(株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期)

37の10−1 株式等に係る譲渡所得等の総収入金額の収入すべき時期は、次の区分ごとにそれぞれに掲げるところによる。

(1) 次の(2)から(4)以外の場合
 株式等の引渡しがあった日による。ただし、納税者の選択により、当該株式等の譲渡に関する契約の効力発生の日により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。

(2) 証券取引法(昭和23年法律第25号)第161条の2第1項《信用取引等における保証金の預託》の規定による信用取引又は発行日取引(以下37の10−7までにおいて「信用取引等」という。)の方法による場合
 当該信用取引等の決済の日による。

(3) 措置法第37条の10第4項各号(同項第5号を除く。)に規定する事由に基づき収入金額とみなされる場合

イ 合併によるものについては、合併登記の日による。ただし、合併登記日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。

ロ 分割によるものについては、分割登記の日による。ただし、分割登記日前に金銭等が交付される場合には、その交付の日による。

ハ 資本若しくは出資の減少、株式の消却、退社又は脱退によるものについては、これらの事実があった日による。

ニ 解散による残余財産の分配によるものについては、その分配開始の日による。ただし、その分配が数回に分割して行われる場合には、それぞれの分配開始の日による。

(4) 措置法第37条の10第5項に規定する私募証券投資信託等の終了又は一部の解約により支払われる金額で同項の規定により収入金額とみなされる場合
 その終了又は一部の解約の日による。

(株式等の譲渡に係る所得区分)

37の10−2 株式等の譲渡による所得が事業所得若しくは雑所得に該当するか又は譲渡所得に該当するかは、当該株式等の譲渡が営利を目的として継続的に行われているかどうかにより判定するのであるが、その者の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、次に掲げる株式等の譲渡による部分の所得については、譲渡所得として取り扱って差し支えない。

(1) 次に掲げる株式等(以下「上場株式等」という。)で所有期間が1年を超えるものの譲渡による所得

イ 証券取引法第2条第14項に規定する証券取引所に上場されている株式等

ロ 店頭売買登録銘柄として登録された株式(出資及び投資口(投資信託及び投資法人に関する法律(昭和26年法律第198号)第2条第21項に規定する投資口をいう。)を含む。以下この項において同じ。)

ハ 店頭転換社債型新株予約権付社債

ニ 店頭管理銘柄株式

ホ 証券業協会の定める規則に従い、登録銘柄として証券業協会に備える登録原簿に登録された日本銀行出資証券

へ 証券取引法第2条第8項第3号ロに規定する外国有価証券市場において売買されている株式等

(2) 上場株式等以外の株式等の譲渡による所得

(注) この場合において、その者の株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上、信用取引等の方法による上場株式等の譲渡による所得など上記(1)に掲げる所得以外の上場株式等の譲渡による所得がある場合には、当該部分は事業所得又は雑所得として取り扱って差し支えない。

(株式等に係る譲渡所得等の金額の計算)

37の10−3 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算は、次に掲げる順序によって計算することに留意する。

(1) 措置法令第25条の8第2項、同令第25条の9第5項及び第10項の規定により、株式等に係る事業所得、譲渡所得又は雑所得の金額の計算上控除する損失の金額がある場合には、まず、それぞれの所得ごとに控除する。

(2) 株式等に係る事業所得、譲渡所得又は雑所得の金額のいずれかに、その金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、措置法令第25条の8第1項、同令第25条の9第4項及び第9項の規定により、当該損失の金額を他の株式等に係る事業所得、譲渡所得又は雑所得の金額から控除する。

(3) 「長期所有上場特定株式等の100万円特別控除の特例」の適用を受ける場合には、当該特例を適用する。

(4) 「新規公開株式等に係る2分の1課税の特例」又は「特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例」の適用を受ける場合には、それぞれ該当する特例を適用する。

(5) 「上場株式等の譲渡損失の繰越控除」又は「特定投資株式に係る譲渡損失の繰越控除」の適用を受ける場合には、当該繰越控除に係る譲渡損失の金額を控除する。

(6) 所得税法第71条《雑損失の繰越控除》第1項に規定する雑損失の金額がある場合には、同項の規定による控除を行う。

(注) 上記(1)から(4)までの計算に当たっては、措置法令第25条の8第1項及び第2項並びに同法第25条の9第4項、第5項、第9項及び第10項の規定により、まず、それぞれの譲渡を次の区分(以下「譲渡区分」という。)ごとに行うことに留意する。

1 「公開」
 「新規公開株式等に係る2分の1課税の特例」又は「特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例」の適用がある措置法第37条の10第2項に規定する株式等の譲渡に該当するもの

2 「長期所有上場特定」
 措置法第37条の10第6項に規定する長期所有上場特定株式等の譲渡(上記1に該当するものを除く。)に該当するもの(譲渡所得に限る。)

3 「長期所有上場」
 措置法第37条の11第2項に規定する長期所有上場株式等の同条第1項各号に掲げる上場株式等の譲渡(上記1及び2に該当するものを除く。)に該当するもの

4 「一般上場」
 措置法第37条の11第1項各号に掲げる上場株式等の譲渡(上記1から3に該当するものを除く。)に該当するもの

5 「一般」
 上記1から4以外の株式等の譲渡に該当するもの

<計算例>

株式等に係る譲渡所得等の金額の計算例

(雑損失の繰越控除及び所得控除の順序)

37の10−4 その年の前年以前3年内の各年において生じた雑損失の金額は、その年分の1総所得金額、2土地等に係る事業所得等の金額、3短期譲渡所得の金額(一般所得分)、4短期譲渡所得の金額(軽減所得分)、5長期譲渡所得の金額(一般所得分)、6長期譲渡所得の金額(特定所得分)、7長期譲渡所得の金額(軽課所得分)、8株式等に係る譲渡所得等の金額(一般分)、9株式等に係る譲渡所得等の金額(軽減分)、10株式等に係る譲渡所得等の金額(暫定分)、11商品先物取引に係る雑所得等の金額、12山林所得金額又は13退職所得金額の計算上順次控除するものとする。ただし、2土地等に係る事業所得等の金額から11商品先物取引に係る雑所得等の金額までの間において、納税者がこの取扱いと異なる順序で控除して申告したときは、これを認める。また、その年分の所得控除についても、これと同様に取り扱う。

(注)

1 短期譲渡所得の金額(一般所得分)とは、措置法第32条第1項の規定の対象となる土地等の譲渡に係るもの(次の2に該当するものを除く。)をいう。

2 短期譲渡所得の金額(軽減所得分)とは、措置法第32条第3項の規定の対象となる土地等の譲渡に係るものをいう。

3 長期譲渡所得の金額(一般所得分)とは、措置法第31条第1項の規定の対象となる土地等の譲渡に係るもの(次の4又は5に該当するものを除く。)をいう。

4 長期譲渡所得の金額(特定所得分)とは、措置法第31条の2第2項に規定する優良住宅地等のための譲渡又は同条第3項に規定する確定優良住宅地等予定地のための土地等の譲渡に係るものをいう。

5 長期譲渡所得の金額(軽課所得分)とは、措置法第31条の3第1項《居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例》の規定の適用を受ける居住用財産の譲渡に係るものをいう。

6 株式等に係る譲渡所得等の金額(一般分)とは、措置法第37条の10第1項の規定の対象となる株式等の譲渡に係るもの(次の7又は8に該当するものを除く。)をいう。

7 株式等に係る譲渡所得等の金額(軽減分)とは、措置法第37条の11第1項の規定の対象となる株式等の譲渡に係るものをいう。

8 株式等に係る譲渡所得等の金額(暫定分)とは、措置法第37条の11第2項の規定の適用を受ける株式等の譲渡に係るものをいう。

(信用取引等に係る譲渡益の計算)

37の10−5 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、信用取引等の方法により上場株式等の買付け又は売付けを行った者が、当該信用取引等に関し、証券業者に支払う又は証券業者から支払を受ける次のものについては、それぞれ次に掲げるところによることに留意する。

(1) 買付けを行った者が証券業者に支払う買委託手数料、委託手数料等に係る消費税及び地方消費税、名義書換料並びに金利に相当する額は、当該信用取引等に伴い直接要した費用の額に算入する。

(2) 買付けを行った者が証券業者から支払を受ける品貸料の額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額に算入する。

(3) 売付けを行った者が証券業者から支払を受ける金利に相当する額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額に算入する。

(4) 売付けを行った者が証券業者に支払う売委託手数料、委託手数料等に係る消費税及び地方消費税並びに品貸料の額は、当該信用取引等に伴い直接要した費用の額に算入する。

(5) 買付けを行った者が証券業者から支払を受ける配当落調整額及び引受権価額に相当する額は、買付けに係る上場株式等の取得価額から控除し、売付けを行った者が証券業者に支払う配当落調整額及び引受権価額に相当する額は、上場株式等の譲渡に係る収入金額から控除する。

(注) 配当落調整額とは、信用取引等に係る株式につき配当が付与された場合において、証券業者が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該配当に相当する金銭の額をいい、引受権価額とは、信用取引等に係る株式につき新株の引受権が付与された場合において、証券業者が売付けを行った者から徴収し又は買付けを行った者に支払う当該引受権に相当する金銭の額をいう。

(信用取引等の決済の日後に授受される配当落調整額)

37の10−6 株式等に係る譲渡所得等の金額を計算する場合において、信用取引等の決済の日後に配当落調整額の授受が行われた場合は、その授受が行われた金額をその授受が行われた年の総収入金額又は必要経費に算入するのであるから留意する。

(信用取引等で現渡しの方法により決済を行った場合の所得計算)

37 の10−7 信用取引等の方法により上場株式等の売付けを行った場合において、いわゆる現渡しの方法により決済を行ったときの株式等に係る譲渡所得等の金額は、当該売付けの際の約定金額により、当該現渡しをした時に、当該現渡しをした上場株式等を譲渡したものとして計算するのであるから留意する。この場合において、当該上場株式等に係る取得価額は、当該現渡しをした上場株式等の取得に要した金額により、また、その取得の日は当該現渡しをした上場株式等及びそれと同一銘柄の上場株式等のうち先に取得したものから順次譲渡をしたものとした場合に当該譲渡をしたものとされる当該現渡しをした上場株式等の取得の日による。

(外貨で表示されている株式等に係る譲渡の対価の額等の邦貨換算)

37の10−8 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算に当たり、株式等の譲渡の対価の額が外貨で表示され当該対価の額を邦貨又は外貨で支払うこととされている場合の当該譲渡の価額は、外貨で表示されている当該対価の額につき証券業者と株式等を譲渡する者との間の外国証券の取引に関する外国証券取引口座約款において定められている約定日におけるその支払をする者の主要取引金融機関(その支払をする者がその外貨に係る対顧客直物電信買相場を公表している場合には、当該支払をする者)の当該外貨に係る対顧客直物電信買相場により邦貨に換算した金額による。なお、取得の対価の額の邦貨換算については、対顧客直物電信売相場により、上記に準じて行う。

(注) 株式等の取得の約定日が平成10年3月以前である場合には、外国為替公認銀行の公表した対顧客直物電信売相場によることに留意する。

(付与された権利の行使により取得した株式等の価額)

37の10−9 所得税法令第109条第1項第2号《有価証券の取得価額》に規定する権利の行使により取得した株式等のその権利の行使の日(同令第84条第4号《株式等を取得する権利の価額》に掲げる権利の行使により取得した株式等にあっては、当該権利に基づく払込みに係る期日)における価額は、所基通23〜35共−9により求めた価額とする。

(株式等の購入費用)

37の10−10 所得税法令第109条第1項第3号に規定する「購入のために要した費用」とは、株式等を購入するに当たって支出した買委託手数料(当該委託手数料に係る消費税及び地方消費税を含む。)、交通費、通信費、名義書換料等をいう。

(新株の引受権を譲渡した場合の取得価額)

37の10−11 株主の地位に基づき割当てを受けた新株の引受権を譲渡した場合は、次の算式により計算した金額を当該譲渡の対価に係る取得価額とする。
新株の引受権を譲渡した場合の取得価額の算式

(新株予約権の行使により取得した株式の取得価額)

37の10−12 新株予約権の行使により取得した株式(発行法人から与えられた所得税法令第84条第3号に掲げる新株予約権で同条の規定の適用を受けるものの行使により取得したものを除く。)1株当たりの取得価額は、次の算式により計算した金額によるものとする。

新株予約権の行使により取得した株式の取得価額の算式

(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使により取得した株式の取得価額)

37の10−13 新株予約権付社債につきその新株予約権の内容として定められている株式の発行価額が当該新株予約権付社債の発行時の発行法人の株式の価額を基礎として合理的に定められている場合には、当該新株予約権の行使により取得した株式1株当たりの取得価額は、次に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ次に定める算式により計算した金額によるものとする。

(1) 金銭により払込みを行った場合

金銭により払込みを行った場合の算式

(2) 新株予約権付社債の発行価額をもって払込みがあったものとされた場合

新株予約権付社債の発行価額をもって払込みがあったものとされた場合の算式

(株式等の取得価額)

37の10−14 株式等を譲渡した場合における事業所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額の計算上必要経費又は取得費に算入する金額は、所得税法第37条第1項、第38条第1項、第48条及び第61条の規定に基づいて計算した金額となるのであるが、譲渡をした同一銘柄の株式等について、当該株式等の譲渡による収入金額の100分の5に相当する金額を当該株式等の取得価額として事業所得の金額若しくは雑所得の金額を計算しているとき又は当該金額を譲渡所得の金額の計算上収入金額から控除する取得費として計算しているときは、これを認めて差し支えないものとする。

(1単位当たりの取得価額の端数処理)

37の10−15 所得税法令第105条第1項の規定により計算された1単位当たりの取得価額又は同令第118条第1項の規定により計算された1単位当たりの金額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げるものとする。

(株式等を取得するために要した負債の利子)

37の10−16 株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除する株式等を取得するために要した負債の利子の額は、株式等に係る譲渡所得等の基因となった株式等を取得するために要した負債の利子で、その年中における当該株式等の所有期間に対応して計算された金額とする。

(配当所得の収入金額等がある場合の負債の利子)

37の10−17 その年において、株式等に係る譲渡所得等及び配当所得を有する者が負債により取得した株式等を有する場合において、当該負債を株式等に係る譲渡所得等の基因となった株式等を取得するために要したものとその他のものとに明確に区分することが困難なときには、次の算式により計算した金額を株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除すべき負債の利子の額とすることができるものとする。

株式等に係る譲渡所得等の金額の計算上控除すべき負債の利子の額の算式

(注) 算式中の「総合課税の株式等に係る事業所得等」とは、所得税法第22条《課税標準》又は同法第165条《総合課税に係る所得税の課税標準、税額等の計算》の規定の適用を受ける株式等の譲渡による所得で事業所得又は雑所得に該当するものをいう。

(負債を借り換えた場合等の負債の利子)

37の10−18 株式等を取得するために要した負債を借り換えた場合等の取扱いについては、所基通24−7、24−8及び24−9の取扱いを準用する。

(所有期間を判定する場合の「取得をした日」)

37の10−19 措置法第37条の10第2項及び措置法令第25条の8第5項に規定する株式の所有期間は、その株式を取得をした日の翌日から引き続き所有していた期間によるが、この場合における当該株式の「取得をした日」は、次による。

(1) 他から取得した株式は、引渡しがあった日による。ただし、納税者の選択により、当該株式の取得に関する契約の効力発生の日を取得をした日として申告があったときは、これを認める。

(2) 払込みにより取得した株式は、その払込みの払込期日の翌日による。

(3) 新株予約権の行使(新株予約権付社債に係る新株予約権の行使を含む。)により取得した株式は、その新株予約権の行使に際して払込みをすべき金額を払い込んだ日による。

(4) 株式の併合若しくは分割、会社の合併又は会社の分割により取得した株式については、その取得の基因となった株式の「取得をした日」による。ただし、措置法第37条の10第4項の規定により株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされるものを除く。

(5) 株式交換又は株式移転により取得した株式については、当該交換又は移転の日による。

(6) 信用取引の買建てにより取得していた株式をいわゆる現引きにより取得した場合には、当該買建ての際における(1)に定める日による。

(注) 所得税法第60条第1項の規定は、株式についても適用されることに留意する。

(売委託)

37の10−20 措置法第37条の10第2項に規定する「売委託」とは、証券取引法第2条第8項第2号及び第7号に掲げる行為のうち売買の媒介、取次ぎ若しくは代理について委託すること、同項第3号に掲げる行為のうち売買の委託の媒介、取次ぎ若しくは代理について委託すること又は同項第6号に掲げる行為のうち売出しの取扱いについて委託することをいう。

(公開株式等に係る譲渡所得の金額)

37の10−21 措置法令第25条の8第1項第1号に規定する「公開株式等に係る譲渡所得の金額」とは、措置法第37条の10第2項又は同法第37条の13第8項の規定の適用がある株式等の譲渡による譲渡所得の金額をいうこととされているが、この場合において、同項に規定する特定株式の譲渡について同項の規定の適用を受けようとする旨の申告がないときであっても、当該譲渡は、措置法第37条の10第2項に規定する株式等の譲渡に該当するので、当該譲渡に係る株式等の譲渡による譲渡所得の金額は、「公開株式等に係る譲渡所得の金額」に該当することに留意する。なお、公開株式等に係る事業所得又は雑所得の金額についても同様とする。

(株式の範囲)

37の10−22 措置法第37条の10第3項第1号に規定する「株式」には、措置法第8条の5第1項第1号の規定により、投資信託及び投資法人に関する法律第2条第21項に規定する投資口が含まれることに留意する。

(注)  「投資口」とは、投資法人(資産を主として特定資産に対する投資として運用することを目的として設立された社団)の社員の地位で、均等の割合的単位に細分化されたものをいう。

(譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等―法人の合併の場合)

37の10−23 措置法第37条の10第4項第1号の規定の適用に関しては、次の点に留意する。

(1) 法人の合併に当たり、措置法第37条の10第4項の規定により、被合併法人の株式(以下この項において「旧株」という。)についての譲渡所得等に係る収入金額とみなされる同項第1号に掲げる金額(所得税法第25条第1項《配当等の額とみなす金額》の規定に該当する部分の金額(以下37の10−26までにおいて「みなし配当額」という。)を除く。)及び当該収入金額から控除すべき取得価額は、次の算式によって計算した金額となる。

収入金額とみなされる金額=法人の合併により交付を受けた合併法人の株式及びそれ以外の資産の価額の合計額−みなし配当額

取得価額=旧株の従前の取得価額の合計額

 また、当該合併により取得した合併法人の株式の取得価額は、所得税法令第109条第1項第4号の規定により、取得のために通常要する価額となる。

(2) 措置法第37条の10第4項の規定の適用がない場合における法人の合併により取得した合併法人の株式の1株当たりの取得価額は、同令第112条の規定により、次の算式によって計算した金額となる。

当該合併により取得した合併法人の株式の取得価額の算式

(譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等−法人の分割の場合)

37の10−24 措置法第37条の10第4項第2号の規定の適用に関しては、次の点に留意する。

(1) 法人の分割に当たり、措置法第37条の10第4項の規定により、分割法人の株式(以下この項において「旧株」という。)についての譲渡所得等に係る収入金額とみなされる同項第2号に掲げる金額(みなし配当額を除く。)及び当該収入金額から控除すべき取得価額は、次の算式によって計算した金額となる。

収入金額とみなされる金額=法人の分割により交付を受けた分割承継法人の株式及びそれ以外の資産の価額の合計額−みなし配当額

取得価額=旧株の従前の取得価額の合計額×純資産移転割合

(注) 「純資産移転割合」は、所得税法令第61条第2項第2号に規定する割合で、次により計算した割合(小数点以下1位未満は切上げ)をいう。以下同じ。

純資産移転割合の算式

 また、当該分割があった日以後における旧株1株当たりの取得価額は、同令第113条第2項の規定により、次の算式によって計算した金額となり、また、当該分割により取得した分割承継法人の株式の取得価額は、同令第109条第1項第4号の規定により、取得のために通常要する価額となる。

当該分割があった日以後における旧株1株当たりの取得価額の算式

(2) 措置法第37条の10第4項の規定の適用がない場合における法人の分割があった日以後の旧株及び当該分割により取得した分割承継法人の株式に係る1株当たりの取得価額は、同令第113 条第1項又は第2項の規定により、それぞれ次の算式によって計算した金額となる。

法人の分割があった日以後の旧株及び当該分割により取得した分割承継法人の株式に係る1株当たりの取得価額の算式

(譲渡所得等に係る収入金額とみなす金額等−払戻し等の場合)

37の10−25 措置法第37条の10第4項第3号に規定する「法人の資本若しくは出資の減少」又は「法人の解散による残余財産の分配」(以下この項において「払戻し等」という。)により金銭その他の資産(以下この項において「金銭等」という。)の交付を受けた場合のその有していた払戻し等を行った法人の株式(以下この項において「旧株」という。)に係る譲渡所得等の収入金額とみなされる収入金額及び当該収入金額から控除すべき取得価額は、それぞれ次の算式によって計算した金額となることに留意する。

収入金額とみなされる金額=払戻し等により取得した金銭等の価額の合計額−みなし配当額

取得価額=旧株の従前の取得価額の合計額×純資産減少割合

(注) 「純資産減少割合」は、所得税法令第61条第2項第3号に規定する割合で、次により計算した割合(小数点以下1位未満は切上げ)をいう。以下同じ。

純資産減少割合の算式

 また、当該払戻し等があった日以後における旧株1株当たりの取得価額は、同令第114条第1項の規定により、次の算式によって計算した金額となる。

当該払戻し等があった日以後における旧株1株当たりの取得価額の算式

(法人が自己の株式を個人から取得する場合の所得税法第59条の適用)

37の10−26 法人がその株主等から措置法第37条の10第4項第5号の規定に該当する自己の株式の取得を行う場合において、その株主等が個人であるときには、同項の規定により、当該株主等が交付を受ける金銭等(みなし配当額を除く。)は株式等に係る譲渡所得等の収入金額とみなされるが、この場合における所得税法第59条第1項第2号の規定の適用については、次による。

(1) 同号の規定に該当するかどうかの判定
 法人が当該自己の株式を取得した時における当該自己の株式の価額(以下この項において「当該自己株式の時価」という。)に対して、当該株主等に交付された金銭等の額が、同号に規定する著しく低い価額の対価であるかどうかにより判定する。

(2) 同号の規定に該当する場合の株式等に係る譲渡所得等の収入金額とされる金額
 当該自己株式の時価に相当する金額から、みなし配当額に相当する金額を控除した金額による。

(注) 「当該自己株式の時価」は、所基通59−6により算定するものとする。

(所有期間が1年を超えるかどうかの判定)

37の10−27 措置法第37条の10第6項に規定する上場特定株式等がその譲渡の日において所有期間が1年を超えるものに該当するかどうかを判定する際の所有期間は、37の10−19に準じて判定する。

(注) その株式の所有期間を判定する場合における「譲渡の日」は、37の10−1の総収入金額の収入すべき時期による。

(「譲渡の日前1年以内」の取得)

37の10−28 措置法令第25条の8第16項の規定における「譲渡の日前1年以内」とは、譲渡の日の属する年の前年の応答日以後、譲渡の日の前日までの間をいう。

(合計所得金額等の計算)

37の10−29 株式等に係る譲渡所得等の金額を有する場合における所得税に関する法令の規定の適用に当たっては、次の事項に留意する。

(1) 所得税法第2条第1項第30号に規定する「合計所得金額」には、措置法第37条の10第10項第1号の規定により株式等に係る譲渡所得等の金額が含まれ、所得税法令第11条第2項及び同令第11条の2第2項に規定する「総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額」には、措置法令第25条の8第19項の規定により、株式等に係る譲渡所得等の金額が含まれる。この場合の株式等に係る譲渡所得等の金額は、次の特例等を順次適用した後の金額による。

1 「長期所有上場特定株式等の100万円特別控除の特例」

2 「新規公開株式等に係る2分の1課税の特例」及び「特定投資株式に係る譲渡所得等の課税の特例」

(2) 所得税法第120条第1項本文に規定する「その年分の総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額」及び所得税法第121条第1項第1号に規定する「給与所得及び退職所得以外の所得金額」には、株式等に係る譲渡所得等の金額が含まれる。これらの場合の株式等に係る譲渡所得等の金額は、法令の規定により確定申告書の提出又は確定申告書への記載若しくは明細書等の添付を要件として適用される特例を適用しないで計算した金額による。

(端数計算)

37の10−30 措置法第37条の10第1項に規定する「株式等に係る課税譲渡所得等の金額」に1,000円未満の端数があるとき又はその全額が1,000円未満であるときは、通則法第118条第1項《端数計算》の規定により、その端数金額又はその全額を切り捨てることとなるが、株式等に係る課税譲渡所得等の金額のなかに措置法第37条の11第1項に規定する「上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額」に係る部分の金額又は同条第2項に規定する「長期所有上場株式等に係る課税譲渡所得等の金額」に係る部分の金額がある場合においても、これらの金額及びこれらの金額以外の「株式等に係る課税譲渡所得等の金額」に係る部分の金額に1,000円未満の端数があるとき又はそれぞれの金額が1,000円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てるものとする。