(農地所有適格法人の常時従事者に該当しなくなった場合などの100分の20の計算)

70の6-30 措置法令第40条の7第10項の規定に該当する農地所有適格法人の常時従事者となった者がその後当該法人の常時従事者に該当しなくなった場合、又は同項の規定に該当する草地利用権に係る土地の共同利用者となった者がその後当該土地の共同利用者に該当しなくなった場合における当該出資又は草地利用権に係る土地についての措置法第70条の6第1項第1号に規定する100分の20の計算については、70の4-29((農地所有適格法人の常時従事者に該当しなくなった場合などの100分の20の計算))を準用する。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平28課資2-13、課審7-9改正)

(市街化区域内農地等に係る納税猶予税額について申告書の提出期限の翌日から20年を経過して免除があった場合の100分の20の計算)

70の6-30の2 措置法第70条の6第39項第4号の規定により、相続税の申告書の提出期限の翌日から20年を経過する日において、農業相続人(相続又は遺贈により財産を取得した日において都市営農農地等である特例農地等を有しないものに限る。)が有する特例農地等のうちに当該取得をした日において同号の市街化区域内農地等(措置法第70条の4第2項第4号ロ又はハに掲げる農地であって同項第3号イからハまでに掲げる区域内に所在するもの及び措置法第70条の6第6項第2号に規定する生産緑地等を除く。以下70の6-30の2において同じ。)がある場合には、当該市街化区域内農地等に係る納税猶予税額については、同条第39項第4号の規定により当該20年を経過する日において免除されるが、免除の時において同条第1項第1号に規定する100分の20を超えるかどうかの計算を行う必要はなく、同項後段の適用はないことに留意する。
 なお、免除後に特例農地等の譲渡等があった時は、当該免除に係る市街化区域内農地等の面積は同号後段に規定する「当該相続人のその時の直前におけるこの項本文の規定の適用を受ける特例農地等に係る耕作又は養畜の用に供する土地の面積」(70の6-27((譲渡等をした特例農地等の面積が100分の20を超えるかどうかの計算))の算式におけるA)には含めず、当該100分の20の計算を行うことに留意する。(平21課資2-9追加、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、平30課資2-19、令2課資2-10改正)

(注) 相続税の申告書の提出期限後10年を経過する日において農業相続人が有する措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける準農地のうち農地又は採草放牧地として当該農業相続人の農業の用に供されていないことから同条第7項の規定により納税猶予期限が確定した準農地は、同条第1項第1号後段に規定する「当該農業相続人が相続又は遺贈により取得した特例農地等のうち準農地で農地又は採草放牧地への転用がなされたもの以外のものに係る土地」であることから、当該準農地に係る面積は、同項に規定する100分の20を超えるかどうかの計算の分母の面積に含まれることに留意する。

(100分の20の計算から除外される収用交換等による譲渡等があった場合)

70の6-31 措置法第70条の6第1項第1号に規定する収用交換等による譲渡その他措置法令第40条の7第10項に規定する譲渡又は設定があった場合における当該譲渡又は設定に係る特例農地等に係る措置法第70条の6第1項第1号又は第7項の規定の適用については、70の4-30((100分の20の計算から除外される収用交換等による譲渡等があった場合))を準用する。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)

(買取りの申出等があった場合)

70の6-32 措置法第70条の6第1項の規定の適用を受ける農地又は採草放牧地について買取りの申出等があった場合における当該買取りの申出等に係る特定農地等の面積は、同項第1号の規定による100分の20を超えるかどうかの計算上の分子に該当する譲渡等の面積に含まれないのであるが、当該買取りの申出等は、同条第8項の規定により納税猶予の期限の確定事由に該当し、当該買取りの申出等に係る特定農地等の価額に対応する相続税の額(当該相続税の額に係る利子税の額を含む。)は納付を要するのであるから留意する。
 なお、買取りの申出等があった特定農地等についてその後譲渡等があった場合には、当該譲渡等は納税猶予の期限が確定する相続税の額を計算するときの譲渡等には含まれないのであるから留意する。

(申告期限後10年経過日において納税猶予の期限が確定する準農地から除かれる転用)

70の6-33 措置法第70条の6第7項に規定する「準農地(同日前に……転用がされたものを除く。)」の「転用」については、70の4-32((申告期限後10年経過日において納税猶予の期限が確定する準農地から除かれる転用))を準用する。

(交換又は換地処分により農地又は採草放牧地を取得した場合)

70の6-34 特例農地等について交換又は換地処分が行われた場合において、当該交換又は換地処分が所得税法第58条又は措置法第33条の3の規定により所得税の課税上譲渡がなかつたものとみなされたときにおける措置法第70条の6第19項において準用する措置法第70条の4第15項の規定の適用については、70の4-33((交換又は換地処分により農地又は採草放牧地を取得した場合))を準用する。

(税額計算上の端数処理等)

70の6-35 同一の被相続人からの相続又は遺贈により財産を取得した者のうちに農業相続人がある場合における措置法第70条の6第2項の規定による各人の納付すべき相続税の額の計算に当たっては、相続税法基本通達16-2((課税価格の端数計算))、16-3((相続税の総額を計算する場合の取得金額等の端数処理))及び17-1((あん分割合))の適用があるのであるから留意する。

(被相続人の配偶者が農業相続人でない場合の配偶者の税額軽減額の計算)

70の6-36 共同相続人のうち被相続人の配偶者以外の者が措置法第70条の6第1項の規定の適用を受け、当該配偶者がその適用を受けない場合における当該配偶者に係る相続税法第19条の2((配偶者に対する相続税額の軽減))の規定による配偶者の税額軽減額の計算に当たっては、同条第1項第2号に規定する「相続税の課税価格の合計額」は、農業投資価格を基準として計算した相続税の課税価格の合計額により、「相続税の総額」は当該相続税の課税価格の合計額を基として計算した相続税の総額によるものであるから留意する。
 したがって、この場合には、相続税法第19条の2第1項第2号ロの規定による「配偶者に係る相続税の課税価格に相当する金額」が、農業投資価格を基準として計算した相続税の課税価格の合計額に民法第900条の規定によるその配偶者の相続分(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続分)を乗じて得た金額に相当する金額を超えるとき(その金額が1億6,000万円以下のときを除く。)は、その配偶者については、他の贈与税額控除、相次相続控除などの税額控除によって納付すべき相続税額が算出されないこととなる場合を除き、納付すべき相続税額が算出されることとなる。

(納付すべき相続税額が算出されない配偶者についての納税猶予の適用)

70の6-37 措置法第70条の6第1項の規定は、相続税の申告書の提出により納付すべき相続税の額がある者に限り適用があるのであるが、被相続人の配偶者については、その者が同条第2項第2号の規定に該当する者(農業相続人)であるものとして計算すれば納付すべき相続税の額が算出されないこととなる場合であっても、同項第1号の規定に該当する者(農業相続人以外の者)であるものとして計算すれば納付すべき相続税の額が算出されることとなる場合において、同条第1項の規定の適用を受ける旨の相続税の申告書の提出があったときは、同項の規定による相続税の納税猶予の適用要件(担保の提供に係るものを除く。)を満たす場合に限り、その適用があるものとして取り扱って差し支えない。

(相次相続控除の算式)

70の6-38 第2次相続に係る被相続人が措置法第70条の6第1項の規定による相続税の納税猶予の適用を受けていた場合又は第2次相続により財産を取得した者のうちに当該納税猶予の適用を受ける者がある場合における相次相続控除額の算出方法を算式で示すと、次に掲げるとおりである。(平16課資2-8、平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、令5課資2-21改正)
相次相続控除の算式

(注) 算式中の符号は、次のとおりである。

 Aは、第2次相続に係る被相続人が第1次相続により取得した財産(当該第1次相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものを含む。)につき課せられた相続税額(相続時精算課税の適用を受ける財産につき課せられた贈与税があるときは、当該課せられた贈与税の税額(相続税法第21条の8の規定による控除前の税額とし、延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税に相当する税額を除く。)を控除した後の金額をいい、当該被相続人が当該納税猶予の適用を受けていた場合には、措置法第70条の6第39項の規定により免除された相続税額以外の税額に限る。)

 Bは、第2次相続に係る被相続人が第1次相続により取得した財産の価額及び当該第1次相続に係る被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額(令和6年1月1日以後に贈与により取得した財産については、当該贈与により取得した年分ごとに相続税法第21条の15第1項又は第21条の16第3項の規定により相続時精算課税に係る基礎控除の額を控除した残額の合計額。以下70の6−38において同じ。)の合計額から債務控除をした後の金額

 Cは、第2次相続により相続人及び受遺者の全員が取得した財産の価額及び当該被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額の合計額から債務控除をした後の金額

 C′は、農業相続人が取得した特例農地等の価額を農業投資価格で計算した場合の第2次相続により相続人及び受遺者の全員が取得した財産の価額及び当該被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額の合計額から債務控除をした後の金額

 Dは、第2次相続により当該控除対象者が取得した財産の価額及び当該被相続人からの贈与により取得した財産で相続時精算課税の適用を受けるものの価額の合計額から債務控除をした後の金額をいい、当該控除対象者が農業相続人である場合には、その者の取得した特例農地等の価額は農業投資価格で計算する。

 Eは、第1次相続開始の時から第2次相続開始の時までの期間に相当する年数(1年未満の端数は切り捨てる。)

(増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ)

70の6-39 措置法第70条の6第36項の規定により、増担保命令等に応じないため納税の猶予に係る期限を繰り上げる場合については、70の4-36((増担保命令等に応じない場合の納税猶予の期限の繰上げ))を準用する。(平17課資2-7、平21課資2-9、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25改正)


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