(総合譲渡所得の金額の計算と特定居住用財産の譲渡損失の金額との関係)

41の5の2―1 総合短期譲渡所得(譲渡所得のうち所得税法第33条第3項第1号に掲げる所得で、措置法第32条第1項の規定の適用がない所得をいう。以下この項において同じ。)の金額又は総合長期譲渡所得(譲渡所得のうち所得税法第33条第3項第2号に掲げる所得で、措置法第31条第1項及び措置法第32条第1項の規定の適用がない所得をいう。以下この項において同じ。)の金額を計算する場合において、これらの所得の基因となった資産のうちに譲渡損失の生じた資産があるときは、その年中に譲渡した資産を総合短期譲渡所得の基因となる資産及び総合長期譲渡所得の基因となる資産に区分して、これらの資産の区分ごとにそれぞれの総収入金額から当該資産の取得費及び譲渡費用の合計額を控除して譲渡損益を計算する。この場合において、その区分ごとに計算した金額の一方に損失の金額が生じた場合又は特定居住用財産の譲渡損失の金額(措置法第41条の5の2第1項に規定する特定居住用財産の譲渡損失の金額をいう。以下41の5の2−6までにおいて同じ。)がある場合のその損失の金額の譲渡益からの控除は次による。

(1) 総合長期譲渡所得の損失の金額は、総合短期譲渡所得の譲渡益から控除する。

(2) 総合短期譲渡所得の損失の金額は、総合長期譲渡所得の譲渡益から控除する。

(3) 特定居住用財産の譲渡損失の金額は、(1)又は(2)による控除後の譲渡益について、総合短期譲渡所得の譲渡益、総合長期譲渡所得の譲渡益の順に控除する。ただし、納税者がこの取扱いと異なる順序で控除して申告したときはその計算を認める。

(通算後譲渡損失の金額の繰越控除の順序)

41の5の2−2 前年以前3年内の年において生じた措置法第41条の5の2第4項に規定する通算後譲渡損失の金額(以下41の5の2−4までにおいて「通算後譲渡損失の金額」という。)に相当する金額をその年の総所得金額、土地等に係る事業所得等の金額、分離長期譲渡所得の金額、分離短期譲渡所得の金額、山林所得金額又は退職所得金額(41の5の2−4においてこれらを「総所得金額等」という。)の計算上控除する場合には、次の(1)から(4)の順序で控除するのであるから留意する。

(1) まず、その年分の各種所得の金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、所得税法第69条第1項《損益通算》の規定による控除を行う。

(2) 次に所得税法第70条第1項又は第2項《純損失の繰越控除》に規定する純損失の金額がある場合には、同条第1項又は第2項の規定による控除を行う。

(3) その上で、通算後譲渡損失の金額に相当する金額について、措置法第41条の5の2第4項の規定による繰越控除を行う。この場合、その年分の分離長期譲渡所得の金額、分離短期譲渡所得の金額、総所得金額、土地等に係る事業所得等の金額、山林所得金額又は退職所得金額から順次控除する。

(4) 更に、所得税法第71条第1項《雑損失の繰越控除》に規定する雑損失がある場合には、同項の規定による控除を行う。

(措置法第41条の5の2第7項第1号ハに掲げる資産)

41の5の2−3 措置法第41条の5の2第7項第1号ハに規定する「イ又はロに掲げる家屋及び当該家屋の敷地の用に供されている土地又は当該土地の上に存する権利」とは、同号イ又はロに掲げる家屋とともにこれらの家屋の敷地の用に供されている土地等(土地又は当該土地の上に存する権利をいう。以下41の5の2−7までにおいて同じ。)でその年の1月1日において所有期間(同法第31条第2項に規定する所有期間をいう。以下41の5−12までにおいて同じ。)が5年を超えるものを譲渡した場合の当該家屋及び敷地の用に供されている土地等をいうのであるから留意する。 

(注)

1 措置法第41条の5の2第7項第1号ハに該当する家屋及び土地等の譲渡に係る特定居住用財産の譲渡損失の金額の計算は、当該家屋及び土地等に係る譲渡損益の合計額により行うことになる。したがって、そのいずれか一方の資産に係る譲渡損失のみをもって特定居住用財産の譲渡損失の金額の計算を行うことはできない。

2 措置法第41条の5の2第7項第1号イ又はロに規定する家屋とともに当該家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡があった場合において、当該家屋又は当該土地等のいずれか一方のその年1月1日における所有期間が5年以下であるときは、当該家屋及び土地等は措置法第41条の5の2第7項第1号に規定する譲渡資産(以下41の5の2−7までにおいて「譲渡資産」という。)に該当しないので、その譲渡損失については、同条第1項及び第4項の規定を適用することはできない。

(居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合の取扱い)

41の5の2−4 措置法第41条の5の2第7項第1号イ又はロに掲げる家屋(以下この項及び次項において「譲渡家屋」という。)の所有者以外の者が当該譲渡家屋の敷地の用に供されている土地等でその譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を超えているもの(以下この項において「譲渡敷地」という。)の全部又は一部を有している場合において、譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者の行った譲渡等が次に掲げる要件の全てを満たすときは、これらの者がともに同条第1項又は第4項の規定の適用を受ける旨の申告をしたときに限り、その申告を認めることとして取り扱う。(平23課資3-2、課個2-26、課審6-13改正)

(1) 譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者は、次のいずれにも該当する資産の措置法第41条の5の2第7項第1号に規定する特定譲渡(以下41の5の2−7までにおいて「特定譲渡」という。)をしていること。

イ 譲渡敷地は、譲渡家屋とともに特定譲渡がされているものであること。

ロ 譲渡家屋は、その譲渡の時において当該家屋の所有者が譲渡敷地の所有者とともにその居住の用に供している家屋(当該家屋がその所有者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されたものであるときは、その居住の用に供されなくなった時の直前においてこれらの者がその居住の用に供していた家屋)であること。

(2) 譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者のそれぞれが、特定譲渡に係る契約を締結した日の前日において当該譲渡家屋及び当該譲渡敷地に係る住宅借入金等(措置法第41条の5の2第7項第4号に規定する住宅借入金等をいう。以下41の5の2−6までにおいて「譲渡資産に係る住宅借入金等」という。)の金額を有していること。

(注)

1 譲渡家屋の所有者が当該家屋(譲渡敷地のうちその者が有している部分を含む。)の譲渡につき措置法第41条の5の2第1項又は第4項の規定を適用しない場合(当該家屋の所有者について特定居住用財産の譲渡損失の金額又は通算後譲渡損失の金額がない場合、41の5の2−2(1)及び(2)に掲げる控除後において控除すべきその年の総所得金額等がないこととなる場合並びにその年の合計所得金額が3,000万円を超えるため同項の規定の適用を受けることができない場合を除く。)には、譲渡敷地の所有者について措置法第41条の5の2第1項及び第4項の規定を適用することはできない。

2 譲渡敷地の所有者が当該敷地の譲渡につき措置法第41条の5の2第1項の規定の適用を受ける場合には、譲渡家屋の所有者の当該家屋の譲渡については居住用財産に係る課税の特例の適用を受けることはできない。

(借入金又は債務の借換えをした場合)

41の5の2−5 譲渡資産に係る借入金又は債務(以下この項において「当初の借入金等」という。)の金額を消滅させるために新たな借入金を有することとなった場合において、当該新たな借入金が当初の借入金を消滅させるためのものであることが明らかであり、かつ、措置法令第26条の7の2第10項第1号又は第4号に規定する要件を満たしているときに限り、当該新たな借入金は、譲渡資産に係る住宅借入金等に該当するものとする。(令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27改正)

(繰上返済等をした場合)

41の5の2−6 譲渡資産に係る住宅借入金等について、特定譲渡に係る契約を締結した日の前日前において繰り上げて返済等をしていた場合であっても、当該特定譲渡に係る契約を締結した日の前日における当該住宅借入金等の金額の残高があるときには、当該残高に基づいて特定居住用財産の譲渡損失の金額を計算できるのであるが、当該繰上返済等により、当該住宅借入金等の償還期間又は割賦期間が10年未満となった場合には、措置法第41条の5の2第1項の規定の適用はないものとする。

(注) 借入金又は債務の借換えをした場合には、41の5の2−5の適用がある場合があることに留意する。 

(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例に関する取扱い等の準用)

41の5の2−7 その者が譲渡した家屋若しくは土地等が措置法第41条の5の2第7項第1号に規定する譲渡資産に該当するかどうか、これらの資産の譲渡が同号に規定する特定譲渡に該当するかどうかの判定等については、31の3−2、31の3−6から31の3−13まで、31の3−20から31の3−25まで、41−12から41−15まで、41−17から41−18、41−20、41の5−4から41の5−10まで及び41の5−12に準じて取り扱うものとする。


目次に戻る