(昭55直所3-20、直法6-9、平18課個2-23、課審4-116、平28課個2-24、課審5-19、令3課個2-12、課審5-5、 令5課個2-27、課審5-10改正)

(試験研究の意義)

10-1 措置法第10条第8項第1号(1)に規定する試験研究とは、事物、機能、現象などについて新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う創造的で体系的な調査、収集、分析その他の活動のうち自然科学に係るものをいい、新製品の製造又は新技術の改良、考案若しくは発明に限らず、現に生産中の製品の製造又は既存の技術の改良、考案若しくは発明も含まれる。(令3課個2-12、課審5-5追加)

(試験研究に含まれないもの)

10-2 措置法第10条第8項第1号イ(1)に規定する試験研究には、例えば、次に掲げる活動は含まれない。(令3課個2-12、課審5-5追加、令5課個2-27、課審5-10改正)

  1. (1) 人文科学及び社会科学に係る活動
  2. (2) リバースエンジニアリング(既に実用化されている製品又は技術の構造や仕組み等に係る情報を自己の製品又は技術にそのまま活用することのみを目的として、当該情報を解析することをいう。)その他の単なる模倣を目的とする活動
  3. (3) 事務員による事務処理手順の変更若しくは簡素化又は部署編成の変更
  4. (4) 既存のマーケティング手法若しくは販売手法の導入等の販売技術若しくは販売方法の改良又は販路の開拓
  5. (5) 性能向上を目的としないことが明らかな開発業務の一部として行うデザインの考案
  6. (6) (5)により考案されたデザインに基づき行う設計又は試作
  7. (7) 製品に特定の表示をするための許可申請のために行うデータ集積等の臨床実験
  8. (8) 完成品の販売のために行うマーケティング調査又は消費者アンケートの収集
  9. (9) 既存の財務分析又は在庫管理の方法の導入
  10. (10) 既存製品の品質管理、完成品の製品検査、環境管理
  11. (11) 生産調整のために行う機械設備の移転又は製造ラインの配置転換
  12. (12) 生産方法、量産方法が技術的に確立している製品を量産化するための試作
  13. (13) 特許の出願及び訴訟に関する事務手続
  14. (14) 地質、海洋又は天体等の調査又は探査に係る一般的な情報の収集
  15. (15) 製品マスター完成後の市場販売目的のソフトウエアに係るプログラムの機能上の障害の除去等の機能維持に係る活動
  16. (16) ソフトウエア開発に係るシステム運用管理、ユーザードキュメントの作成、ユーザーサポート及びソフトウエアと明確に区分されるコンテンツの制作

(新たな役務の意義)

10-3 措置法第10条第8項第1号イ(2)に規定する試験研究は新たに提供する役務に係るものに限られるのであるから、同号イ(2)「新たな役務」に該当するかどうかは、その役務を提供する個人にとって従前に提供していない役務に該当するかどうかにより判定する。(平29課個2-15、課審5-6追加、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5改正)

(従前に提供している役務がある場合の新たな役務の判定)

10-4 個人が従前に提供している役務がある場合において、当該個人が提供する役務が措置法第10条第8項第1号イ(2)の「新たな役務」に該当するかどうかについては、例えば、当該個人が提供する役務が従前に提供している役務と比較して新たな内容が付加されている場合又は当該個人が提供する役務の提供方法が従前と比較して新たなものである場合には、「新たな役務」に該当する。(平29課個2-15、課審5-6追加、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5改正)

(サービス設計工程の全てが行われるかどうかの判定)

10-5 サービス設計工程(措置法令第5条の3第6項各号に掲げるものをいう。以下この項において同じ。)の全てが行われるかどうかは、個人がサービス設計工程の全てを実行することを試験研究の計画段階において決定しているかどうかにより判定する。したがって、サービス設計工程の全てがその年に完了していない場合又はその年において試験研究が中止になった場合であっても、個人がサービス設計工程の全てを実行することを試験研究の計画段階で決定しているときには、その試験研究はサービス設計工程の全てが行われる試験研究に該当することに留意する。(平29課個2-15、課審5-6追加、令3課個2-12、課審5-5改正)

(注) サービス設計工程の全てを実行することの判定については、当該個人がその全部又は一部を委託により行うかどうかは問わないことに留意する。

(試験研究費の額に含まれる人件費の額)

10-6 措置法第10条第8項第1号に規定する試験研究費の額(以下第10条関係において「試験研究費の額」という。)に含まれる人件費の額は、専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者(措置法令第5条の3第7項第1号に規定する費用にあっては、措置法規則第5条の6第2項に規定する情報解析専門家でその専門的な知識をもって措置法令第5条の3第6項に規定する試験研究の業務に専ら従事する者)に係るものをいうのであるから、たとえ研究所等に専属する者に係るものであっても、例えば、事務職員、守衛、運転手等のように試験研究に直接従事していない者に係るものは、これに含まれないことに留意する。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平6課所4-3、平7課所4-17、平11課所4-26、平15課個2-25、課審4-39、平18課個2-23、課審4-116、平20課個2-28、課資3-2、課審4-212、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5改正)

(試験研究の用に供する資産の減価償却費)

10-7 試験研究費の額には、個人が自ら行う製品の製造若しくは技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究又は対価を得て提供する新たな役務の開発を目的として措置法令第5条の3第6項各号に掲げるものの全てが行われる場合における当該各号に掲げるもの(当該役務の開発を目的として、同項第1号イの方法によって情報を収集し、又は同号イの情報を取得する場合には、その収集又は取得を含む。)の用に供する資産に係る減価償却費の額が含まれる。(昭60直所3-22、直資3-6追加、昭63直所3-4、直資3-3、平6課所4-3、平29課個2-15、課審5-6、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(試験研究用固定資産の除却損の額)

10-8 試験研究用固定資産の除却損の額のうち、災害、研究項目の廃止等に基づき臨時的、偶発的に発生するものは試験研究費の額に含まれないのであるが、試験研究の継続過程において通常行われる取替更新に基づくものは試験研究費の額に含まれる。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平29課個2-15、課審5-6、令3課個2-12、課審5-5改正)

(試験研究費の額の範囲が改正された場合の取扱い)

10-9 試験研究費の額の範囲が改正された場合には、措置法第10条第8項第3号に規定する「適用年前3年以内の各年分」(10―11において「比較年」という。)の試験研究費の額についてもその改正後の規定により計算するものとする。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平6課所4-3、平7課所4-17、平11課所4-26、平15課個2-25、課審4-39、平18課個2-23、課審4-116、平20課個2-28、課資3-2、課審4-212、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(他の者から支払を受ける金額の範囲)

10-10 措置法第10条の規定の適用上、試験研究費の額の計算上控除される同条第8項第1号の「他の者……から支払を受ける金額」には、次に掲げる金額を含むものとする。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平元直所3-15、直資3-9、平11課所4-2、平15課個2-25、課審4-39、平26課個2-11、課審5-15、平27課個2-13、課審5-8、平28課個2-24、課審5-19、平29課個2-15、課審5-6、令3課個2-12、課審5-5改正)

  1. (1) 国等からその試験研究費の額に係る費用に充てるために交付を受けた補助金(法第42条第1項又は第43条第1項の規定の適用を受ける国庫補助金等を除く。)の額
  2. (2) 国立研究開発法人科学技術振興機構と締結した新技術開発委託契約に定めるところにより、同機構から返済義務の免除を受けた開発費の額(当該免除とともに金銭の支払をした場合には支払った金銭を控除した額)から引き渡した物件の未償却残額を控除した金額
  3. (3) 委託研究費の額

(注) 法第43条第1項の規定の適用を受ける国庫補助金等の額は、その交付を受けた日の属する年分においては「他の者から支払を受ける金額」には含めないものとし、同条第2項の規定により総収入金額に算入すべき金額を、当該国庫補助金等の返還を要しないことが確定した日の属する年分において「他の者から支払を受ける金額」に含める。

(試験研究費の額の統一的計算)

10-11 措置法第10条の規定の適用上、適用年(同条第8項第2号に規定する「適用年」をいう。)及び比較年の試験研究費の額を計算する場合の共通経費の配分基準等については、継続して同一の方法によるべきものであることに留意する。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平6課所4-3、平11課所4-26、平15課個2-25、課審4-39、平18課個2-23、課審4-116、平20課個2-28、課資3-2、課審4-212、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(中小事業者であるかどうかの判定の時期)

10-12 個人が措置法第10条第4項に規定する中小事業者に該当するかどうかは、その年12月31日の現況によって判定するものとする。
 また、措置法規則第5条の6第3項又は第11項の規定の適用上、個人が中小事業者に該当するかどうかの判定は、措置法令第5条の3第10項第2号又は第8号に規定する契約又は協定の締結時の現況によるものとする。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平11課所4-26、平15課個2-25、課審4-39、平18課個2-23、課審4-116、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(常時使用する従業員の範囲)

10-13 措置法令第5条の3第9項に規定する「常時使用する従業員の数」は、常用であると日々雇い入れるものであるとを問わず、常時就労している職員、工員等の総数によって判定することに留意する。この場合において、酒造最盛期、野菜缶詰、瓶詰製造最盛期等に数か月程度の期間にわたり労務者を使用するときは、当該使用する労務者の数を「常時使用する従業員の数」に含めるものとする。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平11課所4-26、平15課個2-25、課審4-39、平18課個2-23、課審4-116、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(年の中途において他の者等に該当しなくなった場合の適用)

10-14 措置法令第5条の3第10項第3号から第5号まで又は第9号から第13号までの規定の適用上、個人と共同し若しくは個人から委託を受けて試験研究を行う者又は個人から同号に規定する知的財産権(以下10―15までにおいて「知的財産権」という。)の使用料の支払を受ける者が、年の中途において同項第3号若しくは第10号に規定する特定新事業開拓事業者(以下この項において「特定新事業開拓事業者」という。)、同項第4号若しくは第11号に規定する成果活用促進事業者(以下この項において「成果活用促進事業者」という。)、同項第5号若しくは第12号に規定する他の者(以下この項において「他の者」という。)又は同項第9号若しくは第13号に規定する特定中小企業者等(以下10―15までにおいて「特定中小企業者等」という。)のいずれにも該当しないこととなった場合には、当該個人のその該当しないこととなった日以後の期間に係る当該試験研究のために要する費用又は知的財産権の使用料の額は、措置法第10条第8項第7号に規定する特別試験研究費の額(以下この項において「特別試験研究費の額」という。)に該当しないことに留意する。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(注) 個人と共同し若しくは個人から委託を受けて試験研究を行う者又は個人から知的財産権の使用料の支払を受ける者が、当該試験研究に係る契約又は協定の締結時において特定新事業開拓事業者、成果活用促進事業者、他の者又は特定中小企業者等のいずれにも該当しない場合には、たとえその後にこれらの者に該当することとなったときであっても、当該個人の当該試験研究のために要する費用又は知的財産権の使用料の全額が、特別試験研究費の額に該当しないことに留意する。

(知的財産権の使用料及び新規高度研究業務従事者に対する人件費)

10-15 個人が特定中小企業者等からその有する知的財産権の設定又は許諾を受けて行う試験研究に係る試験研究費の額(措置法規則第5条の6第22項又は第23項の試験研究費の額に該当するものを除く。)のうち同条第24項の試験研究費の額に該当する知的財産権の使用料の額以外のものについては、措置法第10条第7項の規定の適用はないが、同条第1項又は第4項の規定の適用はあることに留意する。
 個人が行う措置法令第5条の3第10項第15号の要件を満たす試験研究に係る試験研究費の額(措置法規則第5条の6第22項又は第23項の試験研究費の額に該当するものを除く。)のうち措置法規則第5条の6第25項の試験研究費の額に該当する人件費の額以外のものについても、同様とする。(平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令元課個2-24、課法11-4、課審5-13、令3課個2-12、課審5-5、令5課個2-27、課審5-10改正)

(調整前事業所得税額の計算の基礎となる各種所得の金額)

10-16 措置法令第5条の3第8項に規定する「……利子所得の金額、配当所得の金額、……及び雑所得の金額」とは、いわゆる黒字の金額をいうことに留意する。(昭60直所3-22、直資3-6追加、平11課所4-26、平15課個2-25、課審4-39、平24課個2-34、課審5-28、平25課個2-10、課審5-29、平27課個2-11、課法10-16、課審5-7、平29課個2-15、課審5-6、令3課個2-12、課審5-5改正)

(特別の技術による生産方式その他これに準ずるものの意義)

10-17 措置法規則第5条の6第17項に規定する「特別の技術による生産方式その他これに準ずるもの」とは、知的財産権以外で、生産その他業務に関し繰り返し使用し得るまでに形成された創作、すなわち、特別の原料、処方、機械、器具、工程によるなど独自の考案又は方法を用いた生産についての方式、これに準ずる秘けつ、秘伝その他特別に技術的価値を有する知識及び意匠等をいう。したがって、ノウハウはもちろん、機械、設備等の設計及び図面等に化体された生産方式、デザインもこれに含まれるが、技術の動向、製品の販路、特定の品目の生産高等の情報又は機械、装置、原材料等の材質等の鑑定若しくは性能の調査、検査等は、これに該当しない。(令元課個2-24、課法11-4、課審5-13追加、令3課個2-12、課審5-5改正)

(学位の意義)

10-18 措置法令第5条の3第10項第15号イ(1)の学位は、その学位を授与された者が、その学位を得るための研究活動の過程で習得した専門的知識をもって同号ハの試験研究に従事する場合における当該学位をいうのであるから留意する。(令5課個2-27、課審5-10追加)

(新規高度研究業務従事者であることを明らかにする書類)

10-19 措置法規則第5条の6第25項に規定する「第3号に規定する者が……新規高度研究業務従事者……であることを明らかにする書類」には、当該個人の使用人が次に掲げる区分のいずれに該当するかに応じ、例えば、次に定めるような書類が該当する。(令5課個2-27、課審5-10追加)

  1. (1) 措置法令第5条の3第10項第15号イ(1)の博士の学位を授与された者 当該学位に係る学位記の写し
  2. (2) 同号イ(2)の他の者の役員又は使用人として10年以上専ら研究業務に従事していた者 その者により作成された職務経歴書(当該他の者の名称並びに当該他の者において従事していた研究業務の内容及びその従事期間が記載されているものに限る。)