(相続人等が相続税の申告期限前に死亡した場合)

70の7の12-1 相続税法第27条第1項の規定による期限内申告書の提出期限前に、経過措置医療法人の持分を有していた他の個人(以下70の7の13-2までにおいて「被相続人」という。)から相続又は遺贈により当該経過措置医療法人の持分を取得した個人(以下70の7の13-2までにおいて「相続人等」という。)が死亡した場合には、当該相続人等の相続人(包括受遺者を含む。以下70の7の12-1において同じ。)が当該持分の価額について措置法第70条の7の12第1項の規定の適用を受ける旨の相続税の申告書を提出したとき(同項の規定の適用に係る要件を満たしている場合に限る。)は、当該申告書は、同項の規定の適用のある申告書であることに留意する。
 この場合において、相続人等の相続人が2人以上ある場合には、相続税法第27条第5項の規定により当該相続人は相続税の申告書を共同して提出することができる。
 なお、相続人等の相続人が2人以上ある場合には、各相続人はそれぞれ措置法第70条の7の12第1項の規定の適用を選択することができることに留意する。

(相次相続控除の算式)

70の7の12-2 第2次相続に係る被相続人が措置法第70条の7の12第1項の規定の適用を受けていた場合又は第2次相続により財産を取得した者のうちに同項の規定の適用を受ける者がある場合における相次相続控除額は、相続税法基本通達20-3((相次相続控除の算式))に準じて算出することに留意する。
 この場合において、相続税法基本通達20-3中のAは、当該被相続人が当該納税猶予の適用を受けていた場合には、同条第11項の規定により免除された相続税額以外の税額に限ることに留意する。

(修正申告等に係る相続税額の納税猶予)

70の7の12-3 措置法第70条の7の12第1項の規定の適用を受ける旨の相続税の申告において経過措置医療法人(同項に規定する相続税の申告書の提出期限において認定医療法人(同項に規定する認定医療法人をいう。以下70の7の12-12までにおいて同じ。)に限る。)の持分の評価又は税額計算の誤りがあり、その誤りのみに基づいて修正申告又は更正があった場合における当該修正申告又は更正により納付すべき相続税額(附帯税を除く。)については、70の7の9-5((修正申告等に係る贈与税額の納税猶予))を準用する。

(担保の提供等)

70の7の12-4 措置法第70条の7の12第1項の規定による担保の提供については、国税通則法第50条から第54条までの規定の適用があることに留意する。

(相続税の額に相当する担保)

70の7の12-5 措置法第70条の7の12第1項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る相続税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうことに留意する。
 なお、この場合の当該本税に係る猶予期間中の利子税の額は、同項の規定の適用に係る相続税の申告書の提出期限における認定移行計画に記載された移行期限から2月を経過する日までを納税猶予期間として計算した額によるものとして取り扱うことに留意する。

(認定医療法人が2以上ある場合の納税猶予分の相続税額の計算)

70の7の12-6 措置法第70条の7の12第1項の規定の適用に係る持分に係る認定医療法人が2以上ある場合における同条第2項に規定する納税猶予分の相続税額(以下70の7の13-2までにおいて「納税猶予分の相続税額」という。)の計算は、次の順序により行うことに留意する。
 この場合において、同項に規定する相続人等が2人以上あるときにおける当該計算は、それぞれの相続人等ごとに行うことに留意する。

  • 1 当該認定医療法人の持分に係る相続人等が被相続人から措置法第70条の7の12第1項の規定の適用に係る相続又は遺贈により取得をした全ての認定医療法人の持分の価額の合計額(措置法令第40条の8の12第7項に規定する控除未済債務額を控除した残額)を当該相続人等に係る相続税の課税価格とみなして、措置法第70条の7の12第2項の規定により計算する(措置法令第40条の8の12第6項の規定による100円未満の端数処理は行わない。)。
  • 2 措置法令第40条の8の12第8項の規定により、当該持分に係る認定医療法人の異なるものごとの納税猶予分の相続税額を計算する(同項の規定による100円未満の端数処理を行う。)。
  • 3 上記2により算出されたそれぞれの納税猶予分の相続税額の合計額が、当該相続人等に係る納税猶予分の相続税額となる。

(申告期限前に払戻し等が行われた場合)

70の7の12-7 措置法第70条の7の12第1項の規定の適用を受けようとする相続人等が同項の規定の適用を受けようとする経過措置医療法人の持分に係る相続の開始の時から当該相続に係る相続税法第27条の規定による相続税の申告書の提出期限までの間に、当該経過措置医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合又は当該持分の全部若しくは一部の譲渡をした場合には、同項の規定の適用を受けることができないことに留意する。
 なお、当該譲渡は、有償又は無償であることを問わないことに留意する。

(基金拠出型医療法人への移行をする場合の確定税額の計算)

70の7の12-8 措置法第70条の7の12第1項の規定の適用に係る認定医療法人がその認定移行計画に記載された移行期限までに基金拠出型医療法人への移行をする場合において、同項の規定の適用を受ける相続人等が有する当該認定医療法人の持分の一部を財務省令で定めるところにより放棄し、その残余の部分を当該基金拠出型医療法人の基金として拠出したときに、措置法第70条の7の12第6項の規定により納税猶予の期限が確定する相続税額は、納税猶予分の相続税額に、次に掲げる割合を乗じて計算することに留意する。
 なお、これにより算出された金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨て、その切り捨てた金額は、免除されることに留意する。
基金として拠出した金額-自己所有持分相当額/基金拠出の直前の受贈者の持分の価額×納税猶予割合

(注)

  • 1 上記の「自己所有持分相当額」とは、相続人等が認定医療法人の持分の一部を基金として拠出した直前において有していた当該認定医療法人の持分の価額に1から納税猶予割合を控除した割合を乗じて計算した価額をいう。
  • 2 上記の「納税猶予割合」とは、被相続人から相続又は遺贈により取得した措置法第70条の7の12第1項の規定の適用に係る認定医療法人の持分の価額が、当該持分の価額と当該相続又は遺贈の直前において相続人等が有していた当該認定医療法人の持分の価額との合計額に占める割合をいう。
     これを算式に示せば次のとおりである。
    相続又は遺贈により取得した認定医療法人の持分の価額/相続又は遺贈により取得した認定医療法人の持分の価額+相続又は遺贈の直前において相続人等が有していた認定医療法人の持分の価額

(担保提供する認定医療法人の持分の全ての意義)

70の7の12-9 措置法第70条の7の12第7項に規定する「同項の規定の適用に係る認定医療法人の持分の全て」とは、認定医療法人の持分は不可分であり、当該持分の一部を担保提供することができないため、相続人等が現に有する当該認定医療法人の持分の全て(既に当該相続人等が同項又は同法第70条の7の9第7項本文の規定の適用に係る担保として提供している場合における当該持分を含む。)となることに留意する。

(担保財産の変更等が行われた場合のみなす充足)

70の7の12-10 措置法第70条の7の12第7項において準用する同法第70条の7の9第7項本文の規定は、同法第70条の7の12第1項の規定の適用を受けようとする場合に相続人等が有する認定医療法人の持分の全てを担保として提供したときに適用されるものであることから、同条第1項の規定の適用を受けるに当たり認定医療法人の持分以外の財産を担保として提供したこと等により措置法第70条の7の12第7項において準用する同法第70条の7の9第7項本文の規定が適用されなかった場合又は措置法第70条の7の12第7項において準用する同法第70条の7の9第7項本文の規定が適用されたものの担保の全部若しくは一部につき変更があったため措置法第70条の7の12第7項において準用する同法第70条の7の9第7項ただし書に該当した場合には、その後に担保財産の変更を行った結果、認定医療法人の持分の全てを担保提供している状況が生じても、その時点から措置法第70条の7の12第7項において準用する同法第70条の7の9第7項本文の規定が適用されるものではないことに留意する。

(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)

70の7の12-11 措置法第70条の7の12第9項の規定により、増担保命令等に応じないため納税猶予の期限を繰り上げる場合には、担保不足に対応する納税猶予に係る税額だけでなく、納税猶予分の相続税額の全額について納税猶予の期限を繰り上げることに留意する。

(2以上の認定医療法人がある場合の担保の取扱い)

70の7の12-12 措置法第70条の7の12第1項の規定による認定医療法人が2以上ある場合、同条第1項に係る担保の提供手続、同条第7項において準用する同法第70条の7の9第7項に係るみなす充足の取扱い、同法第70条の7の12第9項において準用する同法第70条の7の9第9項に係る納税猶予の期限の繰上げ及び同法第70条の7の12第13項において準用する同法第70条の7の9第13項に係る納税猶予税額の承継の取扱いに当たっては、認定医療法人の異なるものごとの納税猶予分の相続税額にそれぞれの規定を適用することに留意する。

(納付義務を承継した者に対する措置法第70条の7の12第1項の規定の適用)

70の7の12-13 措置法第70条の7の12第13項の規定により、相続人等に係る納税猶予分の相続税額に係る納付の義務を承継した相続人(包括受遺者を含む。以下70の7の12-13において同じ。)が2人以上ある場合には、措置法令第40条の8の12第16項及び措置法規則第23条の12の8第6項の規定により当該納付の義務を承継したそれぞれの相続人を措置法第70条の7の12第1項の相続人等とみなして同条(第3項、第4項及び第8項を除く。)、措置法令第40条の8の12及び措置法規則第23条の12の8の規定を適用することに留意する。

(納付義務を承継した場合の相続税法第14条の規定の適用)

70の7の12-13の2 措置法第70条の7の12第13項の規定により準用する同法第70条の7の9第13項の相続人が同項の納税猶予分の相続税額に係る納付税額を承継した場合には、相続税法第14条第2項及び第3項の規定の準用があることに留意する。(平27課資2-9追加)

(70の7の9関係通達の準用)

70の7の12-14 70の7の9-12((払戻しを受けた日の意義))〜70の7の9-16((合併により消滅した日の意義))については、相続人等が、措置法第70条の7の12の規定の適用を受ける場合について準用する。


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