第4章 電子取引

(電磁的記録等により保存すべき取引情報)

10−1 法第10条((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存))の規定の適用に当たっては、次の点に留意する。(平成27年課総9−8により改正)

(1) 電子取引の取引情報に係る電磁的記録は、ディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で出力されることを要するのであるから、暗号化されたものではなく、受信情報にあってはトランスレータによる変換後、送信情報にあっては変換前のもの等により保存することを要する。

(2) 取引情報の授受の過程で発生する訂正又は加除の情報を個々に保存することなく、確定情報のみを保存することとしている場合には、これを認める。

(3) 取引情報に係る電磁的記録は、あらかじめ授受されている単価等のマスター情報を含んで出力されることを要する

(4) 見積りから決済までの取引情報を、取引先、商品単位で一連のものに組み替える、又はそれらの取引情報の重複を排除するなど、合理的な方法により編集(取引情報の内容を変更することを除く。)をしたものを保存することとしている場合には、これを認める。

(注) いわゆるEDI取引において、電磁的記録により保存すべき取引情報は、一般に「メッセージ」と称される見積書、注文書、納品書及び支払通知書等の書類に相当する単位ごとに、一般に「データ項目」と称される注文番号、注文年月日、注文総額、品名、数量、単価及び金額等の各書類の記載項目に相当する項目となることに留意する。

(規則第8条第1項第3号に規定するシステムの例示)

10−2 規則第8条第1項第3号イに規定する「当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合には、これらの事実及び内容を確認することができること」とは、例えば、電磁的記録の記録事項を直接に訂正又は削除を行った場合には、訂正前又は削除前の記録事項及び訂正又は削除の内容がその電磁的記録又はその電磁的記録とは別の電磁的記録(訂正削除前の履歴ファイル)に自動的に記録されるシステム等をいう。
 また、同号ロに規定する「当該電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行うことができないこと」とは、例えば、電磁的記録の記録事項に係る訂正又は削除について、物理的にできない仕様とされているシステム等をいう。(令2年課総10−1により追加)

(訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程)

10−3 規則第8条第1項第4号((電子取引の取引情報に係る電磁的記録の訂正削除の防止))に規定する「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規程」とは、例えば、次に掲げる区分に応じ、それぞれ次に定める内容を含む規程がこれに該当する。(平17年課総4−5により追加、令2年課総10−1により改正)

(1) 自らの規程のみによって防止する場合

1 データの訂正削除を原則禁止

2 業務処理上の都合により、データを訂正又は削除する場合(例えば、取引相手方からの依頼により、入力漏れとなった取引年月日を追記する等)の事務処理手続(訂正削除日、訂正削除理由、訂正削除内容、処理担当者の氏名の記録及び保存)

3 データ管理責任者及び処理責任者の明確化

(2) 取引相手との契約によって防止する場合

1 取引相手とデータ訂正等の防止に関する条項を含む契約を行うこと。

2 事前に上記契約を行うこと。

3 電子取引の種類を問わないこと。