平成18年2月7日
国税庁

 平成16事務年度(平成16年7月〜平成17年6月)に実施した、酒類の取引状況等実態調査の実施状況は、別添のとおりです。
 当庁としては、この公表を基に、酒類業界における公正な取引環境の整備に向けた自主的な取組を促していくこととしています。


別添

平成18年2月
国税庁

1 調査の目的

 国税庁は、酒類の公正な取引環境を整備するため、平成4事務年度から酒類の取引状況等実態調査を実施し、当庁の「公正な競争による健全な酒類産業の発展のための指針(平成10年4月)」(以下「指針」といいます。)に示された公正なルールに則していない取引が認められた場合には合理的な価格設定を行うよう指導するなどして、公正な取引に向けた酒類業者の自主的な取組を促しています。

(参考) 「指針」に示された公正なルール

(1) 合理的な価格の設定

○ 一般的には酒類の販売価格は、仕入価格(製造原価)、販売費及び一般管理費等の費用に利潤を加えたものとなるはず。 販売価格=仕入価格(製造原価)+販売費・一般管理費+利潤

○ 致酔性等の酒類の特性にかんがみれば、顧客誘引のためのおとり商品として使用されることは弊害が大きい。

(2) 取引先等の公正な取扱い

○ 酒類の販売価格は、流通コストや取引数量、支払方法、支払条件等の取引条件の差異により差があり、その価格の差は、流通コストや支払条件等の差異に基づくべき。流通コスト、支払条件等の差異に基づく合理的な理由がなく取引先を差別することは、公正なルールに基づいているとは言えない。

(3) 公正な取引条件の設定

○ 大きな販売力を持つ者が自己の都合による返品、従業員等の派遣、協賛金や過大なセンターフィー等の負担、多頻度小口配送等の要請を一方的に行う場合には、公正なルールに基づいているとは言えない。

(4) 透明かつ合理的なリベート

○ リベート類には、透明性(支払基準・支払時期等の明確化、取引先への事前開示)及び合理性(支払基準が合理的に説明し得る)が必要である。

2 調査の概要

(1) 調査の概要
 平成16事務年度(平成16年7月〜平成17年6月)においては、約21万場の酒類販売場等のうち、チラシなどの情報から取引に問題があると考えられた酒類販売場等に対する「一般調査」を1,340場、改善を指導した者のうち引き続き改善状況を確認する必要があると考えられた者に対する「フォローアップ調査」を169場、リベートの支出等に係る自社基準の策定状況を確認する「自社基準策定状況等確認調査」を6場、合計1,515場を対象として、酒類の取引状況等実態調査を実施しました。

(注) 調査の実施状況は資料1(PDFファイル/17KB)のとおりです。

(2) 調査結果

イ 一般調査
 チラシなどの情報から取引に問題があると考えられた1,340場に対して一般調査を実施したところ、「指針」のルールに則していない取引が多数認められました。
 取引上の主な問題は、「総販売原価を下回る価格で販売するなど合理的な価格の設定がなされていない」ものであり、1,273場において認められました。
 その他「特定の取引先に対して不透明なリベート類を支払うなど取引先等の公正な取扱いが行われていない」ものが125場、「取引先に現品付取引を強要するなど公正な取引条件の設定がなされていない」ものが5場において認められました。
 これら「指針」のルールに則していない取引を行っていた者に対しては、「指針」を示しその趣旨を説明し、「指針」のルールに則した取引を行うよう改善指導を行いました。

(注) 主な「指針」のルールに則していない事例は資料2(PDFファイル/21KB)のとおりです。

ロ フォローアップ調査
 改善を指導した者のうち、引き続き、改善状況を確認する必要があると考えられた244場に対してフォローアップ調査を実施したところ、部分的な改善を含め97場において改善が認められました。
 部分的な改善が認められた者を含め、依然として「指針」のルールに則していない取引が認められた241場に対しては、再度、指針のルールに則した取引を行うよう指導を行いました。

ハ 自社基準策定状況等確認調査
 主に酒類製造業者及び酒類卸売業者におけるリベートの支出等に係る自社基準の策定状況を確認するため258場に対して自社基準策定状況等確認調査を実施したところ、179場において自社基準が策定されていました。そのうち87場については遵守体制の整備が図られ、61場においては取引先への提示がなされていました。
 自社基準の策定がない79場、遵守体制の整備が図られていない92場、取引先への提示がない26場、合計197場に対しては、その改善に努めるよう指導を行いました。