問1

企業が生活困窮者等に自社製品等を提供した場合の取扱い

 当社では、新型コロナウイルス感染症に関連して、今般の感染症の流行が終息するまでの間の緊急支援の取組として、自社製品(食料品)を学童保育施設、子供食堂、社会福祉施設、生活困窮者支援団体、フードバンク活動を行う団体などに対して無償で提供し、施設へ通う子供たちや生活困窮者等への支援を行う予定です。
 このような支援のために行った自社製品の提供に要する費用は、法人税の取扱上、寄附金以外の費用として、その提供時の損金の額に算入することができるでしょうか。

〇 貴社が行う自社製品等の提供が、今般の新型コロナウイルス感染症に関する対応として、不特定又は多数の生活困窮者等を救援するために緊急、かつ、今般の感染症の流行が終息するまでの間に限って行われるものであれば、その提供に要する費用(配送に係る費用も含みます。)の額は、提供時の損金の額に算入して差し支えありません(法人税法22条3項、4項)。

※ 自社製品等には、他から購入した物品やサービスの提供を業務とする法人が行う役務の提供も含みます。

〔参考〕

  •  質疑応答事例(法人税)「フードバンクへ食品を提供した場合の取扱い」
  •  法人税基本通達9−4−6の4(自社製品等の被災者に対する提供)
  •  租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)−10の4(自社製品等の被災者に対する提供)
問2

法人税の災害損失欠損金の範囲について〔令和2年4月13日追加〕

 当社は、給食の提供事業を行っていますが、新型コロナウイルス感染症に関連して、学校の臨時休業の影響で、給食用として準備していた食材を廃棄しなければならなくなったほか、調理場や配膳室などの施設を消毒する必要が生じました。
 ところで、災害により生じた損失がある場合には、法人税の繰戻し還付制度を利用して、過去に納めた法人税等の還付を受けることができます。
 このような廃棄損や、消毒に要する費用については、法人税の取扱上「災害により生じた損失」に該当するでしょうか。

〇 今般の新型コロナウイルス感染症に関連して、学校の臨時休業や外出自粛の要請等が行われたことにより、貴社において、棚卸資産や固定資産などに損失が生じている場合や、感染症の拡大や発生を防止するための消毒等の費用を支出している場合、これらの損失や費用の額は、「災害により生じた損失の額」に該当します。

〇 ただし、災害損失欠損金の繰戻し還付制度の対象となる「災害により生じた損失の額」については、災害により棚卸資産、固定資産又は一定の繰延資産について生じた損失の額が対象とされているため、例えば、外出自粛の要請等があったことによる店舗の売上げの減少額などは対象とはなりません。(注)(法人税法80条5項、法人税法施行令154条の3)

(注)中小法人である青色申告法人の場合、災害損失欠損金以外の青色欠損金については1年間の繰戻し還付が可能です(法人税法80条1項)。

〔災害損失欠損金に該当する例〕

  •  飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
  •  感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
  •  施設や備品などを消毒するために支出した費用
  •  感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
  •  イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

※ 繰戻し還付の対象となる災害損失とは、棚卸資産や固定資産に生じた被害(損失)に加え、その被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用が該当します。

〔災害損失欠損金に該当しない例〕

  •  客足が減少したことによる売上げ減少額
  •  休業期間中に支払う人件費
  •  イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料

※ 上記のように、棚卸資産や固定資産の被害の拡大・発生を防止するために直接要した費用とは言えないものについては、災害損失欠損金に該当しません。

〔参考〕

問3

企業がマスクを取引先等に無償提供した場合の取扱い〔令和2年4月13日追加〕

 当社は、新型コロナウイルス感染症の拡大防止の取組として、関連する子会社や下請け業者などの取引先に対して、マスクや消毒液を無償で提供する予定です。
 今回の措置は、今般、マスク需要が急激に増加し、取引先等において調達が困難となっている現状を踏まえ、当社の関連業務に従事する者や多数のお客様と接する機会の多い業者に使用させることを条件にして、無償で提供を行うこととしたものです。
 この取組は、感染症の流行が終息するまでの期間に限定して行うものですが、このようなマスク等の提供に要する費用は、法人税の取扱上、寄附金以外の費用に該当するでしょうか。

〇 貴社が行うマスク等の無償提供が、新型コロナウイルス感染症に関する対応として、緊急、かつ、感染症の流行が終息するまでの間に限って行われるものであり、次の条件を満たすものであれば、貴社の事業遂行上、必要な経費と考えられますので、その提供に要する費用(マスク等の購入費用、送料等)の額は、寄附金以外の費用に該当します(法人税法22条3項、4項、同法37条)。

1 提供を行う取引先等において、マスクの不足が生じていることにより業務の遂行上、著しい支障が生じている、又は今後生じるおそれがあること

1 その取引先等が業務を維持できない場合には、貴社において、操業が維持できない、営業に支障が生じる、仕入れ等が困難になるといった、貴社の業務に直接又は間接的な影響が生じること

〇 なお、上記の1及び1の条件を満たすものであっても、その提供先において、無償提供したマスク等が転売されているといった事実がある場合には、貴社の事業遂行上、必要な経費とは認められませんので、その提供に要する費用は、税務上、寄附金に該当します(法人税法22条3項、4項、同法37条)。

問3-2

 《ワクチンの職域接種に係る会場準備費用の負担を求めない場合の取扱い》〔令和3年7月2日追加〕

 当社は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの職域接種を実施する予定です。職域接種の実施にあたっては、ワクチン接種事業の実施主体である市町村から委託を受け、接種1回当たり2,070円(税抜き)を基本として市町村から委託料を受領することとなりますが、接種会場の使用料、接種会場の設営費用(備品のリース費用を含みます。)、当社の診療所の産業医以外の医師・看護師等の派遣を受けるための費用など、接種会場の準備のために要する費用(以下「会場準備費用」といいます。)が生じます。
 また、職域接種の対象者は、1当社の事業所において勤務する当社の役員、従業員及びこれらの者と同居する親族でワクチン接種を希望する者(以下「従業員等」といいます。)並びに2関連会社の従業員等のほか、3当社の取引先の従業員等とする予定です。
 当社は、ワクチン接種事業の受託に係る委託料収入を上回る費用負担が生じた場合でも関連会社及び取引先に負担を求めることは予定していません。この場合、会場準備費用の額の一部は法人税法上の寄附金の額又は交際費等の額に該当するでしょうか。
 なお、接種会場の近隣住民で接種を希望する者を対象に追加した場合には、法人税法上の取扱いは変わるのでしょうか。

〇 貴社において実施する職域接種のため、貴社が負担した会場準備費用の額は、関連会社や取引先に負担を求めないとしても、法人税法上の寄附金の額又は交際費等の額のいずれにも該当しないと考えられます。

〇 新型コロナワクチンの接種については、予防接種法の規定に基づき市町村(特別区を含みます。以下同じです。)において実施するものとされており、職域接種は、この市町村において実施するワクチン接種事業について、1市町村から委託を受けた企業等が実施する形態(企業内診療所において実施)又は2市町村から委託を受けた外部の医療機関に企業等が依頼することにより実施する形態(外部の医療機関が企業等に出張して実施するなど)とされています。

〇 貴社が実施する職域接種は、1の形態で行われるものと考えられますが、この場合、貴社が、市町村において実施するワクチン接種事業に係る業務(以下「受託業務」といいます。)の委託を受け、その委託の対価(2,070円(税抜き)×接種実施回数)を得ることとなります。
 会場準備費用を含む受託業務の実施に必要な費用が委託の対価を上回る場合には、貴社に費用負担が生ずることになりますが、この場合の貴社の費用負担は、貴社の従業員等のほか、関連会社及び取引先の従業員等もワクチン接種を受けることで社内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大が防止され、貴社の今後の業務遂行上の著しい支障の発生防止のため、つまり、貴社の業務遂行に必要な費用の負担と考えられます。
 そのため、貴社が関連会社や取引先に負担を求めないとしても、法人税法上の寄附金又は交際費等には該当しないと考えられます。

〇 また、2の形態においては、企業から依頼を受けた外部の医療機関が市町村と委託契約を締結し、委託の対価も医療機関に支払われることとなります。
 医療機関における受託業務の実施に必要な費用が委託の対価を上回るなどの場合においては、企業と医療機関の契約内容により、企業に会場準備費用などの負担が生ずる可能性があります。
 この場合の会場準備費用などの負担は、1の形態で行われるものと同様に、自社の従業員等のほか、関連会社及び取引先の従業員等もワクチン接種を受けることで社内の新型コロナウイルス感染症の感染拡大が防止され、企業の今後の業務遂行上の著しい支障の発生防止のため、つまり、企業の業務遂行に必要な費用の負担と考えられます。
 そのため、企業が関連会社や取引先に負担を求めないとしても、その会場準備費用は法人税法上の寄附金又は交際費等には該当しないと考えられます。

〇 なお、職域接種の対象に、接種会場の近隣住民で希望する者を追加する場合であっても、上記の取扱いが変わるものではありません。

問4

賃貸物件のオーナーが賃料の減額を行った場合〔令和2年4月30日更新〕

 当社は、店舗用物件やテナント等を賃貸する不動産貸付業を行っています。今般、新型コロナウイルス感染症の影響で、当社の物件を賃借している事業者から、「売上が急減している中、固定的に支払いが発生する賃料の負担が大変である。」といった切実な声が寄せられています。
 そこで、当社としては、賃料の減額を求められた場合、契約内容の見直しを行い、今般の感染症の流行が終息するまでの期間に限って、賃料の減額に応じるつもりです。
 このように当社が取引先等に対して、復旧支援のため、賃料の減額に応じた場合に、その賃料の減額分については、法人税の取扱上、寄附金として取り扱われるのでしょうか。

〇 企業が、賃貸借契約を締結している取引先等に対して賃料の減額を行った場合、その賃料を減額したことに合理的な理由がなければ、減額前の賃料の額と減額後の賃料の額との差額については、原則として、相手方に対して寄附金を支出したものとして税務上、取り扱われることになります(法人税法22条3項、4項、同法37条)。

〇 しかしながら、貴社が行った賃料の減額が、例えば、次の条件を満たすものであれば、実質的には取引先等との取引条件の変更と考えられますので、その減額した分の差額については、寄附金として取り扱われることはありません。

1 取引先等において、新型コロナウイルス感染症に関連して収入が減少し、事業継続が困難となったこと、又は困難となるおそれが明らかであること

1 貴社が行う賃料の減額が、取引先等の復旧支援(営業継続や雇用確保など)を目的としたものであり、そのことが書面などにより確認できること

1 賃料の減額が、取引先等において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に行われたものであること

〇 また、取引先等に対して既に生じた賃料の減免(債権の免除等)を行う場合についても、同様に取り扱われます。
 なお、賃料の減免を受けた賃借人(事業者)においては、減免相当額の受贈益が生じることになりますが、この場合であっても、事業年度(個人の場合は年分)を通じて、受贈益を含めた益金の額(収入金額)よりも損金の額(必要経費)が多い場合には課税が生じることはありません。

〇 この取扱いは、テナント以外の居住用物件や駐車場などの賃貸借契約においても同様です。

〔参考〕

  •  法人税基本通達9−4−6の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
  •  租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)−10の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
問5

企業が復旧支援のためチケットの払い戻しを辞退した場合〔令和2年4月13日追加〕

 当社は、販売促進目的で一般消費者の方々を抽選で観劇(芝居、演劇、コンサート)等に招待しているほか、福利厚生目的で観劇等のチケットを社員へ配付しています。 これらの目的で当社がチケットを購入していた観劇等について、今般の新型コロナウイルス感染症の影響で、全ての観劇等が公演中止となりました。
 これらのチケットは、契約上、払い戻しを受けることが可能ですが、この観劇等の興行主や劇団などは、当面の公演中止により収入の見通しが立たず、事業継続が困難となり、劇団関係者への給料等も支払えない状況にあると知ったことから、当社としてはその復旧支援のためにチケットの払い戻しを辞退することにしました。
 このような取引先の復旧支援のためにチケット払戻請求権の放棄(債権の免除等)をしたことによる損失の額は、法人税の取扱上、寄附金以外の費用に該当するでしょうか。

〇 企業が、契約上払い戻し可能とされているチケットについて、その払い戻しを辞退した場合、税務上、その払戻請求権の放棄による経済的利益の供与の額は寄附金の額に該当します(法人税法22条3項、4項、同法37条)。
  しかしながら、貴社が行ったチケットの払戻請求権の放棄(債権の免除等)が、次の条件を満たすものであれば、その放棄したことによる損失の額は、寄附金以外の費用に該当します。

1 債権の免除等を行う相手先が、貴社の取引先等(得意先、仕入先、下請先、特約店、代理店等のほか、実質的な取引関係にあると認められる者を含みます。)であること

1 新型コロナウイルス感染症に関連して相手先に生じた被害からの復旧支援を目的としたものであること

1 債権の免除等が、相手先において被害が生じた後、相当の期間(通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいいます。)内に行われたものであること

1 その債権の免除等が、単なる払い戻しの請求漏れではなく、復旧支援のために行われたことが書面などにより確認できること

〔参考〕

  •  法人税基本通達9−4−6の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
  •  租租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)−10の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
問5-2

 プロスポーツのスポンサー企業が行う復旧支援〔令和2年5月15日追加〕

 当社は、Jリーグクラブのスポンサー企業として、クラブと広告宣伝契約を取り交わし、毎年スポンサー料を支出しています。
 新型コロナウイルス感染症の影響で、試合数の減少や無観客試合の増加によって、広告宣伝価値が減少したことから、当初の契約で定める掲出条件が満たせなくなり、当社はクラブに対して、スポンサー料の一部の返還を求めることが可能です。
 しかしながら、契約先のクラブはチケット収入も減少するなどして経営難となっており、当社としては、復旧支援のため、契約上の対象試合や露出が減少したとしても、スポンサー料の返還を辞退(払戻請求権を放棄)する予定です。
 このようなスポンサー料の返還を辞退したことによる損失の額は、法人税の取扱上、寄附金や交際費等以外の費用に該当するでしょうか。

〇 貴社のスポンサー料の返還の辞退(注1)が、新型コロナウイルス感染症の影響により、経営難となったプロスポーツ団体の復旧支援のため、相当の期間内(注2)に行うもので、復旧支援目的であることが書面などにより確認できる場合、その辞退による損失の額は、寄附金や交際費等以外の費用に該当します(法人税法22条3項、4項、同法37条、租税特別措置法61条の4)。

〇 各プロスポーツ界では、今般の感染症により、大規模イベント等の中止、延期、規模縮小等の要請に伴い、スポーツ活動や興行の運営自粛を余儀なくされ、各プロスポーツ団体の中には事業継続が困難となっているところも少なくありません。

〇 このような相手先(団体)に対して、スポンサー企業が復旧支援のため、売掛債権等(未収金や貸付金、払戻請求権などの債権を含みます。)の全部又は一部を免除したことによる損失の額は、法人税の取扱上、自然災害時と同様に寄附金や交際費等の額に該当しないものとして取り扱われ、全額損金算入されます。

〇 また、スポンサー企業が取引関係の維持、回復を目的として相当の期間内に災害見舞金の支出を行った場合も、交際費等に該当しないものとして取り扱われ、その支出額は全額損金算入されます。

(注1)スポンサー料の返還の辞退については、当該スポンサー料を契約時に一括払い(前払い)したケースに限らず、当初契約時の支払条件に従い期中に分割払い(後払い)したケースも同様に取り扱われます。

(注2)相当の期間内とは、通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間内をいい、例えば、プロスポーツ興行の場合は、試合の再開や観客の入場制限などが解消した後で観客動員数がコロナ禍の前の状態に戻るまでの期間などが考えられます。

〔参考〕

  •  法人税基本通達9−4−6の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
  •  租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)−10の2(災害の場合の取引先に対する売掛債権の免除等)
  •  租税特別措置法関係通達(法人税編)61の4(1)−10の3(取引先に対する災害見舞金等)
問6

業績が悪化した場合に行う役員給与の減額〔令和2年4月13日追加〕

 当社は、各種イベントの開催を請け負う事業を行っていますが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止の観点から、イベント等の開催中止の要請があったことで、今後、数か月間先まで開催を予定していた全てのイベントがキャンセルとなりました。
 その結果、予定していた収入が無くなり、毎月の家賃や従業員の給与等の支払いも困難な状況であることから、当社では、役員給与の減額を行うこととしました。
 法人税の取扱いでは、年度の中途で役員給与を減額した場合、定期同額給与に該当せず、損金算入が認められないケースもあると聞いています。
 そこで、当社のような事情によって役員給与を減額した場合、その役員給与は定期同額給与に該当するでしょうか。

〇 貴社が行う役員給与の減額改定については、業績悪化改定事由(法人税法34条1項1号、法人税法施行令69条1項1号ハ)による改定に該当するものと考えられます。
 したがって、改定前に定額で支給していた役員給与と改定後に定額で支給する役員給与は、それぞれ定期同額給与に該当し、損金算入することになります。

〇 法人税の取扱いにおける「業績悪化改定事由」とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいいますので、貴社のように、業績等が急激に悪化して家賃や給与等の支払いが困難となり、取引銀行や株主との関係からもやむを得ず役員給与を減額しなければならない状況にある場合は、この業績悪化改定事由に該当することになります。

〔参考〕

  •  法人税基本通達9−2−13(経営の状況の著しい悪化に類する理由)
  •  役員給与に関するQ&A(平成24年4月改訂版)[Q1](業績等の悪化により役員給与の額を減額する場合の取扱い)
問6-2

 業績の悪化が見込まれるために行う役員給与の減額〔令和2年4月13日追加〕

 当社は、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国からの入国制限や外出自粛要請が行われたことで、主要な売上先である観光客等が減少しています。
 そのため、当面の間は、これまでのような売上げが見込めないことから、営業時間の短縮や従業員の出勤調整といった事業活動を縮小する対策を講じています。
 また、いつになれば、観光客等が元通りに回復するのかの見通しも立っておらず、今後、売上げが更に減少する可能性もあるため、更なる経費削減等の経営改善を図る必要が生じています。一方で、当社の従業員の雇用や給与を維持するため、急激なコストカットも困難であることから、当社の経営判断として、まずは役員給与の減額を行うことを検討しています。
 しかしながら、法人税の取扱上、年度の中途で役員給与を減額した場合にその損金算入が認められるのは、経営が著しく悪化したことなど、やむを得ず減額せざるを得ない事情(業績悪化改定事由)がある場合に限られると聞いています。
 そこで、当社のような理由による役員給与の減額改定は、業績悪化改定事由による改定に該当するのでしょうか。

〇 貴社が行う役員給与の減額改定について、現状では、売上などの数値的指標が著しく悪化していないとしても、新型コロナウイルス感染症の影響により、人や物の動きが停滞し、貴社が営業を行う地域では観光需要の著しい減少も見受けられるところです。

〇 また、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が防止されない限り、減少した観光客等が回復する見通しも立たないことから、現時点において、貴社の経営環境は著しく悪化しているものと考えられます。

〇 そのため、役員給与の減額等といった経営改善策を講じなければ、客観的な状況から判断して、急激に財務状況が悪化する可能性が高く、今後の経営状況が著しく悪化することが不可避と考えられます。

〇 したがって、貴社のような理由による役員給与の減額改定は、業績悪化改定事由(法人税法34条1項、2項、法人税法施行令69条1項1号ハ、5項2号)による改定に該当します。

〔参考〕

  •  法人税基本通達9−2−13(経営の状況の著しい悪化に類する理由)
  •  役員給与に関するQ&A(平成24年4月改訂版)[Q1−2](業績等の著しい悪化が不可避と認められる場合の役員給与の減額)
問6-3

 定時株主総会の延期に伴う定期同額給与の通常改定時期〔令和2年6月12日追加〕

 3月決算法人である当社は、基準日を3月末日とし、毎年6月下旬に定時株主総会を開催しているため、法人税の確定申告書については、法人税法75条の2第1項の規定を適用することにより、提出期限を1月延長し6月末日までとしています。
 今般、新型コロナウイルス感染症の影響により、決算・監査に関する業務に大きな遅延が生じている状況にあり、通常どおり6月下旬に定時株主総会を開催することが困難なことから、5月下旬に基準日を変更する旨を公告し、定時株主総会の開催時期を8月下旬に延期するとともに、法人税の確定申告書の提出期限についても、法人税法75条の2第9項を適用し、国税通則法11条の規定による期限延長の適用を受ける予定です。
 ところで、当社では、毎年、定時株主総会において、役員報酬の総額及び取締役会にて各役員の定期給与の額(毎月同額)を決定する旨を議決しており、今回の定時株主総会においても同様の議決を行い、その後に開催する取締役会において各役員の定期給与の額の改定を行う予定です。
 ここで、今回の役員給与の改定は、その改定時期が通常の改定時期である3月経過日等後となりますが、改定後の役員給与の額は定期同額給与に該当しないこととなるのでしょうか。

○ ご質問の場合には、「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定時期の要件を満たすこととなります。

○ 役員給与のうち、毎月の給与額の改定(以下「通常改定」といいます。)については、会計期間開始の日から3月(法人税法第75条の2第1項の規定(以下「申告期限の延長特例」といいます。)の適用を受けている場合にはその指定月数に2を加えた月数)を経過する日(以下「3月経過日等」といいます。)までに行うことが要件とされています。
 これに加えて、継続して毎年所定の時期にされる改定に限り、3月経過日等後となることにつき「特別の事情があると認められる場合」には、その通常改定の時期の要件は、その改定の時期とされています(法令691一イ)。

○ ご質問のように、確定申告書の提出期限について申告期限の延長特例を適用せず、国税通則法第11条による期限の延長の規定の適用を受ける場合(法法75の21)には、役員給与の通常改定の時期が3月経過日等後となることにつき「特別の事情があると認められる場合」に該当しない限り、定期同額給与の通常改定の時期の要件を満たさないこととなります。

○ この点、ご質問のような状況により、定時株主総会に合わせて役員給与の通常改定が3月経過日等後に行われる場合には、自己の都合によらない「特別の事情があると認められる場合」に該当し、定期同額給与の通常改定の時期の要件を満たすこととなります。

〔参考〕

  •  法人税法基本通達9−2−12の2(特別の事情があると認められる場合)
  •  経済産業省ホームページの株主総会に関するページにおいて、株主総会の延期等を行う企業向けに、定期同額給与のほか、事前確定届出給与及び業績連動給与の手続きに関する考え方を掲載しています。
    https://www.meti.go.jp/covid-19/kabunushi_sokai.html(外部サイト、別ウィンドウで表示)
問7

法人が交付を受ける助成金等の収益計上時期の取扱い〔令和3年3月26日更新〕

 当社では、新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、国や地方公共団体から助成金等の交付を受けました。この助成金等はいつの事業年度の収益の額として計上する必要がありますか。

○ ご質問の助成金等の収益計上時期については、個別の助成金等の事実関係によって、次のとおり、様々な時期が考えられます。

【基本的な考え方】

○ 法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期は、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条2項、4項)。
 ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の交付が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の交付決定がされた日の属する事業年度の収益として計上することとなります。

基本的なケース

【特定の経費を補填するもの】

〇 ただし、その助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続(※1)をしている場合には、その経費が発生した事業年度中に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費と助成金等の収益が対応するように、その助成金等の収益計上時期はその経費が発生した日の属する事業年度として取り扱うこととしています(法人税基本通達2−1−42)。

※1 必要な手続とは、例えば、休業手当について雇用調整助成金を受けるための事前の休業等計画届の提出などが該当しますが、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされています。その場合の雇用調整助成金の収益計上時期は、原則として、交付決定日の属する事業年度となります。
 ただし、事前の休業等計画届の提出が不要の場合であっても、交付申請を行っており、交付を受けることの確実性が認められ、経費が発生した日の属する事業年度に会計上も収益計上しているときには、税務上もその処理は認められると考えられます。

事前手続きあるケース

【固定資産の取得又は改良に充てるために交付を受ける国庫補助金等に係る圧縮記帳】

○ また、助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその事業年度終了の時までに確定した場合(※2)に限ります。)において、その取得等に充てた助成金等の額に相当する金額(以下「圧縮限度額」といいます。)の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し、又はその圧縮限度額以下の金額をその事業年度の確定した決算において積立金として積み立てる方法等により経理(以下「圧縮記帳」といいます。)したときは、その圧縮記帳をした金額に相当する金額は、その事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとされています(法人税法42条)。
 つまり、助成金等相当額の収益計上に合わせて、助成金等相当額を圧縮記帳により費用計上することができます。

※2 例えば、交付決定日の属する事業年度中に助成金等の確定通知を受けていない場合には、返還を要しないことが事業年度終了の時までに確定していませんので、交付決定日の属する事業年度において圧縮記帳をすることはできません。
 この場合の交付を受ける助成金等は交付決定日の属する事業年度に収益として計上することとなりますが、その交付決定日の属する事業年度において助成金等相当額の特別勘定を設けて費用等として経理する(注)ことにより、確定通知日の属する事業年度まで収益を繰り延べ、確定通知日の属する事業年度において助成金相当額の収益計上と圧縮記帳による費用計上をすることができます。

(注) 交付を受けた助成金等の確定通知を受けた事業年度まで仮受金等として負債の部に経理する場合も同様です。

確定通知が翌期となる場合の圧縮記帳の例

問7-2

 新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金の収益計上時期〔令和3年2月26日追加〕

 当社では、日本政策金融公庫から「新型コロナウイルス感染症特別貸付」による融資を受けることとなったため、併せて、新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度による利子補給金の交付を申請し、その交付を受けました。
 この利子補給金として交付を受けた金額は、その融資に係る利子の3年分に相当する金額です。この交付を受けた金額の全額を、交付決定日の属する事業年度の収益の額として計上しなければなりませんか。

○ ご質問の新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度(以下「特別利子補給制度」といいます。)に係る利子補給金の収益計上時期については、対象となる融資に係る支払利子の発生に合わせて、その発生する支払利子相当額を収益の額として計上することとなります。

○ 法人税の所得金額の計算上、ある収入の収益計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する事業年度となります(法人税法22条)ので、通常の利子補給金の収益計上時期についても、原則として、交付決定日の属する事業年度となります。
 そのため、特別利子補給制度により最長3年分の支払利子相当額の交付を受けた場合には、その全額が交付決定日の属する事業年度の収益として計上しなければならないのかという疑問が生じます。

○ しかしながら、この特別利子補給制度は、日本政策金融公庫等の一定の金融機関から融資を受けることを条件に、その融資により発生する支払利子を、最長3年間、実質的に無利子とすることを目的として交付されるものです。
 そのため、この特別利子補給制度は、融資契約の変更等により利子相当額が変動した場合には、3年経過後に実際に支払った利子相当額により利子補給額が確定することとされています。したがって、特別利子補給制度においては、交付決定日には利子補給額が確定していないことから、利子補給額に係る収入を受ける権利は確定していないと考えられます。
 加えて、3年経過後の実際に支払った利子相当額と利子補給額の精算の手続は金融機関において行うこととされており、法人において実績報告などの手続はありませんので、通常の補助金とは手続き面でも異なる仕組みとなっています。
 このようなことから、この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収益として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収益が確定し、無利子化される性質のものと考えられますので、その支払利子(費用)の発生に応じて、その発生する支払利子と同額の収益を計上することとなります。
 なお、この場合の会計処理については、交付を受けた利子補給金の額を、一旦前受金等として負債の部に計上し、支払利子の費用処理に合わせて、その支払利子相当額を前受金等から利子補給金収入等の収益の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。

特別利子補給の例

問7-3

 民間金融機関による実質無利子・無担保融資により受給した保証料補助に関する収益計上時期の取扱い〔令和3年2月26日追加〕

 当社では、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策の民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度を利用し、信用保証に係る保証料の全額補助を受けることとなりました。
 この制度では、信用保証協会への保証料の支払を国が行うものであるため、当社から信用保証協会へ支払う保証料はありません。
 通常、信用保証に係る保証料については、保証期間分の保証料の額をまとめて信用保証協会に支払い、保証期間に応じて対応する保証料の額を費用として計上していました。この制度の保証料補助については、どのような処理となりますか。

○ ご質問の保証料補助については、特段の処理を行わなくても差し支えありません。

○ 融資を受けた場合に信用保証協会に支払う保証料については、信用保証協会から保証期間における信用の保証という役務提供を受け、その対価として支払うこととなります。また、保証期間分の保証料の額を最初にまとめて支払うのが通常のようです。
 この場合の会計処理は、そのまとめて支払った保証料の額は前払費用として資産の部に計上し、保証期間の経過に応じて、対応する保証料の額を費用の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。

○ ご質問の保証料補助については、信用保証協会に支払う保証料の全額を国が支払うこととなりますので、法人が支払う保証料は生じません。
 そのため、法人において特段の会計処理を行う必要はありません。税務上の取扱いも同様です。

○ なお、この制度では、保証料の半額を補助する場合もあります。この場合には、保証料の額の半分を国が支払い、残額を法人が信用保証協会に支払うこととなります。
 この場合の会計処理は、その支払った保証料の額(半額相当)を前払保証料等として資産の部に計上し、保証期間の経過に応じて、対応する保証料の額を費用の部に振り替えることとなります。税務上の取扱いも同様です。

〔参考〕

所得税に関する取扱い

(各種所得の区分と計算)

問8

個人事業者の事業所得に赤字(損失)が生じた場合の取扱い〔令和2年4月13日追加〕

 私は、居酒屋を営む個人事業主です。新型コロナウイルス感染症に感染したため、完治するまでの間、休業しました。
 この度の休業は、突然のことであったため、食材等を廃棄するとともに、店舗全体を消毒するなどの支出もありました。
 その後、営業を再開しましたが、しばらくの間は客足が戻らず、例年に比べて収入も少ないため、本年の所得は赤字(損失)になる見込みです。

〇 令和2年において事業所得などに生じた赤字(損失)の金額がある方の税制上の取扱いについては、青色申告を行っている事業者と、白色申告を行っている事業者との違いによりそれぞれ、次のとおり取り扱われます。

【青色申告の方】

〇 事業所得などに赤字(損失)の金額がある場合で、他の所得と通算(損益通算)しても、なお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)が生じたときには、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます(純損失の繰越)(所得税法70条1項)。

〇 また、純損失の金額が生じた年の前年(令和元年)も青色申告をしている場合には、その損失の金額の全部又は一部を前年(令和元年)に繰り戻して、前年分(令和元年分)の所得税の還付を受け(純損失の繰戻し)、繰り戻さなかった損失の金額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越すことができます(所得税法70条1項、140条1項)。

〇 純損失の繰戻しの適用を受けるためには、繰戻しを行う純損失が生じた年分(令和2年分)の確定申告書とともに原則として確定申告期限(延長後の期限をいいます。)までに、「純損失の金額の繰戻しによる所得税の還付請求書」を所轄の税務署長に提出する必要があります(所得税法142条1項)。

【白色申告(青色申告以外)の方】

〇 事業所得などに赤字(損失)の金額がある場合で、他の所得と通算(損益通算)しても、なお控除しきれない部分の金額(純損失の金額)のうち、「事業用資産に生じた災害による損失等」については、その損失額を翌年以後3年間(令和3年から令和5年)にわたって繰り越して、各年分の所得金額から控除することができます(所得税法70条2項)。

〇 「事業用資産に生じた災害による損失等」とは、棚卸資産や事業用の固定資産などに生じた災害による損失をいい、その災害に関連するやむを得ない支出で一定のものを含みます(所得税法70条3項、所得税法施行令203条)。

(参考1)事業用資産に生じた災害による損失等の取扱い

  今般の新型コロナウイルス感染症に関連した「事業用資産に生じた災害による損失等」については、次のとおり、取り扱って差し支えありません。

〔災害により生じた損失等(翌年以後に繰り越される損失等)に該当する例〕

  •  飲食業者等の食材(棚卸資産)の廃棄損
  •  感染者が確認されたことにより廃棄処分した器具備品等の除却損
  •  施設や備品などを消毒するために支出した費用
  •  感染発生の防止のため、配備するマスク、消毒液、空気清浄機等の購入費用
  •  イベント等の中止により、廃棄せざるを得なくなった商品等の廃棄損

※ 「災害により生じた損失等」とは、棚卸資産や固定資産に生じた被害(損失)に加え、その被害の拡大・発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための費用が該当します。

〔災害により生じた損失等(翌年以後に繰り越される損失等)に該当しない例〕

  •  客足が減少したことによる売上げ減少額
  •  休業期間中に支払う人件費
  •  イベント等の中止により支払うキャンセル料、会場借上料、備品レンタル料

※ 上記のように、棚卸資産や固定資産に生じた被害の拡大・発生を防止するために直接要した費用とは言えないものについては、「災害により生じた損失等」に該当しません。

(参考2)個人事業者の繰戻還付及び繰越控除の適用の有無について

青色申告
(災害による損失かどうかを問わない)
白色申告
災害損失 災害損失以外
繰戻還付
〔1年繰り越し可〕  (注1)
×
繰越控除
〔3年繰り越し可〕  (注1)

〔3年繰り越し可〕
×
   (注2)

(注1) 青色申告者の繰戻還付(純損失の繰戻し)及び繰越控除(純損失の繰越控除)については、災害損失とそれ以外の損失で取扱いは変わらず、純損失の全額が繰戻還付及び繰越控除の対象となる。また、純損失の金額の全部又は一部を前年分に繰戻し、繰り戻さなかった損失の金額を翌年以後に繰り越すことも可能。

(注2) 変動所得の金額の計算上生じた損失の金額は繰越可能。

問9

 個人に対して国や地方公共団体から助成金が支給された場合の取扱い〔令和3年1月13日更新〕

 新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、国や地方公共団体から個人に対して助成金が支給されることがありますが、こうした助成金は所得税の課税対象となりますか。

〇 国や地方公共団体からの助成金については、個別の助成金の事実関係によって、次のとおり課税関係が異なります。具体例については、問9-2の(参考)をご覧ください。

【非課税となるもの】

〇 次のような助成金(助成金には、商品券などの金銭以外の経済的利益を含みます。以下同じです。)は、非課税となります。

1 助成金の支給の根拠となる法令等の規定により、非課税所得とされるもの

1 その助成金が次に該当するなどして、所得税法の規定により、非課税所得とされるもの

  • ・ 学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
  • ・ 心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)

【課税となるもの】

〇 上記の非課税所得となる助成金以外の助成金については、次のいずれかの所得として所得税の課税対象になります。

1 事業所得等に区分されるもの
 事業に関連して支給される助成金(例えば、事業者の収入が減少したことに対する補償や支払賃金などの必要経費に算入すべき支出の補てんを目的として支給するものなど)

※ 補償金の支給額を含めた1年間の収入から経費を差し引いた収支が赤字となる場合などには、税負担は生じません。また、支払賃金などの必要経費を補てんするものは、支出そのものが必要経費になります。

1 一時所得に区分されるもの
 例えば、事業に関連しない助成金で臨時的に一定の所得水準以下の方に対して一時に支給される助成金

※ 一時所得については、所得金額の計算上、50万円の特別控除が適用されることから、他の一時所得とされる金額との合計額が50万円を超えない限り、課税対象になりません。

1 雑所得に区分されるもの
 上記11に該当しない助成金

※ 一般的な給与所得者については、給与所得以外の所得が20万円以下である場合には、確定申告不要とされています。

※ 国や地方公共団体による主な助成金等の課税関係については、問9-2の(参考)をご確認ください。
 なお、問9-2の(参考)に記載がない助成金等の課税関係については、その助成金等の支給元である国や地方公共団体の窓口にご確認ください。

問9-2

 助成金等の収入計上時期の取扱い〔令和3年6月22日更新〕

 私は個人事業を営んでおり、新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、この事業に関して国や地方公共団体から助成金等の支給を受けました。この助成金等はいつの年分の収入金額として申告する必要がありますか。  

〇 ご質問の助成金等の収入計上時期については、個別の助成金等の事実関係によって、次のとおり、様々な時期が考えられます。具体例については、(参考)1(課税対象となるもの)をご覧ください。

【基本的な考え方】

〇 所得税の所得金額の計算上、ある収入の収入計上時期については、原則として、その収入すべき権利が確定した日の属する年分となります(所得税法36条)。
 ご質問の助成金等については、国や地方公共団体により助成金等の支給が決定された日に、収入すべき権利が確定すると考えられますので、原則として、その助成金等の支給決定がされた日の属する年分の収入金額として計上することとなります。

【特定の支出を補填するもの】

〇 ただし、その助成金等が、経費を補填するために法令の規定等に基づき交付されるものであり、あらかじめその交付を受けるために必要な手続(※)をしている場合には、その経費が発生した年分に助成金等の交付決定がされていないとしても、その経費と助成金等の収入が対応するように、その助成金等の収入計上時期はその経費が発生した日の属する年分(PDF/273KB)として取り扱うこととしています(所得税基本通達36・37共−48)。

※ 必要な手続とは、例えば、休業手当について雇用調整助成金を受けるための事前の休業等計画届の提出などが該当しますが、新型コロナウイルス感染症に伴う特例措置により、事前の休業等計画届の提出は不要とされています。その場合の雇用調整助成金の収入計上時期は、原則として、交付決定日の属する年分(PDF/273KB)となります。
 ただし、事前の休業等計画届の提出が不要の場合であっても、交付申請を行っており、交付を受けることの確実性が認められ、経費が発生した日の属する年分において収入計上しているときには、その処理は認められると考えられます。

【固定資産の取得又は改良に充てるために交付を受ける国庫補助金等に係る総収入金額不算入】

〇 また、助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその年の12月31日までに確定した場合(※1)に限ります。)において、一定の要件を満たすときには、その固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しないこと(総収入金額不算入)とされています(所得税法42条)。
 この場合において、総収入金額に算入しなかった固定資産の取得等に充てられた金額に相当する金額(助成金等相当額)については、その固定資産の取得価額から控除することとされています(※2)。
 つまり、助成金等相当額の総収入金額不算入に合わせて、助成金等相当額を固定資産の取得価額から減額することで、課税の繰延べをすることができます。

※1 例えば、交付決定日の属する年中に助成金等の確定通知を受けていない場合には、返還を要しないことがその年の12月31日までに確定していませんので、交付決定日の属する年分において固定資産の取得価額を減額することはできません。

※2 中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例(租税特別措置法28の2)における取得価額の要件(30万円未満)の判定においても、この控除後の金額によります。

〔参考〕

〔参考〕

(参考)1 新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して国等から支給される主な助成金等の課税関係(例示)

〇非課税対象となるもの

【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業支援金(雇用保険臨時特例法7条)
  • 新型コロナウイルス感染症対応休業給付金(雇用保険臨時特例法7条)
【新型コロナ税特法が非課税の根拠となるもの】
  • 特別定額給付金 (新型コロナ税特法4条1号)
  • 子育て世帯への臨時特別給付金 (新型コロナ税特法4条2号)
【所得税法が非課税の根拠となるもの】
  • 〇学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
  • 学生支援緊急給付金
  • 〇心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金(所得税法9条1項17号)
  • 低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金
  • 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金
  • 新型コロナウイルス感染症対応従事者への慰労金
  • 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業の特例措置における割引券
  • 東京都のベビーシッター利用支援事業の特例措置における助成

※ 民間金融機関による実質無利子・無担保融資制度において、信用保証協会に支払う保証料の全額を国が支払うこととなる場合には、個人が支払う保証料はなく、特段の課税関係は生じません(問7-3参照)。

〇課税対象となるもの

助成金等の種類 収入計上時期
【事業所得等に区分されるもの】
  • 持続化給付金(事業所得者向け)
  • 東京都の感染拡大防止協力金
  • 中小法人・個人事業者のための一時支援金・月次支援金
  • 支給決定時
  • 雇用調整助成金
  • 小学校休業等対応助成金(支援金)
  • 家賃支援給付金
  • 小規模事業者持続化補助金
  • 農林漁業者への経営継続補助金
  • 医療機関・薬局等における感染拡大防止等支援事業における補助金
  • 支給決定時又は経費発生時(※1〜3)
  • 新型コロナウイルス感染症特別利子補給制度に係る利子補給金
  • 経費発生時(※4)
【一時所得に区分されるもの】
  • 持続化給付金(給与所得者向け)
  • 支給決定時
  • Go Toトラベル事業における給付金
  • 旅行終了時(旅行代金割引相当額)
  • クーポン使用時(地域共通クーポン相当額)
  • Go Toイート事業における給付金
  • ポイント・食事券使用時
  • Go Toイベント事業における給付金
  • ポイント・クーポン使用時
【雑所得に区分されるもの】
  • 持続化給付金(雑所得者向け)
  • 支給決定時

※1 「経費発生時」とは、助成金等の支給対象となる経費を支出した時に収入計上するものです。

※2 助成金等による補填を前提としてあらかじめ所定の手続を済ませている場合には、その収入計上時期はその経費が発生した日(経費発生時)の属する年分となります(所得税基本通達36・37共−48)。

※3 これらの助成金等の交付目的に適合した固定資産の取得等をした場合(その助成金等の返還を要しないことがその年の12月31日までに確定した場合に限ります。)において、一定の要件を満たすときには、その固定資産の取得等に充てた部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない(総収入金額不算入)こととされています(所得税法42条)。
(注)いわゆる現金主義(所得税法67条)や措置法差額(租税特別措置法26条)の適用を受ける方なども対象です。

※4 この特別利子補給制度については、事前に最長3年分の利子相当額の交付を受けるものの、交付を受けた時点では収入として確定せず、支払利子の発生に応じてその発生する支払利子相当額の収入が確定し、無利子化される性質のものと考えられることを踏まえた取扱いです(問7-2参照)。

※5 事業所得等の金額の計算においては、「総収入金額」から「必要経費」を差し引くこととされています。各種給付金等の申請手続に際して発生した費用(行政書士に対する報酬料金など)は、この必要経費に該当します。

(参考)2 国等から支給される主な助成金等の課税関係(例示)
(新型コロナウイルス感染症等の影響に関連して給付されるものを除く。)

〇非課税対象となるもの

【支給の根拠となる法律が非課税の根拠となるもの】
  • 雇用保険の失業等給付(雇用保険法12条)
  • 生活保護の保護金品(生活保護法57条)
  • 児童(扶養)手当(児童手当法16条、児童扶養手当法25条)
  • 被災者生活再建支援金(被災者生活再建支援法21条)
【租税特別措置法が非課税の根拠となるもの】
  • 簡素な給付措置(臨時福祉給付金)(措置法41条の81項1号)
  • 子育て世帯臨時特例給付金(措置法41条の81項2号)
  • 年金生活者等支援臨時福祉給付金(措置法41条の81項3号)
【所得税法が非課税の根拠となるもの】
  • 〇学資として支給される金品(所得税法9条1項15号)
  • 東京都認証保育所の保育料助成金
  • 〇国等から支給される子育て給付金(学資として支給される金品を除く。)(所得税法9条1項16号)(※)
  • 企業主導型ベビーシッター利用者支援事業における割引券
  • 東京都のベビーシッター利用支援事業における助成
  • ※ この非課税措置は令和3年度税制改正により創設されました。
     なお、令和3年1月1日前に交付を受けるものについては、課税対象となる場合があります。

〇課税対象となるもの

【事業所得等に区分されるもの】
  • 肉用牛肥育経営安定特別対策事業による補てん金
【一時所得に区分されるもの】
  • すまい給付金
  • 地域振興券
問9-3

 学生に対して大学等から助成金が支給された場合の取扱い〔令和2年5月15日追加〕

 私は、都内の大学に通う学生ですが、新型コロナウイルス感染症の影響による学生支援策として、大学から次の助成金等を受領しました。
 これらの助成金等は、所得税の課税対象となりますか。  

1 学費を賄うために支給された支援金

1 生活費を賄うために支給された支援金

1 感染症に感染した学生に対する見舞金(5万円)

1 遠隔授業を受けるために供与された機械(パソコン等)

〇 ご質問については、それぞれ次のとおりとなります。

1 学費を賄うために支給された支援金
 非課税所得となる「学資金」(所得税法9条1項15号)に該当しますので、所得税の課税対象になりません。ただし、その支援金の使途が特に限定されていないと認められる場合には、下記1と同様の取扱いになります。

1 生活費を賄うために支給された支援金
 一時所得として収入金額に計上していただく必要があります。
 ただし、その年の他の一時所得とされる金額との合計額が50万円を超えない限り、所得税の課税対象にはなりません。

1 感染症に感染した学生に対する見舞金
 非課税所得となる「心身又は資産に加えられた損害について支給を受ける相当の見舞金」(所得税法9条1項17号)に該当しますので、所得税の課税対象になりません。

1 遠隔授業を受けるために供与された機械(パソコン等)
 非課税所得となる「学資金」(所得税法9条1項15号)に該当しますので、所得税の課税対象になりません。

問9-4

 従業員に対して事業者から見舞金が支給された場合の取扱い〔令和2年5月15日追加〕

 私は、介護老人福祉施設を有する法人の代表者です。当社は緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業に該当することもあり、これまで休業することなく事業を継続してきました。
 社会的な使命に応えるためとはいえ、緊急事態宣言中に事業を継続する中で、従業員には新型コロナウイルス感染症の感染リスクといった平常時には感じ得ない相当な不安を抱えながらも懸命に事業に従事していただきました。
 そこで、当社では、社内規程である慶弔基準を改定し、「新型コロナウイルス感染症に対する緊急事態宣言下において介護サービスを実施する従業員については、5万円の見舞金を支給する。」こととし、近日、この基準に従って支給することとしました。
 この見舞金は、非課税所得に該当し、給与等として源泉徴収することは不要ですか。

〇 ご質問の見舞金は、非課税所得に該当しますので、給与等として源泉徴収する必要はありません。

〇 新型コロナウイルス感染症に関連して従業員等が事業者から支給を受ける見舞金が、次の3つの条件を満たす場合には、所得税法上、非課税所得に該当します(所得税法9条1項17号)。

  • 1 その見舞金が心身又は資産に加えられた損害につき支払を受けるものであること【条件1
  • 1 その見舞金の支給額が社会通念上相当であること【条件1
  • 1 その見舞金が役務の対価たる性質を有していないこと【条件1

※ 緊急事態宣言が解除されてから相当期間を経過して支給の決定がされたものについては、そもそも「見舞金」とはいえない場合がありますので、ご留意ください。

【条件1について】

〇 心身に加えられた損害につき支払を受けるものの具体例は、次のとおりです。

  •  従業員等やその親族が新型コロナウイルス感染症に感染したため支払を受けるもの
  •  緊急事態宣言の下において、事業の継続を求められる事業者(注1)の従業員等で次のいずれにも該当する者が支払を受けるもの(注2)
    • ・ 多数の者との接触を余儀なくされる業務など新型コロナウイルス感染症の感染リスクの高い業務に従事している者
    • ・ 緊急事態宣言がされる前と比較して、相当程度心身に負担がかかっていると認められる者

(注1) 事業の継続が求められる事業者に該当するかどうかの判定に当たっては、新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針(令和2年3月28日新型コロナウイルス感染症対策本部決定)を参考にしてください。

(注2) 緊急事態宣言がされた時から解除されるまでの間に業務に従事せざるを得なかったことに基因して支払を受けるものに限ります。

【条件1について】

〇 見舞金の支給額が社会通念上相当であるかどうかは、次の点を踏まえ判断することになります。

  •  その見舞金の支給額が、従業員等ごとに新型コロナウイルス感染症に感染する可能性の程度や感染の事実に応じた金額となっており、そのことが事業者の慶弔規程等において明らかにされているかどうか。
  •  その見舞金の支給額が、慶弔規程等や過去の取扱いに照らして相当と認められるものであるかどうか。

【条件1について】

〇 例えば、次のような見舞金は役務の対価たる性質を有していないものには該当しないことになります。

  •  本来受けるべき給与等の額を減額した上で、それに相当する額を支給するもの
  •  感染の可能性の程度等にかかわらず従業員等に一律に支給するもの
  •  感染の可能性の程度等が同じと認められる従業員等のうち特定の者にのみ支給するもの
  •  支給額が通常の給与等の額の多寡に応じて決定されるもの

〇 ご質問の見舞金について、上記条件1から1までを満たすものと考えられますので、非課税所得に該当し、給与等として源泉徴収する必要はありません。

〔参考〕

問9-5

 《企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱い》〔令和3年5月31日追加〕

 当社では、新型コロナウイルス感染症に関する感染予防対策として、従業員が負担した次のような費用を従業員に支給する予定ですが、このような費用の支給については、従業員に対する給与として課税対象となりますか。
 また、このような費用の支給は法人税の損金の額に算入できますか。

1 マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費

2 従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費

3 感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など

4 PCR検査費用、室内消毒の外部への委託費用など

〔所得税〕

〇 ご質問の費用の支給に係る従業員の所得税の課税関係については、それぞれの費用の事実関係によって、次のとおりとなります。

1マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費】

〇 業務のために通常必要な費用(例えば、勤務時に使用する通常必要なマスク等の消耗品費)について、その費用を精算する方法(従業員からその費用に係る領収証等の提出を受けて、その費用を精算する方法(以下同じです。))により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されません(企業がマスク等を直接配付する場合も同様です。)。

〇 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、勤務とは関係なく使用するマスク等の消耗品費)について支給するものや、従業員の家族など従業員以外の者を対象に支給するもの、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの(例えば、企業が従業員に対して毎月5,000円を渡切りで支給するもの(以下同じです。))は、従業員に対する給与として課税対象となります。

2従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費】

〇 業務のために通常必要な費用(例えば、テレワークを行うための環境整備費用など)について、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されません(備品の所有権を従業員が有するものは除きます。)。
 また、企業が所有する備品を専ら業務に使用する目的で従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税されません。

〇 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、勤務とは関係なく使用する電化製品など)や、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないもの、備品の所有権を従業員が有するもの(貸与ではなく支給するもの)は、従業員に対する給与として課税対象となります。

3感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など】

〇 業務のために通常必要な費用(例えば、職場以外の場所で勤務することを企業が認めている場合のその勤務に係る通常必要な利用料、交通費など)について、その費用を精算する方法又は企業の旅費規程等に基づいて、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されません(企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合も同様です。)。

〇 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用について支給するもの(例えば、従業員が自己の判断によりホテル等に宿泊した場合の利用料など)や、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものは、従業員に対する給与として課税対象となります。

4PCR検査費用、室内消毒の外部への委託費用など】

〇 業務のために通常必要な費用(例えば、企業の業務命令により受けたPCR検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用など)について、その費用を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税されません(企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合も同様です。)。

〇 ただし、業務のために通常必要な費用以外の費用(例えば、従業員が自己の判断により受けたPCR検査費用や、従業員が自己の判断により支出した消毒費用など)や、予め支給した金銭について業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でもその金銭を企業に返還する必要がないものは、従業員に対する給与として課税対象となります。

〔法人税〕

〇 ご質問の費用の支給に係る企業の法人税の課税関係については、原則として、消耗品費、旅費交通費等や給与として損金の額に算入できることとなります。

問9-6

 《ワクチンの職域接種により接種を受けた者の所得税の課税関係》〔令和3年7月2日追加〕

  当社は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの職域接種を実施する予定です。職域接種の実施にあたっては、ワクチン接種事業の実施主体である市町村から委託を受け、接種1回当たり2,070円(税抜き)を基本として市町村から委託料を受領することとなりますが、接種会場の使用料、接種会場の設営費用(備品のリース費用を含みます。)、当社の診療所の産業医以外の医師・看護師等の派遣を受けるための費用など、接種会場の準備のために要する費用(以下「会場準備費用」といいます。)が生じます。
 また、職域接種の対象者は、1当社の事業所において勤務する当社の役員、従業員及びこれらの者と同居する親族でワクチン接種を希望する者(以下「従業員等」といいます。)並びに2関連会社の従業員等のほか、3当社の取引先の従業員等及び4接種会場の近隣住民で希望する者とする予定です。
 この場合、当社が会場準備費用を負担したことにより、ワクチン接種を受けた者に所得税の課税は生じますか。

〇 貴社が負担した職域接種の会場準備費用に関して、貴社の役員及び従業員に対する給与として課税する必要はなく、また、これらの者以外の被接種者についても、所得税の課税対象とはなりません。

〇 新型コロナワクチンの接種については、予防接種法の規定に基づき市町村(特別区を含みます。以下同じです。)において実施するものとされており、被接種者が接種に要する費用を負担することはなく、被接種者において税負担が生ずることもありません。

〇 職域接種は、この市町村において実施するワクチン接種事業について、1市町村から委託を受けた企業等が実施する形態(企業内診療所において実施)又は2市町村から委託を受けた外部の医療機関に企業等が依頼することにより実施する形態(外部の医療機関が企業等に出張して実施するなど)とされています。
 いずれの場合であっても、職域接種が、予防接種法の規定に基づき市町村において実施するものとされている接種であることに変わりはなく、市町村単位で行われている接種と同様、被接種者が負担すべき費用はありませんので、被接種者においてワクチン接種に係る税負担が生ずることはありません。

問9-7

 《ワクチンの職域接種に係る接種会場までの交通費の取扱い》〔令和3年7月2日追加〕

  当社は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの職域接種を東京都内の施設を利用して実施するため、当社の役員及び従業員で接種を受ける者に対しては、勤務先又は自宅から接種会場までの交通費を支給する予定です。この場合、この交通費は非課税としてよいでしょうか。

〇 貴社の役員及び従業員の接種会場までの交通費については、職務命令に基づき出張する場合の「旅費」と同等と考えられますので、接種会場への交通費として相当な額であれば非課税として差し支えありません(所得税法9条1項4号)。

問9-8

 《ワクチンの職域接種に係るデジタルワクチン接種証明書の取得費用の取扱い》〔令和3年7月2日追加〕

  当社は、新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの職域接種の実施を予定していますが、その実施を外部委託業者に委託する予定です。その業務委託内容の一つに、接種を受けた者のうち希望する者に対して有料で、デジタルワクチン接種証明書の交付を受けることができることとされています。
 当社では、今後、海外出張などの際に接種証明書が必要となることから、役員及び従業員についてデジタルワクチン接種証明書の交付を受けることとし、その費用を当社が負担することとしています。このデジタルワクチン接種証明書の取得費用を負担した場合、その取得費用は役員及び従業員に対する給与に該当するでしょうか。

〇 貴社の役員及び従業員がデジタルワクチン接種証明書を受けることが、貴社の業務遂行上必要であると認められる場合には、その費用は貴社の業務遂行上必要な費用であり、役員及び従業員が負担すべき費用には該当しませんので、その取得費用の負担は役員及び従業員に対する給与に該当しません。

問10

 売上げの一部を寄附した場合の必要経費の取扱い〔令和2年5月15日追加〕

 私は、個人で食料品の小売販売をしており、今般、売上げの一部を医療機関に寄附する取組を始めることにしました。この取組については、1指定商品の売上金額の一定割合を寄附金額とすること、1寄附先、1寄附日などをあらかじめ設定し、指定商品を購入するお客様にご理解いただけるよう店内ポスターやホームページなどで広く一般に周知するとともに、寄附をした後には、その旨も同様に周知することとしています。
 この度、予定どおり医療機関に寄附をしましたが、この支出は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできますか。

〇 ご質問については、医療機関に寄附した金額が、事前に広く一般に周知していた取組によるものであることが明らかである場合に限り、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。

〇 所得税法上、必要経費とされるのは、収入金額を得るため直接要した費用と販売費・一般管理費等の所得を生ずべき業務について生じた費用とされています(所得税法37条1項)。

〇 ご質問によれば、商品の販売時において、所定の日に売上金額の一定割合の金額を指定された医療機関に寄附することを店内ポスターなどで広く一般に周知していたとのことですので、あなたが始めた取組は、新型コロナウイルス禍の下で社会的に必要とされる医療機関を支援する目的のほかに、集客を目的とした一種の広告宣伝としての効果を有しているものと認められます。
 また、顧客が指定商品を購入する際には、あなたと顧客との間で、この取組(取引条件)に合意していたものと考えられますので、あなたには、売上の一部から所定の金額を医療機関に寄附する義務が生じていることになります。

〇 したがって、医療機関に寄附をしたことによる支出は事業の遂行上必要なものとして生じたものと考えられますので、その支出は、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することができます。

〇 なお、あらかじめ周知する内容が不明確である場合など、次のような場合には、事業所得の金額の計算上、必要経費に算入することはできませんので、ご留意ください。

  •  周知する内容を”売上げの一部を寄附します”としか示していない場合(寄附金額が不明確)
  •  周知する内容を”医療機関に寄附します”としか示していない場合(寄附先が不明確)
  •  周知内容と異なる内容の寄附を行っている場合(事業の遂行上必要かどうか不明確)

※ 個人事業主が支出した寄附金で、必要経費に算入されないものについては、事業主個人の家事上の経費になります。家事上の経費に該当する寄附の寄附先が国や地方公共団体等の寄附金(税額)控除の対象である場合には、控除の適用を受けることができます。

問11

 日本から出国できない場合の取扱い 〔令和2年10月23日追加〕

 私は、外国法人に転職し、現地で勤務する予定(1年以上)でしたが、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い日本から出国することができず、当分の間、国内の住所地において外国法人の業務に従事(在宅勤務)しています。外国法人から支払われる給与については、源泉徴収がされていませんが、所得税は課されないのでしょうか。
 なお、この外国法人は、国内に事務所等を有していません。

〇 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人は、居住者に該当します(所得税法2条1項3号)。また、居住者が勤務先から受け取る給与、賞与などは給与所得(所得税法28条)に該当し、所得税の課税対象となります。

〇 ご質問について、あなたは、国内に所在する住所地において外国法人の業務に従事しているとのことですので、法令に規定する「国内に住所を有する個人」と認められるため、居住者に該当します。
 したがって、あなたが外国法人から受け取る給与については、(本来の勤務地が国外であるか否かにかかわらず、)給与所得として確定申告書の提出及び納税が必要となります。

※ 日本に事務所等を有しない外国法人があなたに支払う給与については、国内において支払われるものではありませんので源泉徴収の対象とはなりません。

※ 国内で勤務する予定であった個人が国外から日本に入国できずにその国外の住所地において勤務(在宅勤務)している場合には、その個人は、引き続き非居住者となります(問11-2参照)。

※ 確定申告書の提出が必要な方が年の中途で日本から出国をして非居住者となる場合には、その出国までに確定申告を済ますか、その後の税務手続(確定申告など)を行うために納税管理人を定める必要があります(所得税法127条、国税通則法117条)。

問11-2

 海外の関連企業から受け入れる従業員を海外で業務に従事させる場合の取扱い〔令和2年10月23日追加〕

 当社(内国法人)は、海外親会社から従業員を受け入れることとなりましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴う移動制限を踏まえて、この従業員は、海外において当社の業務に従事させています。
 この従業員に対して当社から支払う給与について、源泉徴収は必要でしょうか。

〇 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい(所得税法2条1項3号)、非居住者とは、居住者以外の個人をいいます(所得税法2条1項5号)。

〇 非居住者が日本国内において行う勤務に基因する給与は、国内源泉所得として所得税の課税対象となります(所得税法161条1項12号イ)。また、非居住者に対して国内において国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際に所得税(及び復興特別所得税)の源泉徴収をする必要があります(所得税法212条1項等)。このため、非居住者に対して国外源泉所得の支払をする場合は、源泉徴収の必要はありません。

〇 ご質問について、貴社が海外親会社から受け入れる従業員は、日本国内に住所等を有していないと認められるため、非居住者に該当します。また、非居住者である従業員が海外において行う勤務に基因する給与は、国内源泉所得に該当しませんので所得税の課税対象とならず、貴社がこの従業員に対して支払う給与については、源泉徴収を行う必要はありません。

(参考)役員として受け入れる場合の取扱い
 海外親会社の従業員等を貴社の役員として受け入れる場合には、その取扱いが異なる場合がありますので、ご注意ください。
 具体的には、非居住者である内国法人の役員がその法人から受ける報酬は、その役員が、その内国法人の使用人として常時勤務を行う場合(海外支店の長等として常時その支店に勤務するような場合)を除き、全て国内源泉所得となります(所得税法161条1項12号イ、所得税法施行令285条1項1号)。
 したがって、非居住者である役員に対して支払う報酬については、一定の場合を除き国内源泉所得として所得税の課税対象となり、その支払の際に20.42%の税率により源泉徴収が必要となります(所得税法161条1項12号イ、213条1項1号等)。

※ 国外で勤務することとなった個人が日本から国外に出国できずにその国内の住所地において勤務(在宅勤務)している場合には、その個人は、引き続き居住者となります(問11参照)。

問11-3

 一時出国していた従業員を日本に帰国させない場合の取扱い〔令和2年10月23日追加〕

 当社(内国法人)は、これまで従業員を海外現地法人に派遣(3か月)してきましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴う移動制限を踏まえて、この派遣期間が終了した後も当分の間、従業員を日本に帰国させることなく、引き続き現地において、当社の業務に従事させています。
 この従業員には、当社から給与を支払っていますが、このような場合、派遣期間中に支払った給与に関する源泉徴収の手続と何か変更点はありますか。
 なお、この従業員は、通常は日本国内で家族と暮らしており、帰国後も同様です。

〇 国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人は、居住者に該当します(所得税法2条1項3号)。また、居住者が勤務先から受け取る給与、賞与などは給与所得(所得税法28条)に該当し、所得税の課税対象となります。

〇 ご質問について、この従業員は、現在、一時的に海外に滞在していますが、国内に住所を有していると認められるため、居住者に該当します。
 したがって、貴社が居住者である従業員に対して支払う給与については、これまでと同様に所得税を源泉徴収する必要があります(所得税法183条)。

問11-4

 海外に出向していた従業員を一時帰国させた場合の取扱い〔令和2年10月23日追加〕

 当社(内国法人)は、海外現地法人に従業員を出向(1年以上)させていましたが、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴い、従業員を日本に一時帰国させており、現在、この従業員は、日本で海外現地法人の業務に従事しています。
 この従業員には、出向先である海外現地法人からの給与のほか、現地との給与水準の調整等を踏まえ、当社から留守宅手当を支払っています。
 このような一時帰国者については、租税条約の適用により所得税が課されない場合があると聞きましたが、当社がこの従業員に支払う留守宅手当について源泉徴収は必要でしょうか。また、この従業員は、日本で申告をする必要があるでしょうか。
 なお、給与の支給形態は、帰国後も変更はなく、海外現地法人は、日本国内に支店等を有していません。

〇 居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する個人をいい(所得税法2条1項3号)、非居住者とは、居住者以外の個人をいいます(所得税法2条1項5号)。また、非居住者が日本国内において行う勤務に基因する給与は、国内源泉所得として所得税の課税対象となり(所得税法161条1項12号イ)、非居住者に対して国内において国内源泉所得の支払をする者は、その支払の際に所得税(及び復興特別所得税)の源泉徴収をする必要があります(所得税法212条1項等)。

〇 一方で、所得税法において課税対象となる場合であっても、その給与所得者の居住地国と日本との間に租税条約等があり、非居住者である給与所得者が、その租税条約等において定める要件(以下の【短期滞在者免税の要件】)を満たす場合には、所定の手続を行うことで日本において所得税が免税となります。

 【短期滞在者免税の要件】
 次の3つの要件を満たすこと。

  • 1 滞在期間が課税年度又は継続する12か月を通じて合計183日を超えないこと。
  • 2 報酬を支払う雇用者等は、勤務が行われた締約国の居住者でないこと。
  • 3 給与等の報酬が、役務提供地にある雇用者の支店その他の恒久的施設によって負担されないこと。

※ この要件は一般的なものであり、個々の租税条約等によってその要件が異なりますので、適用される租税条約等を確認する必要があります。

 【内国法人が支払う一時帰国している期間の留守宅手当について】

〇 非居住者である従業員が日本に一時帰国した場合であっても、この従業員は日本国内に住所等を有していないと認められるため、引き続き非居住者に該当します。また、この非居住者である従業員に対して貴社から支払われる一時帰国している期間の留守宅手当については、日本国内において行う勤務に基因する給与と認められるため、国内源泉所得として所得税の課税対象となります。

〇 その上で、貴社から支払われる一時帰国している期間の留守宅手当については、上記【短期滞在者免税の要件】の2の要件を満たしませんので、短期滞在者免税の適用はなく、非居住者に対する給与としてその支払の際に20.42%の税率により源泉徴収が必要となります(所得税法213条1項1号等)。
 なお、この一時帰国している期間の留守宅手当は、源泉徴収のみで課税関係が終了する仕組みとなっています(所得税法164条2項2号)。

 【海外現地法人が支払う給与について】

〇 海外現地法人がこの非居住者である従業員に支払う一時帰国している期間の給与については、日本国内において行う勤務に基因するものと認められるため、国内源泉所得として所得税の課税対象となります。この給与については、国内において支払われるものではありませんので、給与の支払の際の源泉徴収は不要ですが、海外現地法人から国内源泉所得である給与の支払を受けたこの従業員は、その給与について、日本において確定申告書の提出及び納税が必要となります(所得税法172条1項、3項)。
 ただし、この給与が、上記【短期滞在者免税の要件】を満たす場合には、所得税は課されないこととなります。

(所得控除)

問12

 マスク購入費用の医療費控除の適用について〔令和2年10月23日追加〕

 私は、新型コロナウイルス感染症を予防するために、マスクを購入しましたが、この購入費用は、確定申告において医療費控除の対象となりますか。

〇 医療費控除の対象となる医療費は、

  • 1 医師等による診療や治療のために支払った費用
  • 2 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

 などとされています(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。

〇 ご質問のマスクについては、病気の感染予防を目的に着用するものであり、その購入費用はこれら12のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません。

※ 健康維持を目的とするビタミン剤の購入費用など病気の予防のための費用も医療費控除の対象となりません。

問12-2

 PCR検査費用の医療費控除の適用について〔令和2年10月23日追加〕

 私は、先日、新型コロナウイルス感染症のPCR検査を受けましたが、この検査費用は確定申告において医療費控除の対象となりますか。

〇 医療費控除の対象となる医療費は、

  • 1 医師等による診療や治療のために支払った費用
  • 2 治療や療養に必要な医薬品の購入費用

 などとされています(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。

1:医師等の判断によりPCR検査を受けた場合】

〇 新型コロナウイルス感染症にかかっている疑いのある方に対して行うPCR検査など、医師等の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記の費用に該当するため、医療費控除の対象となります

〇 ただし、医療費控除の対象となる金額は、自己負担部分に限りますので、公費負担により行われる部分の金額については、医療費控除の対象とはなりません。

2:上記1以外の場合(自己の判断によりPCR検査を受けた場合)】

〇 単に感染していないことを明らかにする目的で受けるPCR検査など、自己の判断により受けたPCR検査の検査費用は、上記のいずれの費用にも該当しないため、医療費控除の対象となりません

〇 ただし、PCR検査の結果、「陽性」であることが判明し、引き続き治療を行った場合には、その検査は、治療に先立って行われる診察と同様に考えることができますので、その場合の検査費用については、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73−4参照)。

※ 医療費控除の適用を受ける場合は、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付してください。
  医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができます。
 なお、「医療費控除の明細書」の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示又は提出を求める場合があります。

問12-3

 オンライン診療に係る諸費用の医療費控除の適用について〔令和2年10月23日追加〕

 私が通院している医療機関では、新型コロナウイルス感染症の感染防止のため、オンライン診療を導入しています。
 このオンライン診療においては、自宅から医師の治療が受けられるのはもちろん、診療により処方された医薬品については、医療機関から私が希望した薬局に処方箋情報が送付され、その薬局から自宅への配送もできる仕組みとなっています。
 オンライン診療は大変便利ですが、この仕組みを利用するためには、以下のとおり、オンライン診療料に係る費用のほか、システムの利用料の支払が必要となりますが、これらの支出は医療費控除の対象となりますか。
 1 オンライン診療料
 2 オンラインシステム利用料
 3 処方された医薬品の購入費用
 4 処方された医薬品の配送料

〇 ご質問のオンライン診療に係る費用については、それぞれ次のとおりとなります。

1 オンライン診療料
 オンライン診療料のうち、医師等による診療や治療のために支払った費用については、医療費控除の対象となります(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項)。

2 オンラインシステム利用料
 医師等による診療や治療を受けるために支払ったオンラインシステム利用料については、オンライン診療に直接必要な費用に該当しますので、医療費控除の対象となります(所得税基本通達73−3参照)。

3 処方された医薬品の購入費用
 処方された医薬品の購入費用が、治療や療養に必要な医薬品の購入費用に該当する場合は、医療費控除の対象となります(所得税法73条2項、所得税法施行令207条1項2号)。

4 処方された医薬品の配送料
 医薬品の配送料については、治療又は療養に必要な医薬品の購入費用に該当しませんので、医療費控除の対象となりません。

贈与税に関する取扱い

問13

 住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例における取得期限等の延長について〔令和3年2月2日更新〕

 住宅取得等資金の非課税の特例について、次の場合に該当し、期限までに住宅の取得又は居住ができなかった場合でも適用を受けることはできますか。  

1 令和元年に父から住宅資金の贈与を受けて、家屋の棟上げまで工事が終了し、令和2年12月31日までに居住する見込みであるとして、この特例の適用を受けて令和元年分の贈与税の申告を行っているが、新型コロナウイルス感染症の影響により住宅の新築工事の工期が延長され同日までに居住できなかった場合

1 令和2年に母から贈与を受けた住宅資金について特例の適用を受ける予定であり、住宅の新築又は取得に係る契約を締結したが、新型コロナウイルス感染症の影響で工期が延長され、令和3年3月15日までに新築又は取得できない場合

〇 「住宅取得等資金の贈与税の非課税の特例」の適用を受けるためには、取得期限(贈与を受けた年の翌年3月15日)までに住宅取得等資金の全額を充てて住宅用の家屋の新築(いわゆる棟上げまで工事が了している状態を含みます。)又は取得等をし、居住期限(同年12月31日)までにその家屋に居住する必要があります。

〇 ただし、「災害に基因するやむを得ない事情」により、取得期限までに新築等ができなかった場合又は居住期限までに居住ができなかった場合には、それぞれの期限が1年延長され、特例の適用を受けることができます(租税特別措置法70条の2第10項、第11項)。

〇 今般の新型コロナウイルス感染症に関しては、例えば、緊急事態宣言などによる感染拡大防止の取組に伴う工期の見直し、資機材等の調達が困難なことや感染者の発生などにより工事が施行できず工期が延長される場合など、新型コロナウイルス感染症の影響により生じた自己の責めに帰さない事由については、「災害に基因するやむを得ない事情」に該当するものと認められます。

〇 したがって、お尋ねの場合が、上記のやむを得ない事情に該当するときは、

  • 1の場合については、居住期限の延長がされますので、その延長後の期限(令和3年12月31日)までにその家屋に居住すれば、この特例の適用を受けることができます。
  • 2の場合については、取得期限と居住期限が延長されますので、その延長後の取得期限(令和4年3月15日)までにその家屋を新築(注)又は取得し、延長後の居住期限(令和4年12月31日)までにその家屋に居住すれば、この特例の適用を受けることができます。

(注) 上記2のうち新築(請負契約)の場合は、上記のやむを得ない事情に該当しない場合であっても、令和3年3月15日までに家屋の棟上げまで工事が終了しており、かつ令和3年12月31日までにその家屋に居住する見込みであれば、この特例の適用を受けることができます。

〔参考〕

消費税に関する取扱い

問14

 賃料の減額を行った場合の消費税率等の経過措置について〔令和2年5月15日追加〕

 不動産賃貸業を営む当社は、テナント賃料の支払の猶予に応じるなど柔軟な措置の実施を検討いただきたいとの政府の要請もあり、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けているテナント(賃借人)の支援のために、賃料を一定の期間減額することにしました。
 このテナントへの賃貸(資産の貸付け)については、消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けていますが、上記の理由により賃料を減額した場合、引き続き、経過措置が適用されるのでしょうか。

【国土交通省から不動産関連業界への要請の概要】
 新型コロナウイルス感染症等の影響により賃料の支払が困難なテナントに対して、その状況に配慮して支払の猶予や賃料の減免に応じるなど、柔軟な措置の実施を検討いただきたい。

〇 資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置(旧税率8%)の適用を受けている賃料を、31年指定日(平成31年4月1日)以後に変更した場合は、変更後に行われる資産の貸付けには当該経過措置は適用されませんが、当該賃料の変更が「正当な理由に基づくもの」であれば、経過措置が適用されます。

〇 ご質問のように、政府の要請を踏まえて新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために当該賃料を減額することが明らかな場合は、「正当な理由に基づくもの」として取り扱って差し支えありませんので、引き続き、資産の貸付けに係る消費税率等の経過措置が適用されます。

  • ※ 賃料の減額に係る変更契約書や覚書等において、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を減額する旨を明らかにしておいてください。
  • ※ 不動産以外の資産(事務機器等)の貸付けについて、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を一定の期間減額する場合も、同様に取り扱って差し支えありません。
  • ※ 当該政府の要請が行われる前に、賃貸業者が、新型コロナウイルス感染症等の影響を受けた賃借人の支援のために賃料を一定の期間減額した場合も、同様に取り扱って差し支えありません。

〔参考〕

問14-2

 事業者が国や地方公共団体から支給を受ける助成金等の消費税の取扱い〔令和3年2月26日追加〕

 新型コロナウイルス感染症等の影響に伴い、事業者が国や地方公共団体から支給を受ける助成金や給付金については、消費税の課税対象となりますか。

〇 消費税法上、国内において事業者が対価を得て行う「資産の譲渡」や「役務の提供」等に対して消費税を課するとされています(消費税法2条1項8号、4条1項)。

〇 新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、事業者が国や地方公共団体から支給を受ける助成金や給付金については、一般的に、資産の譲渡や役務の提供等を行うことの反対給付として事業者が受けるものではないことから、消費税の課税対象となりません(消費税不課税)。

問14-3

 医療機関が受領するワクチンの接種事業に係る委託料の消費税の取扱い〔令和3年6月22日追加〕

 新型コロナウイルス感染症に係るワクチンの接種事業に関し、市町村と医療機関との間でワクチン接種事業の委託契約を締結し(注)、市町村から医療機関に対し委託料が支払われますが、この場合の委託料は消費税の課税対象となりますか。

(注)新型コロナウイルスワクチンの接種に当たり、住民票所在地以外において接種を受ける機会を確保する観点から、原則として、実施主体(市町村)と実施機関(医療機関)の間で締結されるワクチン接種事業の委託契約については、それぞれをグループ化し、グループ同士で包括的な契約(集合契約)を実施することとされています。

〇 消費税法上、国内において事業者が対価を得て行う「資産の譲渡」や「役務の提供」等に対して消費税を課するとされています(消費税法2条1項8号、4条1項)。

〇 ご質問の委託料については、医療機関が市町村に対して「ワクチンの接種事業」を行うという役務の提供の対価であり、消費税の課税対象となります。

〔参考〕

 その課税期間の基準期間(※1)における課税売上高(※2)が1,000万円を超える(※3)事業者は、消費税の課税事業者となり、消費税の申告及び納付を行う必要があります(消費税法9条、45条)。
 消費税の納付税額は、原則として課税売上げに係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算します。ただし、その課税期間の基準期間における課税売上高が5,000万円以下の場合には、あらかじめ「簡易課税制度」を選択する旨の届出書を所轄税務署長に提出することにより(※4)、実際の課税仕入れ等に係る消費税額を計算せずに、課税売上げに係る消費税額に、一定の「みなし仕入率」(※5)を乗じた金額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなして、納付税額を計算することができます(消費税法37条)。

※1 原則として、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度をいいます。

※2 課税売上高とは、消費税が課税される取引の売上金額(消費税及び地方消費税を除いた税抜金額)と、輸出取引などの免税売上金額の合計額です。返品、値引きや割戻し等に係る金額がある場合には、これらの合計額(消費税及び地方消費税を除いた税抜金額)を控除した残額をいいます。なお、基準期間において免税事業者であった場合には、その基準期間中の課税売上高には消費税が含まれていませんので、基準期間における課税売上高を計算するときには税抜きの処理は行いません。

※3 その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下であっても、特定期間(個人事業者はその年の前年の1月1日から6月30日までの期間をいい、法人の場合は原則として、その事業年度の前事業年度開始の日以後6か月の期間をいいます。)における課税売上高が1,000万円を超える場合には、課税事業者となります(消費税法9条の2)。なお、特定期間における1,000 万円の判定は、課税売上高に代えて、給与等支払額の合計額によることもできます。

※4 適用しようとする課税期間の初日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出する必要があります。

※5 医療機関が市町村に対して委託料を対価として行う「ワクチンの接種事業」や、医療機関が患者に対して行う社会保険医療以外の自由診療は「第五種事業」(みなし仕入率50%)に該当します。

  • タックスアンサ−6501(納税義務の免除)
  • タックスアンサ−6505(簡易課税制度)
  • 租税条約に関する取扱い

    問15

     国際郵便の引受停止等により租税条約に関する届出書が提出できない場合の取扱い〔令和2年5月29日追加〕

     当社(源泉徴収義務者)は、外国法人(非居住者等)へ源泉徴収の対象となる著作権等の使用料を支払う予定です。
     その外国法人は、租税条約による源泉所得税の免除を受けたいとのことですが、その免除を受けるためには、租税条約に関する届出書をその使用料の支払日の前日(期限)までに当社を経由して、税務署に提出する必要があります。
     しかし、今般の新型コロナウイルス感染症の世界的拡大に伴う国際郵便物の引受停止等により、期限までに届出書の提出ができそうにありません。
     このような場合、租税条約による源泉所得税の免除は受けられないのでしょうか。

    〇 原則として、租税条約に関する届出書を期限までに提出できない場合、源泉徴収義務者は、その使用料に係る源泉所得税を法定納期限までに納付する必要があります(所得税法212条1項)。
     なお、後日、租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書を提出することで源泉徴収された所得税の還付を受けることができます(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令2条8項、9項等)。

    〇 ご質問のように、新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに租税条約に関する届出書の原本を提出できない場合には、新型コロナウイルス感染症が沈静化するまでの当面の対応として、源泉徴収義務者が非居住者等からメール等により受領した届出書(その添付書類を含みます。)を出力したものを税務署に提出することとして差し支えありません。

    〇 なお、非居住者等が租税条約に関する届出書の原本の提出をすることができることとなった際には、源泉徴収義務者は遅滞なく届出書の原本の提出を受ける必要がありますが、税務署からその原本の提出を求められるまでの間は、源泉徴収義務者において、その原本を保管しておくこととして差し支えありません。

    ※ この取扱いは、「外国居住者等所得相互免除法に関する届出書」の提出についても同様です。

    問15-2

     租税条約に関する届出書に添付する居住者証明書を取得できない場合の取扱い〔令和2年5月29日追加〕

     当社(源泉徴収義務者)から源泉徴収の対象となる配当の支払を受ける外国法人(非居住者等)が、租税条約による源泉所得税の免除を受けるためには、租税条約に関する届出書に外国の税務当局が発行する居住者証明書を添付する必要があります。
     しかし、新型コロナウイルス感染症の影響により、その外国の税務当局における居住者証明書の発行が遅延しており、届出書の提出期限までに居住者証明書を取得することが困難な状況となっています。
     このような場合、租税条約による源泉所得税の免除は受けられないのでしょうか。

    〇 原則として、租税条約に関する届出書(居住者証明書等の添付書類を含みます。)を期限までに提出できない場合、源泉徴収義務者は、その配当に係る源泉所得税を法定納期限までに納付する必要があります(所得税法212条1項)。
     なお、後日、租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書を提出することで源泉徴収された所得税の還付を受けることができます(租税条約等の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律の施行に関する省令2条8項、9項等)。

    〇 ご質問のように、租税条約に関する届出書に居住者証明書を添付する必要がある場合において、新型コロナウイルス感染症の影響により、外国の税務当局による居住者証明書の発行が遅延している旨の申立てがあり、次のように非居住者等が条約相手国の居住者であることが確認できる場合には、新型コロナウイルス感染症が沈静化するまでの当面の対応として、それぞれ次の方法によることとして差し支えありません。

    1 源泉徴収義務者が非居住者等の居住者証明書の写し(おおむね1年以内に発行されたもの)を保管している場合
     源泉徴収義務者がその写しのコピーを作成し、その届出書に添付して提出する(後日、税務署から直近の居住者証明書等の確認を求められた場合には、その証明書の提出等をする)方法

    1 非居住者等が源泉徴収義務者の関連会社等(注1)であって、その源泉徴収義務者において、その非居住者等が条約相手国の居住者であることが明らかな場合
     その源泉徴収義務者がその届出書の余白部分にその旨を記載(注2)して提出する(後日、居住者証明書の発行を受けた際には、その居住者証明書にその届出書の控え(税務署の収受印の押印のあるもの等)の写しを添付して税務署に提出する)方法

    • (注1) 関連会社等とは、源泉徴収義務者と資本関係や人的関係等を有する者で、その者が条約相手国の居住者であることについてその源泉徴収義務者において判断することができる者をいいます。
    • (注2) 届出書の余白部分には、例えば、「所得者は、支払者の親会社であり、〇〇国の居住者であることが明らかである。居住者証明書の発行が遅延しているため、当該証明書は後日提出する。」と記載してください。
    • ※ この取扱いは、「外国居住者等所得相互免除法に関する届出書」の提出についても同様です。