課資2-3
課審5-2
徴管5-6
平成14年5月27日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)
 租税特別措置法等の一部を改正する法律(平成14年法律第15号)及び租税特別措置法施行令の一部を改正する政令(平成14年政令第105号)並びに租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成14年財務省令第62号)等の施行に伴い、租税特別措置法第69条の5((特定事業用資産についての相続税の課税価格の計算の特例))に関する取扱いなどを定めるとともに、既往通達の取扱いを取り込んだものである。

 昭和50年11月4日付直資2-224 ほか2課共同「農地等に係る贈与税及び相続税の納税猶予等の適用に関する取扱いについて」(法令解釈通達)について、題名を「租税特別措置法(相続税法の特例のうち延納の特例関係以外)の取扱いについて」(法令解釈通達)と改めるとともに、別紙「新旧対照表」の「改正前」欄に掲げる部分を「改正後」欄のように改める。
 なお、平成元年5月8日付直資2-208「租税特別措置法(相続税法の特例のうち農地等に係る納税猶予の特例及び延納の特例関係以外)の取扱いについて」(法令解釈通達)は廃止する。


(平成14年5月27日課資2-3)
課審5-2)
徴管5-6)

 この法令解釈通達では、次のことについて定めています。

・ 相続又は遺贈により取得した財産のうちに取引相場のない株式若しくは出資又は森林施業計画の定められた区域内に存する森林(立木又は山林をいいます。)がある場合には、当該財産のうち、被相続人の親族が取得した当該財産の全部又は一部でこの規定の適用を受けるものとして選択したものについては、一定要件を満たす限り、相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、その一定割合を減額するとの規定(平成14年度税制改正により新設)に係る取扱い

・ 納税猶予の対象となる農地又は採草放牧地について、一定の場合には、相続又は贈与の直前において国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することが出来ない状態になっていたものも含まれること

・ 「租税特別措置法(相続税法の特例のうち農地等に係る納税猶予の特例及び延納の特例関係以外)の取扱い」(法令解釈通達)を本通達に統合

・ 通達の統合及び租税特別措置法等の一部を改正する法律等の施行に伴う適用条項等の変更


1 法令の改正概要

(1) 被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した次に掲げる要件を満たす取引相場のない株式又は出資(議決権に制限のある株式(出資)を除く。)のうちその法人の発行済株式の総数又は出資の総口数の3分の1に達するまでの部分については、その価額(3億円が上限)を10%減額して相続税の課税価格を計算することができる特例措置が講じられました。

1 相続開始の直前において被相続人が有していた取引相場のない株式又は出資(有限会社、合資会社、合名会社、出資持分のある社団たる医療法人の出資に限る。)であること(以下「特定株式等」といいます。)。

2 相続開始の直前において被相続人及び被相続人と生計を一にしていた親族が有していた特定株式等の株数(口数)が、その特定株式等に係る法人の発行済株式(出資)の総数の50%以上であった法人の特定株式等であること。

3 特定株式等に係る法人の発行済株式(出資)の総数に、その相続開始の時におけるその特定株式等の1株(1口)当たりの時価を乗じて得た金額の合計額が10億円未満であること。

(注) 特定株式等に係る法人が2以上ある場合には、各法人の発行済株式(出資)の総数に1株(1口)当たりの時価を乗じて得た金額を求め、各法人ごとに求めたその金額を合計すること により10億円未満の判定を行います。

4 特定株式等を取得した相続人等が相続税の申告期限において当該特定株式等に係る法人の役員であること。

(2) 被相続人の親族が相続又は遺贈により取得した森林(立木及び林地)のうち被相続人又はその親族がその相続開始の前に市町村長等の認定を受けていた森林施業計画の定められた区域内に存していたもので、かつ、その親族が相続税の申告期限まで引き続き森林施業計画に基づき施業を継続していた区域内に存するものについては、その価額を5%減額して相続税の課税価格を計算することができる特例措置が講じられました。

(注) 上記(1)若しくは(2)の特例又は小規模宅地等の特例は、被相続人ベースでいずれか一つだけしか適用することができないこととされています。

1 法令解釈通達のポイント

(1) 上記特例の創設に伴い、次に掲げる次項等を留意的に示しました。

イ 特定株式等関係

1 議決権に制限のある株式(出資)については、この特例の適用はありませんが、10億円未満の判定に当たっては、その議決権に制限のある株式(出資)の株数(口数)は、法人の発行済株式(出資)の総数に含まれること

2 特定株式等の1株(1口)当たりの時価は、財産評価基本通達の定めにより算定するが、同一法人の特定株式等を2人以上の者が相続又は遺贈により取得した場合には各人の評価方法の選択如何によっては異なる価額が算定されるケースも想定されることから、このときには、10億円未満の判定に限り、その価額のうち最も低い価額をその特定株式等の1株(1口)当たりの時価として取り扱うこと

(注) 例えば、特定株式等の物納を予定している相続人は高い価額が算定される純資産価額方式を他方、物納を予定していない相続人は類似業種比準方式を選択するケースが考えられる。

ロ 森林関係

1 この特例の適用を受けようとする森林に係る森林施業計画が共同(その森林を取得した被相続人の親族と他の個人又は法人)で作成されたものである場合には、その森林施業計画においてその親族が施業を行うこととされている区域内に存するもののみがこの特例の対象となること

2 この特例の適用を受けるためには、相続又は遺贈により森林を取得した被相続人の親族が、相続開始の時から相続税の申告期限まで、その森林について森林施業計画に基づき施業を行わなければならないこととされているが、その期間内に一時的に森林施業計画が存在しない期間があったとしても、その森林施業計画が存在しなくなる日までに新たな森林施業計画の認定申請を行っていた場合には、この要件を満たすものとして取り扱うこと

(注) 森林施業計画は5年を1期とするものであることから、相続開始の時から相続税の申告期限までの間に森林施業計画の計画期間が満了する場合がある。この場合にはその期間満了日の翌日から新たな森林施業計画に基づき施業が行われていれば特例の適用上問題はないが、市町村長等による森林施業計画の認定には、一定期間(20日〜60日)を要することから、その認定申請が遅れた場合には、森林施業計画が存在しない期間が一時的に生ずることとなる。

(2) 従来の取扱いの通達化事項等

イ 措置法通達の統合
 「租税特別措置法(相続税法の特例のうち農地等に係る納税猶予の特例及び延納の特例関係以外)の取扱い」通達(平成元年5月8日付直資2-208)と「農地等に係る贈与税及び相続税の納税猶予等の適用に関する取扱い」通達(昭和50年11月4日付直資2-224ほか2課共同)とを統合しました。

ロ 納税猶予関係
 納税猶予の対象となる農地又は採草放牧地には、被相続人又は贈与者が農業の用に供していた土地で、相続又は贈与の直前において国又は地方公共団体等の行う事業のため一時的に農業の用に供することができない状態になっていたもの(その事業の施行時期が、例えば、気温、積雪その他の自然条件により農作物の作付ができない期間、連作の害を防ぐため休耕している期間に当たる場合などその土地の農業上の利用を害さないと認められるものなどに限ります。)が含まれることを規定しました。

(注) 農業の用に供せない期間が長期にわたるなどその土地の農業上の利用に支障がある場合には、その事業の施行者がその事業に係る主務大臣の認定を得ることにより納税猶予の打ち切り事由である農地の転用はないものとされます。

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