第1章 耐用年数関係総論
1−1−1 同一の減価償却資産について、その用途により異なる耐用年数が定められている場合において、減価償却資産が2以上の用途に共通して使用されているときは、その減価償却資産の用途については、その使用目的、使用の状況等より勘案して合理的に判定するものとする。この場合、その判定した用途に係る耐用年数は、その判定の基礎となった事実が著しく異ならない限り、継続して適用する。
1−1−2 省令に定める耐用年数を適用している減価償却資産について資本的支出をした場合(令第55条第4項《資本的支出の取得価額の特例》の規定の適用がある場合を除く。)には、その資本的支出に係る部分の減価償却資産についても、現に適用している耐用年数により償却限度額を計算することに留意する。
同条第5項及び第6項の規定により新たに取得したものとされる一の減価償却資産については、同条第5項に規定する旧減価償却資産に現に適用している耐用年数により償却限度額を計算することに留意する。(平19年課法2−7「一」、令6年課法2-14「一」により改正)
1−1−3 法人が建物を賃借し自己の用に供するため造作した場合(現に使用している用途を他の用途に変えるために造作した場合を含む。)の造作に要した金額は、当該造作が、建物についてされたときは、当該建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積った耐用年数により、建物附属設備についてされたときは、建物附属設備の耐用年数により償却する。ただし、当該建物について賃借期間の定めがあるもの(賃借期間の更新のできないものに限る。)で、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、当該賃借期間を耐用年数として償却することができる。(昭46年直法4−11「1」、平23年課法2−17「一」により改正)
(注) 同一の建物(一の区画ごとに用途を異にしている場合には、同一の用途に属する部分)についてした造作は、その全てを一の資産として償却をするのであるから、その耐用年数は、その造作全部を総合して見積ることに留意する。
1−1−4 法人が使用する他人の減価償却資産(1−1−3によるものを除く。)につき支出した資本的支出の金額は、当該減価償却資産の耐用年数により償却する。
この場合において、1−1−3のただし書の取扱いを準用する。
1−1−5 貸与している減価償却資産の耐用年数は、別表において貸付業用として特掲されているものを除き、原則として、貸与を受けている者の資産の用途等に応じて判定する。
1−1−6 別表第一又は別表第二に掲げる「前掲の区分によらないもの」とは、法人が別表第一に掲げる一の種類に属する減価償却資産又は別表第二の機械及び装置について「構造又は用途」、「細目」又は「設備の種類」ごとに区分しないで、当該一の種類に属する減価償却資産又は機械及び装置の全部を一括して償却する場合のこれらの資産をいい、別表第一に掲げる一の種類に属する減価償却資産又は別表第二の機械及び装置のうち、その一部の資産については区分されて定められた耐用年数を適用し、その他のものについては「前掲の区分によらないもの」の耐用年数を適用することはできないことに留意する。
ただし、当該その他のものに係る「構造又は用途」、「細目」又は「設備の種類」による区分ごとの耐用年数の全てが、「前掲の区分によらないもの」の耐用年数より短いものである場合には、この限りでない。(平23年課法2−17「一」により改正)
1−1−7 器具及び備品の耐用年数については、1−1−6にかかわらず、別表第一に掲げる「器具及び備品」の「1」から「11」までに掲げる品目のうちそのいずれか一についてその区分について定められている耐用年数により、その他のものについて一括して「12 前掲する資産のうち、当該資産について定められている前掲の耐用年数によるもの以外のもの及び前掲の区分によらないもの」の耐用年数によることができることに留意する。
1−1−8 法人が減価償却資産として計上すべきものを資産に計上しなかった場合において、基本通達7−5−1によりその取得価額に相当する金額を償却費として損金経理をしたものとして取り扱うときにおける当該計上しなかった資産(1−1−6ただし書又は1−1−7の適用がある場合に限る。)の耐用年数は、次による。
(1) 法人が当該計上しなかった資産と品目を一にするものを有している場合には、その品目について法人が適用している耐用年数による。
(2) 法人が当該計上しなかった資産と品目を一にするものを有していない場合には、それぞれ区分された耐用年数によるか、「前掲の区分によらないもの」の耐用年数によるかは、法人の申出によるものとし、その申出のないときは、「前掲の区分によらないもの」の耐用年数による。
1−1−9 「構築物」又は「器具及び備品」(以下1−1−9において「構築物等」という。)で細目が特掲されていないもののうちに、当該構築物等と「構造又は用途」及び使用状況が類似している別表第一に特掲されている構築物等がある場合には、別に定めるものを除き、税務署長(調査課所管法人にあっては、国税局長)の確認を受けて、当該特掲されている構築物等の耐用年数を適用することができる。
1−1−10 法人が別表第五又は別表第六に掲げられている減価償却資産について、別表第一又は別表第二の耐用年数を適用している場合には、継続して適用することを要件としてこれを認める。(平6年課法2−1「二」、平20年課法2−14「三」により改正)