(借家権の範囲)

33-31 措置法第33条第1項第3号の2及び第3号の3に規定する借家権には、配偶者居住権が含まれることに留意する。
 なお、配偶者居住権に係る補償金がこれらの号に該当する場合における当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利に係る補償金については、同条第4項第2号の補償金に該当するものとして取り扱う。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9、令4課資3-7、課審7-16 改正)

(除却される資産等の損失に対する補償金)

33-31の2 措置法第33条第4項第3号に規定する「資産が土地区画整理法第77条の規定により除却される場合において、当該資産又はその土地の上にある建物に係る配偶者居住権の損失に対して、同法第78条第1項の規定による補償金を取得するとき」における当該補償金とは、同法第78条第1項《移転等に伴う損失補償》の規定に基づき施行者が支払う補償金のうち、当該除却される資産又は配偶者居住権自体について生ずる損失に対する補償金に限られることに留意する。(平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14追加、令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9、令4課資3-7、課審7-16 改正)

(配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の価値の減少による損失補償金の取扱い)

33-31の3 配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等が措置法第33条の2第1項第1号の規定に該当することとなったことに伴い当該土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の価値が減少した場合において、当該権利の対価又は損失に対する補償金(措置法令第22条第24項に規定するものに限る。)を取得するときは、措置法第33条第4項第4号の規定に準じ、同項の規定の適用があるものとして取り扱うことができるものとする。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加、令4課資3-7、課審7-16改正)

(借地人が交付を受けるべき借地権の対価補償金の代理受領とみなす場合)

33-31の4 借地権その他土地の上に存する権利(以下この項において「借地権等」という。)の設定されている土地について収用等があった場合において、当該土地に係る対価補償金と当該借地権等に係る対価補償金とが一括して当該土地の所有者に交付され、その交付された金額の一部が当該土地の所有者から当該借地権等を有する者に借地権等に係る対価補償金に対応する金額として支払われたときは、その支払が立退料等の名義でされたものであっても、当該支払を受けた金額は、借地権等を有する者に交付されるべき借地権等の対価補償金が代理受領されたものとみなして、当該借地権等を有する者について措置法第33条から第33条の4までの規定を適用することができる。この場合において、当該借地権等を有する者が確定申告書等に添付する措置法規則第15条第2項に規定する書類は、当該土地の所有者から支払を受けた金額の計算に関する明細書及び収用等をされた土地に係る同項に規定する書類で当該土地の所有者が交付を受けるものの写しとする。(平29課資3-4、課個2-20、課法10-4、課審7-14改正)

(収益補償金の課税延期)

33-32 収用等に伴い交付を受ける収益補償金のうち33-11によらない部分の金額については、その収用等があった日の属する年分の事業所得等の総収入金額に算入しないで、収用等をされた土地又は建物から立ち退くべき日として定められている日(その日前に立ち退いたときは、その立ち退いた日)の属する年分の事業所得等の総収入金額に算入したい旨を書面をもって申し出たときは、これを認めて差し支えない。収用等があった日の属する年の末日までに支払われないものについても、同様とする。

(経費補償金等の課税延期)

33-33 経費補償金若しくは移転補償金(33-13、33-14、33-15及び33-30により、対価補償金として取り扱うものを除く。)又は33-18に定める残地保全経費の補償金のうち、収用等のあった日の属する年の翌年1月1日から収用等のあった日以後2年(地下鉄工事のため一旦建物を取り壊し、工事完成後従前の場所に建築する場合等措置法令第22条第19項各号《代替資産の取得期限の特例》に掲げる場合に該当するときは、当該各号に掲げる期間)を経過する日までに交付の目的に従って支出することが確実と認められる部分の金額については、同日とその交付の目的に従って支出する日とのいずれか早い日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額に算入したい旨を当該収用等のあった日の属する年分の確定申告書を提出する際に、書面をもって申し出たときは、これを認めることに取り扱う。(令4課資3-7、課審7-16改正)

(収用等をされた資産の譲渡に要した費用の範囲)

33-34 収用等をされた資産の譲渡に要した費用がある場合には、措置法第33条第1項の規定により、当該費用の額が当該費用に充てるべきものとして交付を受けた金額を超えるときのその超える金額(交付を受けた金額が明らかでないときは、当該費用の額)を、当該譲渡した資産に係る対価補償金の額から控除することとなるのであるが、この場合の譲渡に要した費用とは、例えば、次のようなものをいうのであるから留意する。

(1) 譲渡に要したあっせん手数料、謝礼

(2) 譲渡資産の借地人又は借家人等に対して支払った立退料(土地の取得価額とされる場合又は借地人が受けるべき借地権の対価補償金を代理受領し、これを支払ったものと認められる場合の立退料を除く。)

(3) 資産が取壊し又は除去を要するものであるときにおけるその取壊し又は除去の費用(発生資材の評価額又は処分価額に相当する金額を控除した金額とし、控除しきれない場合には、当該費用はないものとする。)

(4) 当該資産の譲渡に伴って支出しなければならないこととなった次に掲げる費用

イ 建物等の移転費用

ロ 動産の移転費用

ハ 仮住居の使用に要する費用

ニ 立木の伐採又は移植に要する費用

(5) その他(1)から(4)までに掲げる費用に準ずるもの

(譲渡費用の額の計算)

33-35 措置法第33条第1項の規定により対価補償金の額から控除すべき譲渡資産の譲渡に要した費用の額を計算する場合において、同時に収用等をされた譲渡資産が2以上ある場合には、33-34の超える金額を個々の譲渡資産に係る譲渡に要した費用の金額の比によりあん分するのであるが、その計算が困難である場合には、当該超える金額をその収用等があった日の譲渡資産の価額又は対価補償金の額の比その他適正な基準により区分する。

(注) この場合においても、個々の譲渡資産に係る金額の区分については、33-10の(注)と同様に、強いて区分する必要がないときがあることに留意する。

(発生資材を自己使用した場合の取扱い)

33-36 収用等に伴い、取壊し又は除去をした資産について生じた発生資材がある場合において、その全部又は一部を代替資産の製作、建築等に使用し又は使用する見込みであるときは、その使用し又は使用する見込みの発生資材の評価額は、33-34の(3)かっこ書の「発生資材の評価額」に含まれないものとする。この場合において、当該代替資産の取得価額の計算上、当該使用し又は使用する見込みの発生資材の価額はないものとする。

(発生資材を譲渡した場合の取扱い)

33-37 収用等に伴い、取壊し又は除去をした資産について生じた発生資材がある場合において、その全部又は一部を譲渡したときは、発生資材の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する取得費は、その譲渡した発生資材の処分価額のうち、33-34の(3)により、資産の取壊し又は除去の費用から控除した金額に相当する金額となるのであるから留意する。

(取壊し等が遅れる場合の計算の調整)

33-38 収用等をされた資産の全部又は一部を当該収用等があった日の属する年の翌年以後において取壊し等をすることとしている場合における措置法第33条の規定の適用については、当該収用等があった日の属する年の12月31日における現況により、資産の譲渡に要する費用の額で対価補償金の額から控除すべき金額等の適正な見積額を基礎として計算する。この場合において、その確定額が見積額と異なることとなったときは、措置法第33条の5《代替資産を取得した場合の更正の請求、修正申告》の規定に準じて取り扱うものとする。

(配偶者居住権等を有していた者の居住の用に供する建物)

33-38の2 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利の代替資産を取得する場合における措置法令第22条第4項第1号ロ若しくはハ又は第3号イ若しくはロに規定する「居住の用に供する建物」については、当該建物を居住の用と居住の用以外の用とに併せて供する場合においても、これらの号に規定する「居住の用に供する建物」に該当するものとして取り扱って差し支えない。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権等を有していた者の居住の用に供する建物の判定)

33-38の3 措置法令第22条第4項第1号ロ若しくはハ又は第3号イ若しくはロに規定する「居住の用に供する建物」であるかどうかは、配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利を有していた者が、取得資産を取得してから相当の期間内にその者の居住の用に供したかどうかによって判定するのであるが、その取得の日以後1年を経過した日(当該取得の日の属する年分の確定申告期限がこれより後に到来する場合には、当該期限)までにその居住の用に供しているときは、相当の期間内に居住の用に供したものとして取り扱う。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(1組の資産を譲渡した場合の代替資産)

33-39 措置法令第22条第5項《1組の資産についての代替資産の特例》の規定は、一の効用を有する1組の資産について収用等があった場合において、その収用等をされた資産と効用を同じくする他の資産を取得したときに適用があるものであり、当該他の資産が1組の資産となっていることを要しないのであるから留意する。
 したがって、居住用の土地家屋につき収用等をされた者がその有する土地の上に居住用の家屋を取得した場合には、その家屋は代替資産に該当することとなる。

(2以上の用に供されている資産)

33-40 一の効用を有する1組の資産について収用等があった場合において、当該資産が措置法規則第14条第3項各号《効用の区分》の2以上の用途に供されていたとき、例えば、居住の用と店舗又は事務所の用に併せて供されていたときは、措置法令第22条第5項の規定の適用については、そのいずれの用にも供されていたものとして取り扱う。
 代替資産を取得した場合において当該代替資産が措置法規則第14条第3項各号の2以上の用途に供されるときも、同様とする。


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