(権利変換による補償金の範囲)

33−21 措置法第33条第1項第3号の2又は第3号の3に規定する補償金には、都市再開発法第91条第1項《補償金等》又は密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第226条第1項《補償金等》の規定により補償として支払われる利息相当額は含まれるが、都市再開発法第91条第2項又は密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第226条第2項の規定により支払われる過怠金の額及び都市再開発法第118条の15第1項《譲受け希望の申出の撤回に伴う対償の支払等》の規定により支払われる利息相当額は含まれないことに留意する。

(注) 都市再開発法第91条第2項又は密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律第226条第2項の規定により支払われる過怠金の額及び都市再開発法第118条の15第1項の規定により支払われる利息相当額は雑所得の総収入金額に算入されることに留意する。

(収用等に伴う課税の特例を受ける権利の範囲)

33−22 措置法第33条第1項第5号の「当該資産に関して有する所有権以外の権利が消滅し、補償金又は対価を取得するとき」とは、例えば、土地等の収用等に伴い、当該土地にある鉱区について設定されていた租鉱権、当該土地について設定されていた借地権、採石権等が消滅した場合や建物の収用等に伴い、当該建物について設定されていた配偶者居住権が消滅した場合において、補償金の交付を受けるとき等をいうのであるから留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9改正)

(権利変換により新たな権利に変換することがないものの意義)

33−23 措置法第33条第1項第6号に規定する「都市再開発法に規定する権利変換により新たな権利に変換をすることのないもの」又は第6号の2に規定する「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律に規定する権利変換により新たな権利に変換することのないもの」とは、例えば、地役権、工作物所有のための地上権又は賃借権をいうのであるから留意する。

(公有水面の埋立又は土地収用事業の施行に伴う漁業権等の消滅)

33−24 措置法第33条第1項第7号の規定は、次に掲げるような場合において、漁業権、入漁権その他水の利用に関する権利が消滅(価値の減少を含む。)し、補償金又は対価を取得するときにおいて適用があるのであるから留意する。この場合、当該権利には、漁業法第105条《組合員行使権》に規定する組合員行使権を含むことに取り扱う。(令3課資3-5、課個2-8、課法11-25、課審7-11改正)

(1)  国又は地方公共団体(その出資金額又は拠出された金額の全額が地方公共団体により出資又は拠出をされている法人を含む。以下この項において同じ。)が公有水面埋立法第2条《免許》に規定する免許を受けて公有水面の埋立を行う場合

(注) 例えば、国又は地方公共団体が農地又は工業地の造成のため公有水面埋立法の規定に基づき海面の埋立又は水面の干拓を行う場合等である。

(2) 土地収用法第3条《土地を収用し又は使用することができる事業》に規定する事業(都市計画法第4条第15項《定義》に規定する都市計画事業を含む。以下この項において「土地収用事業」という。)の施行者(国又は地方公共団体を除く。)がその事業の用に供するため公有水面埋立法に規定する免許を受けて、公有水面の埋立を行う場合

(注) 例えば、電力会社が火力発電施設用地の取得のため、公有水面埋立法の規定に基づいて海面の埋立を行う場合等である。

(3) 土地収用事業の施行者がその収用事業を施行する場合((2)に該当する場合を除く。)

(注) 例えば、国が水力発電施設としてダムを建設するため河川をせき止めたことにより、その下流にある漁業権等の全部又は一部が制限される場合等である。

(公有水面の埋立に伴う権利の消滅の意義)

33−25 措置法第33条第1項第7号に規定する「公有水面の埋立又は当該施行者が行う当該事業の施行に伴う……権利の消滅」とは、当該公有水面の埋立によりその埋立に係る区域に存する漁業権等が消滅すること又は土地収用事業に係る施設ができることによりその施設の存する区域(河川につき施設されたものである場合には、その施設により流水の状況その他の影響を受ける当該河川の流域を含む。)に存する漁業権等が消滅することをいうのであるから留意する。

(土地等の使用に伴う損失の補償金を対価補償金とみなす場合)

33−26 土地等が土地収用法等の規定により使用されたこと(土地等について使用の申出を拒むときは土地収用法等の規定に基づいて使用されることとなる場合を含む。)に伴い、当該使用に係る土地の上にある資産につき、土地収用法等の規定により収用をし又は取壊し若しくは除去をしなければならなくなった場合において交付を受ける当該資産の対価又は損失に対する補償金(措置法令第22条第22項に規定するものに限る。)は、当該土地等を使用させることが措置法第33条第4項第1号に規定する要件を満たさないときにおいても、対価補償金とみなして取り扱うことができるものとする。(令4課資3-7、課審7-16改正)

(逆収用の請求ができる場合に買い取られた資産等の対価)

33−27 措置法第33条第4項第2号の収用等をされた土地の上にある資産につき土地収用法等の規定に基づく収用をしなければならなくなった場合において、当該資産又は当該土地の上にある建物に係る配偶者居住権(当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利を含む。以下この項から33−28の2まで及び33−31の2において同じ。)の対価で政令で定めるものを取得するときとは、収用等をされた土地の上にある資産が次の(1)又は(2)に掲げるようなものであるため、その所有者が収用の請求をすれば収用されることとなる場合(いわゆる逆収用の請求ができる場合)において、現実に収用の請求又は収用の裁決の手続を経ないで当該資産が買い取られ、又は当該土地の上にある建物が買い取られ当該建物に係る配偶者居住権が消滅し、その対価を取得するときをいうのであるから留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9、令4課資3-7、課審7-16改正)

(1) 移転が著しく困難であるか、又は移転によって従来利用していた目的に供することが著しく困難となる資産(土地収用法第78条参照)

(2) 公共用地の取得に関する特別措置法第2条各号《特定公共事業》に掲げる事業の用に供するために収用等をされた土地の上にある資産(同法第22条参照)

(注) これらの資産の存する土地等の収用等につき事業認定又は特定公共事業の認定があったかどうか、特定公共事業の起業者が緊急裁決の申立てをしたかどうかにかかわらないのであるから留意する。

(取壊し又は除去をしなければならない資産等の損失に対する補償金)

33−28 措置法第33条第4項第2号の収用等をされた土地の上にある資産につき取壊し又は除去をしなければならなくなった場合において、当該資産又は当該土地の上にある建物に係る配偶者居住権の損失に対する補償金で政令で定めるものを取得するときとは、収用等をされた土地の上にある資産につき、取壊し又は除去をしなければならなくなった場合において、当該資産又は当該土地の上にある建物に係る配偶者居住権自体について生ずる損失に対する補償金で措置法令第22条第22項第2号に掲げるものの交付を受けるときに限られることに留意する。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9、令4課資3-7、課審7-16改正)

(取壊し等による損失補償金の取扱い)

33−28の2 土地等が措置法第33条の2第1項第1号《交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》の規定に該当することとなったことに伴い、当該土地の上にある資産につき、土地収用法等の規定に基づく収用をし、又は取壊し若しくは除去をしなければならなくなった場合において、当該資産若しくは当該土地の上にある建物に係る配偶者居住権の対価又は損失に対する補償金(措置法令第22条第22項に規定するものに限る。)を取得するときは、措置法第33条第4項第2号の規定に準じ、同項の規定の適用があるものとして取り扱うことができるものとする。(令2課資3−7、課個2−18、課法11−4、課審7−9、令4課資3-7、課審7-16改正)

(発生資材等の売却代金)

33−29 土地等の収用に伴い、当該土地の上にある建物、構築物、立竹木等を取壊し又は除去をしなければならないことになった場合において生じた発生資材(資産の取壊し又は除去に伴って生ずる資材をいう。)又は伐採立竹木の売却代金の額は、措置法令第22条第22項第2号に規定する補償金の額には該当しないのであるから留意する。(令4課資3-7、課審7-16改正)

(伐採立竹木の損失補償金と売却代金とがある場合の必要経費等の控除)

33−29の2 措置法第33条第4項第2号に規定する補償金を取得して伐採した立竹木を他に売却した場合には、当該立竹木の譲渡に係る山林所得の金額又は譲渡所得の金額の計算上控除すべき必要経費又は取得費及び譲渡費用は、まず、当該立竹木の売却代金に係るこれらの所得の金額の計算上控除し、なお控除しきれない金額があるときは、当該補償金に係るこれらの所得の金額の計算上控除する。(令4課資3-7、課審7-16改正)

(借家人補償金)

33−30 他人の建物を使用している個人が、当該建物が収用等をされたことに伴いその使用を継続することが困難となったため、転居先の建物の賃借に要する権利金に充てられるものとして交付を受ける補償金(従来の家賃と転居先の家賃との差額に充てられるものとして交付を受ける補償金を含む。以下「借家人補償金」という。)については、措置法第33条第4項第2号の場合の対価補償金とみなして取り扱う。この場合において、個人が借家人補償金に相当する金額をもって転居先の建物の賃借に要する権利金に充てたときは、当該権利金に充てた金額は、代替資産の取得に充てた金額とみなして取り扱うことができる。(令4課資3-7、課審7-16改正)

(注) 借家人補償金をもって事業用固定資産の取得に充てた場合には、措置法令第22条第6項の規定による代替資産の特例の適用があるものについてはこれにより、また、その建物と同じ用途に供する土地又は建物を取得した場合には、当該土地又は建物を当該借家人補償金に係る代替資産に該当するものとして取り扱う。


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