(「調査」の意義)

1-1

  1. (1) 法第7章の2において、「調査」とは、国税(法第74条の2から法第74条の6までに掲げる税目に限る。)に関する法律の規定に基づき、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的その他国税に関する法律に基づく処分を行う目的で当該職員が行う一連の行為(証拠資料の収集、要件事実の認定、法令の解釈適用など)をいう。
    (注) 法第74条の3に規定する相続税・贈与税の徴収のために行う一連の行為は含まれない。
  2. (2) 上記(1)に掲げる調査には、更正決定等を目的とする一連の行為のほか、再調査決定や申請等の審査のために行う一連の行為も含まれることに留意する。
  3. (3) 上記(1)に掲げる調査のうち、次のイ又はロに掲げるもののように、一連の行為のうちに納税義務者に対して質問検査等を行うことがないものについては、法第74条の9から法第74条の11までの各条の規定は適用されないことに留意する。
    • イ 更正の請求に対して部内の処理のみで請求どおりに更正を行う場合の一連の行為。
    • ロ 修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収等による国税(法第2条第2号に規定する源泉徴収等による国税をいう。以下同じ。)の納付があった場合において、部内の処理のみで更正若しくは決定又は納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないものとして過少申告加算税、無申告加算税又は不納付加算税の賦課決定を行うときの一連の行為。

(「調査」に該当しない行為)

1-2 当該職員が行う行為であって、次に掲げる行為のように、特定の納税義務者の課税標準等又は税額等を認定する目的で行う行為に至らないものは、調査には該当しないことに留意する。また、これらの行為のみに起因して修正申告書若しくは期限後申告書の提出又は源泉徴収等による国税の自主納付があった場合には、当該修正申告書等の提出等は更正若しくは決定又は納税の告知があるべきことを予知してなされたものには当たらないことに留意する。

  1. (1) 提出された納税申告書の自発的な見直しを要請する行為で、次に掲げるもの。
    • イ 提出された納税申告書に法令により添付すべきものとされている書類が添付されていない場合において、納税義務者に対して当該書類の自発的な提出を要請する行為。
    • ロ 当該職員が保有している情報又は提出された納税申告書の検算その他の形式的な審査の結果に照らして、提出された納税申告書に計算誤り、転記誤り又は記載漏れ等があるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して自発的な見直しを要請した上で、必要に応じて修正申告書又は更正の請求書の自発的な提出を要請する行為。
  2. (2) 提出された納税申告書の記載事項の審査の結果に照らして、当該記載事項につき税法の適用誤りがあるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して、適用誤りの有無を確認するために必要な基礎的情報の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて修正申告書又は更正の請求書の自発的な提出を要請する行為。
  3. (3) 納税申告書の提出がないため納税申告書の提出義務の有無を確認する必要がある場合において、当該義務があるのではないかと思料される者に対して、当該義務の有無を確認するために必要な基礎的情報(事業活動の有無等)の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて納税申告書の自発的な提出を要請する行為。
  4. (4) 当該職員が保有している情報又は提出された所得税徴収高計算書の記載事項の確認の結果に照らして、源泉徴収税額の納税額に過不足徴収額があるのではないかと思料される場合において、納税義務者に対して源泉徴収税額の自主納付等を要請する行為。
  5. (5) 源泉徴収に係る所得税に関して源泉徴収義務の有無を確認する必要がある場合において、当該義務があるのではないかと思料される者に対して、当該義務の有無を確認するために必要な基礎的情報(源泉徴収の対象となる所得の支払の有無)の自発的な提供を要請した上で、必要に応じて源泉徴収税額の自主納付を要請する行為。

(「当該職員」の意義)

1-3 法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定により質問検査等を行うことができる「当該職員」とは、国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の職員のうち、その調査を行う国税に関する事務に従事している者をいう。

(質問検査等の相手方となる者の範囲)

1-4 法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定による当該職員の質問検査権は、それぞれ各条に規定する者のほか、調査のために必要がある場合には、これらの者の代理人、使用人その他の従業者についても及ぶことに留意する。

(質問検査等の対象となる「帳簿書類その他の物件」の範囲)

1-5 法第74条の2から法第74条の6までの各条に規定する「帳簿書類その他の物件」には、国税に関する法令の規定により備付け、記帳又は保存をしなければならないこととされている帳簿書類のほか、各条に規定する国税に関する調査又は法第74条の3に規定する徴収の目的を達成するために必要と認められる帳簿書類その他の物件も含まれることに留意する。

(注) 「帳簿書類その他の物件」には、国外において保存するものも含まれることに留意する。

(「物件の提示又は提出」の意義)

1-6 法第74条の2から法第74条の6までの各条の規定において、「物件の提示」とは、当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該物件(その写しを含む。)の内容を当該職員が確認し得る状態にして示すことを、「物件の提出」とは、当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該職員に当該物件(その写しを含む。)の占有を移転することをいう。

(「酒類の販売業者」の範囲)

1-7 法第74条の4第1項に規定する「酒類の販売業者」には、酒税法第9条第1項《酒類の販売業免許》に規定する酒類の販売業免許を受けた者のほか、酒場、料飲店その他酒類を専ら自己の営業場において飲用に供することを業とする者も含まれることに留意する。

1-8 削除

「当該法人税法等に関する調査(当該調査通知に係るものに限る。)」の意義

1-9 法第74条の2第5項に規定する「当該法人税等に関する調査(当該調査通知に係るものに限る。)」とは、同項の規定を適用することができる調査について、当該調査通知を行った場合の調査に限ることをいうのであり、その調査の内容が当該調査通知をした項目(調査対象税目、調査対象課税期間)に限定されるものではないことに留意する。

(注)例えば、実地の調査において、調査通知をした課税期間以外の課税期間について非違が疑われる場合には、その調査通知をした課税期間以外の課税期間についても、その調査通知をした課税期間と併せて、異動前の納税地を所轄する国税局又は税務署の当該職員が質問検査等を行うことが可能であることに留意する。