(加算対象贈与財産及び相続時精算課税の適用を受ける財産)

69の4-1 措置法第69条の4第1項に規定する特例対象宅地等(以下69の5-11までにおいて「特例対象宅地等」という。)には、被相続人から贈与(贈与をした者の死亡により効力を生ずべき贈与(以下「死因贈与」という。)を除く。以下同じ。)により取得したものは含まれないため、相続税法(昭和25年法律第73号)第19条第1項((相続開始前7年以内に贈与があった場合の相続税額))に規定する加算対象贈与財産(以下70−1−5までにおいて「加算対象贈与財産」という。)及び相続時精算課税(同法第21条の9第3項((相続時精算課税の選択))の規定(措置法第70条の2の6第1項、第70条の2の7第1項(第70条の2の8において準用する場合を含む。)又は第70条の3第1項において準用する場合を含む。)をいう。以下70の7の2-3までにおいて同じ。)の適用を受ける財産については、措置法第69条の4第1項の規定の適用はないことに留意する。(平16課資2-8、平18課資2-4、平19課資2-7、課審6-5、平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平27課資2-9、平30課資2-9、令元課資2-10、令5課資2-21改正)

(配偶者居住権等)

69の4-1の2 特例対象宅地等には、配偶者居住権は含まれないが、個人が相続又は遺贈(死因贈与を含む。以下同じ。)により取得した、配偶者居住権に基づく敷地利用権(配偶者居住権の目的となっている建物等(措置法規則第23条の2第1項((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))に規定する建物又は構築物をいう。以下69の4-24の3までにおいて同じ。)の敷地の用に供される宅地等(土地又は土地の上に存する権利で、建物等の敷地の用に供されているものに限る。以下69の4-24の8までにおいて同じ。)を当該配偶者居住権に基づき使用する権利をいう。以下69の4-24の2までにおいて同じ。)及び配偶者居住権の目的となっている建物等の敷地の用に供される宅地等が含まれることに留意する。
 なお、措置法第69条の4第1項の規定の適用を受けるものとしてその全部又は一部の選択をしようとする特例対象宅地等が配偶者居住権に基づく敷地利用権又は当該敷地の用に供される宅地等の全部又は一部である場合の当該特例対象宅地等の面積は、措置法令第40条の2第6項の規定により、それぞれ次の算式により計算された面積であるものとみなして措置法第69条の4第1項の規定が適用されることに留意する。したがって、同条第2項の限度面積要件については、当該算式に基づき計算された面積により判定を行うことに留意する。
 この場合において、配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈により、当該相続に係る被相続人の配偶者が配偶者居住権及び当該敷地の用に供される宅地等(当該被相続人の所有していた宅地等が当該相続又は遺贈により数人の共有に属することとなった場合のその共有持分を除く。)のいずれも取得したときの当該敷地の用に供される宅地等については、措置法令第40条の2第6項の規定の適用はないことに留意する。(令2課資2-10追加)

(算式)
算式

(信託に関する権利)

69の4-2 特例対象宅地等には、個人が相続又は遺贈により取得した信託に関する権利(相続税法第9条の2第6項ただし書に規定する信託に関する権利及び同法第9条の4第1項又は第2項の信託の受託者が、これらの規定により遺贈により取得したものとみなされる信託に関する権利を除く。)で、当該信託の目的となっている信託財産に属する宅地等が、当該相続の開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人又は被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族(以下69の4-24の8までにおいて「被相続人等」という。)の措置法第69条の4第1項に規定する事業の用又は居住の用に供されていた宅地等であるものが含まれることに留意する。(平19課資2-7、課審6-5追加、平19課資2-9、課審6-11、平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平30課資2-9、令2課資2-10改正)

(公共事業の施行により従前地及び仮換地について使用収益が禁止されている場合)

69の4-3 特例対象宅地等には、個人が被相続人から相続又は遺贈により取得した被相続人等の居住用等(事業(措置法令第40条の2第1項に規定する準事業を含む。以下69の4-5までにおいて同じ。)の用又は居住の用をいう。以下69の4-3において同じ。)に供されていた宅地等(以下69の4-3において「従前地」という。)で、公共事業の施行による土地区画整理法(昭和29年法律第119号)第3章第3節((仮換地の指定))に規定する仮換地の指定に伴い、当該相続の開始の直前において従前地及び仮換地の使用収益が共に禁止されている場合で、当該相続の開始の時から相続税の申告書の提出期限(以下69の4-36までにおいて「申告期限」という。)までの間に当該被相続人等が仮換地を居住用等に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情がなかったものが含まれることに留意する。(平19課資2-9、課審6-11追加、平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平30課資2-9改正)

(注) 被相続人等が仮換地を居住用等に供する予定がなかったと認めるに足りる特段の事情とは、例えば、次に掲げる事情がある場合をいうことに留意する。

(1) 従前地について売買契約を締結していた場合

(2) 被相続人等の居住用等に供されていた宅地等に代わる宅地等を取得(売買契約中のものを含む。)していた場合

(3) 従前地又は仮換地について相続税法第6章((延納又は物納))に規定する物納の申請をし又は物納の許可を受けていた場合

(被相続人等の事業の用に供されていた宅地等の範囲)

69の4-4 措置法第69条の4第1項に規定する被相続人等の事業の用に供されていた宅地等(以下69の4-18までにおいて「事業用宅地等」という。)とは、次に掲げる宅地等(相続の開始の直前において配偶者居住権に基づき使用又は収益されていた建物等の敷地の用に供されていたものを除く(当該宅地等については69の4-4の2参照)。)をいうものとする。(平19課資2-7、課審6-5、平19課資2-9、課審6-11、平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、令2課資2-10改正)

(1) 他に貸し付けられていた宅地等(当該貸付けが事業に該当する場合に限る。)

(2) (1)に掲げる宅地等を除き、被相続人等の事業の用に供されていた建物等で、被相続人等が所有していたもの又は被相続人の親族(被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族を除く。69の4-4の2において「その他親族」という。)が所有していたもの(被相続人等が当該建物等を当該その他親族から無償(相当の対価に至らない程度の対価の授受がある場合を含む。以下69の4-33までにおいて同じ。)で借り受けていた場合における当該建物等に限る。)の敷地の用に供されていたもの

(宅地等が配偶者居住権の目的となっている建物等の敷地である場合の被相続人等の事業の用に供されていた宅地等の範囲)

69の4-4の2 相続又は遺贈により取得した宅地等が、当該相続の開始の直前において配偶者居住権に基づき使用又は収益されていた建物等の敷地の用に供されていたものである場合には、当該宅地等のうち、次に掲げる宅地等が事業用宅地等に該当するものとする。(令2課資2-10追加)

(1) 他に貸し付けられていた宅地等(当該貸付けが事業に該当する場合に限る。)

(2) (1)に掲げる宅地等を除き、被相続人等の事業の用に供されていた建物等(被相続人等又はその他親族が所有していた建物等をいう。以下(2)において同じ。)で、被相続人等が配偶者居住権者(当該配偶者居住権を有する者をいう。以下69の4-23までにおいて同じ。)であるもの又はその他親族が配偶者居住権者であるもの(被相続人等が当該建物等を配偶者居住権者である当該その他親族から無償で借り受けていた場合における当該建物等に限る。)の敷地の用に供されていたもの

(事業用建物等の建築中等に相続が開始した場合)

69の4-5 被相続人等の事業の用に供されている建物等の移転又は建替えのため当該建物等を取り壊し、又は譲渡し、これらの建物等に代わるべき建物等(被相続人又は被相続人の親族の所有に係るものに限る。)の建築中に、又は当該建物等の取得後被相続人等が事業の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合で、当該相続開始直前において当該被相続人等の当該建物等に係る事業の準備行為の状況からみて当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったと認められるときは、当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等は、事業用宅地等に該当するものとして取り扱う。
 なお、当該被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族又は当該建物等若しくは当該建物等の敷地の用に供されていた宅地等を相続若しくは遺贈により取得した当該被相続人の親族が、当該建物等を相続税の申告期限までに事業の用に供しているとき(申告期限において当該建物等を事業の用に供していない場合であっても、それが当該建物等の規模等からみて建築に相当の期間を要することによるものであるときは、当該建物等の完成後速やかに事業の用に供することが確実であると認められるときを含む。)は、当該相続開始直前において当該被相続人等が当該建物等を速やかにその事業の用に供することが確実であったものとして差し支えない。(平19課資2-7、課審6-5、平19課資2-9、課審6-11、平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 当該建築中又は取得に係る建物等のうちに被相続人等の事業の用に供されると認められる部分以外の部分があるときは、事業用宅地等の部分は、当該建物等の敷地のうち被相続人等の事業の用に供されると認められる当該建物等の部分に対応する部分に限られる。

(使用人の寄宿舎等の敷地)

69の4-6 被相続人等の営む事業に従事する使用人の寄宿舎等(被相続人等の親族のみが使用していたものを除く。)の敷地の用に供されていた宅地等は、被相続人等の当該事業に係る事業用宅地等に当たるものとする。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲)

69の4-7 措置法第69条の4第1項に規定する被相続人等の居住の用に供されていた宅地等(以下69の4-8までにおいて「居住用宅地等」という。)とは、次に掲げる宅地等(相続の開始の直前において配偶者居住権に基づき使用又は収益されていた建物等の敷地の用に供されていたものを除く(当該宅地等については69の4-7の2参照)。)をいうものとする。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-13、課審7-18、平26課資2-12、評審7-17、徴管6-25、令2課資2-10改正)

(1) 相続の開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた家屋で、被相続人が所有していたもの(被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族が居住の用に供していたものである場合には、当該親族が被相続人から無償で借り受けていたものに限る。)又は被相続人の親族が所有していたもの(当該家屋を所有していた被相続人の親族が当該家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、被相続人等が当該家屋を当該親族から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)の敷地の用に供されていた宅地等

(2) 措置法令第40条の2第2項に定める事由により被相続人の居住の用に供されなくなる直前まで、被相続人の居住の用に供されていた家屋で、被相続人が所有していたもの又は被相続人の親族が所有していたもの(当該家屋を所有していた被相続人の親族が当該家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、被相続人が当該家屋を当該親族から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)の敷地の用に供されていた宅地等(被相続人の居住の用に供されなくなった後、措置法第69条の4第1項に規定する事業の用又は新たに被相続人等以外の者の居住の用に供された宅地等を除く。)

(注) 上記(1)及び(2)の宅地等のうちに被相続人等の居住の用以外の用に供されていた部分があるときは、当該被相続人等の居住の用に供されていた部分に限られるのであるが、当該居住の用に供されていた部分が、被相続人の居住の用に供されていた1棟の建物(建物の区分所有等に関する法律(昭和37年法律第69号)第1条の規定に該当する建物を除く。)に係るものである場合には、当該1棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち当該被相続人の親族の居住の用に供されていた部分が含まれることに留意する(69の4-7の2(1)及び(2)に掲げる宅地等についても同じ。)。

(宅地等が配偶者居住権の目的となっている家屋の敷地である場合の被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の範囲)

69の4-7の2 相続又は遺贈により取得した宅地等が、当該相続の開始の直前において配偶者居住権に基づき使用又は収益されていた家屋の敷地の用に供されていたものである場合には、当該宅地等のうち、次に掲げる宅地等が居住用宅地等に該当するものとする。(令2課資2-10追加)

(1) 相続の開始の直前において、被相続人等の居住の用に供されていた家屋(被相続人又は被相続人の親族が配偶者居住権者である場合のその配偶者居住権の目的となっている家屋をいう。以下(1)において同じ。)で、被相続人が所有していたもの(当該被相続人等が当該家屋を当該配偶者居住権者から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)又は被相続人の親族が所有していたもの(当該家屋を所有していた被相続人の親族が当該家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、当該被相続人等が当該家屋を当該配偶者居住権者から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)の敷地の用に供されていた宅地等

(2) 措置法令第40条の2第2項に定める事由により被相続人の居住の用に供されなくなる直前まで、被相続人の居住の用に供されていた家屋(被相続人又は被相続人の親族が配偶者居住権者である場合のその配偶者居住権の目的となっている家屋をいう。以下(2)において同じ。)で、被相続人が所有していたもの(当該被相続人が当該家屋を当該配偶者居住権者から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)又は被相続人の親族が所有していたもの(当該家屋を所有していた被相続人の親族が当該家屋の敷地を被相続人から無償で借り受けており、かつ、当該被相続人が当該家屋を当該配偶者居住権者から借り受けていた場合には、無償で借り受けていたときにおける当該家屋に限る。)の敷地の用に供されていた宅地等(被相続人の居住の用に供されなくなった後、措置法第69条の4第1項に規定する事業の用又は新たに被相続人等以外の者の居住の用に供された宅地等を除く。)

(要介護認定等の判定時期)

69の4-7の3 被相続人が、措置法令第40条の2第2項1号に規定する要介護認定若しくは要支援認定又は同項第2号に規定する障害支援区分の認定を受けていたかどうかは、当該被相続人が、当該被相続人の相続の開始の直前において当該認定を受けていたかにより判定するのであるから留意する。(平25課資2-13、課審7-18追加、平27課資2-9改正)

(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物)

69の4-7の4 措置法令第40条の2第4項及び第13項に規定する「建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物」とは、区分所有建物である旨の登記がされている建物をいうことに留意する。(平25課資2-13、課審7-18、平26課資2-12、課審7-17、徴管6-25、令元課資2-10 改正)

(注) 上記の区分所有物とは、被災区分所有建物の再建等に関する特別措置法(平成7年法律第43号)第2条に規定する区分所有建物をいうことに留意する。

(居住用建物の建築中等に相続が開始した場合)

69の4-8 被相続人等の居住の用に供されると認められる建物(被相続人又は被相続人の親族の所有に係るものに限る。)の建築中に、又は当該建物の取得後被相続人等が居住の用に供する前に被相続人について相続が開始した場合には、当該建物の敷地の用に供されていた宅地等が居住用宅地等に当たるかどうか及び居住用宅地等の部分については、69の4-5((事業用建物等の建築中等に相続が開始した場合))に準じて取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 上記の取扱いは、相続の開始の直前において被相続人等が自己の居住の用に供している建物(被相続人等の居住の用に供されると認められる建物の建築中等に限り一時的に居住の用に供していたにすぎないと認められる建物を除く。)を所有していなかった場合に限り適用があるのであるから留意する。

(店舗兼住宅等の敷地の持分の贈与について贈与税の配偶者控除等の適用を受けたものの居住の用に供されていた部分の範囲)

69の4-9 措置法第69条の4第1項の規定の適用がある店舗兼住宅等の敷地の用に供されていた宅地等で相続の開始の年の前年以前に被相続人からのその持分の贈与につき相続税法第21条の6第1項((贈与税の配偶者控除))の規定による贈与税の配偶者控除の適用を受けたもの(昭和34年1月28日付直資10「相続税法基本通達の全部改正について」(以下「相続税法基本通達」という。)21の6-3((店舗兼住宅等の持分の贈与があった場合の居住用部分の判定))のただし書の取扱いを適用して贈与税の申告があったものに限る。)又は相続の開始の年に被相続人からのその持分の贈与につき相続税法第19条第2項第2号の規定により特定贈与財産に該当することとなったもの(相続税法基本通達19-10((店舗兼住宅等の持分の贈与を受けた場合の特定贈与財産の判定))の後段の取扱いを適用して相続税の申告があったものに限る。)であっても、措置法令第40条の2第4項((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))に規定する被相続人等の居住の用に供されていた部分の判定は、当該相続の開始の直前における現況によって行うのであるから留意する。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-13、課資7-18改正)

(選択特例対象宅地等のうちに貸付事業用宅地等がある場合の限度面積要件)

69の4-10 措置法第69条の4第2項第3号の要件に該当する場合を算式で示せば、次のとおりである。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-13、課資7-18改正)

A×200÷400+B×200÷330+C大なりイコール400平方メートル

(注) 算式中の符号は、次のとおりである。

Aは、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべての措置法第69条の4第1項に規定する選択特例対象宅地等(以下69の4-11までにおいて「選択特例対象宅地等」という。)である同条第2項第1号に規定する特定事業用等宅地等の面積の合計

Bは、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべての選択特例対象宅地等である同条第3項第2号に規定する特定居住用宅地等の面積の合計

Cは、当該相続又は遺贈により財産を取得した者に係るすべての選択特例対象宅地等である同条第3項第4号に規定する貸付事業用宅地等の面積の合計

(限度面積要件を満たさない場合)

69の4-11 選択特例対象宅地等が措置法第69条の4第2項に規定する限度面積要件を満たしていない場合は、その選択特例対象宅地等のすべてについて同条第1項の適用がないことに留意する。
 なお、この場合、その後の国税通則法(昭和37年法律第66号)第18条第2項((期限後申告))に規定する期限後申告書及び同法第19条第3項((修正申告))に規定する修正申告書において、その選択特例対象宅地等が限度面積要件を満たすこととなったときは、その選択特例対象宅地等について措置法第69条の4第1項の適用がある(69の4-12に規定する場合を除く。)ことに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(小規模宅地等の特例、特定計画山林の特例又は個人の事業用資産についての納税猶予及び免除を重複適用する場合に限度額要件等を満たさないとき)

69の4-12 措置法第69条の4第1項に規定する小規模宅地等(以下69の5-13までにおいて「小規模宅地等」という。)、措置法第69条の5第1項((特定計画山林についての相続税の課税価格の計算の特例))に規定する選択特定計画山林(以下69の5-13までにおいて「選択特定計画山林」という。)又は措置法第70条の6の10第1項((個人の事業用資産についての相続税の納税猶予及び免除))に規定する特例事業用資産のうち同条第2項第1号イに掲げるもの(以下69の5-13までにおいて「猶予対象宅地等」という。)について、措置法第69条の4第1項、第69条の5第1項又は第70条の6の10第1項の規定の適用を重複して受けようとする場合において、その選択特定計画山林の価額が措置法第69条の5第5項(措置法令第40条の2の2第9項の規定の適用がある場合を含む。)に規定する限度額(69の5-12参照)を超えるとき又はその猶予対象宅地等の面積が同号イに規定する限度面積(70の6の10-17参照)を超えるときは、その小規模宅地等の全てについて措置法第69条の4第1項の規定の適用はないことに留意する。
 なお、この場合、その後の国税通則法第18条第2項に規定する期限後申告書及び同法第19条第3項に規定する修正申告書において、当該限度額又は当該限度面積を超えないこととなったときは、その小規模宅地等について措置法第69条の4第1項の規定の適用があることに留意する。(平16課資2-8、平18課資2-4、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、令元課資2-10、令2課資2-10改正)

(注)

  1. 1 上記の限度額を超える場合における当該選択特定計画山林及び上記の限度面積を超える場合における当該猶予対象宅地等は、その全てについて措置法第69条の5第1項及び第70条の6の10第1項の規定の適用もないことに留意する(69の5-13及び70の6の10-18参照)。
  2. 2 上記の「猶予対象宅地等」には、措置法令第40条の2第5項に規定する猶予対象受贈宅地等を含むことに留意する。

(不動産貸付業等の範囲)

69の4-13 被相続人等の不動産貸付業、駐車場業又は自転車駐車場業については、その規模、設備の状況及び営業形態等を問わず全て措置法第69条の4第3項第1号及び第4号に規定する不動産貸付業又は措置法令第40条の2第7項に規定する駐車場業若しくは自転車駐車場業に当たるのであるから留意する。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-13、課資7-18、平30課資2-9、令元課資2-10改正)

(注) 措置法令第40条の2第1項に規定する準事業は、上記の不動産貸付業、駐車場業又は自転車駐車場業に当たらないことに留意する。

(下宿等)

69の4-14 下宿等のように部屋を使用させるとともに食事を供する事業は、措置法第69条の4第3項第1号及び第4号に規定する「不動産貸付業その他政令で定めるもの」に当たらないものとする。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(宅地等を取得した親族が申告期限までに死亡した場合)

69の4-15 被相続人の事業用宅地等を相続又は遺贈により取得した被相続人の親族が当該相続に係る相続税の申告期限までに死亡した場合には、当該親族から相続又は遺贈により当該宅地等を取得した当該親族の相続人が、措置法第69条の4第3項第1号イ又は第4号イの要件を満たせば、当該宅地等は同項第1号に規定する特定事業用宅地等又は同項第4号に規定する貸付事業用宅地等に当たるのであるから留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 当該相続人について措置法第69条の4第3項第1号イ又は第4号イの要件に該当するかどうかを判定する場合において、同項第1号又は第4号の申告期限は、相続税法第27条第2項((相続税の申告書))の規定による申告期限をいい、また、被相続人の事業(措置令第40条の2第1項に規定する事業を含む。以下69の4-15において同じ。)を引き継ぐとは、当該相続人が被相続人の事業を直接引き継ぐ場合も含まれるのであるから留意する。

(申告期限までに転業又は廃業があった場合)

69の4-16 措置法第69条の4第3項第1号イの要件の判定については、同号イの申告期限までに、同号イに規定する親族が当該宅地等の上で営まれていた被相続人の事業の一部を他の事業(同号に規定する事業に限る。)に転業しているときであっても、当該親族は当該被相続人の事業を営んでいるものとして取り扱う。
 なお、当該宅地等が被相続人の営む2以上の事業の用に供されていた場合において、当該宅地等を取得した同号イに規定する親族が同号イの申告期限までにそれらの事業の一部を廃止したときにおけるその廃止に係る事業以外の事業の用に供されていた当該宅地等の部分については、当該宅地等の部分を取得した当該親族について同号イの要件を満たす限り、同号に規定する特定事業用宅地等に当たるものとする。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注)

1 措置法第69条の4第3項第4号イの要件の判定については、上記に準じて取り扱う。

2 措置法第69条の4第3項第1号ロ、同項第3号及び同項第4号ロの要件の判定については、上記のなお書に準じて取り扱う。

(災害のため事業が休止された場合)

69の4-17 措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定において、被相続人等の事業の用に供されていた施設が災害により損害を受けたため、同号イ又はロの申告期限において当該事業が休業中である場合には、同号に規定する親族(同号イの場合にあっては、その親族の相続人を含む。)により当該事業の再開のための準備が進められていると認められるときに限り、当該施設の敷地は、当該申告期限においても当該親族の当該事業の用に供されているものとして取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 措置法第69条の4第3項第2号イ及びハ、同項第3号並びに同項第4号イ及びロの要件の判定については、上記に準じて取り扱う。

(申告期限までに宅地等の一部の譲渡又は貸付けがあった場合)

69の4-18 措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定については、被相続人等の事業用宅地等の一部が同号イ又はロの申告期限までに譲渡され、又は他に貸し付けられ、同号の親族(同号イの場合にあっては、その親族の相続人を含む。)の同号イ又はロに規定する事業の用に供されなくなったときであっても、当該譲渡され、又は貸し付けられた宅地等の部分以外の宅地等の部分については、当該親族について同号イ又はロの要件を満たす限り、同号に規定する特定事業用宅地等に当たるものとして取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 措置法第69条の4第3項第3号の要件の判定については、上記に準じて取り扱う。

(申告期限までに事業用建物等を建て替えた場合)

69の4-19 措置法第69条の4第3項第1号イ又はロの要件の判定において、同号に規定する親族(同号イの場合にあっては、その親族の相続人を含む。)の事業の用に供されている建物等が同号イ又はロの申告期限までに建替え工事に着手された場合に、当該宅地等のうち当該親族により当該事業の用に供されると認められる部分については、当該申告期限においても当該親族の当該事業の用に供されているものとして取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 措置法第69条の4第3項第2号イ及びハ、同項第3号並びに同項第4号イ及びロの要件の判定については、上記に準じて取り扱う。

(宅地等を取得した親族が事業主となっていない場合)

69の4-20 措置法第69条の4第3項第1号イに規定する事業を営んでいるかどうかは、事業主として当該事業を行っているかどうかにより判定するのであるが、同号イに規定する親族が就学中であることその他当面事業主となれないことについてやむを得ない事情があるため、当該親族の親族が事業主となっている場合には、同号イに規定する親族が当該事業を営んでいるものとして取り扱う。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10改正)

(注) 事業を営んでいるかどうかは、会社等に勤務するなど他に職を有し、又は当該事業の他に主たる事業を有している場合であっても、その事業の事業主となっている限りこれに当たるのであるから留意する。

(新たに事業の用に供されたか否かの判定)

69の4-20の2 措置法第69条の4第3項第1号の「新たに事業の用に供された宅地等」とは、事業(貸付事業(同項第4号に規定する貸付事業をいう。以下69の4-20の2において同じ。)を除く。以下69の4-20の5までにおいて同じ。)の用以外の用に供されていた宅地等が事業の用に供された場合の当該宅地等又は宅地等若しくはその上にある建物等につき「何らの利用がされていない場合」の宅地等が事業の用に供された場合の当該宅地等をいうことに留意する。
 したがって、例えば、居住の用又は貸付事業の用に供されていた宅地等が事業の用に供された場合の当該事業の用に供された部分については、「新たに事業の用に供された宅地等」に該当するが、事業の用に供されていた宅地等が他の事業の用に供された場合の当該他の事業の用に供された部分については、これに該当しないことに留意する。
 また、次に掲げる場合のように、事業に係る建物等が一時的に事業の用に供されていなかったと認められるときには、当該建物等に係る宅地等は、上記の「何らの利用がされていない場合」の宅地等に該当しないことに留意する。(令元課資2−10追加)

(1) 継続的に事業の用に供されていた建物等につき建替えが行われた場合において、建物等の建替え後速やかに事業の用に供されていたとき(当該建替え後の建物等を事業の用以外の用に供していないときに限る。)

(2) 継続的に事業の用に供されていた建物等が災害により損害を受けたため、当該建物等に係る事業を休業した場合において、事業の再開のための当該建物等の修繕その他の準備が行われ、事業が再開されていたとき(休業中に当該建物等を事業の用以外の用に供していないときに限る。)

(注)

  1. 1 建替えのための建物等の建築中に相続が開始した場合には69の4-5の取扱いが、また、災害による損害のための休業中に相続が開始した場合には69の4-17の取扱いが、それぞれあることに留意する。
  2. 2 (1)又は(2)に該当する場合には、当該宅地等に係る「新たに事業の用に供された」時は、(1)の建替え前又は(2)の休業前の事業に係る事業の用に供された時となることに留意する。
  3. 3 (1)に該当する場合において、建替え後の建物等の敷地の用に供された宅地等のうちに、建替え前の建物等の敷地の用に供されていなかった宅地等が含まれるときは、当該供されていなかった宅地等については、新たに事業の用に供された宅地等に該当することに留意する。

(政令で定める規模以上の事業の意義等)

69の4-20の3 措置法令第40条の2第8項で定める規模以上の事業は、次に掲げる算式を満たす場合における当該事業(以下69の4-20の3において「特定事業」という。)であることに留意する。
 なお、特定事業に該当するか否かの判定は、下記の特定宅地等ごとに行うことに留意する。(令元課資2−10追加)

(算式)
算式

(注)

  1. 1 「減価償却資産」とは、特定宅地等に係る被相続人等の事業の用に供されていた次に掲げる資産をいい、当該資産のうちに当該事業の用以外の用に供されていた部分がある場合には、当該事業の用に供されていた部分に限ることに留意する。
    1. 1 特定宅地等の上に存する建物(その附属設備を含む。)又は構築物
    2. 1 所得税法第2条第1項第19号((定義))に規定する減価償却資産で特定宅地等の上で行われる当該事業に係る業務の用に供されていたもの(1に掲げるものを除く。)
     なお、当該事業が特定宅地等を含む一の宅地等の上で行われていた場合には、特定宅地等を含む一の宅地等の上に存する建物(その附属設備を含む。)又は構築物のうち当該事業の用に供されていた部分並びに上記1の減価償却資産のうち特定宅地等を含む一の宅地等の上で行われる当該事業に係る業務の用に供されていた部分(当該建物及び当該構築物を除く。)は、上記1又は1に掲げる資産にそれぞれ含まれることに留意する。
      また、上記1に掲げる資産が、共通して当該業務及び当該業務以外の業務の用に供されていた場合であっても、当該資産の全部が上記1に掲げる資産に該当することに留意する。
     おって、「事業の用に供されていた減価償却資産」に該当するか否かの判定は、特定宅地等を新たに事業の用に供した時ではなく、相続開始の直前における現況によって行うことに留意する。したがって、例えば、特定宅地等を新たに事業の用に供した後に被相続人等が取得した上記1に掲げる資産も上記算式の分子に含まれることに留意する。
  2. 2 「被相続人等が有していたもの」は、事業を行っていた被相続人又は事業を行っていた生計一親族(被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族をいう。)が、自己の事業の用に供し、所有していた減価償却資産であることに留意する。
  3. 3 「特定宅地等」は、相続開始の直前において被相続人が所有していた宅地等であり、当該宅地等が数人の共有に属していた場合には当該被相続人の有していた持分の割合に応ずる部分であることに留意する。

(相続開始前3年を超えて引き続き事業の用に供されていた宅地等の取扱い)

69の4-20の4 相続開始前3年を超えて引き続き被相続人等の事業の用に供されていた宅地等については、「措置法令第40条の2第8項に定める規模以上の事業を行っていた被相続人等の事業」以外の事業に係るものであっても、措置法第69条の4第3項第1号イ又はロに掲げる要件を満たす当該被相続人の親族が取得した場合には、同号に規定する特定事業用宅地等に該当することに留意する。(令元課資2−10追加)

(注) 被相続人等の事業の用に供されていた宅地等が69の4-20の2に掲げる場合に該当する場合には、当該宅地等は引き続き事業の用に供されていた宅地等に該当することに留意する。

(平成31年改正法附則による特定事業用宅地等に係る経過措置について)

69の4-20の5 所得税法等の一部を改正する法律(平成31年法律第6号)附則第79条第2項の規定により、平成31年4月1日から令和4年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得をした宅地等については、平成31年4月1日以後に新たに事業の用に供されたもの(措置法令第40条の2第8項に定める規模以上の事業を行っていた被相続人等の事業の用に供されたものを除く。)が、措置法第69条の4第3項第1号に規定する特定事業用宅地等の対象となる宅地等から除かれることに留意する。(令元課資2−10追加)

(被相続人の居住用家屋に居住していた親族の範囲)

69の4-21 措置法第69条の4第3項第2号ロに規定する当該被相続人の居住の用に供されていた家屋に居住していた親族とは、当該被相続人に係る相続の開始の直前において当該家屋で被相続人と共に起居していたものをいうのであるから留意する。この場合において、当該被相続人の居住の用に供されていた家屋については、当該被相続人が1棟の建物でその構造上区分された数個の部分の各部分(以下69の4-21において「独立部分」という。)を独立して住居その他の用途に供することができるものの独立部分の一に居住していたときは、当該独立部分をいうものとする。(平20課資2-1、課審6-1、平25課資2-13、課資7-18改正)

(「当該親族の配偶者」等の意義)

69の4-22 措置法第69条の4第3項第2号ロ(1)に規定する「当該親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人」とは、相続の開始の直前において同号に規定する親族の配偶者、当該親族の三親等内の親族又は当該親族と特別の関係がある法人である者をいうものとする。

(平成30年改正法附則による特定居住用宅地等に係る経過措置について)

69の4-22の2 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号。以下69の4-22の2及び69の4-24の8において「平成30年改正法」という。)附則第118条第2項((相続税及び贈与税の特例に関する経過措置))に規定する経過措置対象宅地等(以下69の4-22の2において「経過措置対象宅地等」という。)については、次の経過措置が設けられていることに留意する。(平30課資2-9追加、令元課資2-10改正)

(1) 個人が平成30年4月1日から令和2年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得をした経過措置対象宅地等については、措置法第69条の4第3項第2号に規定する親族に係る要件は、同号イからハまでに掲げる要件のいずれか又は平成30年改正法による改正前の措置法第69条の4第3項第2号ロに掲げる要件とする。

(2) 個人が令和2年4月1日以後に相続又は遺贈により取得をした財産のうちに経過措置対象宅地等がある場合において、同年3月31日において当該経過措置対象宅地等の上に存する建物の新築又は増築その他の工事が行われており、かつ、当該工事の完了前に相続又は遺贈があったときは、その相続又は遺贈に係る相続税の申告期限までに当該個人が当該建物を自己の居住の用に供したときは、当該経過措置対象宅地等は相続開始の直前において当該相続又は遺贈に係る被相続人の居住の用に供されていたものと、当該個人は措置法第69条の4第3項第2号イに掲げる要件を満たす親族とそれぞれみなす。

(注)

1 経過措置対象宅地等とは、平成30年3月31日に相続又は遺贈があったものとした場合に、平成30年改正法による改正前の措置法第69条の4第1項に規定する特例対象宅地等(同条第3項第2号に規定する特定居住用宅地等のうち同号ロに掲げる要件を満たすものに限る。)に該当することとなる宅地等をいうことに留意する。

2 「工事の完了」とは、新築又は増築その他の工事に係る請負人から新築された建物の引渡しを受けたこと又は増築その他の工事に係る部分につき引渡しを受けたことをいうことに留意する。

(法人の事業の用に供されていた宅地等の範囲)

69の4-23 措置法第69条の4第3項第3号に規定する法人の事業の用に供されていた宅地等とは、次に掲げる宅地等のうち同号に規定する法人(同号に規定する申告期限において清算中の法人を除く。以下69の4-24までにおいて同じ。)の事業の用に供されていたものをいうものとする。 (平18課資2-4、平20課資2-1、課審6-1、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-13、課審7-18、令元課資2-10、令2課資2-10改正)

(1) 当該法人に貸し付けられていた宅地等(当該貸付けが同条第1項に規定する事業に該当する場合に限る。)

(2) 当該法人の事業の用に供されていた建物等で、被相続人が所有していたもの又は被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族が所有していたもの(当該親族が当該建物等の敷地を被相続人から無償で借り受けていた場合における当該建物等に限る。)で、当該法人に貸し付けられていたもの(当該貸付けが同項に規定する事業に該当する場合に限る。)の敷地の用に供されていたもの

(注)

1 措置法第69条の4第3項第3号に規定する法人の事業には、不動産貸付業その他措置法令第40条の2第7項に規定する駐車場、自転車駐車場及び準事業が含まれないことに留意する。

2 相続又は遺贈により取得した宅地等が、当該相続の開始の直前において配偶者居住権に基づき使用又は収益されていた建物等の敷地の用に供されていたものである場合には、上記(2)の「被相続人と生計を一にしていたその被相続人の親族」とあるのは「被相続人の親族」と、「で、当該法人に」とあるのは「のうち、配偶者居住権者である被相続人等により当該法人へ」と読み替えるものとする。

(法人の社宅等の敷地)

69の4-24 措置法第69条の4第3項第3号の要件の判定において、同号に規定する法人の社宅等(被相続人等の親族のみが使用していたものを除く。)の敷地の用に供されていた宅地等は、当該法人の事業の用に供されていた宅地等に当たるものとする。(平20課資2-1、課審6-1改正)

(被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等)

69の4-24の2 宅地等が措置法第69条の4第3項第4号に規定する被相続人等の貸付事業(以下69の4-24の8までにおいて「貸付事業」という。)の用に供されていた宅地等に該当するかどうかは、当該宅地等が相続開始の時において現実に貸付事業の用に供されていたかどうかで判定するのであるが、貸付事業の用に供されていた宅地等には、当該貸付事業に係る建物等のうちに相続開始の時において一時的に賃貸されていなかったと認められる部分がある場合における当該部分に係る宅地等の部分が含まれることに留意する。(平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10追加、平30課資2-9、令2課資2-10改正)

(注)

1 69の4-5の取扱いがある場合を除き、新たに貸付事業の用に供する建物等を建築中である場合や、新たに建築した建物等に係る賃借人の募集その他の貸付事業の準備行為が行われているに過ぎない場合には、当該建物等に係る宅地等は貸付事業の用に供されていた宅地等に該当しないことに留意する。

2 配偶者居住権の設定に係る相続又は遺贈により当該貸付事業に係る建物等(当該配偶者居住権の目的とされたものに限る。)の敷地の用に供されていた宅地等を取得した場合には、当該宅地等のうち当該配偶者居住権に基づく敷地利用権に相当する部分については、当該貸付事業の用に供されていた宅地等に該当しないことに留意する。

(新たに貸付事業の用に供されたか否かの判定)

69の4-24の3 措置法第69条の4第3項第4号の「新たに貸付事業の用に供された」とは、貸付事業の用以外の用に供されていた宅地等が貸付事業の用に供された場合又は宅地等若しくはその上にある建物等につき「何らの利用がされていない場合」の当該宅地等が貸付事業の用に供された場合をいうことに留意する。
 したがって、賃貸借契約等につき更新がされた場合は、新たに貸付事業の用に供された場合に該当しないことに留意する。
 また、次に掲げる場合のように、貸付事業に係る建物等が一時的に賃貸されていなかったと認められるときには、当該建物等に係る宅地等は、上記の「何らの利用がされていない場合」に該当しないことに留意する。(平30課資2-9追加)

(1) 継続的に賃貸されていた建物等につき賃借人が退去をした場合において、その退去後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、賃貸されていたとき(新たな賃借人が入居するまでの間、当該建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。)

(2) 継続的に賃貸されていた建物等につき建替えが行われた場合において、建物等の建替え後速やかに新たな賃借人の募集が行われ、賃貸されていたとき(当該建替え後の建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。)

(3) 継続的に賃貸されていた建物等が災害により損害を受けたため、当該建物等に係る貸付事業を休業した場合において、当該貸付事業の再開のための当該建物等の修繕その他の準備が行われ、当該貸付事業が再開されていたとき(休業中に当該建物等を貸付事業の用以外の用に供していないときに限る。)

(注)

1 建替えのための建物等の建築中に相続が開始した場合には69の4-5の取扱いが、また、災害による損害のための休業中に相続が開始した場合には69の4-17の取扱いが、それぞれあることに留意する。

2 (1)、(2)又は(3)に該当する場合には、当該宅地等に係る「新たに貸付事業の用に供された」時は、(1)の退去前、(2)の建替え前又は(3)の休業前の賃貸に係る貸付事業の用に供された時となることに留意する。

3 (2)に該当する場合において、建替え後の建物等の敷地の用に供された宅地等のうちに、建替え前の建物等の敷地の用に供されていなかった宅地等が含まれるときは、当該供されていなかった宅地等については、新たに貸付事業の用に供された宅地等に該当することに留意する。

(特定貸付事業の意義)

69の4-24の4 措置法令第40条の2第19項に規定する特定貸付事業(以下69の4-24の8までにおいて「特定貸付事業」という。)は、貸付事業のうち準事業以外のものをいうのであるが、被相続人等の貸付事業が準事業以外の貸付事業に当たるかどうかについては、社会通念上事業と称するに至る程度の規模で当該貸付事業が行われていたかどうかにより判定することに留意する。
 なお、この判定に当たっては、次によることに留意する。(平30課資2-9追加、令元課資2-10改正)

(1) 被相続人等が行う貸付事業が不動産の貸付けである場合において、当該不動産の貸付けが不動産所得(所得税法(昭和40年法律第33号)第26条第1項((不動産所得))に規定する不動産所得をいう。以下(1)において同じ。)を生ずべき事業として行われているときは、当該貸付事業は特定貸付事業に該当し、当該不動産の貸付けが不動産所得を生ずべき事業以外のものとして行われているときは、当該貸付事業は準事業に該当すること。

(2) 被相続人等が行う貸付事業の対象が駐車場又は自転車駐車場であって自己の責任において他人の物を保管するものである場合において、当該貸付事業が同法第27条第1項((事業所得))に規定する事業所得を生ずべきものとして行われているときは、当該貸付事業は特定貸付事業に該当し、当該貸付事業が同法第35条第1項((雑所得))に規定する雑所得を生ずべきものとして行われているときは、当該貸付事業は準事業に該当すること。

(注) (1)又は(2)の判定を行う場合においては、昭和45年7月1日付直審(所)30「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)26-9((建物の貸付けが事業として行われているかどうかの判定))及び27-2((有料駐車場等の所得))の取扱いがあることに留意する。

(特定貸付事業が引き続き行われていない場合)

69の4-24の5 相続開始前3年以内に宅地等が新たに被相続人等が行う特定貸付事業の用に供された場合において、その供された時から相続開始の日までの間に当該被相続人等が行う貸付事業が特定貸付事業に該当しないこととなったときは、当該宅地等は、相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の貸付事業の用に供されたものに該当せず、措置法第69条の4第3項第4号に規定する貸付事業用宅地等の対象となる宅地等から除かれることに留意する。(平30課資2-9追加)

(注) 被相続人等が行っていた特定貸付事業が69の4-24の3に掲げる場合に該当する場合には、当該特定貸付事業は、引き続き行われているものに該当することに留意する。

(特定貸付事業を行っていた「被相続人等の当該貸付事業の用に供された」の意義)

69の4-24の6 措置法第69条の4第3項第4号の特定貸付事業を行っていた「被相続人等の当該貸付事業の用に供された」とは、特定貸付事業を行っていた被相続人等が、宅地等をその自己が行っていた特定貸付事業の用に供した場合をいうのであって、次に掲げる場合はこれに該当しないことに留意する。(平30課資2-9追加、令元課資2-10改正)

(1) 被相続人が特定貸付事業を行っていた場合に、被相続人と生計を一にする親族が宅地等を自己の貸付事業の用に供したとき

(2) 被相続人と生計を一にする親族が特定貸付事業を行っていた場合に、被相続人又は当該親族以外の被相続人と生計を一にする親族が宅地等を自己の貸付事業の用に供したとき

(相続開始前3年を超えて引き続き貸付事業の用に供されていた宅地等の取扱い)

69の4-24の7 相続開始前3年を超えて引き続き被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等については、措置法令第40条の2第19項に規定する特定貸付事業以外の貸付事業に係るものであっても、措置法第69条の4第3項第4号イ又はロに掲げる要件を満たす当該被相続人の親族が取得した場合には、同号に規定する貸付事業用宅地等に該当することに留意する。(平30課資2-9追加、令元課資2-10改正)

(注) 被相続人等の貸付事業の用に供されていた宅地等が69の4-24の3に掲げる場合に該当する場合には、当該宅地等は引き続き貸付事業の用に供されていた宅地等に該当することに留意する。

(平成30年改正法附則による貸付事業用宅地等に係る経過措置について)

69の4-24の8 平成30年改正法附則第118条第4項の規定により、平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間に相続又は遺贈により取得をした宅地等については、平成30年4月1日以後に新たに貸付事業の用に供されたもの(相続開始の日まで3年を超えて引き続き特定貸付事業を行っていた被相続人等の当該特定貸付事業の用に供されたものを除く。)が、措置法第69条の4第3項第4号に規定する貸付事業用宅地等の対象となる宅地等から除かれることに留意する。(平30課資2-9追加、令元課資2-10改正)

(共同相続人等が特例対象宅地等の分割前に死亡している場合)

69の4-25 相続又は遺贈により取得した特例対象宅地等の全部又は一部が共同相続人又は包括受遺者(以下69の5-11までにおいて「共同相続人等」という。)によって分割される前に、当該相続(以下69の4-25において「第一次相続」という。)に係る共同相続人等のうちいずれかが死亡した場合において、第一次相続により取得した特例対象宅地等の全部又は一部が、当該死亡した者の共同相続人等及び第一次相続に係る当該死亡した者以外の共同相続人等によって分割され、その分割により当該死亡した者の取得した特例対象宅地等として確定させたものがあるときは、措置法第69条の4第1項の規定の適用に当たっては、その特例対象宅地等は分割により当該死亡した者が取得したものとして取り扱うことができる。(平16課資2-8、平17課資2-7、平18課資2-4、平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、令元課資2-10改正)

(注) 第一次相続に係る共同相続人等のうちいずれかが死亡した後、第一次相続により取得した財産の全部又は一部が家庭裁判所における調停又は審判(以下69の5-9までにおいて「審判等」という。)に基づいて分割されている場合において、当該審判等の中で、当該死亡した者の具体的相続分(民法第900条((法定相続分))から第904条の2((寄与分))まで(第902条の2((相続分の指定がある場合の債権者の権利の行使))を除く。)に規定する相続分をいう。以下69の5-9までにおいて同じ。)のみが金額又は割合によって示されているにすぎないときであっても、当該死亡した者の共同相続人等の全員の合意により、当該死亡した者の具体的相続分に対応する財産として特定させたもののうちに特例対象宅地等があるときは上記の取扱いができることに留意する。

(申告書の提出期限後に分割された特例対象宅地等について特例の適用を受ける場合)

69の4-26 相続税法第27条の規定による申告書の提出期限後に特例対象宅地等の全部又は一部が分割された場合には、当該分割された日において他に分割されていない特例対象宅地等又は措置法令第40条の2第3項に規定する特例対象株式等若しくは特例対象山林があるときであっても、当該分割された特例対象宅地等の全部又は一部について、措置法第69条の4第1項の規定の適用を受けるために同条第5項において準用する相続税法第32条の規定による更正の請求を行うことができるのは、当該分割された日の翌日から4月以内に限られており、当該期間経過後において当該分割された特例対象宅地等について同条の規定による更正の請求をすることはできないことに留意する。(平19課資2-7、課審6-5、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13改正)

(個人の事業用資産についての納税猶予及び免除の適用がある場合)

69の4-26の2 被相続人が次に掲げる者のいずれかに該当する場合には、措置法第69条の4第6項の規定により、当該被相続人から相続又は遺贈により取得をした全ての同条第3項第1号に規定する特定事業用宅地等について、同条第1項の規定の適用がないことに留意する。(令元課資2−10追加)

1 措置法第70条の6の8第1項の規定の適用を受けた同条第2項第2号に規定する特例事業受贈者に係る同条第1項に規定する贈与者

2 措置法第70条の6の10第1項の規定の適用を受ける同条第2項第2号に規定する特例事業相続人等に係る同条第1項に規定する被相続人

(注)

  1. 1 上記の「取得」には、措置法第70条の6の9第1項(同条第2項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定により相続又は遺贈により取得をしたものとみなされる場合における当該取得が含まれることに留意する。
  2. 2 当該被相続人から相続又は遺贈により取得をした措置法第69条の4第3項第2号に規定する特定居住用宅地等、同項第3号に規定する特定同族会社事業用宅地等及び同項第4号に規定する貸付事業用宅地等については、同条第6項の規定の適用はないことに留意する。

(郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等に係る相続税の課税の特例)

69の4-27 個人が相続又は遺贈により取得した財産のうちに、郵政民営化法(平成17年法律第97号)第180条第1項((相続税に係る課税の特例))に規定する特定宅地等(以下69の4─33までにおいて「特定宅地等」という。)がある場合において、当該特定宅地等は、同項の規定により措置法第69条の4第3項第1号に規定する特定事業用宅地等に該当する同条第1項に規定する特例対象宅地等とみなして、同条及び同法第69条の5の規定を適用することに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13改正)

(郵便局舎の敷地の用に供されている宅地等について相続税に係る課税の特例の適用を受けている場合)

69の4-28 郵政民営化法第180条第1項の規定は、同法の施行日(平成19年10月1日)から平成24年改正法(郵政民営化法等の一部を改正する等の法律(平成24年法律第30号)をいう。以下69の4-32までにおいて同じ。)の施行日(平成24年10月1日)の前日(平成24年9月30日)までの間にあっては平成24年改正法第3条((郵便局株式会社法の一部改正))の規定による改正前の郵便局株式会社法(平成17年法律第100号)第2条第2項((定義))に規定する郵便局の用に供するため郵便局株式会社に、平成24年10月1日から相続の開始の直前までの間にあっては日本郵便株式会社法(平成17年法律第100号)第2条第4項((定義))に規定する郵便局の用に供するため日本郵便株式会社に対し貸し付けられていた建物(以下69の4-37までにおいて「郵便局舎」という。)の敷地の用に供されていた土地又は土地の上に存する権利(以下69の4-37までにおいて「土地等」という。)について、既に郵政民営化法第180条第1項の規定の適用を受けていない場合に限り適用があることに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平25課資2-10改正)

(「相続人」の意義)

69の4-29 郵政民営化法第180条第1項に規定する「相続人」には、相続を放棄した者及び相続権を失った者を含まないことに留意する。
 なお、「相続を放棄した者」及び「相続権を失った者」の意義については、相続税法基本通達3─1((「相続を放棄した者」の意義))及び3─2((「相続権を失った者」の意義))をそれぞれ準用する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13改正)

(特定宅地等の範囲)

69の4-30 郵政民営化法第180条第1項の規定は、郵便局舎の敷地の用に供されていた土地等を被相続人が平成19年10月1日前から相続の開始の直前まで引き続き有している場合に限り適用されることに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-10改正)

(建物の所有者の範囲)

69の4-31 郵政民営化法第180条第1項の規定は、同項第1号に規定する賃貸借契約の当事者である被相続人又は被相続人の相続人が、郵便局舎を平成19年10月1日前から有していた場合に限り適用されることに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-10改正)

(特定宅地等とならない部分の範囲)

69の4-32 特定宅地等となる土地等とは、当該土地等のうちに平成24年改正法第3条の規定による改正前の郵便局株式会社法第4条第1項((業務の範囲))に規定する業務(同条第2項に規定する業務を併せて行っている場合の当該業務を含む。以下同じ。)の用に供されていた部分以外の部分があるときは、当該業務の用に供されていた部分に限られることに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-10改正)

(注) 郵便局株式会社に対し貸し付けられていた郵便局舎で、例えば、当該郵便局株式会社から郵政民営化法第176条の3((日本郵便株式会社及び郵便事業株式会社の合併))の規定により吸収合併消滅会社となった平成24年改正法第1条((郵政民営化法の一部改正))の規定による改正前の郵政民営化法第70条((設立))の規定により設立された郵便事業株式会社に転貸されていた部分は、平成24年改正法第3条の規定による改正前の郵便局株式会社法第4条第3項に規定する業務の用に供されていた部分であるため郵政民営化法第180条第1項の規定の適用はないことに留意する。
 ただし、当該部分が措置法第69条の4第1項第2号に規定する貸付事業用宅地等である小規模宅地等に該当するときは、同号の規定の適用があることに留意する。

(郵便局舎の敷地を被相続人から無償により借り受けている場合)

69の4-33 被相続人の相続の開始の直前において、当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の相続人が、当該被相続人から無償により借り受けていた土地等を郵便局舎の敷地の用に供していた場合において、当該土地等が特定宅地等に該当しない場合であっても、当該被相続人と生計を一にしていた当該被相続人の相続人が、相続開始時から申告期限まで引き続き当該土地等を有し、かつ、相続開始前から申告期限まで引き続き当該土地等の上に存する郵便局舎を日本郵便株式会社(平成24年9月30日までの間にあっては郵便局株式会社)に対し相当の対価を得て継続的に貸し付けていた場合には、措置法第69条の4第1項第2号の規定の適用があることに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10、平25課資2-10改正)

(賃貸借契約の変更に該当しない事項)

69の4-34 郵政民営化法第180条第1項第1号に規定する旧公社との間の賃貸借契約においてあらかじめ契約条項として盛り込まれた賃貸借料算出基準に基づく賃貸借料の改定又は賃貸借契約の目的物に変更がないと認められる面積に増減が生じない郵便局舎の修繕、耐震工事若しくは模様替えは、同号に規定する賃貸借契約の契約事項の変更に該当しないことに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13改正)

(相続の開始以後の日本郵便株式会社への郵便局舎の貸付)

69の4-35 郵政民営化法第180条第1項の規定は、相続又は遺贈により郵便局舎の敷地の用に供されている土地等を取得した相続人が当該土地等の上に存する郵便局舎である建物の全部又は一部を有し、かつ、日本郵便株式会社(当該相続が平成24年9月30日までに開始した場合には、当該相続の開始の日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局株式会社、平成24年10月1日以後にあっては日本郵便株式会社)との賃貸借契約の当事者として当該郵便局舎を貸し付けている場合に限り適用があることに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平25課資2-10改正)

(災害のため業務が休業された場合)

69の4-36 郵政民営化法第180条第1項第2号の要件の判定において、郵便局舎が災害により損害を受けたため、相続税の申告期限において郵便局の業務が休業中である場合には、同号に規定する相続人から日本郵便株式会社(当該相続税の申告期限が平成24年10月1日前の場合には、郵便局株式会社)が郵便局舎を借り受けており、かつ、郵便局の業務の再開のための準備が進められていると認められるとき(同号の証明がされたものに限る。)に限り、当該土地等を相続の開始の日以後5年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであるものとして取り扱う。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平25課資2-10改正)

(宅地等の一部の譲渡又は日本郵便株式会社との賃貸借契約の解除等があった場合)

69の4-37 郵政民営化法第180条第1項第2号に規定する「当該相続又は遺贈により当該宅地等の取得をした相続人から当該相続の開始の日以後5年以上当該郵便局舎を日本郵便株式会社(当該相続が平成24年改正法施行日前に開始した場合には、当該相続の開始の日から平成24年改正法施行日の前日までの間にあっては郵便局株式会社、平成24年改正法施行日以後にあっては日本郵便株式会社)が引き続き借り受けることにより、当該宅地等を当該相続の開始の日以後5年以上当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みであること」とは、当該相続又は遺贈により取得した郵便局舎の敷地の用に供されていた土地等の全部について当該郵便局舎の敷地の用に供する見込みである場合をいうのであって、例えば、被相続人に係る相続の開始の日以後から同号に規定する証明がされるまでの間に、当該土地等の一部が譲渡され、又は日本郵便株式会社(当該相続が平成24年9月30日までに開始した場合には、当該相続の開始の日から平成24年9月30日までの間にあっては郵便局株式会社、平成24年10月1日以後にあっては日本郵便株式会社)との賃貸借契約を解除された場合、若しくは、当該土地等の一部を譲渡し、又は当該日本郵便株式会社との賃貸借契約を解除する見込みである場合は同項の規定の適用はないことに留意する。(平20課資2-1、課審6-1、平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平25課資2-10改正)

(平成21年改正前措置法第69条の4の取扱い)

69の4-38 平成21年改正法(所得税法等の一部を改正する法律(平成21年法律第13号)をいう。以下旧70の3の3・70の3の4-4までにおいて同じ。)附則第64条第11項((非上場株式等についての相続税の課税価格の計算の特例等に関する経過措置))の規定によりなお従前の例によるものとされる改正前の措置法(以下旧70の3の3・70の3の4-3までにおいて「平成21年改正前措置法」という。)第69条の4((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))、平成21年改正措令(租税特別措置法施行令等の一部を改正する政令(平成21年政令第108号)をいう。以下旧70の3の3・70の3の4-1までにおいて同じ。)による改正前の措置法令第40条の2((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))及び平成21年改正措規(租税特別措置法施行規則の一部を改正する省令(平成21年省令第19号)をいう。以下旧70の3の3・70の3の4-1までにおいて同じ。)による改正前の措置法規則第23条の2((小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例))の規定の適用を受ける場合の取扱いについては、平成21年6月17日付課資2-7ほか2課共同「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」の一部改正について(法令解釈通達)による改正前の「租税特別措置法(相続税法の特例関係)の取扱いについて」の取扱いの例による。(平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13追加)

(平成21年改正前措置法第70条の3の3又は第70条の3の4の規定の適用を受けた特定同族株式等について措置法第70条の7の2第1項の規定の適用を受けた場合の小規模宅地等の特例の不適用)

69の4-39 被相続人から相続若しくは遺贈又は相続時精算課税に係る贈与により財産を取得したいずれかの者が、当該被相続人である平成21年改正法附則第64条第7項に規定する特定同族株式等贈与者(以下旧70の3の3・70の3の4-7までにおいて「特定同族株式等贈与者」という。)から平成20年12月31日以前に相続時精算課税に係る贈与により取得した同条第6項に規定する特定同族株式等(以下旧70の3の3・70の3の4-7までにおいて「特定同族株式等」という。)について平成21年改正前措置法第70条の3の3第1項((特定の贈与者から特定同族株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例))又は平成21年改正前措置法第70条の3の4第1項((特定同族株式等の贈与を受けた場合の相続時精算課税に係る贈与税の特別控除の特例))の規定の適用を受けている場合には、平成21年改正法附則第64条第7項の規定の適用の有無にかかわらず、当該被相続人から相続若しくは遺贈又は相続時精算課税に係る贈与により財産を取得したすべての者について平成21年改正前措置法第69条の4第1項及び措置法第69条の4第1項の規定の適用がないことに留意する。(平21課資2-7、課審6-10、徴管5-13、平22課資2-14、課審6-17、徴管5-10追加)

(注)上記の平成21年改正前措置法第70条の3の3第1項又は平成21年改正前措置法第70条の3の4第1項の規定の適用を受けた特定同族株式等に係る会社と異なる会社に係る平成21年改正前措置法第69条の4第1項及び措置法第69条の4第1項に規定する特例対象宅地等を当該被相続人から相続又は遺贈により取得した場合であっても上記と同様の取扱いとなることに留意する。


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