(貸地の返還を受けた場合に支払った立退料等)

37-14 土地を他人に使用させていた者が、借地人を立ち退かせるために立退料等を支払った場合には、措置法第37条第1項の規定の適用については、当該土地に係る底地以外の部分の取得があったものとし、当該支払った金額(その金額のうちに当該借地人から取得した建物、構築物等の対価に相当する金額があるときは、当該金額を除く。)は、当該土地に係る底地以外の部分の取得価額とする。

(資本的支出)

37-15 既に有する資産について改良、改造等を行った場合には、当該改良、改造等は、原則として措置法第37条第1項に規定する買換資産の取得に当たらないのであるが、次に掲げる改良、改造等が同条第3項に規定する年中若しくは期間内又は同条第4項に規定する取得指定期間内に行われる場合には、その改良、改造等は同条第1項に規定する買換資産の取得に当たるものとして同項の規定を適用することができるものとする。(平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14改正)

  1. (1) 新たに取得した買換資産について事業の用に供するためにする改良、改造等(その取得の日から1年以内に行われるものに限る。)
  2. (2) (1)のほか、例えば、建物の増改築又は構築物の拡張若しくは延長等をする場合のように実質的に新たな資産を取得すると認められる改良、改造等

(土地造成費等)

37-16 次に掲げるような宅地等の造成のための費用を支出した場合において、その金額が相当の額に上り、実質的に新たに土地を取得したことと同様の事情があるものと認められるときは、当該造成についてはその完成の時に新たな土地の取得があったものとし、当該費用の額をその取得価額として措置法第37条第1項の規定の適用があるものとする。

  1. (1) 自己の有する水田、池沼の土盛り等をして宅地等の造成をするための費用
  2. (2) 自己の有するいわゆるがけ地の切土をして宅地等の造成をするための費用
  3. (3) 公有水面の埋立てをして宅地等を造成するための費用

(支払った交換差金についての買換えの適用)

37-17 資産を交換した場合(措置法第37条の4《特定の事業用資産を交換した場合の譲渡所得の課税の特例》又は所得税法第58条《固定資産の交換の場合の譲渡所得の特例》の規定の適用を受ける場合を除く。)において、当該交換に伴い交換差金を支出したときは、当該交換により取得した資産(以下この項において「交換取得資産」という。)のうち当該交換差金に対応する部分は、買換えにより取得した資産として取り扱うことができるものとする。したがって、当該交換取得資産が措置法第37条第1項の表の各号下欄に掲げる買換資産のいずれかに該当する場合において、その該当する号の上欄に該当する譲渡資産があるときは、当該譲渡資産の譲渡所得については、交換取得資産のうち当該交換に伴って支出した交換差金に対応する部分を買換資産として、同条の規定の適用がある。

(固定資産である土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の事業用の判定)

37-18 その者の事業(措置法令第25条第2項に規定する事業に準ずるものを含む。)の用に供されている土地に区画形質の変更を加え若しくは水道その他の施設を設け又は建物を建設して、その区画形質の変更等を加えた後速やかに譲渡した場合において、当該土地が所得税基本通達33-4《固定資産である土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得》の(注)により、固定資産に該当するものであるときは、当該土地は、措置法第37条第1項に規定する事業の用に供している資産に該当するものとして同項の規定を適用することができるものとする。
 当該土地の譲渡による所得のうちに所得税基本通達33-5《極めて長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得》により譲渡所得とする部分がある場合における当該譲渡所得に係る収入金額に相当する部分の土地についても、また同様とする。

(譲渡資産又は買換資産が2以上ある場合の買換え)

37-19 その年中に措置法第37条第1項の表の上欄に掲げる譲渡資産を2以上譲渡した場合又は同項の表の下欄に掲げる買換資産を2以上取得した場合には、当該譲渡資産又は買換資産のうち納税者が同条第6項の規定により同条第1項(同条第3項又は第4項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける旨の申告をした譲渡資産又は買換資産について同項の規定を適用する。

(注) 措置法第37条第1項の規定の対象となる一の譲渡資産又は買換資産の一部分のみを譲渡資産又は買換資産として同項の規定を適用することはできないことに留意する。

(譲渡がなかったものとされる部分の金額等の計算)

37-19の2 その年中に譲渡した資産の譲渡につき措置法第37条第1項の表の2以上の号の規定の適用を受ける場合には、同項の規定により「譲渡がなかったもの」とされる部分の金額又は「譲渡があったもの」とされる部分の金額の計算は、同表の各号ごとに行うことに留意する。ただし、次に掲げる場合には、それぞれ次に定める方法により行うこととする。(平18課資3-6、課個2-11、課審6-5、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平23課資3-2、課個2-26、課審6-13、平26課資3-8、課個2-15、課審7-15、平27課資3-6、課個2-25、課法10-14、課審7-15、平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14、令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11、令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27改正)

  1. (1) 譲渡資産が措置法第37条第1項の表の第1号の上欄に掲げる資産のうち対象区域内にあるもの及びそれ以外の区域内にあるものについて、同項の規定の適用を受ける場合
     納税者が計算したところに基づき、同号の下欄に掲げる買換資産を、対象区域内にある譲渡資産に対応する部分又はそれ以外の区域内にある譲渡資産に対応する部分に区分をして、これらの部分ごとに計算する方法
  2. (2) 措置法第37条第10項の規定により同条第1項の規定の適用を受けるときにおいて、東京都の特別区、集中地域(東京都の特別区を除く。)又は集中地域以外の地域のうち2以上の地域内に買換資産を取得した場合 納税者が計算したところに基づき、同項の表の第3号の上欄に掲げる譲渡資産を、同条第10項の規定により同条第1項の規定の適用を受けた買換資産で次に掲げる買換資産に対応する部分又はこれらの買換資産以外の買換資産に対応する部分に区分をして、これらの部分ごとに計算する方法
    • イ 集中地域以外の地域内にある買換資産
    • ロ 集中地域(東京都の特別区を除く。)内にある買換資産
    • ハ 東京都の特別区内にある買換資産であって、集中地域以外の地域内にある措置法第37条第1項の譲渡をした資産及び東京都の特別区内にある買換資産のいずれもが同条第10項に規定する主たる事務所資産に該当する場合における当該買換資産
    • ニ 東京都の特別区内にある買換資産であって、上記ハの買換資産以外の買換資産

(注)

  1. 1 その年中に譲渡した資産又は取得した資産が措置法第37条第1項の表の2以上の号の上欄に掲げる譲渡資産又は2以上の号の下欄に掲げる買換資産に該当する場合において、当該譲渡資産又は買換資産につき当該2以上の号の規定の適用を受けるときは、同項の規定により「譲渡がなかつたもの」とされる部分の金額又は「譲渡があつたもの」とされる部分の金額の計算は、納税者が措置法令第25条第22項又は第23項の規定により、当該譲渡資産又は買換資産の全部又は一部について当該2以上の号のいずれかの号の上欄に掲げる譲渡資産又は下欄に掲げる買換資産に該当するものとして選択したところに基づきそれぞれの号ごとに行うことに留意する。
  2. 2 同一年中に措置法第37条第1項の表の各号の一の号の規定の適用を受ける譲渡資産又は買換資産が2以上あるときは、当該譲渡資産の譲渡による収入金額の合計額又は当該買換資産の取得価額の合計額を基としてこれらの部分の金額を計算する。上記(1)の区域ごとに区分をして計算する場合又は上記(2)の買換資産ごとに区分をして計算する場合において、その区分ごとに譲渡資産又は買換資産が2以上あるときも同様である。

(2,000万円控除等の特例と特定の事業用資産の買換えの特例)

37-20 その年中に措置法第37条第1項の表の各号の上欄に掲げる資産を2以上譲渡した場合において、当該譲渡した資産のうちに措置法第34条《特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》の規定の適用を受けることができる土地等(以下この項において「特別控除対象土地等」という。)があり、特別控除対象土地等の全部又は一部について同条の規定の適用を受けるときは、特別控除対象土地等以外の資産についてのみ措置法第37条第1項の規定の適用を受けることができることに留意する。
 当該譲渡した資産のうちに措置法第34条の2《特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》、第34条の3《農地保有の合理化等のために農地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除》、第35条の2《特定期間に取得した土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除》又は第35条の3《低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除》の規定の適用を受けることができる土地等があり、当該土地等の全部又は一部についてこれらの規定の適用を受ける場合も、また同様である。(平22課資3-4、課個2-14、課審6-20、令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9改正)

(買換資産を当該個人の事業の用に供したことの意義)

37-21 買換資産について措置法第37条第1項の規定の適用を受けることができるのは、当該買換資産をその取得の日から1年以内に事業の用に供した場合又は供する見込みである場合に限られるのであるが、この場合において、当該買換資産を事業の用に供したかどうかの判定は、次による。

  1. (1) 土地の上にその者の建物、構築物等の建設等をする場合においても、当該建物、構築物等が事業の用に供されないときにおける当該土地は、事業の用に供したものに該当しない。
  2. (2) 空閑地(運動場、物品置場、駐車場等として利用している土地であっても、特別の施設を設けていないものを含む。)である土地、空き屋である建物等は、事業の用に供したものに該当しない。ただし、特別の施設は設けていないが、物品置場、駐車場等として常時使用している土地で事業の遂行上通常必要なものとして合理的であると認められる程度のものは、この限りでない。
  3. (3) 工場等の用地としている土地であっても、当該工場等の生産方式、生産規模等の状況からみて必要なものとして合理的であると認められる部分以外の部分の土地は、事業の用に供したものに該当しない。
  4. (4) 農場又は牧場等としている土地であっても、当該農場又は牧場等で行っている耕作、牧畜等の行為が社会通念上農業、牧畜業等に至らない程度のものであると認められる場合における当該土地又は耕作能力、牧畜能力等から推定して必要以上に保有されていると認められる場合における当該必要以上に保有されている土地は、事業の用に供したものに該当しない。
  5. (5) 植林されている山林を相当の面積にわたって取得し、社会通念上林業と認められる程度に到る場合における当該土地は、事業の用に供したものに該当するが、例えば、雑木林を取得して保有するに過ぎず、林業と認められるに至らない場合における当該土地は、事業の用に供したものに該当しない。
  6. (6) 事業に関し貸し付ける次のものは、相当の対価を得ていない場合であっても、事業の用に供したものに該当するものとする。
    • イ 工場、事業所等の作業員社宅、売店等として貸し付けているもの
    • ロ 自己の商品等の下請工場、販売特約店等に対し、当該商品等について加工、販売等をするために必要な施設として貸し付けているもの

(注) 譲渡資産が事業の用に供していた資産であるかどうかは、上記に準じて判定するものとする。ただし、次に掲げるような資産は、事業の用に供していた資産に該当しない。

  1. (1) 措置法第37条第1項の規定の適用を受けるためのみの目的で一時的に事業の用に供したと認められる資産
  2. (2) たまたま運動場、物品置場、駐車場等として利用し、又はこれらの用のために一時的に貸し付けていた空閑地

(土地区画整理事業等の施行地区内の土地等の事業用の判定)

37-21の2 土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理、大都市地域住宅等供給促進法による住宅街区整備事業又は土地改良法による土地改良事業の施行地区内にある従前の宅地又は従前の土地(当該宅地又は土地の上に存する権利を含むものとし、以下この項及び次項において「従前の宅地等」という。)を譲渡した場合(換地処分により譲渡した場合を除く。)において、次のいずれかに該当するときは、当該従前の宅地等は、措置法第37条又は第37条の4に規定する事業の用に供している資産に該当するものとして、これらの規定を適用することができることに取り扱う。(平20課資3-4、課個2-33、課審6-18、平26課資3-8、課個2-15、課審7-15改正)

  1. (1) 従前の宅地等の所有者が、仮換地又は一時利用地(以下この項及び次項において「仮換地等」という。)を当該事業の用に供している場合
  2. (2) (1)に掲げる場合のほか、当該事業の用に供していた従前の宅地等を、当該事業の用に供さなくなった日から1年以内に仮換地の指定があった場合(仮換地の指定後において当該事業の用に供さなくなった場合を含む。)において、当該事業の用に供さなくなった日から当該仮換地の指定の効力発生の日(当該効力発生の日と別に当該仮換地について使用又は収益を開始することができる日が定められている場合には、その日)以後1年以内又は一時利用地の指定の通知に係る使用開始の日以後1年以内に当該従前の宅地等を譲渡したとき(仮換地等を当該事業の用以外の用に供する建物又は堅固な構築物の敷地の用に供している場合を除く。)

(仮換地等の指定後において取得した土地等の事業用の判定等)

37-21の3 土地区画整理法(新都市基盤整備法及び大都市地域住宅等供給促進法において準用する場合を含む。)又は土地改良法による仮換地等の指定があった後において取得した従前の宅地等が、措置法第37条に規定する買換資産に該当するかどうかの判定については、次により取り扱う。(平18課資3-6、課個2-11、課審6-5、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平20課資3-4、課個2-33、課審6-18、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平23課資3-2、課個2-26、課審6-13、平26課資3-8、課個2-15、課審7-15、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11改正)

  1. (1) 当該従前の宅地等を同条に規定する事業の用に供したかどうかは、当該従前の宅地等に係る仮換地等を当該事業の用に供したかどうかによる。
  2. (2) 同条第2項に規定する買換資産の面積が譲渡資産である土地等の面積に措置法令第25条第14項に規定する倍率を乗じた面積を超えるかどうかは、買換資産である従前の宅地等に係る仮換地等の面積による。この場合、譲渡資産である従前の宅地等につき37-21の2の取扱いの適用を受けるときは、当該譲渡資産についても、また同様とする。

(権利変換により取得した施設建築物等の一部を取得する権利等の譲渡)

37-21の4 次に掲げる事業の施行地区内に、措置法第37条第1項に規定する事業の用に供している資産を有している者が、それぞれに掲げるところにより措置法第33条の3の規定による旧資産、防災旧資産又は変換前資産の譲渡があったものとみなされるときは、当該旧資産、防災旧資産又は変換前資産は当該事業の用に供している資産に該当するものとして、措置法第37条第1項(同条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)の規定を適用することができるものとする。(平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)

  1. (1) 都市再開発法による市街地再開発事業に係る権利変換又は収用若しくは買取りに伴い取得した施設建築物の一部を取得する権利(当該権利とともに取得した施設建築敷地若しくはその共有持分又は地上権の共有持分を含む。)又は建築施設の部分の給付を受ける権利を譲渡した場合又は建築施設の部分につき同法第118条の5第1項《譲受け希望の申出等の撤回》に規定する譲受け希望の申出を撤回した場合(同法第118条の12第1項《仮登記等に係る権利の消滅について同意が得られない場合における譲受け希望の申出の撤回》又は第118条の19第1項《譲受け希望の申出を撤回したものとみなす場合》の規定により、譲受けの申出を撤回したものとみなされる場合を含む。)において、措置法第33条の3第3項の規定による旧資産の譲渡があったものとみなされる場合
  2. (2) 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災街区整備事業に係る権利変換に伴い取得した防災施設建築物の一部を取得する権利(当該権利とともに取得した防災施設建築敷地若しくはその共有持分又は地上権の共有持分を含む。)を譲渡した場合において、措置法第33条の3第5項の規定による防災旧資産の譲渡があったものとみなされる場合
  3. (3) マンションの建替え等の円滑化に関する法律によるマンション建替事業に係る権利変換に伴い取得した施行再建マンションに関する権利を取得する権利(当該権利とともに取得した施行再建マンションに係る敷地利用権を含む。)を譲渡した場合において、措置法第33条の3第7項の規定による変換前資産の譲渡があったものとみなされる場合

 なお、この場合において、当該旧資産、防災旧資産又は変換前資産の所有期間は、当該旧資産、防災旧資産又は変換前資産の譲渡があったものとみなされる日の属する年の1月1日における所有期間となるのであるから留意する。


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