第2章 適用要件

(国税関係帳簿に係る電磁的記録の範囲)

4−1 法第4条第1項((国税関係帳簿の電磁的記録による保存等))又は第5条第1項((国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))に規定する「国税関係帳簿に係る電磁的記録」とは、規則第3条第1項各号の要件に従って備付け及び保存(以下「保存等」という。)が行われている当該国税関係帳簿を出力することができる電磁的記録をいう。
 したがって、そのような電磁的記録である限り、電子計算機処理において複数の電磁的記録が作成される場合にそのいずれの電磁的記録を保存等の対象とするかは、保存義務者が任意に選択することができることに留意する。(令和元年課総10-5により改正)

(注) この場合の国税関係帳簿に係る電磁的記録の媒体についても保存義務者が任意に選択することができることに留意する。

(承認を受けることができる国税関係帳簿書類の単位)

4−2 法第4条各項((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))の規定の適用に当たっては、一部の国税関係帳簿書類について承認を受けることもできるのであるから、例えば、保存義務者における次のような国税関係帳簿書類の作成・保存の実態に応じて、それぞれの区分のそれぞれの国税関係帳簿書類ごとに承認を受けることができることに留意する。(令和元年課総10-5により改正)

(1) 法第4条第1項の規定を適用する場合

  • 1 仕訳帳及び総勘定元帳のみを作成している場合
  • 1 1に掲げる国税関係帳簿のほか、現金出納帳、売上帳、仕入帳、
    売掛金元帳、買掛金元帳などの国税関係帳簿を作成している場合
  • 1 1又は1に掲げる国税関係帳簿を本店で作成するほか事業部若しくは事業所ごとに作成している場合

(2) 法第4条第2項の規定を適用する場合

  • 1 注文書の写しのみを作成している場合
  • 1 1に掲げる国税関係書類のほか、領収書の写し、見積書の写し、請求書の写しなどの国税関係書類を作成している場合
  • 1 1又は1に掲げる国税関係書類を本店で作成するほか事業部若しくは事業所ごとに作成している場合

(3) 法第4条第3項の規定を適用する場合

  • 1 作成又は受領した注文書、領収書、見積書、請求書などの国税関係書類を保存している場合
  • 1 1に掲げる国税関係書類を本店で保存しているほか事業部若しくは事業所ごとに保存している場合

(自己が作成することの意義)

4−3 法第4条第1項及び第2項((国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等))並びに第5条((国税関係帳簿書類の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))に規定する「自己が」とは、保存義務者が主体となってその責任において行うことをいい、例えば、国税関係帳簿書類に係る電子計算機処理を会計事務所や記帳代行業者に委託している場合も、これに含まれることに留意する。 (平17年課総4−5により改正)

(最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成することの意義)

4−4 法第4条第1項((国税関係帳簿の電磁的記録による保存等))及び第5条第1項((国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))に規定する「最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する場合」とは、帳簿を備え付けて記録を蓄積していく段階の始めから終わりまで電子計算機の使用を貫いて作成する場合をいうことに留意する。

(国税関係帳簿に係る電磁的記録の訂正又は削除の意義)

4−5 規則第3条第1項第1号イ((訂正削除の履歴の確保))に規定する「訂正又は削除」とは、電子計算機処理によって、承認済国税関係帳簿(法第4条第1項((国税関係帳簿の電磁的記録による保存等))又は第5条第1項((国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))の承認を受けている国税関係帳簿をいう。以下4−5及び4−6において同じ。)に係る電磁的記録の該当の記録事項を直接に変更することのみをいうのではなく、該当の記録事項を直接に変更した場合と同様の効果を生じさせる新たな記録事項(いわゆる反対仕訳)を追加することもこれに含まれることに留意する。(平17年課総4−5により改正)

(注) この場合の変更又は追加には、当該承認済国税関係帳簿以外の国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項を変更し又は新たな記録事項を追加することにより、当該承認済国税関係帳簿に係る電磁的記録の該当の記録事項が変更され又は新たな記録事項が追加される場合も含まれることに留意する。

(国税関係帳簿に係る電磁的記録の訂正削除の履歴の確保の方法)

4−6 規則第3条第1項第1号イ((訂正削除の履歴の確保))の規定の適用に当たり、例えば、次に掲げるシステム等によることとしている場合には、当該規定の要件を満たすものとして取り扱うこととする。(令和元年課総10-5により改正)

(1) 電磁的記録の記録事項を直接に訂正し又は削除することができるシステムで、かつ、訂正前若しくは削除前の記録事項及び訂正若しくは削除の内容がその電磁的記録又はその電磁的記録とは別の電磁的記録に自動的に記録されるシステム

(2) 電磁的記録の記録事項を直接に訂正し又は削除することができないシステムを使用し、かつ、その記録事項を訂正し又は削除する必要が生じた場合には、これを直接に訂正し又は削除した場合と同様の効果を生じさせる新たな記録事項(当初の記録事項を特定するための情報が付加されたものに限る。)を記録する方法(いわゆる反対仕訳による方法)

(注) 4−5の(注)の場合において、承認済国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項の訂正又は削除の事実及び内容を、当該承認済国税関係帳簿以外の国税関係帳簿に係る電磁的記録(当該国税関係帳簿が承認済国税関係帳簿でない場合には、電磁的記録又はこれを出力した書面)により確認することができることとしているときは、これを認める。

(国税関係帳簿に係る電磁的記録の訂正削除の履歴の確保の特例)

4−7 規則第3条第1項第1号イ((訂正削除の履歴の確保))の規定の適用に当たり、電磁的記録の記録事項の誤りを是正するための期間を設け、当該期間が当該電磁的記録の記録事項を入力した日から1週間を超えない場合であって、当該期間内に記録事項を訂正し又は削除したものについて、その訂正又は削除の事実及び内容に係る記録を残さないシステムを使用し、同項第3号ニに掲げる書類に当該期間に関する定めがあるときは、要件を充足するものとして取り扱う。 (平17年課総4−5、令和元年課総10-5により改正)

(追加入力の履歴の確保の方法)

4−8 規則第3条第1項第1号ロ((追加入力の履歴の確保))の規定の適用に当たり、例えば、国税関係帳簿に係る電磁的記録の記録事項の入力時に、個々の記録事項に入力日又は一連番号等が自動的に付され、それを訂正し又は削除することができないシステムを使用する場合には、当該規定の要件を満たすこととなることに留意する。

(帳簿間の関連性の確保の方法)

4−9 規則第3条第1項第2号((帳簿間の関連性の確保))の規定の適用に当たり、例えば、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に掲げる情報が記録事項として記録されるときは、同号の要件を満たすものとして取り扱うことに留意する。(令和元年課総10-5により改正)

(1) 一方の国税関係帳簿に係る記録事項(個々の記録事項を合計したものを含む。)が他方の国税関係帳簿に係る記録事項として個別転記される場合 相互の記録事項が同一の取引に係る記録事項であることを明確にするための一連番号等の情報

(2) 一方の国税関係帳簿に係る個々の記録事項が集計されて他方の国税関係帳簿に係る記録事項として転記される場合((1)に該当する場合を除く。) 一方の国税関係帳簿に係るどの記録事項を集計したかを明らかにする情報

(保存義務者が開発したプログラムの意義)

4−10 規則第3条第1項第3号((システム関係書類等の備付け))(同条第2項及び第5項第7号において準用する場合を含む。)に規定する「保存義務者が開発したプログラム」とは、保存義務者が主体となってその責任において開発したプログラムをいい、システム開発業者に委託して開発したものも、これに含まれることに留意する。 (平17年課総4−5、平成27年課総9−8により改正)

(備付けを要するシステム関係書類等の範囲)

4−11 規則第3条第1項第3号イからニまで((システム関係書類等の備付け))(同条第2項及び第5項第7号において準用する場合を含む。)に掲げる書類は、それぞれ次に掲げる書類をいう。
 なお、当該書類を書面以外の方法により備え付けている場合であっても、その内容を同条第1項第4号((電子計算機等の備付け等))(同条第2項において準用する場合を含む。以下4-12及び4-13において同じ。)に規定する電磁的記録の備付け及び保存をする場所並びに同条第5項第6号((スキャナ保存における電子計算機等の備付け等))に規定する電磁的記録の保存をする場所(以下4−12において「保存場所」という。)で、画面及び書面に、速やかに出力することができることとしているときは、これを認める。(平17年課総4−5、平成27年課総9−8により改正)

(1) 同条第1項第3号イに掲げる書類 システム全体の構成及び各システム間のデータの流れなど、電子計算機による国税関係帳簿書類の作成に係る処理過程を総括的に記載した、例えば、システム基本設計書、システム概要書、フロー図、システム変更履歴書などの書類

(2) 同号ロに掲げる書類 システムの開発に際して作成した(システム及びプログラムごとの目的及び処理内容などを記載した)、例えば、システム仕様書、システム設計書、ファイル定義書、プログラム仕様書、プログラムリストなどの書類

(3) 同号ハに掲げる書類 入出力要領などの具体的な操作方法を記載した、例えば、操作マニュアル、運用マニュアルなどの書類

(4) 同号ニに掲げる書類 入出力処理(記録事項の訂正又は削除及び追加をするための入出力処理を含む。)の手順、日程及び担当部署並びに電磁的記録の保存等の手順及び担当部署などを明らかにした書類

(電磁的記録の保存場所に備え付ける電子計算機及びプログラムの意義)

4−12 規則第3条第1項第4号及び第5項第6号((電子計算機等の備付け等))に規定する「当該電磁的記録の電子計算機処理の用に供することができる電子計算機、プログラム」とは、必ずしも法第6条第1項又は第2項((電磁的記録による保存等の承認の申請等))に規定する「電子計算機及びプログラム」を指すものではないことに留意する。(平17年課総4−5、平成27年課総9−8により改正)

(注) 規則第3条第1項第4号及び第5項第6号の規定の適用に当たり、保存場所に電磁的記録が保存等をされていない場合であっても、例えば、保存場所に備え付けられている電子計算機と法第6条第1項に規定する国税関係帳簿書類の作成に使用する電子計算機とが通信回線で接続されているなどにより、保存場所において電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に、それぞれの要件に従った状態で、速やかに出力することができるときは、当該電磁的記録は保存場所に保存等がされているものとして取り扱う。

(整然とした形式及び明瞭な状態の意義)

4−13 規則第3条第1項第4号((電子計算機等の備付け等))及び規則第4条第1項第4号((マイクロフィルムリーダプリンタの備付け等))に規定する「整然とした形式及び明瞭な状態」とは、書面により作成される場合の帳簿書類に準じた規則性を有する形式で出力され、かつ、出力される文字を容易に識別することができる状態をいう。(平成27年課総9−8により改正)

(検索機能の意義)

4−14 規則第3条第1項第5号((検索機能の確保)) (同条第2項及び第5項第7号において準用する場合を含む。)に規定する「電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能」とは、蓄積された記録事項から設定した条件に該当する記録事項を探し出すことができ、かつ、検索により探し出された記録事項のみが、ディスプレイの画面及び書面に、整然とした形式及び明瞭な状態で出力される機能をいう。この場合、検索項目について記録事項がない電磁的記録を検索できる機能を含むことに留意する。(平17年課総4−5、平成27年課総9−8により改正)

(国税関係帳簿に係る電磁的記録の検索機能における主要な記録項目)

4−15 規則第3条第1項第5号イ((検索機能の確保))に規定する「取引年月日、勘定科目、取引金額その他の国税関係帳簿の種類に応じた主要な記録項目」には、例えば、次に掲げる国税関係帳簿の区分に応じ、それぞれ次に定める記録項目がこれに該当する。
 なお、この場合の勘定科目及び相手方勘定科目には、借方又は貸方の双方の科目を含み、銀行口座別、取引の相手方別及び商品別等に区分して記録しているときは、当該区分を含むことに留意する。 (平17年課総4−5、令和元年課総10-5により改正)

(1) 仕訳帳 取引年月日、勘定科目及び取引金額

(2) 総勘定元帳 記載年月日、勘定科目、相手方勘定科目及び取引金額

(3) 現金出納帳、売上帳及び仕入帳などの補助記入帳 取引年月日、勘定科目及び取引金額

(4) 売掛金元帳、買掛金元帳などの補助元帳 記録又は取引の年月日、勘定科目、相手方勘定科目及び取引金額

(5) 固定資産台帳、有価証券台帳及び給与台帳など資産名や社員名で区分して記録している帳簿 資産名又は社員名

(6) 酒税法施行令第52条第1項((記帳義務))に規定する帳簿 受入年月日、受け入れた原料の区分、種別及び数量

(7) 揮発油税法施行令第17条第1項((記帳義務))に規定する帳簿 移入年月日、移入した原料の種類及び数量

(注) 一連番号等により規則第3条第1項第2号((帳簿間の関連性の確保))の要件を確保することとしている場合には、当該一連番号等により国税関係帳簿(法第4条第1項((国税関係帳簿の電磁的記録による保存等))又は第5条第1項((国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))の承認を受けているものに限る。)の記録事項を検索することができるときについても要件を充足するものとして取り扱うことに留意する。

(範囲を指定して条件を設定することの意義)

4−16 規則第3条第1項第5号ロ((検索機能の確保))(同条第2項及び第5項第7号において準用する場合を含む。)に規定する「その範囲を指定して条件を設定することができる」とは、課税期間(国税通則法第2条第9号((定義))に規定する課税期間をいう。以下6-1において同じ。)ごとの国税関係帳簿書類別又は勘定科目別(規則第3条第2項及び第5項第7号において準用する場合に限る。)に、日付又は金額の任意の範囲を指定して条件設定を行い検索ができることをいうことに留意する。(令和元年課総10-5により改正)

(二以上の任意の記録項目の組合せの意義)

4−17 規則第3条第1項第5号ハ((検索機能の確保))(同条第5項第7号において準用する場合を含む。)に規定する「二以上の任意の記録項目を組み合わせて条件を設定することができること」とは、個々の国税関係帳簿書類に係る電磁的記録の記録事項を検索するに当たり、当該国税関係帳簿書類に係る主要な記録項目から少なくとも二の記録項目を任意に選択して、これを検索の条件とする場合に、いずれの二の記録項目の組合せによっても条件を設定することができることをいうことに留意する。 (平17年課総4−5、平成27年課総9−8により改正)

(入力すべき記載事項の特例)

4−18 法第4条第3項((国税関係書類の電磁的記録による保存))の適用に当たっては、国税関係書類の表裏にかかわらず、印刷、印字又は手書きの別、文字・数字・記号・符号等の別を問わず、何らかの記載があるときは入力することとなるが、書面に記載されている事項が、取引によって内容が変更されることがない定型的な事項であり、かつ、当該記載されている事項が規則第3条第5項第6号((スキャナ保存における電子計算機等の備付け等))に規定する電磁的記録の保存をする場所において、同一の様式の書面が保存されていることにより確認できる場合には、当該記載されている事項以外の記載事項がない面については入力しないこととしても差し支えないこととする。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(スキャナの意義)

4−19 規則第3条第4項に規定する「スキャナ」とは、書面の国税関係書類を電磁的記録に変換する入力装置をいう。したがって、例えば、スマートフォンやデジタルカメラ等も、上記の入力装置に該当すれば、同項に規定する「スキャナ」に含まれることに留意する。(平成28年課総10−15により追加)

(速やかに行うことの意義)

4−20 規則第3条第5項第1号イ((入力方法))に規定する「速やかに」の適用に当たり、国税関係書類の作成又は受領後おおむね7営業日以内に入力している場合には、速やかに行っているものとして取り扱う。
 また、同号ロに規定する「速やかに」の適用に当たり、その業務の処理に係る通常の期間を経過した後、おおむね7営業日以内に入力している場合には同様に取り扱う。(平17年課総4−5により追加、令和元年課総10-5により改正)

(業務の処理に係る通常の期間の意義)

4−21 規則第3条第5項第1号ロ((入力方法))に規定する「その業務の処理に係る通常の期間」とは、国税関係書類の作成又は受領からスキャナで読み取り可能となるまでの業務処理サイクルの期間をいうことに留意する。
 なお、月をまたいで処理することも通常行われている業務処理サイクルと認められることから、最長2か月の業務処理サイクルであれば、「その業務の処理に係る通常の期間」として取り扱うこととする。(平17年課総4−5により追加、令和元年課総10-5により改正)

(対面で授受が行われない場合における国税関係書類の受領をする者の取扱い)

4−22 規則第3条第5項の規定の適用に当たり、郵送等により送付された国税関係書類のうち、郵便受箱等に投函されることにより受領が行われるなど、対面で授受が行われない場合における国税関係書類の取扱いについては、読み取りを行う者のいずれを問わず、当該国税関係書類の受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合に該当するものとして差し支えないものとする。(平成28年課総10−15により追加)

(特に速やかに行うことの意義)

4−23 規則第3条第5項第2号ロ括弧書に規定する「特に速やかに」の適用に当たり、国税関係書類の作成又は受領後おおむね3営業日以内にタイムスタンプを付している場合には、特に速やかに付しているものとして取り扱う。(平成28年課総10−15により追加、令和元年課総10-5により改正)

(国税関係書類の受領をする者がスキャナで読み取る場合のタイムスタンプの意義)

4−23の2 規則第3条第5項第2号ロ括弧書に規定する「国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合」とは、受領者等が国税関係書類をスキャナで読み取り、当該国税関係書類に係る電磁的記録にタイムスタンプを付すまでを行うことにより、受領等から入力までの各事務について、相互にけんせいが機能する事務処理の体制がとられていない場合をいう。
 したがって、例えば、受領者等が国税関係書類をスキャナで読み取った後、その国税関係書類全てについて、受領者等以外の者が当該国税関係書類の書面に記載された事項と当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項とを比較し、同等であることを確認した上でタイムスタンプを付すことにより、受領等から入力までの各事務について、相互にけんせいが機能する事務処理の体制がとられている場合は、規則第3条第5項第2号ロ括弧書に規定する「国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合」に含まれないことに留意する。

(注) 規則第3条第5項第2号ハ括弧書に規定する「国税関係書類の作成又は受領をする者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合」とは、受領等から入力までの各事務について、相互にけんせいが機能する事務処理体制がとられているか否かに関わらず、受領者等がスキャナで読み取った場合をいうことに留意する。

(事務処理体制に応じたタイムスタンプの取扱い)

4−23の3 規則第3条第5項第2号ロの規定の適用に当たり、受領者等が国税関係書類をスキャナで読み取った後、その国税関係書類全てについて、受領者等以外の者が当該国税関係書類の書面に記載された事項と当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項とを比較し、同等であることを確認することにより相互にけんせいが機能する体制がとられている場合には、受領者等以外の者が同等確認した上でタイムスタンプを付すこととして差し支えないものとする。

(一の入力単位の意義)

4−24 規則第3条第5項第2号ロ((タイムスタンプ))に規定する「一の入力単位」とは、複数枚で構成される国税関係書類は、その全てのページをいい、台紙に複数枚の国税関係書類(レシート等)を貼付した文書は、台紙ごとをいうことに留意する。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(タイムスタンプと電磁的記録の関連性の確保)

4−25 規則第3条第5項第2号ロ((タイムスタンプ))に規定する「タイムスタンプ」は、当該タイムスタンプを付した国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の訂正又は削除を行った場合には、当該タイムスタンプを検証することによってこれらの事実を確認することができるものでなければならないことに留意する。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(タイムスタンプの有効性を保持するその他の方法の例示)

4−26 規則第3条第5項第2号ロ(1)((タイムスタンプ))に規定する「その他の方法」とは、国税関係書類に係る電磁的記録に付したタイムスタンプが当該タイムスタンプを付した時と同じ状態にあることを当該国税関係書類の保存期間を通じて確認できる措置をいう。(平成27年課総9−8により追加)

(認定業務)

4−27 規則第3条第5項第2号ロ((タイムスタンプ))に規定する一般財団法人日本データ通信協会が認定する業務とは、当該財団法人が認定する時刻認証業務をいう。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(日本産業規格A列4番以下の大きさの書類の解像度の意義)

4−28 規則第3条第5項第2号ハ括弧書に規定する「当該国税関係書類の作成又は受領する者が当該国税関係書類をスキャナで読み取る場合において、当該国税関係書類の大きさが日本産業規格A列4番以下であるとき」における、規則第3条第5項第2号ハ(1)に規定する「解像度に関する情報」の保存については、当該国税関係書類の電磁的記録に係る画素数を保存すれば足りることに留意する。(平成28年課総10−15により追加、令和元年課総10-5により改正)

(スキャナ保存における訂正削除の履歴の確保の適用)

4−29 規則第3条第5項第2号ニ((スキャナ保存における訂正削除の履歴の確保))に規定する「国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合」とは、既に保存されている電磁的記録を訂正又は削除した場合をいうのであるから、例えば、受領した国税関係書類の書面に記載された事項の訂正のため、相手方から新たに国税関係書類を受領しスキャナで読み取った場合などは、新たな電磁的記録として保存しなければならないことに留意する。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(スキャナ保存における訂正削除の履歴の確保の特例)

4−30 規則第3条第5項第2号ニ((スキャナ保存における訂正削除の履歴の確保))に規定する「国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項について訂正又は削除を行った場合」とは、スキャナで読み取った国税関係書類の書面の情報の訂正又は削除を行った場合をいうのであるが、書面の情報(書面の訂正の痕や修正液の痕等を含む。)を損なうことのない画像の情報の訂正は含まれないことに留意する。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(スキャナ保存における訂正削除の履歴の確保の方法)

4−31 規則第3条第5項第2号ニ((スキャナ保存における訂正削除の履歴の確保))に規定する「これらの事実及び内容を確認することができる」とは、電磁的記録を訂正した場合は、例えば、上書き保存されず、訂正した後の電磁的記録が新たに保存されること、又は電磁的記録を削除しようとした場合は、例えば、当該電磁的記録は削除されずに削除したという情報が新たに保存されることをいう。
 したがって、スキャナで読み取った最初のデータと保存されている最新のデータが異なっている場合は、その訂正又は削除の履歴及び内容の全てを確認することができる必要があることに留意する。
 なお、削除の内容の全てを確認することができるとは、例えば、削除したという情報が記録された電磁的記録を抽出し、内容を確認することができることをいう。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(入力を行う者等の意義)

4−32 規則第3条第5項第3号((入力者等情報の確認))に規定する「入力を行う者」とは、スキャナで読み取った画像が当該国税関係書類と同等であることを確認する入力作業をした者をいい、また、「その者を直接監督する者」とは、当該入力作業を直接に監督する責任のある者をいうのであるから、例えば、企業内での最終決裁権者ではあるが、当該入力作業を直接に監督する責任のない管理職の者(経理部長等)はこれに当たらないことに留意する。
 また、当該入力作業を外部の者に委託した場合には、委託先における入力を行う者又はその者を直接監督する者の情報を確認することができる必要があることに留意する。
 なお、規則第8条第1項第1号《タイムスタンプ及び入力者等の確認》に規定する「保存を行う者」又は「その者を直接監督する者」の適用についても、同様に取り扱う。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(入力者等の情報の確認の意義)

4−33 規則第3条第5項第3号((入力者等の情報の確認))に規定する「入力を行う者又はその者を直接監督する者に関する情報を確認することができるようにしておくこと」とは、これらの者を特定できるような事業者名、役職名、所属部署名及び氏名などの身分を明らかにするものの電磁的記録又は書面により、確認することができるようにしておくことに留意する。(平成27年課総9−8により追加)

(それぞれ別の者が行う体制の意義)

4−34 規則第3条第5項第4号イに規定する「各事務について、それぞれ別の者が行う体制」とは、各事務に関する職責をそれぞれ別の者にさせるなど、明確な事務分掌の下に相互にけんせいが機能する事務処理の体制がとられていれば、要件を充足するものとして取り扱うことに留意する。(平成27年課総9−8により追加、令和元年課総10-5により改正)

(電磁的記録の記録事項の確認の意義)

4−34の2 規則第3条第5項第4号イ括弧書に規定する「当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の確認を行う事務」とは、国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項を確認し、必要に応じて当該国税関係書類の原本確認を行うことをいうのであるから留意する。

(定期的な検査を行う体制の意義)

4−35 規則第3条第5項第4号ロに規定する「定期的な検査を行う体制」とは、定期的な検査が行われるまでの間は、スキャナ保存を行った国税関係書類の書面を管理する体制がとられている必要があることに留意する。
 なお、スキャナ保存を行った国税関係書類の書面については、当該国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の確認等に際して原本確認が必要となった場合に、速やかに確認できるよう、定期的な検査が行われるまでの間、本店、支店、事務所、事業所その他これらに準ずるものにおいて管理することに留意する。(平成27年課総9−8により追加、平成28年課総10−15により改正)

(帳簿書類間の関連性の確保の方法)

4−36 規則第3条第5項第5号((帳簿書類間の関連性の確保))に規定する「関連性を確認することができる」とは、例えば、相互に関連する書類及び帳簿の双方に伝票番号、取引案件番号、工事番号等を付し、その番号を指定することで、書類又は国税関係帳簿の記録事項がいずれも確認できるようにする方法等によって、原則として全ての国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項と国税関係帳簿の記録事項との関連性を確認することができることをいう。
 この場合、関連性を確保するための番号等が帳簿に記載されていない場合であっても、他の書類を確認すること等によって帳簿に記載すべき当該番号等が確認でき、かつ、関連する書類が確認できる場合には帳簿との関連性が確認できるものとして取り扱う。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8により改正)

(注) 結果的に取引に至らなかった見積書など、帳簿との関連性がない書類についても、帳簿と関連性を持たない書類であるということを確認することができる必要があることに留意する。

(関連する国税関係帳簿)

4−37 規則第3条第5項第5号((帳簿書類間の関連性の確保))に規定する「関連する国税関係帳簿」には、例えば、次に掲げる国税関係書類の種類に応じ、それぞれ次に定める国税関係帳簿がこれに該当する。(平成27年課総9−8により改正)

(1) 契約書 契約に基づいて行われた取引に関連する帳簿(例:売上の場合は売掛金元帳等)等

(2) 領収書 経費帳、現金出納帳等

(3) 請求書 買掛金元帳、仕入帳、経費帳等

(4) 納品書 買掛金元帳、仕入帳等

(5) 領収書控 売上帳、現金出納帳等

(6) 請求書控 売掛金元帳、売上帳、得意先元帳等

(4ポイントの文字が認識できることの意義)

4−38 規則第3条第5項第6号ニ((スキャナ保存における電子計算機等の備付け等))の規定は、全ての国税関係書類に係る電磁的記録に適用されるのであるから、日本産業規格X6933又は国際標準化機構の規格12653−3に準拠したテストチャートを同項第2号の電子計算機処理システムで入力し、同項第6号に規定するカラーディスプレイの画面及びカラープリンタで出力した書面でこれらのテストチャートの画像を確認し、4ポイントの文字が認識できる場合の当該電子計算機処理システム等を構成する各種機器等の設定等で全ての国税関係書類を入力し保存を行うことをいうことに留意する。
 なお、これらのテストチャートの文字が認識できるか否かの判断に当たっては、拡大した画面又は書面で行っても差し支えない。 (平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8、令和元年課総10-5により改正)

(スキャナ保存の検索機能における主要な記録項目)

4−39 規則第3条第5項第7号((準用))の規定により読み替えられた同条第1項第5号イ((検索機能の確保))に規定する「取引年月日その他の日付、取引金額その他の国税関係書類の種類に応じた主要な記録項目」には、例えば、次に掲げる国税関係書類の区分に応じ、それぞれ次に定める記録項目がこれに該当する。
 なお、検索は国税関係書類の種類別又は勘定科目別にできることを要することに留意する。(平17年課総4−5により追加、平成27年課総9−8、令和元年課総10-5により改正)

(1) 領収書 領収年月日、領収金額、取引先名称

(2) 請求書 請求年月日、請求金額、取引先名称

(3) 納品書 納品年月日、品名、取引先名称

(4) 注文書 注文年月日、注文金額、取引先名称

(5) 見積書 見積年月日、見積金額、取引先名称

(注) 一連番号等を国税関係帳簿書類に記載又は記録することにより規則第3条第5項第5号((帳簿書類間の関連性の確保))の要件を確保することとしている場合には、当該一連番号等により国税関係帳簿(法第4条第1項((国税関係帳簿の電磁的記録による保存等))又は第5条第1項((国税関係帳簿の電子計算機出力マイクロフィルムによる保存等))の承認を受けているものに限る。)の記録事項及び国税関係書類(法第4条第3項の承認を受けているものに限る。)を検索することができる機能が必要となることに留意する。

(電磁的記録の作成及び保存に関する事務手続を明らかにした書類の取扱い)

4−40 一般書類や過去分重要書類の保存に当たって、既に、電磁的記録の作成及び保存に関する事務手続を明らかにした書類を備え付けている場合において、これに当該事務の責任者の定めや対象範囲を追加して改訂等により対応するときは、改めて当該書類を作成して備え付けることを省略して差し支えないものとする。(令和元年課総10-5により追加)