状態に陥るとともに、運転資金が不足している状況にもあることから、このままの状態を放置した場合には倒産することは必至です。そこで、A社は子会社の再建計画を策定することとしました。
 この再建計画は、A社の子会社が毎期欠損を生じないことを前提として借入金の金利を軽減することを中心に策定されていますが、子会社において金利減免後も欠損が生じる場合には、その欠損に相当する金額の債権放棄を行う計画となっています。
 この場合、子会社の再建のために債権の一部放棄を仮に毎期行うこととなったとしても、この債権放棄による経済的利益の供与は、単純損金として認められますか。

A3-18-3

<再建> 債権放棄が合理的な再建計画に基づくものであり、毎期欠損を発生させないことが、倒産を防止するために必要な条件である場合には、子会社が有する債権の一部を毎期放棄することによる経済的利益の供与は、単純損金として認められます。
 子会社に有する債権の一部を放棄することによる経済的利益の供与も、それが合理的な再建計画に基づくものであり、金利減免のみでは倒産を防止できずやむを得ず行うものであれば、寄附金ではなく単純損金として認められます。
 すなわち、子会社等の再建のために合理的な再建計画に基づき債権の一部を放棄することは、子会社の倒産を防止するために行う低金利又は無利息での金銭の貸付けと同じ再建支援の一方法であり、貸倒処理を目的としたものではないこと及び再建計画を毎期見直しその都度債権の一部を放棄したのと何ら変わるものではありませんので、毎期欠損を発生させないことが倒産を防止するために、必要な条件となっている場合には、子会社に対する貸付債権の一部を毎期放棄することによる経済的利益の供与も単純損金として認められます。

Q3-18-4

 A社及びA社グループは、経営不振により倒産の危機にある子会社において、金融機関の追加融資が困難な状況にあって、かつ、A社も長期化する不況により資金援助ができない状況にあることから、その子会社を解散することとしました。
 ところが、甲銀行が幹事となりA社グループとともに、整理又は再建の方策を検討した結果、子会社の解散は社会的影響が大きいことから、B社にその経営権を譲渡することとしました。ただし、その経営権の譲渡に当たっては、子会社の欠損金をA社が補てんすることが条件とされていますので、A社が子会社に対して有する債権を放棄することになりますが、この債権放棄は税務上どのように取り扱われますか。

A3-18-4

<整理> 経営権の譲渡に伴う債権放棄による経済的利益の供与は、寄附金ではなく単純損金として認められます。
 他の企業に経営権を譲渡するような場合、譲受法人としては、その譲受け後における子会社の経営上の責任を考えて、赤字をできるだけ圧縮した上でなければ、譲渡に応じられないという条件を提示することは十分にありうることです。このため、やむを得ず子会社に対する貸付金等の一部を切り捨てたり、新たに資金を投入するなどしてある程度子会社の財政面を改善した上で譲渡するといった事例が見受けられます。
 このような貸付金等の切捨てや資金の援助については、親会社として今後発生するであろうより大きな損失を回避するためにやむを得ず行う損失の負担であると認められる場合が少なくありませんので、この損失負担を一概に単純な贈与と決めつけることは適当ではなく、常に寄附金として取り扱うことは実態に即したものとはいえないと考えられます。
 したがって、A社が子会社の経営権の譲渡に伴い、やむを得ず債権の放棄等の損失を負担した場合に、それが今後より大きな損失の生ずることを回避するために行われたものであり、かつ、そのことが社会通念上も妥当なものとして認められるような事情にある場合には、税務上もその債権放棄は寄附金として取り扱わないことが適当と考えられます。

Q3-18-5

 子会社の支援のために合理的な再建計画に基づく債権放棄を行った場合には、その債権放棄による経済的利益の供与は、寄附金に該当せず損金の額に算入されていたところですが、平成22年度の税制改正により完全支配関係にある内国法人間の寄附金は、その全額が損金の額に算入されないこととされたことから、完全支配関係にある内国法人間の支援損についても損金不算入となるのでしょうか。

A3-18-5

<共通> 平成22年度の税制改正後の法人税法第37条第2項の規定により損金不算入とされたのは、完全支配関係にある内国法人間の寄附金であり、合理的な再建計画に基づく経済的利益の供与は、寄附金に該当しませんから同項の適用はありません(損金の額に算入されます。)。
 法人がその子会社等に対して無利息若しくは低利で金銭の貸付け又は債権放棄等(以下「無利息貸付け等」といいます。)をした場合においても、その無利息貸付け等が例えば業績不振の子会社等の倒産を防止するためにやむを得ず行われるもので合理的な再建計画に基づくものである等その無利息貸付け等をしたことについて相当な理由があると認められるときは、その無利息貸付け等により供与する経済的利益の額は、寄附金の額に該当しません(法人税基本通達9-4-2)。
 ところで、平成22年度の税制改正において、内国法人が当該内国法人との間に法人による完全支配関係がある他の内国法人に対して支出した寄附金の額を損金不算入とするとともに(法法371)、当該他の内国法人が受けた受贈益の額を益金不算入とすることとされましたが(法法25の21)、法人税基本通達9-4-2に該当する場合の経済的利益については、上記のとおり寄附金に該当しませんので、これらの規定の適用を受けることはありません。
 なお、完全支配関係にある法人間において、合理的な再建計画に基づくといった相当の理由がない経済的利益の供与を行った場合には、その経済的利益の供与額は寄附金の額に該当することとなりますから、平成22年度の税制改正において、経済的利益の供与を行った法人においては法人税法第37条第2項の適用がされるとともに、経済的利益の供与を受ける法人においては法人税法第25条の2第1項の適用がされることになります。

(その他)

Q4

 平成10年6月、法人税基本通達が改正されましたが、従来の取扱いを変更したのではありませんか。

A4

 法人税基本通達9−4−1及び9−4−2は、法人税法に規定されている寄附金の額に関する解釈通達です。
 この場合の寄附金の額とは、法人税法第37条第7項において「金銭その他の資産又は経済的な利益の贈与又は無償の供与」とされてますが、その経済的な利益を供与することについて、経済合理性が存する場合には、単なる贈与ではありませんので、従来から、その供与した経済的利益の額は寄附金の額に該当しないものとして取り扱うこととしています。
 このことについて従前の法人税基本通達では、その支援方法が無利息・低利融資である場合のみが示され、債権放棄や資金贈与が明示されていませんでしたので、これを明確にしたものです。
 また、再建の対象となる「子会社等」には、子会社のほか、取引先、役員を派遣している会社、資金を貸し付けている会社等も含まれることとして取り扱っており、この点を明らかにしたものです。
 さらに、「合理的な再建計画」か否かについての判断基準(支援額の合理性、再建管理の有無、支援者の範囲の相当性、支援割合の合理性等)を明らかにし、例えば、利害の対立する複数の支援者の合意により策定されたと認められる再建計画は、従来から、原則として、合理的なものとして取り扱っていたところから、この点についても明らかにしたものです。
 これらの通達改正は、いずれも、従来からの取扱内容をより分かり易くするために明確化を図ったものであり、範囲を拡げたり、取扱いを緩めたりしたものではありません。

Q5

 再建支援等事案の事前照会に係る検討事項の概要はどのようなものでしょうか。

A5

 再建支援等事案に係る検討項目及びその概要は次のとおりです。

 (イメージ)

再建支援等事案に係る検討項目及びその概要の図

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