(「事業者」の範囲)

3-1 法第74条の7の2及び法第74条の12第1項に規定する「事業者」とは、商業、工業、金融業、鉱業、農業、水産業等のあらゆる事業を行う者をいい、その行う事業についての営利・非営利の別は問わないことに留意する。

(「特別の法律により設立された法人」の範囲)

3-2 法第74条の7の2第1項及び法第74条の12第1項に規定する「特別の法律により設立された法人」とは、会社法や民法などの一般的な根拠法に基づく法人でなく、特別の単独法によって法人格を与えられた法人をいう。

(「特定取引者の範囲を定め」の意義)

3-3 法第74条の7の2第1項に規定する「特定取引者の範囲を定め」とは、報告の求めの相手方である特定事業者等が報告の対象となる特定取引者の範囲を合理的に特定することができるよう、国税局長が対象となる取引内容や取引金額を具体的に指定することをいう。

(「特定事業者等」による「報告」の方法)

3-4 法第74条の7の2第1項に規定する「特定事業者等」による「報告」の方法については、特定事業者等の顧客等の情報管理方法などを踏まえ、書面による提出のほか、電子媒体による提出など特定事業者等にとって合理的な方法によることができることに留意する。

(法第74条の7の2第1項の規定による処分の意義)

3-5 法第74条の7の2第1項の規定による処分は、法第75条第1項第1号に掲げる処分に該当し、同号に定める不服申立ての対象となることに留意する。

(「特定取引と同種の取引」の意義)

3-6 法第74条の7の2第2項第1号に規定する「特定取引と同種の取引」とは、例えば、介在する事業者や物件等が異なっていても物件等の性質や取引内容などに共通の特徴があるものをいう。

(「課税標準」の意義)

3-7 法第74条の7の2第2項各号に規定する「課税標準」とは、各税法に規定する課税標準をいうが、相続税及び贈与税については、相続税法第11条の2((相続税の課税価格))、第21条の2((贈与税の課税価格))及び第21条の10((相続時精算課税に係る贈与税の課税価格))に規定する「課税価格」をいうことに留意する。

(「課税標準等又は税額等について国税に関する法律の規定に違反する事実を生じさせることが推測される場合」の意義)

3-8 法第74条の7の2第2項第2号及び第3号に規定する「課税標準等又は税額等について国税に関する法律の規定に違反する事実」とは、納税義務のある者が納税申告書を提出しないことや納税申告書に記載した納付すべき税額に不足額があることなどをいう。
 なお、当該事実を生じさせることが推測される場合とは、実際に違反している事実が生じていることを要しないことに留意する。

(「特定事業者等の住所又は居所の所在地」の範囲)

3-9 法第74条の7の2第3項第1号に規定する「特定事業者等の住所又は居所の所在地」には、法人の本店又は主たる事務所の所在地のほか、支店等の住所も含む。

(「特定取引」の範囲)

3-10 法第74条の7の2第3項第2号に規定する「電子情報処理組織を使用して行われる事業者等……との取引、事業者等が電子情報処理組織を使用して提供する場を利用して行われる取引その他の取引」とは、事業者等とその相手方との間の契約に基づく金品の授受や役務の提供などの取引全般を指し、有償の取引であるかどうかは問わず、補助金や給付金等の交付のほか事業者等を介して行われる取引も含まれる。
 また、当該取引には、電子情報処理組織を使用しない取引も含まれる。

(「これらの取引を行う者を特定することが困難である取引」の意義)

3-11 法第74条の7の2第3項第2号に規定する「第1項の規定による処分によらなければこれらの取引を行う者を特定することが困難である取引」とは、国税当局が保有する他の情報収集手段(例えば法定調書、法第74条の12第1項の規定に基づく事業者等への協力要請など)では取引を行う者を特定することが困難な取引をいう。

(「特定事項」の範囲)

3-12 法第74条の7の2第3項第4号に規定する「特定事項」については、「氏名」、「住所又は居所」及び「番号」と定められているが、特定事業者等が「特定事項」の一部を保有していない場合には、保有している情報のみが報告の対象となることに留意する。