(措置法第29条の2第1項第3号の1株当たりの価額)

29の2-1 措置法第29条の2第1項第3号の「1株当たりの価額」は、所得税基本通達23〜35共−9の例により算定するのであるが、新株予約権を発行する株式会社(以下「発行会社」という。)が、取引相場のない株式の「1株当たりの価額」につき、昭和39年4月25日付直資56・直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)(以下「財産評価基本通達」という。)の178から189−7までの例によって算定した価額としているときは、次によることを条件として、これを認める。(令5課個2-20、課法12-8、課審5-5追加)

(1) 「1株当たりの価額」につき財産評価基本通達179の例により算定する場合(同通達189−3の(1)において同通達179に準じて算定する場合を含む。)において、新株予約権を与えられる者が発行会社にとって同通達188の(2)に定める「中心的な同族株主」に該当するときは、発行会社は常に同通達178に定める「小会社」に該当するものとしてその例によること。

(2) 発行会社が土地(土地の上に存する権利を含む。)又は金融商品取引所に上場されている有価証券を有しているときは、財産評価基本通達185に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によつて計算した金額)」の計算に当たり、これらの資産については、新株予約権に係る契約時における価額によること。

(3) 財産評価基本通達185の本文に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」の計算に当たり、同通達186−2により計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額は控除しないこと。

(注)発行会社が、会社法第108条第1項に掲げる事項について内容の異なる種類の株式を発行している場合には、その内容を勘案して「1株当たりの価額」を算定することに留意する。

(分割等株式の範囲)

29の2-2 措置法第29条の2第1項の規定の適用を受けて取得する株式を発行した法人が行う令第113条第1項に規定する分割型分割(以下この項において「分割型分割」という。)や令第113条の2第1項に規定する株式分配(以下この項において「株式分配」という。)により取得した措置法令第19条の3第9項に規定する分割承継法人株式、分割承継親法人株式又は完全子法人株式は、同項に規定する分割等株式(以下この項において「分割等株式」という。)に該当することとなる。
 ただし、分割型分割又は株式分配が、令第113条第4項又は第113条の2第3項の規定により分割型分割又は株式分配に該当しないものとされるときは、取得した株式は分割等株式に該当しないことに留意する。(平29課個2-15、課審5-6追加)

(国外転出直前に譲渡した特定従事者の特定株式の取扱い)

29の2-3 措置法第29条の2第1項第7号に規定する国外転出(以下29の2−5までにおいて「国外転出」という。)をする同条第4項に規定する特例適用者(以下29の2−5までにおいて「特例適用者」という。)が譲渡した同条第5項に規定する特定従事者の特定株式(以下29の2−4までにおいて「特定従事者の特定株式」という。)で当該国外転出の日までに引渡しの行われていないものについては、原則として、同日に当該特定従事者の特定株式を有するものとして同項の規定を適用することに留意する。ただし、納税者の選択により、当該特定従事者の特定株式の譲渡に関する契約の効力発生の日により実際に譲渡したことによる譲渡所得等として申告があったときは、これを認める。(令元課資3−3、課個2−20、課法11−5、課審7−3追加)

(特定従事者の特定株式を取得するために要した負債の利子がある場合)

29の2-4 措置法第29条の2第5項の規定については、特例適用者が国外転出の時に有する同条第4項に規定する特定株式(同項に規定する取締役等の特定株式を除く。以下この項において同じ。)のうち、同条第5項に規定する国外転出時価額が当該国外転出の時における売上原価の額又は取得費の額を超えるもので、かつ、当該特定株式に係る特定新株予約権の行使をした日における当該特定株式の価額に相当する金額が同日における売上原価の額又は取得費の額を超えるものに適用があるのであるが、当該特定株式に係る特定新株予約権を行使するために要した負債の利子で、当該国外転出の時に当該特定株式の譲渡があったものとした場合に一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除すべきものがあるときは、当該負債の利子をこれらの売上原価の額又は取得費の額に加算して同項の規定の適用を判定して差し支えない。
 また、同項の規定により一般株式等に係る譲渡所得等の金額又は上場株式等に係る譲渡所得等の金額の計算をする場合においては、当該負債の利子を控除して差し支えない。(令元課資3−3、課個2−20、課法11−5、課審7−3追加)

(注) この項において、「売上原価の額又は取得費の額」は措置法令第19条の3第14項又は第15項に規定する特定株式の売上原価の額又は取得費の額として計算される金額に相当する金額をいう。

(法第60条の2第1項と措置法第29条の2第5項の適用順序)

29の2-5 国外転出の日の属する年分の所得税について、措置法第29条の2第5項の規定の適用を受ける特例適用者が法第60条の2第1項の規定の適用を受ける場合には、まず措置法第29条の2第5項の規定を適用し、次に法第60条の2第1項の規定を適用することに留意する。(令元課資3−3、課個2−20、課法11−5、課審7−3追加)