(政府の出資により設立された法人等に対する贈与)

70-1-1 措置法第70条第1項に規定する「国」には、政府の出資により設立された法人を含まないものとし、同項に規定する「地方公共団体」とは、地方自治法(昭和22年法律第67号)第1条の3((地方公共団体の種類))に規定する地方公共団体をいい、地方公共団体の出資により設立された法人は、これに含まれないことに留意する。

(注) 地方自治法第1条の3に規定する「地方公共団体」とは、都道府県、市町村、特別区、地方公共団体の組合及び財産区をいう。

(後援会等に対する贈与)

70-1-2 公立の学校等国又は地方公共団体の設置する施設の建設又は拡張等の目的をもって設立された後援会等に対する財産の贈与であっても、その贈与財産が最終的に国又は地方公共団体に帰属し、又は帰属することが明らかな場合には、当該贈与は、措置法第70条第1項に規定する国又は地方公共団体に対する贈与に該当するものとして取り扱う。

(公益法人設立のための財産の提供)

70-1-3 措置法第70条第1項の規定は、財産の贈与の時において現に存する同項に規定する政令で定める法人に対する贈与について適用があるのであり、同項に規定する政令で定める法人を設立するための寄附行為その他の財産の提供については、適用がないのであるから留意する。

(特定非営利活動法人に対する贈与)

70-1-4 措置法第70条第10項の規定は、財産の贈与の時において特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第2条第2項((定義))に規定する特定非営利活動法人のうち同法第44条第1項((認定))の認定を受けているもの(以下70-1-13までにおいて「認定特定非営利活動法人」という。)について適用があることに留意する。

(「相続又は遺贈により取得した財産」の範囲)

70-1-5 措置法第70条第1項又は第10項の規定の適用がある「相続又は遺贈により取得した財産」には、相続税法第3条((相続又は遺贈により取得したものとみなす場合))、第7条((贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合))から第9条((贈与又は遺贈により取得したものとみなす場合))及び第1章第3節((信託に関する特例))(同法第9条の2第6項ただし書に規定する信託に関する権利及び同法第9条の4第1項又は第2項に規定する信託の受託者が、これらの規定により遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利を除く。)までの規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされた財産を含み、当該相続に係る被相続人から贈与により取得した加算対象贈与財産並びに相続時精算課税の適用を受ける財産で同法第21条の15第1項の規定により相続税の課税価格に加算されるもの及び同法第21条の16第1項の規定により相続又は遺贈により取得したとみなされるものは含まないことに留意する。
 なお、相続税の申告書の提出期限後において、相続税法第3条第1項第2号の規定の適用がある退職手当金等(以下70-3-1までにおいて「退職手当金等」という。)の支給の確定があった場合におけるその支給の確定により取得した退職手当金等については、措置法第70条第1項中「第4条第1項又は第2項」とあるのは「第3条第1項第2号」と、「同法第31条第2項の規定による申告書」とあるのは「国税通則法第18条第2項に規定する期限後申告書又は同法第19条第3項に規定する修正申告書」として措置法第70条第1項又は第10項の規定を適用することとして取り扱うこととする。(平19課資2-7、課審6-5、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、令2課資2-10、令5課資2-21改正)

(相続財産たる家屋の火災保険金等)

70-1-6 措置法第70条第1項又は第10項の規定の適用がある「相続又は遺贈により取得した財産」とは、相続又は遺贈により取得した財産そのものをいうのであるが、当該財産が、例えば、次の(1)のイからトまでに掲げる場合に該当して取得したそれぞれに掲げる財産は「相続又は遺贈により取得した財産」に該当するものとして取り扱う。したがって、当該財産が次の2)のイ又はロに掲げる場合に該当して取得したそれぞれに掲げる財産は、これに該当しないものとする。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(1) 「相続又は遺贈により取得した財産」に該当する財産

イ 相続又は遺贈により取得した建物等が火災により焼失した場合において、当該焼失に伴って取得した火災保険金(被相続人又は遺贈者(死因贈与による贈与者を含む。)が契約者であるものに限る。)

ロ 相続又は遺贈により取得した財産について措置法第33条の4第1項((収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除))に規定する「収用交換等」による譲渡があった場合において、当該収用交換等に伴い取得した財産

ハ 相続又は遺贈により取得した株式発行前の株式、株式の割当てを受ける権利又は株主となる権利について新株の割当て又は交付があった場合において、当該割当て又は交付により取得した新株式(当該新株式の払込金額が旧株式の取得者である相続人等により負担されたものである場合における当該相続人等の払込金額に係る部分を除く。)

ニ 相続又は遺贈により取得した株式等の発行法人について合併若しくは分割又は解散があった場合において、当該合併若しくは分割又は解散により取得した株式、金銭等

ホ 相続又は遺贈により取得した証券投資信託又は貸付信託の受益証券について信託期間が満了した場合において、当該満了により取得した金銭

へ 相続又は遺贈により取得した貸付金債権について弁済期限が到来した場合において、当該弁済により取得した金銭

ト 相続又は遺贈により取得した預貯金の払戻しを受けた場合において、当該払戻しを受けた金銭

(2) 「相続又は遺贈により取得した財産」に該当しない財産

イ 相続又は遺贈により取得した財産について譲渡があった場合において当該譲渡により取得した財産((1)のロの収用交換等に伴い取得した財産を除く。)

ロ 相続又は遺贈により取得した証券投資信託又は貸付信託の受益証券について信託契約の解約があった場合において、当該解約により取得した金銭

(相続税の課税価格の計算の基礎に算入しない価額)

70-1-7 70-1-6((相続財産たる家屋の火災保険金等))の(1)のイからトまでに掲げる財産の贈与について措置法第70条第1項又は第10項の規定を適用する場合においては、同項の規定により相続税の課税価格の計算の基礎に算入しない価額は、当該贈与財産に係る従前の財産(相続又は遺贈により取得した財産をいい、当該贈与財産が当該贈与財産に係る従前の財産の一部であると認められる場合には、その従前の財産のうち当該贈与財産に対応する部分)の価額によるのであるから留意する。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(相続又は遺贈により取得した財産を著しく低い価額で国等に譲渡した場合)

70-1-8 相続又は遺贈により財産を取得した者が、その取得財産を国、地方公共団体、措置法第70条第1項に規定する政令で定める法人又は認定特定非営利活動法人(以下70-1-10までにおいて「国等」という。)に対して著しく低い価額の対価で譲渡した場合には、当該財産のうち、当該財産の相続税の課税価格の計算の基礎となる価額から譲渡の対価の額を控除した金額に相当する部分については、同条第1項又は第10項に規定する贈与があったものとして取り扱う。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(香典返しに代えてする贈与)

70-1-9 相続又は遺贈により財産を取得した者が、弔問者に対する香典返しとしてする物品の供与に代え、香典として取得した金銭等の全部又は一部を国等に贈与した場合におけるその金銭等の贈与については、措置法第70条第1項又は第10項の規定の適用はないのであるから留意する。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(被相続人の意思に基づいてする財産の贈与)

70-1-10 相続又は遺贈により財産を取得した者がしたその取得財産の国等に対する贈与については、措置法第70条第1項又は第10項の規定の適用がない場合においても、当該贈与がその者に係る被相続人又は遺贈者の意思に基づいてなされたものについては、昭和35年10月1日付直資90「被相続人の意思に基づき公益法人を設立する場合等の相続税の取扱いについて」通達の適用があることに留意する。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(負担が不当に減少する結果となると認められない場合)

70-1-11 贈与により財産を取得した措置法第70条第1項に規定する公益社団法人若しくは公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は同条第10項に規定する認定特定非営利活動法人が、相続税法施行令第33条第3項各号((人格のない社団又は財団等に課される贈与税等の額の計算の方法等))に掲げる要件を満たすときは、措置法第70条第1項に規定する「負担が不当に減少する結果となると認められる」場合に該当しないものとして取り扱う。

(注)相続税法施行令第33条第3項各号に掲げる要件を満たすかどうかは、昭和39年6月9日付直審(資)24ほか1課共同「贈与税の非課税財産(公益を目的とする事業の用に供する財産に関する部分)及び持分の定めのない法人に対して財産の贈与等があった場合の取扱いについて」通達の記の第2の14((相続税等の負担の不当減少についての判定))から16((特別の利益を与えること))までに準じて取り扱うものとする。

(相続税の非課税規定に該当しないものについて証明書の提出があった場合)

70-1-12 措置法第70条第1項又は第10項の規定は、たとえ同条第5項に規定する書類の提出があった場合であっても、税務署長において同条第1項又は第10項に規定する要件を満たしていないと認めるときは、適用がないことに留意する。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(「公益を目的とする事業の用に供する」ことの意義)

70-1-13 措置法第70条第2項又は第10項の規定により準用する同条第2項の規定の適用に当たり、同項の贈与により取得した財産が公益を目的とする事業の用に供されているかどうかの判定は、贈与財産が、その贈与の目的に従って当該公益法人の行う公益を目的とする事業(認定特定非営利活動法人については、特定非営利活動促進法第2条第1項に規定する事業をいう。以下70-1-13において同じ。)の用に供されているかどうかによるものとし、贈与財産が贈与時のままでその用に供されているかどうかは問わないものとする。したがって、例えば、同条第1項に規定する政令で定める法人の建物その他の施設の取得資金に充当する目的で贈与された金銭がそれらの施設の取得資金に充当され、又は、配当金その他の果実を当該法人の行う公益を目的とする事業の用に供する目的で贈与された株式その他の財産の収益が当該法人の当該事業の用に供されていることが、それらの財産の管理、運用の状況等から確認できるときは、これらの贈与財産は、いずれも当該法人の公益を目的とする事業の用に供されているものとして取り扱うものであるから留意する。(平19課資2-7、課審6-5改正)

(「同日においてなおその公益を目的とする事業の用に供していない場合」の意義)

70-1-14 措置法第70条第2項に規定する「同日においてなおその公益を目的とする事業の用に供していない場合」とは、贈与による取得財産をその公益を目的とする事業の用に供した日以後贈与の日から2年を経過した日まで引き続き当該事業の用に供している場合以外の場合(当該財産を当該贈与の日から2年を経過した日までの間に当該公益を目的とする事業以外の事業の用に供した場合を含む。)をいうものとする。


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