(持分の放棄があった日の意義)

70の7の9-1 措置法第70条の7の9第1項に規定する放棄があった日とは、当該放棄が書面により行われた場合には、同項に規定する認定医療法人(以下70の7の10-4までにおいて「認定医療法人」という。)の持分(同条第2項第2号に規定する持分をいう。以下70の7の13-2までにおいて同じ。)を有する個人(以下70の7の9-20までにおいて「贈与者」という。)が当該書面を認定医療法人に提出した日又は当該書面に記載した放棄の日のいずれか遅い日をいい、当該放棄が書面によらない場合には、当該放棄に係る持分の処分について、認定医療法人が医療法施行規則(昭和23年厚生省令第50号)附則第60条第3項の規定により厚生労働大臣に提出した同項第2号に規定する出資持分の状況報告書(以下70の7の9-13までにおいて「出資持分の状況報告書」という。)に記載された「出資持分の放棄の日」をいうことに留意する。

(注) 措置法第70条の7の9第6項及び第11項の認定医療法人の持分の全部又は一部の放棄は、措置法規則第23条の12の6第3項に定めるところにより、医療法施行規則附則第60条第4項に規定する出資持分の放棄申出書を認定医療法人に提出してすることに留意する。

(経済的利益の価額)

70の7の9-2 措置法第70条の7の9第1項に規定する経済的利益(以下70の7の11-2までにおいて「経済的利益」という。)の価額とは、贈与者が認定医療法人の持分の全部又は一部の放棄をしたことにより、当該認定医療法人の持分を有する他の個人(以下70の7の9-21までにおいて「受贈者」という。)の持分の価額が増加した場合における当該増加した部分に相当する価額をいうことに留意する。

(贈与者が贈与税の申告期限前に死亡した場合)

70の7の9-3 経済的利益に係る贈与者が、当該経済的利益に係る贈与税の申告書の提出期限(相続税法第28条第1項又は第2項に規定する期限をいう。以下70の7の11-2までにおいて同じ。)前に、かつ、受贈者による当該申告書の提出前に死亡した場合における措置法第70条の7の9第1項の規定の適用については、次に掲げることに留意する。(平29課資2-14、平30課資2-9改正)

  • (1) 贈与者が認定医療法人の持分の放棄をした日の属する年に死亡した場合
     受贈者が贈与者の死亡に係る相続又は遺贈により財産を取得した場合であっても、当該受贈者が当該贈与者による持分の放棄により受けた経済的利益について同項の規定の適用を受けるときには、当該経済的利益については措置法令第40条の8の9第15項の規定により相続税法第19条第1項の規定の適用がないことから、同法第21条の2第4項の規定の適用もないことに留意する。
  • (2) 贈与者が認定医療法人の持分の放棄をした日の属する年の翌年に死亡した場合
     受贈者が贈与者の死亡に係る相続又は遺贈により財産を取得した場合であっても、当該受贈者が当該贈与者による持分の放棄により受けた経済的利益について措置法第70条の7の9第1項の規定の適用を受けるときには、当該経済的利益については措置法令第40条の8の9第15項の規定により相続税法第19条第1項の規定の適用がないことから、当該経済的利益の価額は相続税の課税価格に加算されないことに留意する。

(注) 受贈者が、贈与者による持分の放棄により受けた経済的利益について措置法第70条の7の9第1項の規定の適用を受ける場合には、当該贈与者の死亡に係る相続税法第27条の規定による相続税の申告書の提出期限において、当該経済的利益に係る贈与税の申告書の提出期限が到来していないときであっても、当該経済的利益の価額は当該贈与者の死亡に係る相続税の課税価格に加算されないことに留意する。

(受贈者が贈与税の申告期限前に死亡した場合)

70の7の9-4 贈与者が認定医療法人の持分の全部又は一部の放棄をしたことにより経済的利益を受けた受贈者が、当該経済的利益を受けた日の属する年の中途において死亡した場合又は当該経済的利益に係る贈与税の申告書の提出期限前に当該申告書を提出しないで死亡した場合において、当該受贈者の相続人(包括受遺者を含む。以下70の7の9-4において同じ。)が当該経済的利益について措置法第70条の7の9第1項の規定の適用を受ける旨の贈与税の申告書を提出したとき(同項の規定の適用に係る要件を満たしている場合に限る。)は、当該申告書は、同項の規定の適用のある申告書であることに留意する。
 この場合において、受贈者の相続人が2人以上あるときには、当該相続人は相続税法第27条第5項の規定により贈与税の申告書を共同して提出することができる。
 なお、当該相続人が2人以上ある場合には、各相続人はそれぞれ措置法第70条の7の9第1項の規定の適用を選択することができることに留意する。

(修正申告等に係る贈与税額の納税猶予)

70の7の9-5 措置法第70条の7の9第1項の規定は、経済的利益に係る贈与税についての期限後申告、修正申告又は更正に係る税額については適用がないことに留意する。
 ただし、修正申告又は更正があった場合で、当該修正申告又は更正が期限内申告において同項の規定の適用を受けた経済的利益の価額の算定又は税額計算の誤りのみに基づいてされるときにおける当該修正申告又は更正により納付すべき贈与税額(附帯税を除く。)については、当初から同項の規定の適用があることとして取り扱う。
 この場合において、当該修正申告又は更正により納税猶予を受ける贈与税の本税の額と当該本税に係る利子税の額に相当する担保については、当該修正申告書の提出の日又は当該更正に係る通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日までに提供しなければならないこととして取り扱う。

(担保の提供等)

70の7の9-6 措置法第70条の7の9第1項の規定による担保の提供については、国税通則法第50条から第54条までの規定の適用があることに留意する。

(贈与税の額に相当する担保)

70の7の9-7 措置法第70条の7の9第1項に規定する「当該納税猶予分の贈与税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る贈与税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうことに留意する。
 なお、この場合の当該本税に係る猶予期間中の利子税の額は、同項の規定の適用に係る贈与税の申告書の提出期限における認定移行計画(同条第2項第3号に規定する認定移行計画をいう。以下70の7の12-8までにおいて同じ。)に記載された移行期限(同条第2項第5号に規定する移行期限をいう。以下70の7の12-8までにおいて同じ。)から2月を経過する日までを納税猶予期間として計算した額によるものとして取り扱うことに留意する。

(担保提供する認定医療法人の持分の全ての意義)

70の7の9-8 措置法第70条の7の9第7項本文に規定する「同項の規定の適用に係る認定医療法人の持分の全て」とは、認定医療法人の持分は不可分であり、当該持分の一部を担保提供することができないため、受贈者が現に有する当該認定医療法人の持分の全て(既に当該受贈者が同項本文又は措置法第70条の7の12第7項において準用する措置法第70条の7の9第7項本文の規定の適用に係る担保として提供している場合における当該持分を含む。)となることに留意する。

(贈与者又は認定医療法人が2以上ある場合の納税猶予分の贈与税額の計算)

70の7の9-9 措置法第70条の7の9第1項の規定の適用に係る経済的利益に係る贈与者又は当該経済的利益に係る認定医療法人が2以上ある場合における同項に規定する納税猶予分の贈与税額(以下70の7の9-21までにおいて「納税猶予分の贈与税額」という。)の計算は、次の順序により行うことに留意する。

  • 1 措置法令第40条の8の9第5項の規定により、当該経済的利益に係る受贈者がその年中において同項の規定の適用に係る贈与者による放棄により受けた全ての認定医療法人の経済的利益の価額の合計額を当該受贈者に係るその年分の贈与税の課税価格とみなして、相続税法第21条の5及び第21条の7の規定(措置法第70条の2の3及び第70条の2の4の規定を含む。以下70の7の9-10までにおいて「暦年課税」という。)を適用して納税猶予分の贈与税額を計算する(措置法令第40条の8の9第4項の規定による100円未満の端数処理は行わない。)。
  • 2 措置法令第40条の8の9第6項の規定により、当該経済的利益に係る贈与者及び認定医療法人の異なるものごとの納税猶予分の贈与税額を計算する(同項の規定による100円未満の端数処理を行う。)。
  • 3 上記2により算出されたそれぞれの納税猶予分の贈与税額の合計額が当該受贈者に係る納税猶予分の贈与税額となる。

(相続時精算課税適用者等に係る贈与税の納税猶予)

70の7の9-10 措置法第70条の7の9第3項各号に掲げる者が、その者に係る相続税法第21条の9第5項に規定する特定贈与者(以下70の7の9-10において「特定贈与者」という。)が認定医療法人の持分の放棄をしたことによる経済的利益について措置法第70条の7の9第1項の規定の適用を受ける場合には、当該経済的利益に係る贈与税については、暦年課税により計算することに留意する。
 なお、同条第3項各号に掲げる者が、当該経済的利益に係る特定贈与者から贈与により取得をした経済的利益以外の財産に係る贈与税については、相続時精算課税の適用となることに留意する。

(申告期限前に払戻し等が行われた場合)

70の7の9-11 贈与者による認定医療法人の持分の放棄があった日から経済的利益に係る贈与税の申告書の提出期限までの間に、措置法第70条の7の9第1項の規定の適用を受けようとする受贈者が、当該認定医療法人の持分に基づき出資額に応じた払戻しを受けた場合又は当該持分の全部若しくは一部の譲渡をした場合には、同項の規定の適用を受けることができないことに留意する。
 なお、当該譲渡は、有償又は無償であることを問わないことに留意する。

(払戻しを受けた日の意義)

70の7の9-12 措置法第70条の7の9第5項第1号に規定する「当該払戻しを受けた日」とは、当該払戻しに係る出資持分の状況報告書に記載された「出資持分の払戻の日」をいうことに留意する。

(譲渡をした日の意義)

70の7の9-13 措置法第70条の7の9第5項第2号に規定する「当該譲渡をした日」とは、同条第1項の規定の適用に係る認定医療法人の持分の譲渡に係る契約の効力が発生した日をいう。ただし、認定医療法人の持分について書面によらない譲渡を行った場合には、当該譲渡に係る出資持分の状況報告書に記載された「出資持分の譲渡の日」をいうことに留意する。
 なお、当該譲渡は、有償又は無償であることを問わないことに留意する。

(新医療法人への移行をしなかった場合の意義)

70の7の9-14 措置法第70条の7の9第1項の規定の適用に係る認定医療法人の認定移行計画に記載された移行期限までに、良質な医療を提供する体制の確立を図るための医療法等の一部を改正する法律(平成18年法律第84号。以下「平成18年医療法等改正法」という。)附則第10条の2に規定する新医療法人への移行のための定款の変更に係る医療法(昭和23年法律第205号)第54条の9第4項の規定による都道府県知事の認可があった場合であっても、当該認可を受けた定款の変更が施行されていないときには、措置法第70条の7の9第5項第3号に規定する「新医療法人への移行をしなかった場合」に該当することに留意する。(平28課資2-13、課審7-9、平30課資2-9改正)

(解散をした場合等の意義)

70の7の9-15 措置法第70条の7の9第5項第5号に規定する「解散をした場合」とは、医療法第55条第1項各号(同項第4号を除く。)に掲げるいずれかの事由が生じた場合をいい、措置法第70条の7の9第5項第5号に規定する「当該解散をした日」とは、当該事由が生じた日(医療法第55条第1項第2号又は第3号に掲げる事由による解散の場合にあっては、都道府県知事の認可を受けた日)をいうことに留意する。

(合併により消滅した日の意義)

70の7の9-16 措置法第70条の7の9第5項第6号に規定する「当該消滅をした日」とは、医療法第58条の6又は第59条の4に規定する登記の日をいうことに留意する。

(基金拠出型医療法人への移行をする場合の確定税額の計算)

70の7の9-17 措置法第70条の7の9第1項の規定の適用に係る認定医療法人が認定移行計画に記載された移行期限までに同条第2項第6号に規定する基金拠出型医療法人(以下70の7の13-2までにおいて「基金拠出型医療法人」という。)への移行をする場合において、同条第1項の規定の適用を受ける受贈者が有する当該認定医療法人の持分の一部を財務省令で定めるところにより放棄し、その残余の部分を当該基金拠出型医療法人の平成18年医療法等改正法附則第10条の3第2項第1号ハに規定する基金(以下70の7の13-2までにおいて「基金」という。)として拠出したときに、措置法第70条の7の9第6項の規定により納税猶予の期限が確定する贈与税額は、納税猶予分の贈与税額に、次に掲げる割合を乗じて計算することに留意する。
 なお、これにより算出された金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨て、その切り捨てた金額は、免除されることに留意する。
基金として拠出した金額-自己所有持分相当額/基金拠出の直前の受贈者の持分の価額×納税猶予割合

(注)

  • 1 上記の「自己所有持分相当額」とは、受贈者が認定医療法人の持分の一部を基金として拠出した直前において有していた当該認定医療法人の持分の価額に1から納税猶予割合を控除した割合を乗じて計算した価額をいう。
  • 2 上記の「納税猶予割合」とは、措置法第70条の7の9第1項の規定の適用に係る贈与者による放棄により受けた経済的利益の価額が当該経済的利益の価額と当該贈与者による放棄の直前において受贈者が有していた当該認定医療法人の持分の価額との合計額に占める割合をいう。
     これを算式に示せば次のとおりである。
    贈与者による放棄により受けた経済的利益の価額/贈与者による放棄により受けた経済的利益の価額+贈与者による放棄の直前において受贈者が有していた認定医療法人の持分の価額

(担保財産の変更等が行われた場合のみなす充足)

70の7の9-18 措置法第70条の7の9第7項本文の規定は、同条第1項の規定の適用を受けようとする場合に受贈者が有する認定医療法人の持分の全てを担保として提供したときに適用されるものであることから、同項の規定の適用を受けるに当たり認定医療法人の持分以外の財産を担保として提供したこと等により同条第7項本文の規定が適用されなかった場合又は同項本文の規定が適用されたものの担保の全部若しくは一部につき変更があったため同項ただし書に該当した場合には、その後に担保財産の変更を行った結果、認定医療法人の持分の全てを担保提供している状況が生じても、その時点から同項本文の規定が適用されるものではないことに留意する。

(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)

70の7の9-19 措置法第70条の7の9第9項の規定により、増担保命令等に応じないため納税猶予の期限を繰り上げる場合には、担保不足に対応する納税猶予に係る税額だけでなく、納税猶予分の贈与税額の全額について納税猶予の期限を繰り上げることに留意する。

(2以上の認定医療法人がある場合等の担保の取扱い)

70の7の9-20 措置法第70条の7の9第1項の規定による贈与者又は認定医療法人が2以上ある場合、措置法第70条の7の9第1項に係る担保の提供手続、同条第7項に係るみなす充足の取扱い、同条第9項に係る納税猶予の期限の繰上げ及び同条第13項に係る納税猶予税額の承継の取扱いに当たっては、贈与者又は認定医療法人の異なるものごとの納税猶予分の贈与税額にそれぞれの規定を適用することに留意する。

(納付義務を承継した者に対する措置法第70条の7の9第1項の規定の適用)

70の7の9-21 措置法第70条の7の9第13項の規定により、受贈者に係る納税猶予分の贈与税額に係る納付の義務を承継した相続人(包括受遺者を含む。以下70の7の9-21において同じ。)が2人以上ある場合には、措置法令第40条の8の9第13項及び措置法規則第23条の12の6第7項の規定により当該納付の義務を承継したそれぞれの相続人を措置法第70条の7の9第1項の受贈者とみなして同条(第2項から第4項まで及び第8項を除く。)、措置法令第40条の8の9及び措置法規則第23条の12の6の規定を適用することに留意する。

(納付義務を承継した場合の相続税法第14条の規定の適用)

70の7の9-21の2 措置法第70条の7の9第13項の規定により同項の相続人が同項の納税猶予分の贈与税額に係る納付税額を承継した場合には、相続税法第14条第2項及び第3項の規定の準用があることに留意する。(平27課資2-9追加、平30課資2-9改正)


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