(居住用家屋を共有とするための譲渡)

31の3−11 その居住の用に供している家屋(当該家屋でその居住の用に供されなくなったものを含む。)を他の者と共有にするため譲渡した場合又は当該家屋について有する共有持分の一部を譲渡した場合には、当該譲渡は、措置法第31条の3第1項に規定する譲渡には該当しないことに留意する。

(居住用家屋の敷地の判定)

31の3−12 譲渡した土地等が措置法第31条の3第2項に規定する居住の用に供している家屋の「敷地」に該当するかどうかは、社会通念に従い、当該土地等が当該家屋と一体として利用されている土地等であったかどうかにより判定する。

(「災害」の意義)

31の3−13 措置法第31条の3第2項に規定する「災害」とは、所得税法第2条第1項第27号《定義》に規定する災害をいう。

(災害滅失家屋の跡地等の用途)

31の3−14 災害により滅失したその居住の用に供している家屋の敷地の用に供されていた土地等の譲渡、その居住の用に供している家屋でその居住の用に供されなくなったものの譲渡又は当該家屋とともに当該家屋の敷地の用に供されている土地等の譲渡が、これらの家屋をその居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に行われている場合には、その譲渡した資産は、当該居住の用に供されなくなった日以後どのような用途に供されている場合であっても、措置法第31条の3第2項に規定する居住用財産に該当する。

(注)

1 所得税基本通達33−4《固定資産である土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得》及び33−5《極めて長期間保有していた土地に区画形質の変更等を加えて譲渡した場合の所得》により、その譲渡による所得が事業所得又は雑所得となる場合には、当該事業所得又は雑所得となる部分については、措置法第31条の3第1項の規定の適用はない。

2 その居住の用に供している家屋の敷地の用に供されている土地等を譲渡するため、その家屋を取り壊した場合における取扱いについては、31の3−5による。

(居住の用に供されなくなった家屋が災害により滅失した場合)

31の3−15 その居住の用に供している家屋でその居住の用に供されなくなったものが災害により滅失した場合において、その居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に、当該家屋の敷地の用に供されていた土地等を譲渡したときは、当該譲渡は、措置法第31条の3第1項に規定する居住用財産の譲渡に該当するものとして取り扱う。
 この場合において、当該家屋の所有期間の判定に当たっては、当該譲渡の時まで当該家屋を引き続き所有していたものとする。

(土地区画整理事業等の施行地区内の土地等の譲渡)

31の3−16 土地区画整理法による土地区画整理事業、新都市基盤整備法による土地整理又は大都市地域住宅等供給促進法による住宅街区整備事業(以下この項において「土地区画整理事業等」という。)の施行地区内にある従前の宅地(当該宅地の上に存する建物の所有を目的とする借地権を含む。)を仮換地の指定又は使用収益の停止があった後に譲渡した場合における措置法第31条の3第1項の規定の適用については、その居住の用に供している家屋(当該家屋でその居住の用に供されなくなったものを含む。)の移転又は除却(土地区画整理事業等のために行われるものに限る。)後における当該家屋の敷地の用に供されていた従前の宅地の譲渡(換地処分による譲渡を除く。)で、当該家屋がその居住の用に供されなくなった日から次に掲げる日のうちいずれか遅い日までの間にされたものは、措置法第31条の3第1項に規定する居住用財産の譲渡に該当するものとして取り扱う。
 この場合において、当該家屋の所有期間の判定に当たっては、当該譲渡の時まで当該家屋を引き続き所有していたものとする。

イ 当該家屋がその居住の用に供されなくなった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日

ロ 当該家屋をその居住の用に供さなくなった日から1年以内に仮換地の指定があった場合(仮換地の指定後において当該居住の用に供さなくなった場合を含む。)には、当該従前の宅地に係る仮換地につき使用又は収益を開始することができることとなった日以後1年を経過する日

(権利変換により取得した施設建築物等の一部を取得する権利等の譲渡)

31の3−17 次に掲げる事業の施行地区内にその居住の用に供している家屋(当該家屋でその居住の用に供されなくなったものを含む。)及び当該家屋の敷地の用に供されている土地等(災害により滅失した当該家屋の敷地であった土地等を含む。)を有する者につき、それぞれに掲げるところにより措置法第33条の3の規定による旧資産、防災旧資産又は変換前資産の譲渡があったとみなされる日が、当該家屋をその居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間にあるときは、当該譲渡は、措置法第31条の3第1項に規定する譲渡に該当するものとして取り扱う。(平27課資3-6、課個2-25、課法10-14、課審7-15改正)

(1) 都市再開発法による市街地再開発事業に係る権利変換又は収用若しくは買取りに伴い取得した施設建築物の一部を取得する権利(当該権利とともに取得した施設建築敷地若しくはその共有持分又は地上権の共有持分を含む。)又は建築施設の部分の給付を受ける権利を譲渡(措置法第33条の3第3項に規定する相続、遺贈又は贈与を含む。)した場合又は建築施設の部分につき都市再開発法第118条の5第1項《譲受け希望の申出等の撤回》に規定する譲受け希望の申出を撤回した場合(同法第118条の12第1項《仮登記等に係る権利の消滅について同意が得られない場合における譲受け希望の申出の撤回》又は第118条の19第1項《譲受け希望の申出を撤回したものとみなす場合》の規定により、譲受けの申出を撤回したものとみなされる場合を含む。)において、措置法第33条の3第3項の規定による旧資産の譲渡があったものとみなされる日

(2) 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律による防災街区整備事業に係る権利変換に伴い取得した防災施設建築物の一部を取得する権利(当該権利とともに取得した防災施設建築敷地若しくはその共有持分又は地上権の共有持分を含む。)を譲渡(措置法第33条の3第5項に規定する相続、遺贈又は贈与を含む。)した場合において、同項の規定による防災旧資産の譲渡があったものとみなされる日

(3) マンションの建替え等の円滑化に関する法律によるマンション建替事業に係る権利変換に伴い取得した施行再建マンションに関する権利を取得する権利(当該権利とともに取得した施行再建マンションに係る敷地利用権を含む。)を譲渡(措置法第33条の3第7項に規定する相続、遺贈又は贈与を含む。)した場合において、同項の規定による変換前資産の譲渡があったものとみなされる日

 なお、この場合において、当該旧資産、防災旧資産又は変換前資産の所有期間は、当該旧資産、防災旧資産又は変換前資産の譲渡があったものとみなされる日の属する年の1月1日における所有期間となるのであるから留意する。

(居住用家屋の敷地の一部の譲渡)

31の3−18 その居住の用に供している家屋(当該家屋でその居住の用に供されなくなったものを含む。)の敷地の用に供されている土地等又は災害により滅失した当該家屋(31の3−5に定める取り壊した家屋を含む。以下この項において同じ。)の敷地の用に供されていた土地等の一部を区分して譲渡した場合には、次の点に留意する。(平23課資3-2、課個2-26、課審6-13改正)

(1) 現に存する当該家屋の敷地の用に供されている土地等の一部の譲渡である場合 当該譲渡が当該家屋の譲渡と同時に行われたものであるときは、当該譲渡は措置法第31条の3第1項に規定する譲渡に該当するが、当該譲渡が当該家屋の譲渡と同時に行われたものでないときは、当該譲渡は同項に規定する譲渡には該当しない。

(2) 災害により滅失した当該家屋の敷地の用に供されていた土地等の一部の譲渡である場合 当該譲渡は、全て措置法第31条の3第1項に規定する譲渡に該当する。

(注) 譲渡した土地等が当該家屋の敷地の用に供されている土地又は当該家屋の敷地の用に供されていた土地に該当するかどうかは、31の3−12に定めるところにより判定する。

(居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合の取扱い)

31の3−19 措置法第31条の3第2項第1号又は第2号に掲げる家屋(以下この項及び次項において「譲渡家屋」という。)の所有者以外の者が当該譲渡家屋の敷地の用に供されている土地等でその譲渡の年の1月1日における所有期間が10年を超えているもの(以下この項において「譲渡敷地」という。)の全部又は一部を有している場合において、譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者の行った譲渡が次に掲げる要件の全てを満たすときは、これらの者がともに措置法第31条の3第1項の規定の適用を受ける旨の申告をしたときに限り、その申告を認めることとして取り扱う。(平23課資3-2、課個2-26、課審6-13改正)

(1) 譲渡敷地は、譲渡家屋とともに譲渡されているものであること。

(2) 譲渡家屋の所有者と譲渡敷地の所有者とが親族関係を有し、かつ、生計を一にしていること。

(3) 譲渡家屋は、当該家屋の所有者が譲渡敷地の所有者とともにその居住の用に供している家屋であること。

(注)

1 (2)及び(3)の要件に該当するかどうかは、その家屋の譲渡の時の状況により判定する。ただし、その家屋がその所有者の居住の用に供されなくなった日から同日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に譲渡されたものであるときは、(2)の要件に該当するかどうかは、その家屋がその所有者の居住の用に供されなくなった時からその家屋の譲渡の時までの間の状況により、(3)の要件に該当するかどうかは、その家屋がその所有者の居住の用に供されなくなった時の直前の状況により判定する。

2 この取扱いは、譲渡家屋の所有者が当該家屋(譲渡敷地のうちその者が有している部分を含む。)の譲渡につき措置法第31条の3第1項の規定の適用を受けない場合(当該譲渡に係る課税長期譲渡所得金額がない場合を除く。)には、譲渡敷地の所有者について適用することはできない。

3 この取扱いにより、譲渡敷地の所有者が当該敷地の譲渡につき措置法第31条の3第1項の規定の適用を受ける場合には、譲渡家屋の所有者に係る当該家屋の譲渡について措置法第41条の5第1項又は第41条の5の2第1項の規定の適用を受けることはできない。

(借地権等の設定されている土地の譲渡についての取扱い)

31の3−19の2 譲渡家屋の所有者が、当該家屋の敷地である借地権等の設定されている土地でその譲渡の年の1月1日における所有期間が10年を超えているもの(以下この項において「居住用底地」という。)の全部又は一部を所有している場合において、当該家屋を取り壊し当該居住用底地を譲渡したときの措置法第31条の3の規定の適用については31の3−5に準じて取り扱うこととし、当該居住用底地が当該家屋とともに譲渡されているときは、当該家屋及び当該居住用底地の譲渡について同条第1項の規定の適用を認めることとして取り扱う。
 また、譲渡家屋の所有者以外の者が、居住用底地の全部又は一部を所有している場合における措置法第31条の3の規定の適用については、31の3−19に準じて取り扱うこととする。

(特殊関係者に対する譲渡の判定時期)

31の3−20 措置法第31条の3第1項に規定する譲渡が措置法令第20条の3第1項各号《特殊関係者の範囲》に掲げる者に対する譲渡に該当するかどうかは、当該譲渡をした時において判定する。ただし、当該譲渡が同項第2号に規定する「当該個人と当該家屋に居住をするもの」に対する譲渡に該当するかどうかは、当該譲渡がされた後の状況により判定する。


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