第3節 調査の終了の際の手続に関する事項

(法第74条の11第1項又は第2項の規定の適用範囲)

6-1 法第74条の11第1項又は同条第2項の規定は、再調査決定や申請等の審査のために行う調査など更正決定等を目的としない調査には適用されないことに留意する。

(「更正決定等」の範囲)

6-2 法第74条の11に規定する「更正決定等」には、法第24条《更正》若しくは法第26条《再更正》の規定による更正若しくは法第25条《決定》の規定による決定又は法第32条《賦課決定》の規定による賦課決定(過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税及び過怠税の賦課決定を含む。)のほか、源泉徴収等による国税でその法定納期限までに納付されなかったものに係る法第36条《納税の告知》に規定する納税の告知が含まれることに留意する。

(「更正決定等をすべきと認めた額」の意義)

6-3 法第74条の11第2項に規定する「更正決定等をすべきと認めた額」とは、当該職員が調査結果の内容の説明をする時点において得ている情報に基づいて合理的に算定した課税標準等、税額等、加算税又は過怠税の額をいう。

(注) 課税標準等、税額等、加算税又は過怠税の額の合理的な算定とは、例えば、次のようなことをいう。

  • イ 法人税の所得の金額の計算上当該事業年度の直前の事業年度分の事業税の額を損金の額に算入する場合において、課税標準等、税額等、加算税又は過怠税の額を標準税率により算出すること。
  • ロ 相続税において未分割の相続財産等がある場合において、課税標準等、税額等、加算税又は過怠税の額を相続税法第55条《未分割遺産に対する課税》の規定に基づき計算し、算出すること。

(調査結果の内容の説明後の調査の再開及び再度の説明)

6-4 国税に関する調査の結果、法第74条の11第2項の規定に基づき調査結果の内容の説明を行った後、当該調査について納税義務者から当該説明に基づく修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは源泉徴収等による国税の納付がなされるまでの間又は当該説明に基づく更正決定等を行うまでの間において、当該説明の前提となった事実が異なることが明らかとなり当該説明の根拠が失われた場合など当該職員が当該説明に係る内容の全部又は一部を修正する必要があると認めた場合には、必要に応じ調査を再開した上で、その結果に基づき、再度、調査結果の内容の説明を行うことができることに留意する。

(調査の終了の際の手続に係る書面の交付手続)

6-5 法第74条の11の規定による書面の交付に係る手続については、法第12条第4項《書類の送達》及び規則第1条第1項《交付送達の手続》の各規定の適用があることに留意する。

(法第74条の11第5項の規定の適用)

6-6 更正決定等を目的とする調査の結果、法第74条の11第1項の通知を行った後、又は同条第2項の調査(実地の調査に限る。)の結果につき納税義務者から修正申告書若しくは期限後申告書の提出若しくは源泉徴収等による国税の納付がなされた後若しくは更正決定等を行った後において、新たに得られた情報に照らして非違があると認めるときは、当該職員は当該調査(以下、6-6において「前回の調査」という。)の対象となった納税義務者に対し、前回の調査に係る納税義務に関して、再び質問検査等(以下、第4章第3節において「再調査」という。)を行うことができることに留意する。

(注) 1 情報の要否に関する制限は、前回の調査が実地の調査の場合に限られるため、前回の調査が実地の調査以外の調査である場合、法第74条の11第5項に規定する「新たに得られた情報」がなくても、法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定により、調査について必要があるときは、再調査を行うことができることに留意する。
2 前回の調査は、更正決定等を目的とする調査であることから、前回の調査には、6-1に定めるように再調査決定又は申請等の審査のために行う調査は含まれないことに留意する。
3 4-1(4)の取扱いによる場合には、例えば、同一の納税義務者に対し、移転価格調査を行った後に移転価格調査以外の部分の調査を行うときは、両方の調査が同一の納税義務に関するものであっても、移転価格調査以外の部分の調査は再調査には当たらないことに留意する。

(「新たに得られた情報」の意義)

6-7 法第74条の11第5項に規定する「新たに得られた情報」とは、同条第1項の通知又は同条第2項の説明(6-4の「再度の説明」を含む。)に係る国税の調査(実地の調査に限る。)において質問検査等を行った当該職員が、当該通知又は当該説明を行った時点において有していた情報以外の情報をいう。

(注) 調査担当者が調査の終了前に変更となった場合は、変更の前後のいずれかの調査担当者が有していた情報以外の情報をいう。

(「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」の範囲)

6-8 法第74条の11第5項に規定する「新たに得られた情報に照らし非違があると認めるとき」には、新たに得られた情報から非違があると直接的に認められる場合のみならず、新たに得られた情報が直接的に非違に結びつかない場合であっても、新たに得られた情報とそれ以外の情報とを総合勘案した結果として非違があると合理的に推認される場合も含まれることに留意する。

(事前通知事項以外の事項について調査を行う場合の法第74条の11第5項の規定の適用)

6-9 法第74条の9第4項の規定により事前通知した税目及び課税期間以外の税目及び課税期間について質問検査等を行おうとする場合において、当該質問検査等が再調査に当たるときは、法第74条の11第5項の規定により、新たに得られた情報に照らし非違があると認められることが必要であることに留意する。