※ 東日本大震災により被害を受けた場合等の非上場株式等についての相続税の納税猶予の特例については、「東日本大震災に関する税制上の追加措置について(相続税・贈与税関係)相04」をご覧ください。
[平成27年4月1日現在法令等]
後継者である相続人等(「経営承継相続人等」といいます。)が、相続等により、経済産業大臣の認定を受ける非上場会社の株式等を先代経営者である被相続人から取得し、その会社を経営していく場合には、その経営承継相続人等が納付すべき相続税のうち、その非上場株式等(一定の部分に限ります。)に係る課税価格の80%に対応する相続税の納税が猶予されます(猶予される相続税額を「非上場株式等納税猶予税額」といいます。)。
この非上場株式等納税猶予税額は、経営承継相続人等が死亡した場合などにはその全部又は一部が免除されます。なお、免除されるときまでに特例の適用を受けた非上場株式等を譲渡するなど一定の場合には、非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部を利子税と併せて納付する必要があります。
※ 「非上場株式等についての相続税及び贈与税の納税猶予及び免除の特例のあらまし(平成27年1月1日施行)」も併せてご覧ください。
この特例の適用を受けるためには、「中小企業における経営の継承の円滑化に関する法律」(「円滑化法」といいます。)に基づき、会社が「経済産業大臣の認定」を受ける必要があります。なお、「経済産業大臣の認定」を受けるためには、原則として、相続開始後8か月以内にその申請を行う必要があります。
(注)
特例の対象となる非上場株式等の数は、次のA、B、Cの数を基に(1)又は(2)の区分の場合に応じた数が限度となります。
「A」・・・経営承継相続人等が相続等により取得した非上場株式等の数
「B」・・・経営承継相続人等が相続開始前から保有する非上場株式等の数
「C」・・・相続開始時の発行済株式等の総数
次の(1)から(2)を差し引いた相続税額の納税が猶予されます。(1)及び(2)の税額を計算する場合の経営承継相続人等以外の者の取得した財産は、実際に経営承継相続人等以外の者が相続等により取得した財産によります。
(注) その非上場株式等を発行する会社及びその会社と特別の関係のある一定の会社が、一定の外国会社若しくは一定の上場会社の株式等又は医療法人の出資を有する場合には、納税が猶予される税額の計算の基となる非上場株式等の価額は、その外国会社若しくは上場会社の株式等又は医療法人の出資を有していなかったものとして計算した金額となります。
引き続きこの特例の適用を受ける旨や特例の対象となる非上場株式等に係る会社の経営等に関する事項を記載した「非上場株式等についての相続税の納税猶予の継続届出書」を原則として、相続税の申告期限後の5年間は毎年、5年経過後は3年ごとに所轄税務署に提出する必要があります。
なお、継続届出書の提出がない場合には、原則として、この特例の適用が打ち切られ、非上場株式等納税猶予税額と利子税を納付しなければなりません。
次に掲げる場合などに該当したときには、非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部の納付が免除されます。
(1) 非上場株式等納税猶予税額を納付しなければならない場合
次のいずれかに該当することとなった場合には、その非上場株式等納税猶予税額の全部又は一部を納付しなければなりません。
イ 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等が代表権を有しないこととなった場合
(一定のやむを得ない理由がある場合を除く。)
ロ 申告期限後5年間の平均で、相続開始時の雇用の8割を維持できなかった場合
ハ 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等及び経営承継相続人等と特別の関係がある者(経営承継相続人等の親族など一定の者)が保有する議決権数の合計が、総議決権数の50パーセント以下となった場合
(一定のやむを得ない理由がある場合において、経営承継相続人等が非上場株式等についての贈与税の納税猶予の特例の適用に係る贈与をしたときを除く。次のニ及びホにおいて同じ。)
ニ 申告期限後5年以内に、経営承継相続人等と特別の関係がある者のうちの1人が、経営承継相続人等を超える議決権数を有することとなった場合
ホ 経営承継相続人等が特例の適用を受けた非上場株式等の全部又は一部を譲渡等した場合
ヘ 特例の対象となっている会社が解散をした場合又は解散をしたとみなされた場合
ト 特例の対象となっている会社が資産保有型会社又は資産運用型会社で一定のものに該当することとなった場合
チ 特例の対象となっている会社の事業年度における総収入金額(営業外収益及び特別利益を除きます。)が零となった場合
リ 上記のイからチのほか、会社の円滑な事業の運営に支障を及ぼすおそれがある一定の事由に該当することとなった場合
(注)上記ロに該当することで、その相続税を納付することとなった場合において、納税猶予の期限までに金銭により一時に納付することが困難な事由があるなど、一定の要件を満たしているときには、申請により延納又は物納が認められます。詳しくは、最寄りの税務署にお尋ねください。
(2) 納付すべき税額に係る利子税
上記(1)により納付する相続税額については、相続税の申告期限の翌日から納税猶予の期限までの期間(日数)に応じて年3.6%の割合で利子税がかかります。
利子税の計算にあたり、各年の特例基準割合(※)が7.3%に満たない場合は、以下のとおりとなります。
(算式)
3.6%×特例基準割合(※)÷7.3% (注)0.1%未満の端数は切り捨て
(例)特例基準割合(※)が1.8%の場合・・・0.8%
(注)特例基準割合(※)が変動すると利子税の割合も変動します。詳しくは最寄りの税務署にお尋ねください。
※ 特例基準割合
【平成25年12月31日まで】
各年の前年の11月30日において日本銀行が定める基準割引率に4%を加算した割合
【平成26年1月1日以降】
各年の前々年の10月から前年の9月までの各月における銀行の新規の短期貸出約定平均金利の合計を12で除して得た割合として各年の前年の12月15日までに財務大臣が告示する割合に、年1%の割合を加算した割合
○ 申告期限から5年経過後に相続税額を納付する場合の利子税の特例
相続税の申告期限から5年を経過した後に、上記(1)に該当(一定の事由に限ります。)し、相続税額の全部又は一部を納付するときには、申告期限の翌日から5年を経過する日までの期間の利子税の割合が年零パーセントに軽減されます。
(措法70の7の2、93、平25改正法附則86、措令40の8の2、措規23の10)
参考:関連コード