(山林の意義)

70の6の6-1 措置法第70条の6の6第1項に規定する「山林」とは、森林法第2条第1項に規定する「森林」をいうことに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(経営の意義)

70の6の6-2 措置法第70条の6の6第1項に規定する「経営」については、山林の施業又は施業と一体として行う保護を同条第2項第4号に規定する林業経営相続人(以下70の6の6-14までにおいて「林業経営相続人」という。)が自ら行わなければならないことに留意する。したがって、林業経営相続人が会社若しくは官庁等に勤務するなど他に職を有し又は他に主たる事業を有している場合であっても、山林の施業又は施業と一体として行う保護を林業経営相続人が自ら行う限り、同条第1項に規定する経営に該当することに留意する。また、他人に同条第1項に規定する経営の全部又は一部を委託している場合には、自ら経営していないこととなることに留意する。(平24課資2-10追加、平25課資2-10、平30課資2-19改正)

(推定相続人に委託をしているとき)

70の6の6-2の2 措置法令第40条の7の6第1項第3号及び措置法規則第23条の8の6第2項に規定する「その者がその有する山林の全部の経営をその者の推定相続人に委託をしているとき」とは、その者の相続の開始の直前において、その委託をした時の直前まで特定森林経営計画に従って経営をしていた山林の全部の経営をその者の推定相続人に委託をしているときをいうことに留意する。(平29課資2-14追加、平30課資2-19改正)

(注) 上記の「推定相続人」とは、上記の相続の開始の直前において最先順位の相続権(代襲相続権を含む。)を有する者をいうのであるから留意する。

(代償分割により取得した山林についての納税猶予の不適用)

70の6の6-3 遺産の分割に当たり、遺産の代償として取得した他の共同相続人の所有に属する山林は、被相続人が相続の開始の直前に有していたものではないので、措置法第70条の6の6第1項の規定による納税猶予の対象となる山林に該当しないことに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(担保の提供等)

70の6の6-4 措置法第70条の6の6第1項の規定による担保の提供については、国税通則法第50条から第54条までの規定の適用があることに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(相続税の額に相当する担保)

70の6の6-5 措置法第70条の6の6第1項に規定する「当該納税猶予分の相続税額に相当する担保」とは、納税猶予に係る相続税の本税の額と当該本税に係る納税猶予期間中の利子税の額との合計額に相当する担保をいうことに留意する。
 なお、この場合の当該本税に係る猶予期間中の利子税の額は、同項の規定の適用に係る相続税の申告書の提出期限における林業経営相続人の平均余命年数を納税猶予期間として計算した額によるものとして取り扱うことに留意する。
 また、同項の規定の適用を受ける特例山林の全部を担保として提供する場合であっても、上記と同様の取扱いであることに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(注) 上記平均余命年数は、措置法規則第23条の8の6第4項に定める平均余命によることに留意する。

(修正申告等に係る相続税額の納税猶予)

70の6の6-6 措置法第70条の6の6第1項の規定は、山林の相続に係る相続税についての期限後申告、修正申告又は更正に係る税額については、適用がないことに留意する。ただし、修正申告又は更正があった場合で、当該修正申告又は更正が期限内申告に係る同項の規定による相続税の納税猶予の適用を受けた山林(以下「特例山林」という。)の評価又は税額計算の誤りのみに基づいてされるときにおける当該修正申告又は更正により納付すべき相続税額(附帯税を除く。)については、当初から同項の規定の適用があることとして取り扱う。
 この場合において、当該修正申告又は更正により納税猶予を受ける相続税の本税の額と当該本税に係る利子税の額に相当する担保については、当該修正申告書の提出の日又は当該更正に係る通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日までに提供しなければならないこととして取り扱う。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(特例の適用を受けることができる林業経営相続人の意義等)

70の6の6-7 相続又は遺贈により取得した山林以外に山林(措置法規則第23条の8の6第8項第5号ロ及びハに掲げるものを除く。)を有する場合又は他の山林所有者から経営の委託を受けた山林がある場合には、これらの山林の全てが特定森林経営計画が定められている区域内に所在することとなるよう、被相続人から森林法第17条((死亡、解散又は分割の場合の包括承継人に対する効力等))の規定により包括承継した特定森林経営計画について同法第12条の規定により変更の認定を相続税法第27条第1項の相続税の申告期限までに受けなければ、林業経営相続人に該当しないことに留意する。(平24課資2-10追加、平25課資2-10、平30課資2-19改正)

(第2次林業経営相続人がある場合の第1次林業経営相続人に係る相続税の納税猶予の適用要件)

70の6の6-8 措置法令第40条の7の6第3項に規定する第2次林業経営相続人がある場合の同項に規定する第1次林業経営相続人に係る措置法第70条の6の6第1項の規定の適用については、次に掲げることに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(1) 第1次林業経営相続人は措置法第70条の6の6第2項第4号ロの要件を満たしているとみなされること。

(2) 措置法第70条の6の6第1項の適用対象となる山林は、第2次林業経営相続人が第1次林業経営相続人からの相続又は遺贈に係る相続税の期限内申告書に同項の規定の適用を受ける旨の記載をしたものに限られること。

(3) 担保は、第2次林業経営相続人が第1次林業経営相続人からの相続又は遺贈に係る相続税の申告書の提出期限までに、第2次林業経営相続人に係る納税猶予分の相続税額に相当するものの提供をすればよいこと。

(申告期限前に総収入金額がゼロとなった場合)

70の6の6-9 措置法第70条の6の6第1項に規定する被相続人に相続が開始した日から当該被相続人に係る相続税の申告期限までの間に12月31日がある場合において、林業経営相続人の当該12月31日の属する年分の所得税法第32条第1項に規定する山林所得に係る収入金額が零となった場合であっても、措置法第70条の6の6第3項第4号の規定の適用はないことに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(相次相続控除の算式)

70の6の6-10 第2次相続に係る被相続人が措置法第70条の6の6第1項の規定の適用を受けていた場合又は第2次相続により財産を取得した者のうちに同項の規定の適用を受ける者がある場合における相次相続控除額は、相続税法基本通達20-3((相次相続控除の算式))に準じて算出することに留意する。
 この場合において、相続税法基本通達20-3中のAは、当該被相続人が当該納税猶予の適用を受けていた場合には、同条第17項の規定により免除された相続税額以外の税額に限ることに留意する。(平24課資2-10追加、平29課資2-14、平30課資2-19改正)

(納税猶予税額の全部又は一部について納税猶予の期限が確定する場合)

70の6の6-11 措置法第70条の6の6第3項第1号又は第2号に掲げる場合に該当する場合における納税猶予の期限は、農林水産大臣等(同項第1号に規定する農林水産大臣等をいう。)から納税地の所轄税務署長に対する同項第1号又は第2号の通知があった日から2月を経過する日であることに留意する。したがって、措置法令第40条の7の6第12項各号のいずれかに該当する場合又は措置法第70条の6の6第3項第2号に掲げる場合に該当する場合であっても、当該通知が所轄税務署長に到達しなければ、納税猶予の期限が確定することはないことに留意する。
 ただし、措置法令第40条の7の6第12項各号に該当する場合又は措置法第70条の6の6第3項第2号に掲げる場合に該当する場合において、その該当することとなった日以後これらの号に定める日までの間に林業経営相続人が死亡した場合には、当該林業経営相続人の死亡の日の前日がこれらの号に定める日に代わることとなり、当該林業経営相続人の相続人(包括受遺者を含む。)が林業経営相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日が納税猶予の期限となることに留意する。(平24課資2-10追加、平25課資2-10、平29課資2-14、平30課資2-19改正)

(注) 措置法第70条の6の6第4項の場合に該当する場合においても上記と同様であることに留意する。

(譲渡をした特例山林の面積が100分の20を超えるかどうかの計算)

70の6の6-12 措置法第70条の6の6第3項第2号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算は、次に掲げる算式により行うことに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)
(B+C)÷A

(注)

1 算式中の符号は次のとおりである。
 Aは、相続又は遺贈により取得した特例山林の土地の面積をいう。
 Bは、今回、譲渡等(措置法第70条の6の6第3項第2号に規定する譲渡等をいう。以下同じ。)をした又は路網未整備等(同号に規定する路網未整備等をいう。以下同じ。)に該当することとなった特例山林の土地の面積をいい、Cは、既往において譲渡等をした又は路網未整備等に該当した特例山林の土地の面積をいうことに留意する。この場合のB又はCの譲渡等には、措置法第33条の4第1項に規定する収用交換等による譲渡は含まないことに留意する。

2 特例山林の面積が100ヘクタールを下回った場合で措置法第70条の6の6第3項第2号の通知があったときには、上記の算式の割合が100分の20を超えないときであっても猶予中相続税額(同条第2項第7号ロに規定する猶予中相続税額をいう。以下70の6の6-15までにおいて同じ。)の全部につき納税の猶予に係る期限が到来することに留意する。

(納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合の相続税額の計算)

70の6の6-13 措置法第70条の6の6第4項の規定により納税猶予税額の一部について納税猶予の期限が確定する場合における相続税の額の計算は、同項の規定に該当する直前の猶予中相続税額に次に掲げる場合の区分に応じ次に定める割合を乗ずることにより行うことに留意する。
 なお、これにより算出した金額に100円未満の端数があるとき又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨て、その切り捨てた金額は、納税猶予税額として残ることに留意する。(平24課資2-10追加、平25課資2-10、平30課資2-19改正)

(1) 特例山林の一部を譲渡等した場合
今回、譲渡等をした特例山林の価額÷今回、譲渡等をした直前の特例山林の価額

(2) 特例山林が路網未整備等に該当することとなった場合
今回、路網未整備等に該当した特例山林の価額÷今回、路網未整備等に該当した直前の特例山林の価額

(注) 特例山林のうち立木のみ又は立木の生育の用に供される土地のみについて譲渡等があった場合には、当該立木の生育の用に供される土地又は当該土地に生育している立木についても譲渡等があったものとみなして上記(1)の算式の分子の特例山林に含めて分子の金額を算定することに留意する。

(林業経営相続人が特例山林についての納税猶予の適用を取りやめる場合の期限)

70の6の6-14 措置法第70条の6の6第3項第5号の規定に該当することによる納税の猶予に係る期限は、同条第1項の規定の適用を受けている林業経営相続人から同項の規定の適用を受けることをやめる旨の届出書の提出があった日から2月を経過する日(当該届出書の提出があった日から当該2月を経過する日までの間に当該林業経営相続人が死亡した場合には、当該林業経営相続人の相続人(包括受遺者を含む。)が当該林業経営相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)となることから、当該納税猶予に係る相続税の額及び当該相続税の額に係る利子税の額の納付の有無に関わらず、当該2月を経過する日に到来することに留意する。(平24課資2-10追加、平30課資2-19改正)

(林業経営相続人が特例山林について経営を行うことが困難な状態となった場合)

70の6の6-14の2 措置法第70条の6の6第6項に規定する林業経営相続人が特例山林について経営を行うことが困難な状態となった場合として、措置法令第40条の7の6第17項に定める状態とは、次に掲げる状態をいうことに留意する。(平29課資2-14追加、平30課資2-19改正)

(1) 措置法第70条の6の6第1項に規定する相続税の申告書の提出期限(以下70の6の6-14の2において「相続税の申告書の提出期限」という。)後において、林業経営相続人に措置法令第40条の7の6第17項各号に規定する事由が生じたこと

(2) 林業経営相続人が相続税の申告書の提出期限において既に身体上の障害の程度が2級である者として記載のある身体障害者手帳の交付を受けていた場合で、当該相続税の申告書の提出期限後に、当該身体障害者手帳に記載された身体上の障害の程度が1級に変更されたこと

(3) 林業経営相続人が相続税の申告書の提出期限において既に身体上の障害の程度が1級又は2級である者として記載のある身体障害者手帳の交付を受けていた場合で、当該相続税の申告書の提出期限後に、その障害とは別に身体上の障害の程度が1級又は2級である障害が当該身体障害者手帳に新たに記載されたこと

(4) 林業経営相続人が相続税の申告書の提出期限において既に同項各号に掲げる事由が生じていた場合で、当該相続税の申告書の提出期限後に、新たに当該林業経営相続人に同項各号に掲げる事由が生じたこと

(措置法第70条の6の6第6項の規定の適用に係る推定相続人の意義等)

70の6の6-14の3 措置法第70条の6の6第6項に規定する経営委託を受けた者が同項に規定する経営委託山林以外に山林(措置法規則第23条の8の6第8項第5号ロ及びハに掲げるものを除く。)を有する場合又は他の山林所有者から経営の委託を受けた山林がある場合には、これらの全てが、特定森林経営計画が定められている区域内に所在しなければならないことに留意する。(平29課資2-14追加、平30課資2-19改正)

(経営委託をした旨の届出書が届出期限までに提出されない場合等)

70の6の6-14の4 措置法第70条の6の6第6項の規定の適用を受けようとする林業経営相続人は、同項に規定する届出書を同項に規定する経営委託をした日から2月以内(以下70の6の6-14の4において「期限内」という。)に納税地の所轄税務署長に提出しなければ、同項の規定の適用はないことに留意する。
 当該届出書を期限内に提出しない場合には、同条第3項の規定の適用については、当該経営委託をした特例山林に係る山林の経営を廃止したこととなり、その廃止した日から2月を経過する日(当該日から当該2月を経過する日までの間に当該林業経営相続人が死亡した場合には、当該林業経営相続人の相続人(包括受遺者を含む。)が当該林業経営相続人の死亡による相続の開始があったことを知った日の翌日から6月を経過する日)に納税の猶予に係る期限が到来することに留意する。(平29課資2-14追加、平30課資2-19改正)

(注)

1 期限内に同項に規定する届出書の提出がなかった場合のゆうじょ規定は設けられていない。

2 上記の「その廃止した日」とは、経営委託をした日をいうことに留意する。

(措置法第70条の6の6第6項の規定の適用を受けた後に特例山林について経営を行うことが困難な状態が解消した場合)

70の6の6-14の5 措置法第70条の6の6第6項の規定の適用を受ける林業経営相続人について、同項に規定する経営委託の終了前に、当該林業経営相続人が特例山林について経営を行うことが困難な状態が解消した場合であっても、その相続税の納税猶予の期限は確定しないことに留意する。(平29課資2-14追加、平30課資2-19改正)

(林業経営相続人の推定相続人に該当しないこととなった場合)

70の6の6-14の6 措置法第70条の6の6第6項の規定の適用を受ける林業経営相続人の同項の適用に係る推定相続人が同項に規定する経営委託の終了前に、当該林業経営相続人の推定相続人に該当しないこととなった場合であっても、その相続税の納税猶予の期限は確定しないことに留意する。(平29課資2-14追加、平30課資2-19改正)

(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)

70の6の6-15 措置法第70条の6の6第14項の規定により、増担保命令等に応じないため納税猶予の期限を繰り上げる場合には、担保不足に対応する納税猶予に係る税額だけでなく、猶予中相続税額の全額について納税猶予の期限を繰り上げることに留意する。(平24課資2-10追加、平29課資2-14、平30課資2-19改正)

(継続届出書の提出期間)

70の6の6-16 措置法第70条の6の6第11項に規定する届出書は、措置法第70条の6の6第2項第7号に規定する経営報告基準日の翌日から5月を経過するごとの日までに提出しなければならないのであるが、その提出期間は、当該経営報告基準日の翌日から当該5月を経過するごとの日までの期間として取り扱う。(平24課資2-10追加、平29課資2-14、平30課資2-19改正)


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