5-1 法第74条の9又は法第74条の10の規定が適用される調査には、更正決定等を目的とする調査のほか、再調査決定や申請等の審査のために行う調査も含まれることに留意する。
5-2 申請等の審査のため実地の調査を行う場合において、納税義務者に通知する事項である法第74条の9第1項第5号に掲げる「調査の対象となる期間」は、当該申請書等の提出年月日(提出年月日の記載がない場合は、受理年月日)となることに留意する。
5-3 実地の調査を行う場合において、納税義務者に通知する事項である法第74条の9第1項第6号に掲げる「調査の対象となる帳簿書類その他の物件」は、帳簿書類その他の物件が国税に関する法令の規定により備付け又は保存をしなければならないこととされている場合には、当該帳簿書類その他の物件の名称に併せて根拠となる法令を示すものとし、国税に関する法令の規定により備付け又は保存をすることとされていない場合には、帳簿書類その他の物件の一般的な名称又は内容を例示するものとする。
5-4 法第74条の2から法第74条の6までの各条に規定する「帳簿書類その他の物件」には、国税に関する法令の規定により備付け、記帳又は保存をしなければならないこととされている帳簿書類のほか、各条に規定する国税に関する調査又は法第74条の3に規定する徴収の目的を達成するために必要と認められる帳簿書類その他の物件も含まれることに留意する。
(注) 「帳簿書類その他の物件」には、国外において保存するものも含まれることに留意する。
5-5 事前通知した課税期間の調査について必要があるときは、事前通知した当該課税期間以外の課税期間(進行年分を含む。)に係る帳簿書類その他の物件も質問検査等の対象となることに留意する。
(注) 例えば、事前通知した課税期間の調査のために、その課税期間より前又は後の課税期間における経理処理を確認する必要があるときは、法第74条の9第4項によることなく必要な範囲で当該確認する必要がある課税期間の帳簿書類その他の物件の質問検査等を行うことは可能であることに留意する。
5-6 法第74条の9第2項の規定の適用に当たり、調査を開始する日時又は調査を行う場所の変更を求める理由が合理的であるか否かは、個々の事案における事実関係に即して、当該納税義務者の私的利益と実地の調査の適正かつ円滑な実施の必要性という行政目的とを比較衡量の上判断するが、例えば、納税義務者等(税務代理人を含む。以下、5-6において同じ。)の病気・怪我等による一時的な入院や親族の葬儀等の一身上のやむを得ない事情、納税義務者等の業務上やむを得ない事情がある場合は、合理的な理由があるものとして取り扱うことに留意する。
(注) 法第74条の9第2項の規定による協議の結果、法第74条の9第1項第1号又は同項第2号に掲げる事項を変更することとなった場合には、当該変更を納税義務者に通知するほか、当該納税義務者に税務代理人がある場合には、当該税務代理人にも通知するものとする。ただし、法第74条の9第6項の規定により同条第1項の規定による通知を代表する税務代理人に対して行った場合には、当該変更は当該代表する税務代理人に通知すれば足りることに留意する。
なお、法第74条の9第5項の規定により同条第1項の規定による納税義務者への通知を税務代理人に対して行った場合には、当該変更は当該税務代理人に通知すれば足りることに留意する。
5-7 法第74条の10に規定する「その営む事業内容に関する情報」には、事業の規模又は取引内容若しくは決済手段などの具体的な営業形態も含まれるが、単に不特定多数の取引先との間において現金決済による取引をしているということのみをもって事前通知を要しない場合に該当するとはいえないことに留意する。
5-8 法第74条の10に規定する「違法又は不当な行為」には、事前通知をすることにより、事前通知前に行った違法又は不当な行為の発見を困難にする目的で、事前通知後は、このような行為を行わず、又は、適法な状態を作出することにより、結果として、事前通知後に、違法又は不当な行為を行ったと評価される状態を生じさせる行為が含まれることに留意する。
5-9 法第74条の10に規定する「違法又は不当な行為を容易にし、正確な課税標準等又は税額等の把握を困難にするおそれ」があると認める場合とは、例えば、次の(1)から(5)までに掲げるような場合をいう。
5-10 法第74条の10に規定する「その他国税に関する調査の適正な遂行に支障を及ぼすおそれ」があると認める場合とは、例えば、次の(1)から(3)までに掲げるような場合をいう。