(雑損失の繰越控除及び所得控除の順序)

31・32共-4 その年の前年以前3年内の各年において生じた雑損失の金額は、その年分の1総所得金額、2土地等に係る事業所得等の金額、3短期譲渡所得の金額(一般所得分)、4短期譲渡所得の金額(軽減所得分)、5長期譲渡所得の金額(一般所得分)、6長期譲渡所得の金額(特定所得分)、7長期譲渡所得の金額(軽課所得分)、8上場株式等に係る配当所得等の金額、9一般株式等に係る譲渡所得等の金額、10上場株式等に係る譲渡所得等の金額、11先物取引に係る雑所得等の金額、12山林所得金額又は13退職所得金額の計算上順次控除(5から11までにおいては適用税率の高いものから順次控除)するものとする。ただし、長期譲渡所得の金額、上場株式等に係る配当所得等の金額、一般株式等に係る譲渡所得等の金額、上場株式等に係る譲渡所得等の金額又は先物取引に係る雑所得等の金額の間において、納税者がこの取扱いと異なる順序で控除して申告したときは、これを認める。
 また、その年分の所得控除についても、これと同様に取り扱う。(平21課資3-5、課個2-14、課審6-12、平27課資3-4、課個2-19、課法10-5、課審7-13改正)

(注) 1 短期譲渡所得の金額(一般所得分)とは、措置法第32条第1項の規定の対象となる土地等又は建物等の譲渡に係るもの(次の2に該当するものを除く。)をいう。
2 短期譲渡所得の金額(軽減所得分)とは、措置法第32条第3項の規定の対象となる土地等の譲渡に係るものをいう。
3 長期譲渡所得の金額(一般所得分)とは、措置法第31条第1項の規定の対象となる土地等又は建物等の譲渡に係るもの(次の4又は5に該当するものを除く。)をいう。
4 長期譲渡所得の金額(特定所得分)とは、措置法第31条の2第2項に規定する優良住宅地等のための譲渡又は同条第3項に規定する確定優良住宅地等予定地のための譲渡に係るものをいう。
5 長期譲渡所得の金額(軽課所得分)とは、措置法第31条の3第1項《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》の規定の適用を受ける居住用財産の譲渡に係るものをいう。

(代替資産等の取得の日)

31・32共-5 次に掲げる資産について措置法第31条第2項に規定する所有期間を判定する場合における同項に規定する「その取得をした日」は、それぞれ次に掲げる日によることに留意する。(平18課資3-6、課個2-11、課審6-5、平19課資3-5、課個2-15、課審6-9、平22課資3-4、課個2-14、課審6-20、平25課資3-4、課個2-14、課法9-4、課審7-15、平30課資3-2、課個2-25、課法10-3、課審7-6改正)

  1. (1) その取得につき措置法第33条《収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例》、第33条の2《交換処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例》、第33条の3《換地処分等に供い資産を取得した場合の課税の特例》、又は第37条の6《特定の交換分合により土地等を取得した場合の課税の特例》の規定の適用を受けた代替資産等 これらの規定の適用に係る旧譲渡資産の取得の日
  2. (2) その取得につき措置法第36条の2《特定の居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例》若しくは第36条の5《特定の居住用財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例》、第37条《特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例》若しくは第37条の4《特定の事業用資産を交換した場合の譲渡所得の課税の特例》、第37条の5《既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例》又は第37条の8《特定普通財産とその隣接する土地等の交換の場合の譲渡所得の課税の特例》の規定の適用を受けた買換資産等 これらの資産の実際の取得の日

(改良、改造等があった土地建物等の所有期間の判定)

31・32共-6 その取得後改良、改造等を行った土地建物等について措置法第31条第2項に規定する所有期間を判定する場合における同項に規定する「その取得をした日」は、その改良、改造等の時期にかかわらず、当該土地建物等の取得をした日によるものとする。

(配偶者居住権等が消滅した場合における建物又は土地等の所有期間の判定)

31・32共-7 配偶者居住権又は当該配偶者居住権の目的となっている建物の敷地の用に供される土地等を当該配偶者居住権に基づき使用する権利(以下この項及び次項において「配偶者居住権等」という。)が消滅した後に、当該配偶者居住権の目的となっていた建物又は当該土地等を譲渡した場合において、措置法第31条第2項に規定する所有期間を判定するときにおける同項に規定する「その取得をした日」は、配偶者居住権等の消滅の時期にかかわらず、当該建物又は当該土地等の取得をした日によることに留意する。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(配偶者居住権を有する居住者が建物又は土地等を取得した場合の所有期間の判定)

31・32共-8 配偶者居住権を有する居住者が、当該配偶者居住権の目的となっている建物又は当該建物の敷地の用に供される土地等を取得し当該建物又は当該土地等を譲渡した場合において、措置法第31条第2項に規定する所有期間を判定するときにおける同項に規定する「その取得をした日」は、配偶者居住権等の取得の時期にかかわらず、当該建物又は当該土地等の取得をした日によることに留意する。(令2課資3-7、課個2-18、課法11-4、課審7-9追加)

(適用税率が異なる資産の譲渡がある場合の譲渡所得の計算)

31-1 分離長期譲渡所得の基因となる資産のなかに優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等(措置法第31条の2第2項に規定する優良住宅地等のための譲渡又は同条第3項に規定する確定優良住宅地等予定地のための譲渡に係る土地等をいう。以下31-2までにおいて同じ。)と居住用財産(措置法第31条の3第1項《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》の規定の適用を受ける居住用財産をいう。以下31-2までにおいて同じ。)とその他の土地建物等とがある場合における31・32共-2又は31・32共-3の適用については、次によるものとする。ただし、納税者がこの取扱いと異なる計算をして申告したときは、その計算を認める。

  1. (1) 31・32共-2において、分離長期譲渡所得に係る譲渡損益を計算する場合には、分離長期譲渡所得の基因となる資産を優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等又は居住用財産とその他の土地建物等とに区分して譲渡損益を計算し、その区分ごとに計算した金額のいずれかに損失が生じたときは、当該損失の金額は、次により他の譲渡益から控除する。
    • イ 当該損失の金額が優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等又は居住用財産につき生じたものであるときは、まず、その他の土地建物等に係る譲渡益から控除する。
    • ロ イによる控除をしてもなお控除しきれない損失の金額があるとき又は当該損失の金額がその他の土地建物等につき生じたものであるときは、優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等に係る譲渡益又は居住用財産に係る譲渡益から順次控除する。
  2. (2) 31・32共-2の(1)により、分離短期譲渡所得の損失の金額を分離長期譲渡所得の譲渡益から控除する場合には、その他の土地建物等に係る譲渡益、優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等に係る譲渡益又は居住用財産に係る譲渡益から順次控除する。
  3. (3) 31・32共-3において、同一の特別控除額の対象となる資産の分離長期譲渡所得の譲渡益のなかに、居住用財産に係るものとその他の土地建物等に係るものとがある場合には、当該譲渡益は、居住用財産に係るもの、その他の土地建物等に係るものから順次成るものとする。

(注) 優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等について特別控除等の規定の適用を受けるときは、措置法第31条の2の規定は適用できないことに留意する。

(端数計算)

31-2 課税長期譲渡所得金額に1,000円未満の端数があるとき又はその全額が1,000円未満であるときは、国税通則法第118条第1項《端数計算》の規定により、その端数金額又はその全額を切り捨てることとなるが、課税長期譲渡所得金額のなかに優良住宅地の造成等のために譲渡した土地等に係る部分の金額、居住用財産の譲渡に係る部分の金額又はその他の土地建物等の譲渡に係る部分の金額とがある場合においても、それぞれの金額に1,000円未満の端数があるとき又はそれぞれの全額が1,000円未満であるときは、その端数金額又は全額を切り捨てるものとする。


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