(事業の用に供されていたもの)

33-41 措置法令第22条第6項《事業用資産についての代替資産の特例》に規定する「事業の用に供されていたもの」であるかどうかの判定は、原則として、譲渡契約締結の時の現況により行うのであるが、事業の用に供されていた資産が土地収用法に規定する事業の認定があったこと、収用等に該当する買取り等の申出があったことなどにより譲渡を余儀なくされることが明らかになったため、譲渡契約締結時には事業の用に供されていない場合であっても、当該資産は同項に規定する「事業の用に供されていたもの」に該当するものとして取り扱う。

(事業の用と事業以外の用とに併用されていた資産の取扱い)

33-42 譲渡資産が事業の用と事業以外の用とに併せ供されていた場合には、措置法令第22条第6項の規定の適用については、原則としてその事業の用に供されていた部分を「事業の用に供するもの」として取り扱う。ただし、その事業の用に供されていた部分がその資産全体のおおむね90%以上である場合には、その資産の全部を「事業の用に供されていたもの」として差し支えない。
 なお、同項の規定により代替資産とすることができる資産についても同様に取り扱う。

(注) 事業用部分と非事業用部分は、原則として、面積の比により判定するものとする。

(生計を一にする親族の事業の用に供している資産)

33-43 措置法令第22条第6項の規定は、資産の所有者が同項に規定する事業の用に供していたものを譲渡し、かつ、その者が同項に規定する代替資産とすることができる資産を取得(製作及び建設を含む。次項において同じ。)する場合に適用があるのであるが、譲渡資産がその所有者と生計を一にする親族の同項に規定する事業の用に供されていた場合には、当該譲渡資産はその所有者にとっても事業の用に供されていたものに該当するものとして同項の規定を適用することができる。
 同項に規定する代替資産とすることができる資産について同様の事情がある場合も、また同様とする。

(代替資産とすることができる事業用固定資産の判定)

33-44 措置法令第22条第6項の規定により、代替資産とすることができる資産が事業の用に供する資産であるかどうかは、その取得資産の改修その他の手入れの要否等の具体的事情に応じ、相当の期間内に事業の用に供したかどうかによって判定するのであるが、当該取得資産をその取得の日以後1年を経過した日(当該取得の日の属する年分の確定申告期限がこれより後に到来する場合には、当該期限)までにその事業の用に供しているときは、相当の期間内に事業の用に供したものとして取り扱う。

(資本的支出)

33-44の2 資産の収用等に伴い、その代替資産となるべき資産の改良、改造等をした場合には、その改良、改造等のための費用の支出は、措置法第33条第1項の規定の適用上、代替資産の取得に当たるものとして取り扱う。

(相続人が代替資産を取得した場合)

33-45 収用交換等により資産を譲渡した個人が、代替資産を取得しないで死亡した場合であっても、その死亡前に代替資産の取得に関する売買契約又は請負契約を締結しているなど代替資産が具体的に確定しており、かつ、その相続人が法定期間内にその代替資産を取得したときは、その死亡した者の当該譲渡につき措置法第33条の規定を適用することができる。

(清算金等の相殺が行われた場合)

33-46 土地区画整理法第111条《清算金等の相殺》(新都市基盤整備法第42条《清算》又は大都市地域住宅等供給促進法第83条《土地区画整理法の準用》において準用する場合を含む。)の規定により清算金の相殺が行われた場合であっても、措置法第33条の規定の適用については、それぞれの換地処分の目的となった土地ごとに計算を行うのであるから、交付されるべき清算金(その一部が相殺されたときは、その相殺前の金額)に相当する金額は、その交付されるべき清算金に係る土地等の換地処分による清算金の額に該当し、徴収されるべき清算金(その一部が相殺されたときは、その相殺前の金額)に相当する金額は、その徴収されるべき清算金に係る土地等の取得価額に算入されることに留意する。

(仮換地の指定により交付を受ける仮清算金)

33-46の2 土地区画整理法第102条《仮清算金》の規定により交付を受ける仮清算金の額は、換地処分があるまでは所得税法第36条に規定するその年において収入すべき金額に該当しないのであるから留意する。

(代替資産の取得の時期)

33-47 措置法第33条第2項に規定する「当該収用等により当該個人の有する資産の譲渡をすることとなることが明らかとなつた日」とは、土地収用法第16条《事業の認定》の規定による事業認定又は起業者から買取り等の申出があったこと等によりその有する資産について収用等をされることが明らかとなった日をいい、措置法令第22条第17項に規定する「当該収用等により同項の個人の有する資産の譲渡をすることとなることが明らかとなつた日」についても、また同様である。(平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平23課資3-2、課個2-26、課審6-13、平24課資3-8、課個2-39、課審7-18、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24、令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11、令4課資3-7、課審7-16改正)

(長期先行取得が認められるやむを得ない事情)

33-47の2 代替資産の取得につき措置法第33条第2項の規定を適用する場合における措置法令第22条第17項に定める「その他これに準ずる事情があるとき」には、譲渡資産について次に掲げるような事情があるためやむを得ずその譲渡が遅延した場合が含まれるものとする。(令4課資3-7、課審7-16追加)

(1) 借地人又は借家人が容易に立退きに応じないため譲渡ができなかったこと。

(2) 災害等によりその譲渡に関する計画の変更を余儀なくされたこと。

(3) (1)又は(2)に準ずる特別な事情があったこと。

(特別償却等を実施した先行取得資産の取扱い)

33-47の3 譲渡資産の譲渡をした日の属する年の前年以前に取得した資産につき措置法第19条第1項各号《特別償却等》に掲げる規定の適用を受けている場合には、当該資産が措置法第33条第2項の規定に該当するものであっても、同項の規定の適用はないものとする。(令4課資3-7、課審7-16追加)

(譲渡の日の属する年の前年以前において取得した資産の特例の適用)

33-47の4 措置法第33条第2項の規定により譲渡資産の譲渡の日の属する年の前年以前に取得した資産を当該譲渡資産に係る代替資産とすることができる場合において、当該代替資産の取得価額が当該譲渡による収入金額を超えるときは、その超える金額に相当する部分の資産については、当該譲渡の日の属する年の翌年以後における同項の規定による代替資産とすることができるものとする。(令4課資3-7、課審7-16追加)

(短期保有資産と長期保有資産とがある場合等の買換差金の区分)

33-47の5 措置法第33条第1項(同条第2項及び第3項並びに同法第33条の2第2項において準用する場合を含む。)の規定を適用する場合において、一の収用交換等により譲渡した資産のうちに分離短期譲渡所得の基因となる資産、分離長期譲渡所得の基因となる資産、総合短期譲渡所得の基因となる資産又は総合長期譲渡所得の基因となる資産のいずれか2以上があり、かつ、当該譲渡をした資産(以下この項において「譲渡資産」という。)に係る代替資産の取得に伴い買換差金(譲渡資産の収入金額が代替資産の取得価額を超える場合のその超過額をいう。)が生じたときは、当該買換差金の額をそれぞれの譲渡資産の譲渡の時の価額(それぞれの譲渡資産の譲渡による収入金額が明らかであり、かつ、その額が適正であると認められる場合には、そのそれぞれの収入金額)の比により按分して計算した金額をそれぞれの譲渡資産に係る買換差金とする。(令4課資3-7、課審7-16改正)

(注) ニ以上の収用交換等により資産を譲渡した場合において、その取得した資産をいずれの収用交換等に係る譲渡資産の代替資産とするかは、納税者の選択したところによるのであるから留意する。

(代替資産についての特別償却の不適用)

33-48 措置法第33条の6第2項《代替資産等の取得価額》の規定により、代替資産については、たとえ当該代替資産の取得価額の一部が対価補償金以外の資金から成るときであっても、措置法に規定する特別償却をすることができないことに留意する。(平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平23課資3-2、課個2-26、課審6-13、平24課資3-8、課個2-39、課審7-18、平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24改正)

(代替資産の償却費の計算)

33-49 措置法第33条の6に規定する代替資産等について減価償却費の額又は減価の額を計算する場合には、当該代替資産等につき同条及び措置法令第22条の6の規定により計算した金額を基とし、当該代替資産等について固定資産の耐用年数等に関する省令において定められた耐用年数により計算するものとする。(平19課資3-12、課個2-35、課審6-17改正)

(特定非常災害に基因するやむを得ない事情により取得指定期間を延長するための手続等)

33-49の2 措置法第33条第8項に規定する所轄税務署長の承認を受けようとする場合には、措置法規則第14条第8項に規定する申請書を措置法第33条第8項に規定する非常災害が生じた日の翌日から同条第3項に規定する取得指定期間(以下この項において「取得指定期間」という。)の末日の属する年の翌年3月15日(同日が措置法第33条の5第1項に規定する提出期限後である場合は、当該提出期限)までの間に当該所轄税務署長に提出しなければならないことに留意する。
 なお、措置法第33条第8項の規定の適用を受けた場合には、その後に同条第3項に規定する政令で定める場合に該当するとして取得指定期間の延長を行うことはできないことに留意する。(平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14追加、令4課資3-7、課審7-16改正)

(収用証明書の区分一覧表)

33-50 措置法規則第14条第5項《収用証明書》に規定する書類の内容を一覧表で示すと別表2のとおりである。

(代行買収の要件)

33-51 措置法規則第14条第5項第2号から第4号の2まで又は第4号の5から第5号まで《収用証明書》の規定により、これらの規定に規定する事業の施行者に代わり当該事業の施行者以外の者でこれらの規定に規定するものの買い取った資産がこれらの規定に規定する資産に該当するかどうかは、次に掲げる要件の全てを満たしているかどうかにより判定するものとする。(平23課資3-2、課個2-26、課審6-13、平25課資3-4、課個2-14、課法9-4、課審7-15改正)

(1) 買取りをした資産は、最終的に事業の施行者に帰属するものであること。

(注) 当該施行者への帰属は、それが有償で行われるかどうかを問わないのであるから留意する。

(2) 買取りをする者の買取りの申出を拒む者がある場合には、事業の施行者が収用するものであること。

(3) 資産の買取り契約書には、資産の買取りをする者が事業の施行者が施行する○○事業のために買取りをするものである旨が明記されているものであること。

(4) 上記(1)及び(2)の事項については、事業の施行者と資産の買取りをする者との間の契約書又は覚書により相互に明確に確認されているものであること。

(事業施行者以外の者が支払う漁業補償等)

33-51の2 措置法第33条第1項第7号に規定する事業の施行者でない地方公共団体又は地方公共団体が財産を提供して設立した団体の支払った補償金又は対価が措置法規則第14条第5項第8号に規定する補償金又は対価に該当するかどうかは、次に掲げる要件の全てを満たしているかどうかにより判定するものとする。(平23課資3-2、課個2-26、課審6-13改正)

(1) 同号に規定する権利の消滅(価値の減少を含む。以下この項において同じ。)に関する契約書には、補償金又は対価の支払いをする者が同号に規定する事業の施行者が施行する事業のために消滅する当該権利に関して支払うものである旨が明記されているものであること。

(2) 上記(1)の事項については、当該事業の施行者と補償金又は対価の支払いをする者との間の契約書又は覚書により相互に明確に確認されているものであること。

(証明の対象となる資産の範囲)

33-52 措置法規則第14条第5項第3号の規定を適用する場合において、買取りの対象となった資産が、同号イに規定する事業に必要なものとして収用又は使用することができる資産に該当するかどうかは、当該買取りの時において、当該事業の施行場所、施行内容等が具体的に確定し、当該資産について事業認定が行われ得る状況にあるかどうかによって判定するのであるから留意する。
 また、同項第5号の規定を適用するに当たり、買取りの対象となった資産が土地収用法第3条各号の一に該当するものに関する事業に必要な資産であり、かつ、当該買取りについて措置法第33条第1項第2号に規定する事由があるかどうかを判定する場合も同様である。

(関連事業に係る収用証明書の記載事項)

33-53 収用等の場合の課税の特例は、収用等のあった日の属する年分の確定申告書に、当該収用等が、収用等を行うことについて正当な権限を有する者(以下この項において「収用権者」という。)によって行われたものであることを一覧的に示した収用証明書(措置法規則第14条第5項に規定する書類をいう。以下この項において同じ。)を添付することを要件として適用されるのであるから、収用等の基因となった事業が収用権者と当該事業に係る施設の管理者とを異にする場合、すなわち、関連事業に該当する場合には、当該関連事業に係る収用証明書には、当該事業が関連事業であることを表示されていることが要件となることに留意する。


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