平成30年2月
国税庁鑑定企画官

国税庁では、清酒製造業の健全な発達に資するために清酒の製造状況等の調査を行っています。調査の結果は清酒の製造管理上の指標として清酒製造業者に利用されています。平成28酒造年度(平成28年7月1日から平成29年6月30日)における清酒の製造状況等については、別表「平成28酒造年度清酒製造状況等」のとおりです。

1 清酒の製造場数

調査場数(蔵置場を含む)1,812場のうち、回答場数は1,709場(回収率94.3%)であり、そのうち平成28酒造年度において清酒を製造した場数は1,212場で、前年度から29場減少しています。
 製造方法別の製造場数は、特定名称清酒においては、純米酒1,036場(前年度1,048場)、純米吟醸酒1,109場(同1,128場)、吟醸酒882場(同901場)、本醸造酒803場(同847場)であり、特定名称清酒以外の清酒は860場(同899場)です。
 これらの全体の製造場に占める割合は、純米酒85.5%(前年度84.4%)、純米吟醸酒91.5%(同90.9%)、吟醸酒72.8%(同72.6%)、本醸造酒66.3%(同68.3%)、特定名称清酒以外の清酒71.0%(同72.4%)となっています。

(注) 特定名称清酒とは、純米酒、純米吟醸酒、吟醸酒及び本醸造酒のことをいいます。

2 清酒の製造数量

平成28酒造年度における清酒の製造数量(アルコール分20度換算数量)は、412,270キロリットル(対前年度比4.9%減)です。そのうち、特定名称清酒の製造数量は、168,314キロリットル(対前年度比3.6%減)となっています。
 特定名称清酒の製造方法別の製造数量を前年度と比較すると、純米酒は対前年度比1.4%減、純米吟醸酒は同3.7%増、吟醸酒は同6.5%減、本醸造酒は同12.4%減です。
 製造方法別の製造数量の推移は表1及び図1のとおりです。

3 原料米の使用数量等

平成28酒造年度における清酒用原料米は、玄米としては241,022トン(対前年度比3.8%減)、白米としては156,110トン(同4.2%減)が使用されています。原料米使用数量の推移は表2及び図2のとおりです。
 平均精米歩合は64.0%(前年度64.6%)で、その推移は表3及び図3のとおりです。

4 原料用アルコールの使用数量

平成28酒造年度の清酒製造に使用された原料用アルコールの数量(アルコール分100度換算数量)は23,432キロリットル(対前年度比5.5%減)で、白米1トン当たりに換算すると150.1リットル(同1.3%減)となります。原料用アルコールの使用数量の推移は表4及び図4のとおりです。

表1 製造方法別製造数量(アルコール分20度換算)の推移
酒造年度 24 25 26 27 28  
区分 前年度比
純米酒 キロリットル1 キロリットル2 キロリットル3 キロリットル4 キロリットル5
(10.7) (11.3) (12.5) (13.4) (13.9)  
47,745 50,647 55,398 58,322 57,491 98.6
純米吟醸酒 (7.0) (7.8) (9.5) (10.9) (11.9)  
31,245 35,020 42,063 47,348 49,103 103.7
吟醸酒 (4.7) (4.9) (5.0) (5.3) (5.2)  
20,745 21,761 22,105 22,984 21,489 93.4
本醸造酒 (11.2) (10.7) (10.8) (10.6) (9.8)  
50,113 47,718 47,558 45,947 40,232 87.6
(特定名称の清酒)
小計
(33.6) (34.8) (37.8) (40.3) (40.8)  
149,848 155,145 167,124 174,601 168,314 96.4
特定名称以外の清酒 (66.4) (65.2) (62.2) (59.7) (59.2)  
295,868 291,290 274,721 259,120 243,955 94.1
合計 (100.0) (100.0) (100.0) (100.0) (100.0)  
445,716 446,435 441,845 433,721 412,270 95.1
(注) 1. ( )書は、構成比(%)です。
2. 集計値の端数処理の関係で、各値の合計が合計値と異なる場合があります。

図1 製造方法別製造数量の推移

図1 製造方法別製造数量の推移

表2 原料米使用数量の推移
酒造年度 24 25 26 27 28  
区分 前年度比
玄米 トン1 トン2 トン3 トン4 トン5
241,160 243,217 248,019 250,537 241,022 96.2
白米 162,127 163,057 163,519 163,005 156,110 95.8

図2 原料米使用数量の推移

図2 原料米使用数量の推移

表3 平均精米歩合の推移
酒造年度 24 25 26 27 28
区分
純米酒
65.3 65.4 65.5 65.5 65.5
純米吟醸酒 51.2 51.3 51.1 50.3 49.7
吟醸酒 50.2 49.9 49.8 49.7 49.4
本醸造酒 65.1 65.0 65.3 65.2 65.3
特定名称以外の清酒 73.8 74.3 73.9 73.8 73.8
全体 66.3 66.2 65.4 64.6 64.0

図3 平均精米歩合の推移の推移

図3 平均精米歩合の推移の推移

表4 原料用アルコールの使用数量(アルコール分100度換算)の推移
酒造年度 24 25 26 27 28  
区分 前年度比
使用数量 キロリットル1 キロリットル2 キロリットル3 キロリットル4 キロリットル5
28,070 27,690 26,201 24,783 23,432 94.5
白米1トン当たり使用数量 リットル1 リットル2 リットル3 リットル4 リットル5
173.1 169.8 160.2 152.0 150.1 98.8

図4 白米1トン当たりの原料用アルコール使用数量の推移

図4 白米1t当たりの原料用アルコールの使用数量の推移

別表

平成28酒造年度清酒製造状況等

区分 製造場数 製成清酒 製成かす 使用原料
実数 平均アルコール分 日本酒度合計 平均日本酒度 実数 アルコール又はしょうちゅう
  純アル数量 (玄米) 白米 (純アル数量) 白米1トンあたり
純米酒 キロリットル1 キロリットル2 千度 トン1 トン2 トン3 キロリットル リットル
1,036 64,177 11,498 17.9 101,709 1.6 8,657 45,848 30,053 - -
純米吟醸酒 1,109 57,079 9,821 17.2 54,448 1.0 9,933 54,063 26,892 - -
吟醸酒 882 22,970 4,298 18.7 81,608 3.6 3,474 19,075 9,422 955 101.3
本醸造酒 803 40,736 8,046 19.8 131,959 3.2 4,853 25,768 16,820 1,857 110.4
特定名称清酒以外の清酒 860 238,452 48,791 20.5 239,186 1.0 15,132 96,268 72,923 20,621 282.8
全体 1,212 423,414 82,454 19.5 608,910 1.4 42,049 241,022 156,110 23,432 150.1

区分 使用原料 各種歩合
糖類 酸類 清酒かす 清酒 精米歩合 かす歩合
ぶどう糖 水あめ 乳酸 こはく酸 くえん酸 りんご酸 実数 純アル数量
純米酒 キログラム1 キログラム2 キログラム3 キログラム4 キログラム5 キログラム6 トン キロリットル1 キロリットル2
- - - - - - - - - 65.5 28.8
純米吟醸酒 - - - - - - - - - 49.7 36.9
吟醸酒 - - - - - - - - - 49.4 36.9
本醸造酒 - - - - - - - - - 65.3 28.9
特定名称清酒以外の清酒 1,159,703 3,187,779 12,965 11,607 2,664 704 16 52 9 73.8 20.7
全体 1,159,703 3,187,779 12,965 11,607 2,664 704 16 52 9 64.0 26.9
(注) 1. 集計値の端数処理の関係で、各値の合計が合計値と異なる場合があります。
2. 純アル数量とは、製成清酒(実数)に含まれるアルコール分(100度換算)の数量をいいます。
3. 日本酒度とは清酒の比重を表す指標です。
4. 「日本酒度合計」は、日本酒度×製成数量(リットル)の累計です。
5. 精米歩合とは、玄米からぬか、胚芽等の表層部を取り去った状態の米の、その玄米に対する重量の割合をいいます。