第2章 耐用年数関係各論

(左記以外のもの)

2−1−1 別表第一の「建物」に掲げる「事務所用……及び左記以外のもの」の「左記以外のもの」には、社寺、教会、図書館、博物館の用に供する建物のほか、工場の食堂(2−1−10に該当するものを除く。)、講堂(学校用のものを除く。)、研究所、設計所、ゴルフ場のクラブハウス等の用に供する建物が該当する。

(内部造作を行わずに賃貸する建物)

2−1−2 一の建物のうち、その階の全部又は適宜に区分された場所を間仕切り等をしないで賃貸することとされているもので間仕切り等の内部造作については貸借人が施設するものとされている建物のその賃貸の用に供している部分の用途の判定については、1−1−5にかかわらず、「左記以外のもの」に該当するものとする。

(店舗)

2−1−3 別表第一の「建物」に掲げる「店舗用」の建物には、いわゆる小売店舗の建物のほか、次の建物(建物の細目欄に特掲されているものを除く。)が該当する。

(1) サンプル、モデル等を店頭に陳列し、顧客の求めに応じて当該サンプル等に基づいて製造、修理、加工その他のサービスを行うための建物、例えば、洋装店、写真業、理容業、美容業等の用に供される建物

(2) 商品等又はポスター類を陳列してP・Rをするいわゆるショールーム又はサービスセンターの用に供する建物

(3) 遊戯場用又は浴場業用の建物

(4) 金融機関、保険会社又は証券会社がその用に供する営業所用の建物で、常時多数の顧客が出入りし、その顧客と取引を行うための建物

(保育所用、託児所用の建物)

2−1−4 保育所用及び託児所用の建物は、別表第一の「建物」に掲げる「学校用」のものに含まれるものとする。

(ボーリング場用の建物)

2−1−5 ボーリング場用の建物は、別表第一の「建物」に掲げる「体育館用」のものに含まれるものとする。

(診療所用、助産所用の建物)

2−1−6 診療所用及び助産所用の建物は、別表第一の「建物」に掲げる「病院用」のものに含めることができる。

(木造内装部分が3割を超えるかどうかの判定)

2−1−7 旅館用、ホテル用、飲食店用又は貸席用の鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の建物について、その木造内装部分の面積が延面積の3割を超えるかどうかを判定する場合には、その木造内装部分の面積は、客室、ホール、食堂、廊下等一般に顧客の直接利用の用に供される部分の面積により、延面積は、従業員控室、事務室その他顧客の利用の用に供されない部分の面積を含めた総延面積による。この場合における木造内装部分とは、通常の建物について一般的に施設されている程度の木造内装でなく客室等として顧客の直接利用の用に供するために相当の費用をかけて施設されている場合のその内装部分をいう。

(飼育用の建物)

2−1−8 家畜、家きん、毛皮獣等の育成、肥育、採卵、採乳等の用に供する建物については、別表第一の「建物」に掲げる「と畜場用のもの」に含めることができる。

(公衆浴場用の建物)

2−1−9 別表第一の「建物」に掲げる「公衆浴場用のもの」の「公衆浴場」とは、その営業につき公衆浴場法(昭和23年法律第139号)第2条の規定により都道府県知事の許可を受けた者が、公衆浴場入浴料金の統制額の指定等に関する省令(昭和32年厚生省令第38号)に基づき公衆浴場入浴料金として当該知事の指定した料金を収受して不特定多数の者を入浴させるための浴場をいう。したがって、特殊浴場、スーパー銭湯、旅館、ホテルの浴場又は浴室については、当該「公衆浴場用」に該当しないことに留意する。(昭46年直法4−11「3」、平20年課法2−14「六」により改正)

(工場構内の附属建物)

2−1−10 工場の構内にある守衛所、詰所、監視所、タイムカード置場、自転車置場、消火器具置場、更衣所、仮眠所、食堂(簡易なものに限る。)、浴場、洗面所、便所その他これらに類する建物は、工場用の建物としてその耐用年数を適用することができる。

(給食加工場の建物)

2−1−11 給食加工場の建物は、別表第一の「建物」に掲げる「工場(作業場を含む。)」に含まれるものとする。

(立体駐車場)

2−1−12 いわゆる立体駐車場については、構造体、外壁、屋根その他建物を構成している部分は、別表第一の「建物」に掲げる「車庫用のもの」の耐用年数を適用する。(昭46年直法4−11「4」により改正)

(塩素等を直接全面的に受けるものの意義)

2−1−13 別表第一の「建物」に掲げる「塩素、塩酸、硫酸、硝酸その他の著しい腐食性を有する液体又は気体の影響を直接全面的に受けるもの」とは、これらの液体又は気体を当該建物の内部で製造、処理、使用又は蔵置(以下「製造等」という。)し、当該建物の一棟の全部にわたりこれらの液体又は気体の腐食の影響を受けるものをいうのであるが、当該法人が有する次に掲げる建物についても当該腐食の影響を受ける建物としての耐用年数を適用することができる。

(1) 腐食性薬品の製造等をする建物が上屋式(建物の内部と外部との間に隔壁がなく機械装置を被覆するための屋根のみがあるものをいう。)であるため、又は上屋式に準ずる構造であるため、その建物に直接隣接する建物(腐食性薬品の製造等をする建物からおおむね50メートル以内に存するものに限る。)についても腐食性薬品の製造等をする建物とほぼ同様の腐食が進行すると認められる場合におけるその隣接する建物

(2) 2階以上の建物のうち特定の階で腐食性薬品の製造等が行われ、その階については全面的に腐食性薬品の影響がある場合に、当該建物の帳簿価額を当該特定の階とその他の階の部分とに区分経理をしたときにおける当該特定の階に係る部分

(3) 建物の同一の階のうち隔壁その他により画然と区分された特定の区画については全面的に腐食性薬品の影響がある場合に、当該建物の帳簿価額を当該特定の区画とその他の区画の部分とに区分経理をしたときにおける当該特定の区画に係る部分

(塩素等を直接全面的に受けるものの例示)

2−1−14 別表第一の「建物」に掲げる「塩素、塩酸、硫酸、硝酸その他の著しい腐食性を有する液体又は気体の影響を直接全面的に受けるもの」に通常該当すると思われる建物を例示すると、この通達の付表(以下「付表」という。)1の「塩素、塩酸、硫酸、硝酸その他の著しい腐食性を有する液体又は気体の影響を直接全面的に受ける建物の例示」のとおりである。

(冷蔵倉庫)

2−1−15 別表第一の「建物」に掲げる「冷蔵倉庫用のもの」には、冷凍倉庫、低温倉庫及び氷の貯蔵庫の用に供される建物も含まれる。(昭49年直法2−71「36」により改正)

(放射線を直接受けるもの)

2−1−16 別表第一の「建物」に掲げる「放射性同位元素の放射線を直接受けるもの」とは、放射性同位元素の使用等に当たり、放射性同位元素等の規制に関する法律(昭和32年法律第167号)に定める使用許可等を受けた者が有する放射性同位元素の使用等のされる建物のうち、同法第3条《使用の許可》又は第4条の2《廃棄の業の許可》に定める使用施設、貯蔵施設、廃棄施設、廃棄物詰替施設又は廃棄物貯蔵施設として同法に基づく命令の規定により特に設けた作業室、貯蔵室、廃棄作業室等の部分をいう。(平11年課法2−9「一」、平19年課法2−7「四」、令5年課法2-8「一」により改正)

(放射線発生装置使用建物)

2−1−17 サイクロトロン、シンクロトロン等の放射線発生装置の使用により放射線を直接受ける工場用の建物についても、「放射性同位元素の放射線を直接受けるもの」の耐用年数を適用することができる。

(著しい蒸気の影響を直接全面的に受けるもの)

2−1−18 別表第一の「建物」に掲げる「著しい蒸気の影響を直接全面的に受けるもの」とは、操業時間中常時建物の室内の湿度が95%以上であって、当該建物の一棟の全部にわたり蒸気の影響を著しく受けるものをいう。

(塩、チリ硝石等を常置する建物及び蒸気の影響を受ける建物の区分適用)

2−1−19 塩、チリ硝石その他の著しい潮解性を有する固体を一の建物のうちの特定の階等に常時蔵置している場合若しくは蒸気の影響が一の建物のうちの特定の階等について直接全面的である場合には、2−1−13の(2)及び(3)の取扱いを準用する。

(塩、チリ硝石等を常置する建物及び著しい蒸気の影響を受ける建物の例示)

2−1−20 別表第一の「建物」に掲げる「塩、チリ硝石その他著しい潮解性……及び著しい蒸気の影響を直接全面的に受けるもの」に通常該当すると思われる建物を例示すると、付表2「塩、チリ硝石……の影響を直接全面的に受ける建物の例示」のとおりである。(昭48年直法2−8「88」により改正)

(バナナの熟成用むろ)

2−1−21 鉄筋コンクリート造りのバナナ熟成用むろについては、別表第一の「建物」の「鉄筋コンクリート造」に掲げる「著しい蒸気の影響を直接全面的に受けるもの」に該当するものとして取り扱う。

(ビルの屋上の特殊施設)

2−1−22 ビルディングの屋上にゴルフ練習所又は花壇その他通常のビルディングとしては設けることがない特殊施設を設けた場合には、その練習所又は花壇等の特殊施設は、当該ビルディングと区分し、構築物としてその定められている耐用年数を適用することができる。

(仮設の建物)

2−1−23 別表第一の「建物」の「簡易建物」の「仮設のもの」とは、建設業における移動性仮設建物(建設工事現場において、その工事期間中建物として使用するためのもので、工事現場の移動に伴って移設することを常態とする建物をいう。)のように解体、組立てを繰り返して使用することを常態とするものをいう。