税の学習コーナー

税の学習コーナー税の作文(中学生・高校生) 平成29年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表

平成29年度 中学生の「税についての作文」各大臣賞・国税庁長官賞受賞者発表

内閣総理大臣賞

【題名】私の使命

【学校名・学年】さいたま市立東浦和中学校3年

【氏名】佐々木 彩佳

 「消費税がなかったら、もっと買い物ができたのにね。平成三十一年から、消費税が十パーセントに上がるんだって。嫌だね。」と、料理をしている母に話しかけていたら、「何を言っているの。彩ちゃんが唯一払っている税金でしょ。ちょっとくらい、社会の役に立つことをしてもいいんじゃない。」と、逆に母に言い返されてしまいました。母だって、「思ったよりも住民税が引かれているのね。」なんて、愚痴を言ったりするのに。
 でも、我が家にとって税金は、「感謝」の一言でしかありません。もし、なかったら…。考えるだけでも恐ろしくなります。
 それは、八年前のことです。私の弟は難病にかかり、救急車で病院に搬送されるとすぐに、CT、MRIなどの検査や手術が行われました。それからというもの、弟は点滴での投薬や放射線治療、再び何回もの手術や移植など、長い闘病生活のスタートとともにあらゆる治療が必要になりました。
 突然の入院でパニックになっていた母に、主治医の先生は優しく、病状や治療の説明と同時に、弟のような難病を抱えた小児のための慢性特定疾病医療給付制度の申請手続きを、すぐにするよう勧めて下さったそうです。弟には高度な最先端の医療が必要でした。しかし、その検査や治療の一つひとつに、数十万から数百万円の費用がかかるのです。可愛い我が子のためには、貯金を全部使ってでも、家を売ってでも、借金をしてでも助けてあげたいと両親は思ったそうです。しかしながら、先の見えない治療費を負担するには、我が家だけではどうにもなりません。
 残念ながら、弟は一年半前に息を引きとりました。しかし、最期まで、悔いなく最善の治療を受け、家族とかけがえのない日々を過ごせたのは、紛れもなく税金からなるこのような給付制度があったからに他なりません。
 母は、役所の窓口で医療費の負担を軽減するためのこの申請手続きをする度に、我が子のために皆が一生懸命働いて納めてくれた税金を使わせていただくことへの感謝の気持ちと、申し訳ない気持ちでいっぱいになったそうです。私は、病院で病魔と闘いながらも笑顔を忘れない子供達の顔を今も鮮明に覚えています。難病を抱えた子供達が高額な費用のために治療に専念できなかったり、その家族が崩壊するようなことは決してあってはなりません。その反面、病気の当事者もその家族もそれに甘えるだけでなく、病気と真摯に向き合い、諦めずに闘うことが必要不可欠です。
 今の私には、何が出来るでしょうか。おそらく多くの方々が、税金を納めることは支出となり、マイナスのイメージを持っていることでしょう。しかし、素晴らしい恩恵を受けた私達家族のような人間が、税金が心も身体も救う、プラスになる、ということをイメージではなく、事実として根気強く伝え続けていくことが使命だと思います。

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総務大臣賞

【題名】お金よりも大切なこと

【学校名・学年】栃木市立栃木東中学校2年

【氏名】池嶋 俊平

 「おい、大丈夫か。」友人が駆け寄ってくる姿が見える。大丈夫だったらこんなに痛くないだろう、と思いながらも「大丈夫だよ。」と言った。しかし、全く痛みが引かない。仕方なく母に迎えに来てもらい、病院に行った。
 診断の結果、骨折だった。部活動を早退し病院に着いた後、すぐにレントゲンを撮ってもらった。腕はギプスでがっちり固定され、包帯で何重にも巻かれた。少しオーバーではないか、と母に言ったところ、母は「まあ、あと一年だから。今、サービスを受けといたほうがいいよ。」と言った。
 僕が住む栃木市には「こども医療費助成制度」といったものがある。これは子育て支援の一環で、栃木市に住民登録をしている中学三年生までの子供の医療費を、市が全額負担してくれるものだ。この制度によって、お金のことを気にせずに病院を受診することが出来る。しかし、これは義務教育終了、つまり中学三年生までの期間限定だ。だから、母はあんなことを言ったのだろうか。
 しかし、僕は母の考えに疑問を抱いた。お金がかからないから、病院を受診するのだろうか。それでは助成制度の本来の目的に反するのではないか、そう考えた。この制度が成り立っているのは、皆が払っている税金のおかげである。栃木市民全員が平等に税金を払っているが為に、僕ら子供達に恩恵があるのだ。しかし、中には税金を払いたくない人だっているのだろう。払うことすらままならない生活をしている人だっているのだろう。それでも、払いたくない気持ちを抑えて、苦労して払ってくれている。それなのに、大した病気や怪我ではないのに、病院を受診していないだろうか。今のうちに、などと言って必要以上に薬などを処方してもらっていないだろうか。自分の中にも少しだけ、タダだからいいや、と思っている自分がいたことは否めない。自分の考えの甘さを痛感した。
 母に頼んで、骨折したときの医療明細書を見せてもらった。決して安いとは言えない金額である。僕に対してこんなにも多くの税金をかけてもらっている。初めて、税金と僕とのつながりを感じた瞬間だった。
 僕達の医療費は無料なのか。それは違うだろう。市民全員が払う税金分の費用がかかっている。その巨額の税金が、僕達の生活を支えているのだ。僕達は常にそのことを心に留めておかねばならない。
 僕達のすぐそばに税金は存在する。「税金から出ているから」とか、「税金で払ってほしい」などの税金を軽んじるような考えは持つべきではない。税金から出ているから、無料だからこそ、税金の大切さをもう一度認識し、将来税金を払うことがあったときに、しっかりと、税金が納められる大人になりたい。

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財務大臣賞

【題名】「祖父の遺言」

【学校名・学年】福岡市立香椎第2中学校3年

【氏名】住本 雅英

 「おじいちゃんの遺言?」
 私は、母の口から出た言葉に驚き思わず聞き返した。
 私の家は祖父の代から建設業を営んでいる。私の母は私が生まれた年に祖父の後をついで、いつも忙しそうにしている。今年受験生の私は、自分の将来について色々と考えることが多くなり、母に会社を経営するのに一番大切なことは何か?と軽い気持ちで聞いた。すると母は、
 「おじいちゃんの遺言やね。」
と言い祖父の残してくれた言葉を話してくれた。
 祖父は入院していた病室に母を呼んでこう言ったそうだ。
 「経営者として一番大切な事は納税する事。利益を出して納税する。これを守れば会社は強くなる。納税するためには利益を出さなければいけない。つまり、納税を目標にすれば会社も黒字になる。そして経営者として、利益の一部を税金として納める事が一番の社会貢献だと信じてやってきた。すべての人にすべての物に分配される税金。これ以上平等なものはない。そのことを忘れないで必ず守ってほしい」
 それから一月後祖父は亡くなった。母は、それからずっと祖父の言葉が支えになって、仕事に励んでいる。
 私はその話を聞いて、税金というのは取られたり、納めさせられたりするものだから嫌だという人もいるが、自分から納めるものという意識を持つことが一番大切な事だとわかった。そして、すべての人が少しの額でもいいから、いつも納税を心掛けたとしたら、日本は今以上に社会保障や教育などが行き届いたすばらしい国になると思った。
 私が五歳の時に亡くなった祖父はいつも優しかったが、母にだけはとても厳しかった事を覚えている。でもそれは立派な経営者になってほしいという母への深い愛情だったと思う。そう考えたとき、納税という意識も、自分の国への深い愛情なのではないかと感じた。生まれてから成人するまでは教育費の恩恵を受け、働くようになったら全員で一生懸命に納税し、老後にはまた充実した医療を少ない負担で受ける事が出来る。この税金の恩恵・納税・恩恵のサイクルの素晴らしさを、多くの人が祖父と同じ様に思える為に、これからは私がこの遺言を伝えて行きたいと思う。
 これからの私に必要な事は、税金の仕組みについて勉強し理解を深める事だ。納税した大切なお金が無駄なく、納得いく使われ方をしたのか疑問を持ったり、意見が言える高校生になりたいと思う。

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文部科学大臣賞

【題名】税で恩返し

【学校名・学年】埼玉大学教育学部附属中学校3年

【氏名】須賀 ありさ

 「なんて立派な空港なんだろう。」
 私は目の前に広がる場所が本当に新興国のマレーシアにあるとは信じられなかった。クアラルンプール国際空港。日本による多額の円借款、日本人建築家による設計で、日本の建設会社によって造られたというマレーシアの玄関口だ。今や世界の良い空港ランキングベストテンに評価され、私に日本よりも進んだ国に降りたかのような錯覚さえ起こさせた。
 昨夏、私は国際協力機構の研修でマレーシアに派遣された。この研修は次世代を担う中高生を国際協力とは何か、その重要性を伝えるメッセンジャーにするための事業だ。私は現地で学校やゴミ処理施設など様々な場所を訪れた。中でも一番驚いたのはマレーシア日本国際工科院という大学だった。二〇〇一年十一月、ASEAN+三首脳会談による政府間協定を基にあるプロジェクトが始まった。それは、日本の勤労文化というハイテクを学べというルック・イースト政策の集大成として、それまで日本に留学していた学生を留学させずに同様のことをマレーシア国内で実践するというものだった。その取り組みにも日本は多くの資金協力をしていたのだ。私が支払った消費税、父が納めた所得税、私達日本国民が納めた大切な税金が、どうして海を越えて異国の空港建設や学生を育成するために使われているのか大きな疑問がわいた。
 そこで、私は日本が多額の援助をしている理由を調べてみた。世界には二百六の国と地域があるが、先進国はその中の二十三カ国だけだ。もし地球に暮らす人が百人だとしたら開発途上国に暮らす人は八十二人もいることになる。それらの人々が暮らす国は衛生事情の悪化による感染症の蔓延や環境汚染、貧困や紛争といった様々な問題を抱えている。こうした問題は世界規模に発展する可能性があり、日本も援助をしていかなければ影響を受けてしまうのだ。事実、日本は生活や産業に欠かせないエネルギーは八割、食料も穀物や肉類、果実など多くを海外からの輸入に頼っている。グローバル化が進んだ今日において世界各国は相互に依存しているのだ。
 また、日本は戦後復興するにあたり国際社会から支援を受けてきた。日本の経済基盤は世界銀行からの支援でつくられたものだ。現在の日本の繁栄は国際社会の支援がなければありえなかったといえる。したがって、先進国となった日本がこれまで受けてきた恩を税金を使って開発途上国を支援して返していくことは、とても大切な役割の一つなのだった。
 海外研修に際し、すべての費用を国の税金で行かせていただいた。そのおかげで、貴重な経験を重ね、国際協力に通じる新たな税金の使われ方を見て学べたことを私は心からありがたく感謝している。今、世界に目標として掲げられている持続可能な社会の実現のためにも、将来きちんと納税できる大人になりたいと強く思っている。

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