(特定口座内保管上場株式等の譲渡による取得費等の額の計算)

37の11の3−1 2回以上にわたって取得した同一銘柄の特定口座内保管上場株式等の譲渡による所得の計算上、必要経費に算入する売上原価の額又は取得費の額(以下37の11の3−3までにおいて「取得費等の額」という。)の計算については、措置法令第25条の10の2第1項の規定により、次により行うこととなるのであるから留意する。

(1) 取得費等の額の計算については、所得税法令第118条に規定する総平均法に準ずる方法による。この場合、居住者等の有する同一銘柄の上場株式等のうちに当該特定口座内保管上場株式等と当該特定口座内保管上場株式等以外の上場株式等とがある場合には、これらの上場株式等については、それぞれその銘柄が異なるものとする。

(2) 一の特定口座において一の日に2回以上にわたって同一銘柄の当該特定口座内保管上場株式等の譲渡があった場合には、当該一の日におけるこれらの譲渡については、これらの譲渡のうち最後の譲渡の時にこれらの譲渡があったものとみなして、所得税法令第118条の規定を適用する。

(特定口座内保管上場株式等を現渡しした場合)

37の11の3−2 措置法第37条の11の3第3項第3号に規定する特定信用取引勘定において行った上場株式等の売付けの信用取引につき、当該信用取引の決済を当該上場株式等と同一銘柄の特定口座内保管上場株式等の引渡し(いわゆる現渡しの方法をいう。)により行った場合には、その特定口座内保管上場株式等の引渡しは同項第2号に規定する証券業者への売委託の方法による譲渡に該当するとみなされるのであるから留意する。

(特定口座内保管上場株式等を払い出した場合)

37の11の3−3 措置法令第25条の10の2第21項に規定する「特定口座内保管上場株式等の全部又は一部の払出し」とは、特定口座内保管上場株式等を特定口座外での保管とするための払出し(振替の方法による払出しを含む。)をいうのであるが、特定口座外において、当該払出しがされた上場株式等と同一銘柄の上場株式等を当該払出し後に譲渡した場合の取得費等の額の計算及び所有期間等の判定については、同項第1号及び第2号の規定により、次によるのであるから留意する。

(1) 取得費等の額の計算上、当該払出しがされた上場株式等は、当該払出しの時に、当該払出しがされた上場株式等が特定口座において譲渡されたとした場合に計算される取得費等の額に相当する金額により取得したものとする。

(注) 特定口座外において、当該払出しの前に、当該払出しがされた上場株式等と同一銘柄の上場株式等が譲渡されている場合に、当該払出しがされた上場株式等の下記(2)による取得の日が当該譲渡の前であっても、既に行われた当該譲渡についての取得費等の額の再計算は行わない。

(2) 所有期間等の判定上、当該払出しがされた同一銘柄の上場株式等は、その取得の日に取得されたものとする。ただし、当該払出しがされた同一銘柄の上場株式等が2回以上にわたって取得されたものであるときは、特定口座において先に取得したものから順次譲渡され、その残りが順次払い出されたとした場合のその取得の日により取得されたものとする。

(特定口座以外の株式等に係る譲渡所得等の金額との合計)

37の11の3−4 措置法第37条の11の3第1項に規定する特定口座内保管上場株式等の譲渡による事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額(次項において「特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額」という。)又は同条第2項に規定する信用取引に係る上場株式等の譲渡による事業所得の金額又は雑所得の金額(次項において「信用取引に係る上場株式等の譲渡による雑所得等の金額」という。)と特定口座以外における株式等に係る譲渡所得等の金額との合計は次の順序により行う。

(1) 居住者等が有する特定口座が2以上ある場合には、証券業者から交付を受けた同条第7項に規定する報告書(以下37の11の5−3までにおいて「特定口座年間取引報告書」という。)に基づき、それぞれの特定口座年間取引報告書に記載された年間取引損益の各欄の金額を合計する。

(2) 上記(1)により合計された年間取引損益の各欄の金額について、特定口座以外の株式等に係る譲渡所得等の金額と合計する。この場合において、特定口座年間取引報告書に記載された年間取引損益の長短等区分は37の10−3に定めるそれぞれ次に掲げる譲渡区分に該当するものとして計算する。

1 一般上場分及び特定信用分 一般上場

2 長期所有上場分 長期所有上場

3 長期所有上場特定分 長期所有上場特定

(株式等に係る譲渡所得等の課税の特例に関する取扱い等の準用)

37の11の3−5 特定口座内保管上場株式等の譲渡による譲渡所得等の金額の計算、信用取引に係る上場株式等の譲渡による雑所得等の金額の計算等については、37の10−1から37の10−13、37の10−15、37の10−19、37の10−20、37の10−22から37の10−25、37の10−27から37の10−30の取扱いを準用する。