(相続税の納税猶予及び免除の対象とならない特定美術品)

70の6の7-1 措置法第70条の6の7第1項の適用対象となる特定美術品(同条第2項第1号に規定する特定美術品をいう。以下70の6の7-14までにおいて同じ。)には、次に掲げる特定美術品は含まれないことに留意する。(令元課資2-10追加)

(1) 相続税法第19条の規定の適用を受ける特定美術品

(2) 相続時精算課税の適用を受ける特定美術品

(代償分割により取得をした特定美術品についての相続税の納税猶予及び免除の不適用)

70の6の7-2 遺産の分割に当たり、遺産の代償として取得した他の共同相続人の所有に属する特定美術品は、被相続人が相続の開始の直前に有していたものではないので、措置法第70条の6の7第1項の規定による納税猶予の対象となる特定美術品に該当しないことに留意する。(令元課資2-10追加)

(担保の提供等)

70の6の7-3 措置法第70条の6の7第1項の規定による担保の提供については、国税通則法第50条から第54条までの規定の適用があることに留意する。(令元課資2-10追加)

(相続税の額に相当する担保)

70の6の7-4 措置法第70条の6の7第1項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る相続税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうことに留意する。
 なお、この場合の当該本税に係る猶予期間中の利子税の額は、同項の規定の適用に係る相続税の申告書の提出期限における寄託相続人(措置法第70条の6の7第2項第4号に規定する寄託相続人をいう。以下70の6の7-12までにおいて同じ。)の平均余命年数を納税猶予期間として計算した額によるものとして取り扱うことに留意する。
 また、同項の規定の適用を受ける特定美術品の全部を担保として提供する場合であっても、上記と同様の取扱いであることに留意する。(令元課資2-10追加、令2課資2-10改正)

(注)

  1. 1 上記平均余命年数は、相続税法施行規則第12条の6((定期金給付契約の目的とされた者に係る平均余命))に定める平均余命によることに留意する。
  2. 2 措置法第70条の6の7第6項第1号の規定により特定美術品を担保として提供する場合の同項第2号の保険の金額は、その担保財産により担保される当該納税猶予分の相続税額及びこれに先立つ質権等により担保される債権その他の債権の合計額を超えるものでなければならないことに留意する。

(修正申告等に係る相続税額の納税猶予)

70の6の7-5 措置法第70条の6の7第1項の規定は、特定美術品の相続に係る相続税についての期限後申告、修正申告又は更正に係る税額については、適用がないことに留意する。
 ただし、修正申告又は更正があった場合で、当該修正申告又は更正が期限内申告に係る同項の規定による相続税の納税猶予の適用を受けた特定美術品の評価又は税額計算の誤りのみに基づいてされるときにおける当該修正申告又は更正により納付すべき相続税額(附帯税を除く。)については、当初から同項の規定の適用があることとして取り扱う。
 この場合において、当該修正申告又は更正により納税猶予を受ける相続税の本税の額と当該本税に係る利子税の額に相当する担保については、当該修正申告書の提出の日又は当該更正に係る通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日までに提供しなければならないこととして取り扱う。(令元課資2-10追加)

(第2次寄託相続人がある場合の第1次寄託相続人に係る相続税の納税猶予及び免除の適用要件)

70の6の7-6 措置法令第40条の7の7第1項に規定する第2次寄託相続人(以下70の6の7-6において「第2次寄託相続人」という。)がある場合の同項に規定する第1次寄託相続人(以下70の6の7-6において「第1次寄託相続人」という。)に係る措置法第70条の6の7第1項の規定の適用については、次に掲げることに留意する。(令元課資2-10追加)

(1) 措置法第70条の6の7第1項の適用対象となる特定美術品は、第2次寄託相続人が第1次寄託相続人からの相続又は遺贈に係る相続税の期限内申告書に同項の規定の適用を受ける旨の記載をしたものに限られること。

(2) 担保は、第2次寄託相続人が第1次寄託相続人からの相続又は遺贈に係る相続税の申告書の提出期限までに、第2次寄託相続人に係る納税猶予分の相続税の額に相当するものの提供をすればよいこと。

(相次相続控除の算式)

70の6の7-7 第2次相続に係る被相続人が措置法第70条の6の7第1項の規定の適用を受けていた場合又は第2次相続により財産を取得した者のうちに同項の規定の適用を受ける者がある場合における相次相続控除額は、相続税法基本通達20-3((相次相続控除の算式))に準じて算出することに留意する。
 この場合において、相続税法基本通達20-3中のAは、当該被相続人が当該納税猶予の適用を受けていた場合には、同条第14項の規定により免除された相続税額以外の税額に限ることに留意する。(令元課資2-10追加)

(特定美術品が2以上ある場合の納税猶予分の相続税額の計算)

70の6の7-8 特定美術品が2以上ある場合における納税猶予分の相続税額の計算は、次の順により行うことに留意する。
 この場合において、寄託相続人が2以上あるときにおける当該計算は、それぞれの寄託相続人ごとに行うことに留意する。(令元課資2-10追加)

(1) 当該特定美術品に係る寄託相続人が被相続人から措置法第70条の6の7第1項の規定の適用に係る相続又は遺贈により取得をした全ての特定美術品の価額の合計額(措置法令第40条の7の7第5項に規定する控除未済債務額を控除した金額)を当該寄託相続人に係る相続税の課税価格とみなして、措置法第70条の6の7第2項第6号の規定により計算する(措置法令第40条の7の7第7項の規定による100円未満の端数処理は行わない。)。

(2) 措置法令第40条の7の7第9項の規定により、当該特定美術品の異なるものごとの納税猶予分の相続税額を計算する(同項の規定による100円未満の端数処理を行う。)。

(3) 上記(2)により算出されたそれぞれの納税猶予分の相続税額の合計額が、当該寄託相続人に係る納税猶予分の相続税額となる。

(特定美術品の譲渡等により納税猶予税額について納税猶予の期限が確定する場合)

70の6の7-9 措置法第70条の6の7第3項第1号又は第2号に掲げる場合に該当する場合における納税猶予の期限は、文化庁長官から納税地の所轄税務署長に対する同項第1号又は第2号の通知があった日から2月を経過する日であることに留意する。したがって、同項第1号又は第2号に掲げる場合に該当する場合であっても、当該通知が所轄税務署長に到達しなければ、納税猶予の期限が確定することはないことに留意する。
 ただし、同項第1号又は第2号に掲げる場合に該当する場合において、その該当することとなった日以後これらの号に定める日までの間に寄託相続人が死亡した場合には、措置法令第40条の7の7第14項の規定により当該寄託相続人の死亡の日の前日がこれらの号に定める日に代わることとなり、当該寄託相続人の相続人(包括受遺者を含む。)が寄託相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日が納税猶予の期限となることに留意する。(令元課資2-10追加)

(措置法令第40条の7の7第16項の申請書等が申請期限までに提出されない場合等)

70の6の7-10 寄託相続人が措置法第70条の6の7第4項又は第5項の税務署長の承認を受けようとする場合には、措置法令第40条の7の7第16項又は第17項に規定する期間内にこれらの項に規定する申請書を納税地の所轄税務署長に提出しなければ、措置法第70条の6の7第4項又は第5項の規定の適用はないことに留意する。
 当該申請書を当該期間内に提出しない場合には、同条第3項第3号又は第7号に掲げる場合の区分に応じ、これらの号に定める日から2月を経過する日(これらの号に定める日から当該2月を経過する日までの間に当該寄託相続人が死亡した場合には、当該寄託相続人の相続人(包括受遺者を含む。)が当該寄託相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)に納税の猶予に係る期限が到来することに留意する。(令元課資2-10追加)

(注) 当該期間内に措置法令第40条の7の7第16項又は第17項に規定する申請書の提出がなかった場合のゆうじょ規定は設けられていない。

(寄託契約の契約期間の終了等があった後に寄託相続人が死亡した場合)

70の6の7-11 措置法第70条の6の7第1項の規定の適用を受ける寄託相続人若しくは特定美術品又は寄託先美術館(同条第2項第5号に規定する寄託先美術館をいう。以下70の6の7-11において同じ。)について同条第3項第3号又は第7号に該当することとなった場合において、当該寄託相続人が次に掲げる場合に該当するときには、納税猶予期限は確定せず、同条第14項の規定により相続税は免除されることに留意する。(令元課資2-10、令5課資2-12改正追加)

(1) 措置法第70条の6の7第3項第3号の寄託契約の契約期間の終了が寄託先美術館の設置者からの契約の解除又は当該寄託契約の更新を行わない旨の申出によるものである場合において、同号に定める日から1月以内に寄託相続人が死亡したとき((2)に掲げる場合を除く。)

(2) 寄託相続人が措置法第70条の6の7第4項の税務署長の承認を受けた場合において、同条第3項第3号に定める日から1年を経過する日までに死亡したとき

(3) 措置法第70条の6の7第3項第7号に定める日から1月以内に寄託相続人が死亡した場合((4)に掲げる場合を除く。)

(4) 寄託相続人が措置法第70条の6の7第5項の税務署長の承認を受けた場合において、同条第3項第7号に定める日から1年を経過する日までに死亡したとき

(注)

  1. 1 上記(1)又は(3)の場合には、当該寄託相続人の相続人(包括受遺者を含む。)が提出する措置法第70条の6の7第14項の規定による免除に係る措置法令第40条の7の7第24項の届出書に措置法規則第23条の8の7第3項又は第5項に規定する書類を添付する必要があることに留意する。
  2. 2 上記(2)の場合において、措置法第70条の6の7第3項第3号に定める日から寄託相続人の死亡の日までの間に特定美術品を同条第4項に規定する新寄託先美術館の設置者に寄託し、かつ、当該寄託相続人が措置法規則第23条の8の7第4項の書類を提出することなく死亡したときであっても、当該寄託相続人の相続人(包括受遺者を含む。)は当該書類の提出を要しないことに留意する。
  3. 3 上記(4)の場合において、措置法第70条の6の7第3項第7号に定める日から寄託相続人の死亡の日までの間に特定美術品を同条第5項に規定する新寄託先美術館の設置者に寄託し、かつ、当該寄託相続人が措置法規則第23条の8の7第7項において準用する同条第4項の書類を提出することなく死亡したときであっても、当該寄託相続人の相続人(包括受遺者を含む。)は当該書類の提出を要しないことに留意する。
  4. 4 上記(1)から(4)までに掲げる場合において、当該寄託相続人の死亡の日において当該特定美術品が措置法第70条の6の7第4項又は第5項に規定する新寄託先美術館の設置者に寄託されていないときは、当該寄託相続人から相続又は遺贈により当該特定美術品を取得した個人については、同条第1項の規定の適用はないことに留意する。

(認定保存活用計画の計画期間満了後に寄託相続人が死亡した場合)

70の6の7-12 特定美術品に係る措置法第70条の6の7第2項第3号に規定する認定保存活用計画の同条第3項第5号の計画期間が満了した日から同号に規定する4月を経過する日までに寄託相続人が死亡した場合には、当該寄託相続人による当該特定美術品に係る新たな認定保存活用計画の認定の申請(文化財保護法第53条の2第1項又は第67条の2第1項の規定による申請をいう。(注)において同じ。)の有無にかかわらず、納税猶予期限は確定せず、同条第14項の規定により相続税は免除されることに留意する。(令元課資2-10追加)

(注) 上記の場合において、当該寄託相続人が、その死亡の日前に当該特定美術品に係る新たな認定保存活用計画の認定の申請をしていないときは、当該寄託相続人から相続又は遺贈により当該特定美術品を取得した個人については、措置法第70条の6の7第1項の規定の適用はないことに留意する。

(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)

70の6の7-13 措置法第70条の6の7第12項の規定により、増担保命令等に応じないため納税猶予の期限を繰り上げる場合には、担保不足に対応する納税猶予に係る税額だけでなく、猶予中相続税額の全額について納税猶予の期限を繰り上げることに留意する。(令元課資2-10追加)

(2以上の特定美術品がある場合の担保の取扱い)

70の6の7-14 特定美術品が2以上ある場合、措置法第70条の6の7第1項に係る担保の提供手続き、同条第12項に係る納税猶予の期限の繰上げの取扱いに当たっては、特定美術品の異なるものごとの納税猶予分の相続税額にそれぞれの規定を適用することに留意する。(令元課資2-10追加)

(継続届出書の提出期間)

70の6の7-15 措置法第70条の6の7第9項に規定する届出書は、同条第1項の相続税の申告書の提出期限の翌日から起算して3年を経過するごとの日までに提出しなければならないのであるが、その提出期間は、当該3年を経過するごとの日の属する月の前々月の初日から当該3年を経過するごとの日までの期間として取り扱う。(令元課資2-10追加)