(措置法第70条の6の9の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる特例受贈事業用資産の価額の計算)

70の6の9-1 措置法第70条の6の9第1項(同条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる特例受贈事業用資産の価額の計算については、次の取扱いに留意する。(令元課資2-10追加、令2課資2-10、令5課資2-21改正)

  • (1) 特例受贈事業用資産の価額は、特例対象贈与の時(措置法第70条の6の9第2項の規定により読み替えて適用する同条第1項の規定による場合には、前の贈与者が行った前の贈与の時)における当該特例受贈事業用資産の価額によるが、措置法第70条の6の8第18項の規定の適用があった場合には、同項に規定する認可決定日における当該特例受贈事業用資産の価額による。

    (注)

    1. 1 「前の贈与者」とは、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める者に当該特例受贈事業用資産の贈与をした者をいう(以下70の6の9-4までにおいて同じ。)。
      • イ 贈与者に対する措置法第70条の6の8第1項の規定の適用に係る贈与が、当該贈与をした者の同条第14項(第3号に係る部分に限る。)の規定の適用に係るもの(以下このイにおいて「免除対象贈与」という。)である場合 特例受贈事業用資産に係る免除対象贈与をした者のうち最初に措置法第70条の6の8第1項の規定の適用を受けた者
      • ロ イに掲げる場合以外の場合 贈与者
    2. 2 「前の贈与」とは、(注)1のイ又はロに掲げる場合の区分に応じ、それぞれに定める者に対する当該特例受贈事業用資産の贈与をいう(以下70の6の9-4までにおいて同じ。)。
    3. 3 特例受贈事業用資産が、相続税法第21条の9第3項(措置法第70条の2の6第1項、第70条の2の7第1項(第70条の2の8において準用する場合を含む。)又は第70条の3第1項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けているものであっても、当該特例受贈事業用資産の価額から相続時精算課税に係る基礎控除の額は控除しないことに留意する。
  • (2) 納税猶予分の贈与税額(措置法第70条の6の8第2項第3号に規定する納税猶予分の贈与税額をいい、同条第18項の規定の適用があった場合には、同条第19項に規定する再計算猶予中贈与税額とする。以下70の6の9-1において同じ。)の計算において同条第2項第3号の債務の金額が控除された場合には、(1)の価額に次の算式による割合を乗じて計算した価額による。
    (算式)
     (A-B)/A

    (注)

    1. 1 上記算式中の符号は次のとおり。
      • A=納税猶予分の贈与税額の計算に係る特例受贈事業用資産の価額の合計額
      • B=納税猶予分の贈与税額の計算において控除された同条第2項第3号の債務の金額
    2. 2 上記により計算した価額に1円未満の端数がある場合には、その端数金額を切り捨てて差し支えない。
  • (3) 「相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる特例受贈事業用資産」には、措置法令第40条の7の8第18項の届出に係る特例受贈事業用資産が含まれる。

(贈与者の死亡の日前に納税猶予の期限が確定した特例受贈事業用資産)

70の6の9-2 措置法第70条の6の8第1項の規定の適用に係る贈与者が死亡した場合(70の6の9-3に掲げる場合を除く。)において、当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定しているときの当該死亡に係る相続税の課税関係は、次の区分に応じ、それぞれに定めるところによることに留意する。(令元課資2-10追加、令5課資2-21改正)

(1) 納税猶予に係る納税猶予分の贈与税額について措置法第70条の6の8第2項第3号イ(暦年課税)の規定により計算している場合
 当該適用に係る特例対象贈与が当該贈与者の死亡に係る相続税の加算対象期間内にあった場合において、当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定しており、かつ、特例事業受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しているときにおける当該期限の確定に係る特例受贈事業用資産は、相続税法第19条第1項の規定により、特例対象贈与の時における価額で相続税が課税されることに留意する。
 なお、当該特例受贈事業用資産は、措置法第70条の6の10第1項の規定の適用対象とならないことに留意する。

(2) 納税猶予に係る納税猶予分の贈与税額について措置法第70条の6の8第2項第3号ロ(相続時精算課税)の規定により計算している場合
 当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定している場合における当該期限の確定に係る特例受贈事業用資産は、相続税法第21条の15第1項又は第21条の16第3項の規定により、特例対象贈与の時における価額で相続税が課税されることに留意する。
 なお、当該特例受贈事業用資産は、措置法第70条の6の10第1項の規定の適用対象とならないことに留意する。

(注)

  1. 1 当該贈与者の死亡の時において、現に措置法第70条の6の8第1項の規定の適用を受けている特例受贈事業用資産は、措置法第70条の6の9第1項の規定により特例事業受贈者が当該贈与者から相続(当該特例事業受贈者が当該贈与者の相続人以外の者である場合には遺贈)により取得をしたものとみなされ、特例対象贈与の時(措置法第70条の6の8第18項の規定の適用があった場合には、同項に規定する認可決定日)の価額を基礎として計算した価額で相続税が課税されることに留意する。
     なお、当該特例受贈事業用資産は、措置法第70条の6の10第1項の適用に係る要件を満たせば、同項の規定の適用対象となることに留意する。
  2. 2 当該特例受贈事業用資産のうち、措置法第70条の6の8第14項又は第16項から第18項までの規定により免除を受けた猶予中贈与税額に対応する部分については、上記(1)及び(2)の規定の適用はないことに留意する。なお、「免除を受けた猶予中贈与税額に対応する部分」の意義については、70の6の8-57を参照。

(免除対象贈与を行った贈与者の死亡の日前に納税猶予の期限が確定した特例受贈事業用資産)

70の6の9-3 措置法第70条の6の8第1項の規定の適用に係る贈与者(同項の規定の適用を受けている特例事業受贈者に限る。)が死亡した場合において、当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定しているときの当該死亡に係る相続税の課税関係は、次の区分に応じ、それぞれに定めるところによることに留意する。(令元課資2-10追加、令5課資2-21改正)

(1) 当該納税猶予に係る納税猶予分の贈与税額について措置法第70条の6の8第2項第3号イの規定(暦年課税)により計算している場合
 当該適用に係る特例対象贈与が当該贈与者の死亡に係る相続税の加算対象期間内にあった場合において、当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定しており、かつ、特例事業受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により財産を取得しているときにおける当該期限の確定に係る特例受贈事業用資産は、相続税法第19条第1項の規定により、特例対象贈与の時における価額で相続税が課税されることに留意する。
 なお、当該特例受贈事業用資産は、措置法第70条の6の10第1項の規定の適用対象とならないことに留意する。

(2) 当該納税猶予に係る納税猶予分の贈与税額について措置法第70条の6の8第2項第3号ロの規定(相続時精算課税)により計算している場合
 当該贈与者の死亡の日前に、当該納税猶予に係る贈与税の全部又は一部についての納税猶予の期限が確定している場合における当該期限の確定に係る特例受贈事業用資産は、相続税法第21条の15第1項又は第21条の16第3項の規定により、特例対象贈与の時における価額で相続税が課税されることに留意する。
 なお、当該特例受贈事業用資産は、措置法第70条の6の8第10項の規定の適用対象とならないことに留意する。

(注) 当該特例受贈事業用資産のうち、措置法第70条の6の8第14項又は第16項から第18項までの規定により免除を受けた猶予中贈与税額に対応する部分については、上記(1)及び(2)の規定の適用はないことに留意する。なお、「免除を受けた猶予中贈与税額に対応する部分」の意義については、70の6の8-57を参照。

(買換えの承認に係る特例受贈事業用資産)

70の6の9-4 特例受贈事業用資産の譲渡につき措置法第70条の6の8第5項の規定による買換えの承認を受けている場合において、同項の特例事業受贈者の事業の用に供される資産(以下70の6の9-4において「買換資産」という。)を取得する前に贈与者(前の贈与者を含む。)が死亡したときにおける当該承認に係る譲渡をした特例受贈事業用資産に係る相続税の課税に当たっては、当該特例受贈事業用資産は、同項の規定により譲渡がなかったものとみなされることから、措置法第70条の6の9第1項(同条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により当該特例事業受贈者が当該贈与者から相続又は遺贈により取得をしたものとみなされ、当該譲渡に係る特例受贈事業用資産の贈与(前の贈与者にあっては前の贈与)の時(措置法第70条の6の8第18項の規定の適用があった場合には、同項に規定する認可決定日)の価額を基礎として計算した価額が相続税の課税価格の計算の基礎に算入されることに留意する。(令元課資2-10追加、令2課資2-10改正)

(注) 上記の譲渡に係る特例受贈事業用資産について、措置法第70条の6の10第1項の規定による相続税の納税猶予の適用を受ける場合には、同条第30項において読み替えて適用する同条第1項の規定により当該特例受贈事業用資産は、相続又は遺贈により取得をした同条第2項第1号に規定する特定事業用資産に含まれることから相続税の納税猶予の適用を受けることができることとなる。
 なお、この場合において、当該譲渡があった日から1年以内に買換資産を取得しなかったときには、その譲渡があった日から1年を経過する日において譲渡があったものとみなされ、当該譲渡に係る特例受贈事業用資産の価額に対応する部分の相続税の納税猶予税額は、納付を要することに留意する。