(収用等をされた資産についての適用除外)

37−1 譲渡資産について措置法第33条から第33条の4《収用等の場合の課税の特例》までの規定の適用を受けることができる場合には、これらの規定の適用を受けないときにおいても、措置法第37条の規定の適用はないことに留意する。(平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14改正)

(不動産売買業者の有する土地建物等)

37−2 措置法第37条の規定は、所得税法第2条第1項第16号《定義》に規定する棚卸資産及び雑所得の基因となる土地建物等については適用がないのであるが、不動産売買業を営む者の有する土地建物等で、その者が使用し若しくは他に貸し付けているもの(販売の目的で所有しているもので一時的に使用し又は他に貸し付けているものを除く。)又はその者が具体的な使用計画に基づいて使用することを予定して相当の期間所有していることが明らかであるものは、棚卸資産に該当しない。

(事業に準ずるものの範囲)

37−3 措置法第37条第1項に規定する「事業に準ずるもの」とは、措置法令第25条第2項の規定により事業と称するに至らない不動産又は船舶の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものをいうのであるが、その判定については、次の点に留意する。

  1. (1) 「不動産又は船舶の貸付けその他これに類する行為」とは、措置法第37条第1項の表の各号に掲げる資産の賃貸その他その使用に関する権利の設定(以下この項において「貸付け等」という。)の行為をいう。
  2. (2) 「相当の対価を得て継続的に行う」とは、相当の所得を得る目的で継続的に対価を得て貸付け等の行為を行うことをいう。
      この場合には、次のことに留意する。
    • イ 相当の所得を得る目的で継続的に対価を得ているかどうかについては、次による。
      • (イ) 相当の対価については、その貸付け等の用に供している資産の減価償却費の額(当該資産の取得につき措置法第37条第1項(同条第3項及び第4項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受けているときは、措置法第37条の3第1項の規定により計算した取得価額を基として計算した減価償却費の額)、固定資産税その他の必要経費を回収した後において、なお相当の利益が生ずるような対価を得ているかどうかにより判定する。
      • (ロ) その貸付け等をした際にその対価を一時に受け、その後一切対価を受けない場合には、継続的に対価を得ていることに該当しない。
      • (ハ) その貸付け等をした際に一時金を受け、かつ、継続的に対価を得ている場合には、一時金の額と継続的に受けるべき対価の額とを総合して(イ)の相当の対価であるかどうかを判定する。
    • ロ 継続的に貸付け等の行為を行っているかどうかについては、原則として、その貸付け等に係る契約の効力の発生した時の現況においてその貸付け等が相当期間継続して行われることが予定されているかどうかによる。

(事業の用と事業以外の用とに併用されていた資産の買換え)

37−4 譲渡資産が事業の用と事業以外の用とに併せて供されている場合の措置法第37条第1項の規定の適用については、その事業の用に供されていた部分を「事業の用に供しているもの」とする。ただし、その事業の用に供されていた部分がおおむね90%以上である場合には、その資産の全部を「事業の用に供しているもの」として差し支えない。
 なお、同項の規定により買換資産とすることができる資産についても同様とする。

(注) 事業用部分と非事業用部分は、原則として、面積の比により判定するものとする。

(低額譲渡等)

37−5 措置法第37条に規定する譲渡又は取得には、贈与によるものは含まれないのであるが、当該贈与には、所得税法第59条第1項第2号《贈与等の場合の譲渡所得等の特例》に掲げる譲渡及び相続税法第7条本文《贈与又は遺贈に因り取得したものとみなす場合》の規定により贈与により取得したものとみなされる取得を含むものとし、当該贈与による譲渡又は取得とする部分は、それぞれ次によるものとする。

  1. (1) 当該譲渡に係る資産のうち、当該資産のその譲渡の日における価額からその譲渡の対価の額を控除した金額に相当する部分は贈与による譲渡があったものとする。この場合において、当該贈与による譲渡があったものとする部分の取得費は、当該資産の取得費に次の割合を乗じて計算した金額とする。

    (当該資産のその譲渡の日における価額−その譲渡の対価の額)÷当該資産のその譲渡の日における価額

  2. (2) 当該取得に係る資産のうち、当該資産のその取得の日における価額からその取得の対価の額を控除した金額に相当する部分は贈与による取得があったものとする。この場合において、当該贈与による取得があったものとする部分の金額は、買換資産の取得価額に含まれないことに留意する。

(借地権等の返還により支払を受けた借地権等の対価に対する特例の適用)

37−6 他人の土地を使用している者が、当該土地に係る借地権等をその土地の所有者に返還し、その土地の所有者から立退料の支払を受けた場合には、当該支払を受けた金額のうち借地権等の価額に相当する金額は、土地の上に存する権利の譲渡による対価とする。(令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27改正)

(同一の3月期間内に譲渡資産の譲渡をし、かつ、買換資産の取得をした場合の届出)

37−7 措置法第37条第1項の規定の適用を受けるためには、譲渡資産の譲渡の日(同日前に買換資産の取得をした場合には、その買換資産の取得の日)を含む3月期間(1月1日から3月31日まで、4月1日から6月30日まで、7月1日から9月30日まで及び10月1日から12月31日までの各期間をいう。)の末日の翌日から2月以内に同条の規定の適用を受ける旨及び一定の事項を記載した届出書により納税地の所轄税務署長に同条第1項の届出を行う必要があるが、同一の3月期間内に譲渡資産の譲渡をし、かつ、買換資産の取得をした場合であっても、その3月期間の末日の翌日から2月以内に当該届出を行わなければならないことに留意する。(令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27追加)

(譲渡資産の譲渡をし、かつ、買換資産の取得をした者が届出をする前に死亡した場合)

37−7の2 同一年中に譲渡資産の譲渡をし、かつ、買換資産の取得をした者が措置法第37条第1項の届出をする前に死亡した場合において、その死亡した者の相続人が、その死亡した者が譲渡資産の譲渡をした日(同日前にその死亡した者が買換資産の取得をした場合には、その買換資産の取得の日)を含む3月期間の末日の翌日から2月以内に当該届出をしたときは、その届出は、その死亡した者が行った同項の届出として取り扱うこととする。(令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27追加)

(買換資産の取得価額が譲渡資産の譲渡による収入金額を超える場合)

37−7の3 買換資産の取得価額(当該買換資産が措置法令第25条第3項の届出書に記載した同項第2号イ(3)の資産である場合は、その見込額)が、当該買換資産の取得に充てるために既に譲渡がされた譲渡資産の当該譲渡による収入金額を超える場合において、その既にされた譲渡後に譲渡され、又は譲渡することが見込まれる他の譲渡資産があるときは、当該買換資産のうち当該収入金額を超える金額に相当する部分を買換資産とみなして、措置法第37条第1項の届出をすることができるものとする。
 また、譲渡資産の譲渡による収入金額(当該譲渡資産が措置法令第25条第3項の届出書に記載した同項第2号ロ(3)の資産である場合は、その見込額)が、既に取得をした買換資産の取得価額を超える場合のその超える部分についての同条第1項の届出についても、同様とする。(令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27追加)

(土地等が譲渡資産又は買換資産に該当するかどうかの判定)

37−8 譲渡又は取得した土地等(措置法第37条第1項の表の第1号の上欄に規定する「土地等」をいう。以下37の3-2までにおいて同じ。)が同表の各号の上欄に規定する譲渡資産又は下欄に規定する買換資産に該当するかどうかを判定する場合において、その譲渡又は取得した土地等が当該各号に規定する地域又は区域にあるかどうかは、その土地等を譲渡した時又は取得した時の現況による。 (平24課資3-8、課個2-39、課審7-18改正)

(建物等が買換資産に該当するかどうかの判定)

37−9 措置法第37条第1項の表の第1号及び第2号の下欄に規定する「建物、構築物又は機械及び装置」とは、これらの資産がこれらの号の下欄に規定する地域又は区域において取得されるものをいい、これに該当するかどうかは、その資産を取得した時の現況による。 (平24課資3-8、課個2-39、課審7-18、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11、令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27改正)

(買換資産が2以上ある場合の面積制限の適用)

37−10 措置法第37条第1項の表のいずれかの号の下欄に該当する土地等を2以上取得して買換資産とする場合において、これらの買換資産として取得した土地等の合計面積が譲渡資産である土地等の面積に措置法令第25条第14項に規定する倍率を乗じて計算した面積に相当する面積を超える場合には、買換資産となる土地等の面積は、買換資産として取得したそれぞれの土地等の面積に次の割合を乗じて計算した面積を限度とすることに留意する。
 また、措置法第37条第1項の表のいずれかの号の下欄に該当する土地等を、譲渡の日の属する年の前年以前又は譲渡の日の属する年の翌年以後に取得して買換資産とする場合における面積制限についても、また同様である。(平18課資3-6、課個2-11、課審6-5、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平23課資3-2、課個2-26、課審6-13、平26課資3-8、課個2-15、課審7-15、平27課資3-6、課個2-25、課法10-14、課審7-15、平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14、平30課資3-2、課個2-25、課法10-3、課審7-6、令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11、令5課資3-5、課法10-37、課審7-5、徴管6-27改正)

(割合)

譲渡資産である土地等の面積に措置法令第25条第16項に規定する倍率を乗じて計算した面積に相当する面積÷買換資産として取得した土地等の合計面積

(注)1 「措置法第37条第1項の表のいずれかの号の下欄に該当する土地等を2以上取得して買換資産とする場合」は、次に掲げる場合には、それぞれ次に定めるときをいう。

  1. (1) 措置法第37条第1項の表の第1号の下欄に該当する土地等について、譲渡資産が同号の上欄のハに掲げる区域内(以下37の3−1までにおいて「対象区域内」という。)にあるものに該当し、同項の規定の適用を受ける場合 譲渡資産が同欄に掲げる資産のうち対象区域内にあるものに該当するときにおける同号の下欄に掲げる買換資産又は当該買換資産以外の買換資産ごとに区分をした場合において、当該区分ごとに当該土地等を2以上取得して買換資産とするとき
  2. (2) 措置法第37条第1項の表の第3号の下欄に該当する土地等について、同条第10項の規定により同条第1項の規定の適用を受ける場合 次に掲げる買換資産又はこれらの買換資産以外の買換資産ごとに区分をした場合において、当該区分ごとに当該土地等を2以上取得して買換資産とするとき
    • イ 集中地域(措置法第37条第10項第1号に規定する地域をいう。以下37の3−2までにおいて同じ。)以外の地域内にある買換資産
    • ロ 集中地域(東京都の特別区を除く。)内にある買換資産
    • ハ 東京都の特別区内にある買換資産であって、集中地域以外の地域内にある措置法第37条第1項の譲渡をした資産及び東京都の特別区内にある買換資産のいずれもが同条第10項に規定する主たる事務所資産に該当する場合における当該買換資産
    • ニ 東京都の特別区内にある買換資産であって、上記ハの買換資産以外の買換資産

2 上記(注)1(2)イの「集中地域」とは、地域再生法(平成17年法律第24号)第5条第4項第5号イに規定する集中地域をいい、具体的には、平成30年4月1日における次に掲げる区域をいう。以下37の3−2までにおいて同じ。

  1. (1) 東京都の特別区の存する区域及び武蔵野市の区域並びに三鷹市、横浜市、川崎市及び川口市の区域のうち首都圏整備法施行令(昭和32年政令第333号)別表に掲げる区域を除く区域
  2. (2) 首都圏整備法(昭和31年法律第83号)第24条第1項の規定により指定された区域
  3. (3) 大阪市の区域及び近畿圏整備法施行令(昭和40年政令第159号)別表に掲げる区域
  4. (4) 首都圏、近畿圏及び中部圏の
    近郊整備地帯等の整備のための国の財政上の特別措置に関する法律施行令(昭和41年政令第318号)別表に掲げる区域
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