直所3-8(例規)
直資3-6
平成元年3月29日
(改正 令和3.2.9課個2-3)
(改正 令和1.6.28課個2-28)
(改正 平成26.3.13課個2-3)
(改正 平成9.2.26課所4-3)
(改正 平成1.1.21課所4-1)

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

標題のことについては、下記のとおり定めたから、これによられたい。

(趣旨)
消費税法(昭和63年法律第108号)、所得税法及び消費税法の一部を改正する法律(平成6年法律第109号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成6年法律第111号)、地方税法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成9年政令第17号)、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律(平成24年法律第68号)、社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための地方税法及び地方交付税法の一部を改正する法律(平成24年法律第69号)、所得税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第9号)、地方税法等の一部を改正する法律(平成27年法律第2号)、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)及び地方税法等の一部を改正する等の法律(平成28年法律第13号)の施行に伴い、所得税の課税所得金額の計算における消費税及び地方消費税の取扱いを明らかにするものである。

(用語の意義)

1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

  1. (1) 令 所得税法施行令(昭和40年政令第96号)をいう。
  2. (2) 消法 消費税法(昭和63年法律第108号)をいう。
  3. (3) 消法令 消費税法施行令(昭和63年政令第360号)をいう。
  4. (4) 措置法 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)をいう。
  5. (5) 消費税等 消費税及び地方消費税をいう。
  6. (6) 個人事業者 消法第2条第1項第3号((定義))に規定する個人事業者をいう。
  7. (7) 税抜経理方式 消費税等の額とこれに係る取引の対価の額とを区分して経理をする方式をいう。
  8. (8) 税込経理方式 消費税等の額とこれに係る取引の対価の額とを区分しないで経理をする方式をいう。
  9. (9) 課税期間 消法第19条第1項((課税期間))に規定する課税期間をいう。
  10. (10) 課税仕入れ等 消法第2条第1項第12号((定義))に規定する課税仕入れ又は同項第2号に規定する保税地域からの同項第11号に規定する課税貨物の引取りをいう。
  11. (11) 特定課税仕入れ 消法第5条第1項((納税義務者))に規定する特定課税仕入れをいう。
  12. (12) 仮受消費税等の額 課税期間中に行った消法第2条第1項第9号に規定する課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税の額及び当該消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税の額に相当する金額をこれらに係る取引の対価の額と区分する経理をする場合における当該課されるべき消費税の額及び当該課されるべき地方消費税の額に相当する金額をいう。
  13. (13) 仮払消費税等の額 課税期間中に行った課税仕入れ等に係る消法第30条第2項((仕入れに係る消費税額の控除))に規定する課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額をこれらに係る取引の対価の額と区分する経理をする場合における当該課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額をいう。
  14. (14) 控除対象外消費税額等 令第182条の2第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))の「控除をすることができない金額及び当該控除をすることができない金額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額」をいう。

(税抜経理方式と税込経理方式の選択適用)

2 個人事業者(消法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定により消費税を納める義務が免除されるものを除く。以下3の2までにおいて同じ。)が行う取引に係る消費税等の経理処理につき、当該個人事業者の行う全ての取引について税抜経理方式又は税込経理方式のいずれかの方式に統一していない場合には、その行う全ての取引についていずれかの方式を適用して所得税の課税所得金額を計算するものとする。

(注) 1 不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得(以下「事業所得等」という。)を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務を行う場合には、当該所得の種類を異にする業務ごとに上記の取扱いによることができるものとする。
2 譲渡所得の基因となる資産の譲渡で消費税が課されるものに係る経理処理については、当該資産をその用に供していた事業所得等を生ずべき業務と同一の方式によるものとする。
3 消費税と地方消費税は同一の方式によるものとする。

(固定資産等及び経費等の経理方式の選択適用)

2の2 個人事業者が売上げ等の収入に係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合には、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、固定資産、繰延資産、棚卸資産及び山林(以下「固定資産等」という。)の取得に係る取引又は販売費及び一般管理費等(山林の伐採費及び譲渡に要した費用を含む。以下「経費等」という。)の支出に係る取引のいずれか一方の取引について税込経理方式を適用できるほか、固定資産等のうち棚卸資産又は山林の取得に係る取引については、継続適用を条件として固定資産及び繰延資産と異なる方式を選択適用できるものとする。

(注) 1 個々の固定資産等又は個々の経費等ごとに異なる方式を適用しない。
2 消費税と地方消費税について異なる方式を適用しない。

(売上げと仕入れで経理方式が異なる場合の取扱い)

3 個人事業者が国内において行う売上げ等の収入に係る取引について税込経理方式で経理をしている場合には、固定資産等の取得に係る取引又は経費等の支出に係る取引の全部又は一部について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、税込経理方式を適用して所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(注) この取扱いは、消法第6条第1項((非課税))の規定により消費税を課さないこととされている資産の譲渡等のみを行う個人事業者が、固定資産等の取得に係る取引又は経費等の支出に係る取引の全部又は一部について税抜経理方式で経理をしている場合についても同様とする。

(仮受消費税等又は仮払消費税等と異なる金額で経理をした場合の取扱い)

3の2 個人事業者が行う取引に係る消費税等の経理処理について税抜経理方式によっている場合において、次に掲げる場合に該当するときは、それぞれ次に定めるところにより所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(1) 仮受消費税等の額又は仮払消費税等の額を超える金額を取引の対価の額から区分して経理をしている場合 その超える部分の金額を売上げ等の収入に係る取引の対価の額又は固定資産等の取得に係る取引若しくは経費等の支出に係る取引の対価の額に含める。

(2) 仮受消費税等の額又は仮払消費税等の額に満たない金額を取引の対価の額から区分して経理をしている場合 その満たない部分の金額を売上げ等の収入に係る取引の対価の額又は固定資産等の取得に係る取引若しくは経費等の支出に係る取引の対価の額から除く。

(年末一括税抜経理方式)

4 税抜経理方式による経理処理は、原則として取引(請求書の交付を含む。)の都度行うのであるが、消法令第46条第2項((課税仕入れに係る消費税額の計算))の規定の適用を受ける場合を除き、その経理処理をその年12月31日において一括して行うことができるものとする。

(免税事業者の消費税の処理)

5 消法第9条第1項本文((小規模事業者に係る納税義務の免除))の規定により消費税を納める義務が免除される個人事業者については、その行う取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))にかかわらず、税込経理方式を適用して所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(特定課税仕入れに係る消費税等の額)

5の2 特定課税仕入れの取引については、取引時において消費税等の額に相当する金銭の受払いがないのであるから、税抜経理方式を適用することとなる個人事業者であっても、当該特定課税仕入れの取引の対価の額と区分すべき消費税等の額はないことに留意する。
 ただし、個人事業者が当該特定課税仕入れの取引について課されるべき消費税の額及び当該消費税の額を課税標準として課されるべき地方消費税の額に相当する金額を当該取引の対価の額と区分して、例えば、仮受金及び仮払金等としてそれぞれ計上するなど仮勘定を用いて経理をしている場合には、当該仮受金又は仮払金等として経理をした金額はそれぞれ仮受消費税等の額又は仮払消費税等の額に該当するものとして、所得税の課税所得金額を計算することに留意する。

(注) この取扱いによった場合においても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))の適用については、税込経理方式で経理をしたことにはならないことに留意する。

(仮受消費税等及び仮払消費税等の清算)

6 税抜経理方式を適用することとなる個人事業者は、課税期間の終了の時における仮受消費税等の額の合計額から仮払消費税等の額の合計額(控除対象外消費税額等に相当する金額を除く。以下6において同じ。)を控除した金額と当該課税期間に係る納付すべき消費税等の額とに差額が生じた場合は、当該差額については、当該課税期間を含む年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額又は必要経費に算入するものとする。
 課税期間の終了の時における仮払消費税等の額の合計額から仮受消費税等の額の合計額を控除した金額と当該課税期間に係る還付を受ける消費税等の額とに差額が生じた場合についても同様とする。

(注) 事業所得等を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務について税抜経理方式を適用している場合には、税抜経理方式を適用している業務のそれぞれについて、他の税抜経理方式を適用している業務に係る取引がないものとして上記の取扱いを適用するものとする。

(消費税等の必要経費算入の時期)

7 税込経理方式を適用することとなる個人事業者が納付すべき消費税等の額は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入し、更正又は決定に係る税額については当該更正又は決定があった日の属する年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入する。ただし、当該個人事業者が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を未払金に計上したときの当該金額については、当該未払金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入することとして差し支えない。

(消費税等の総収入金額算入の時期)

8 税込経理方式を適用することとなる個人事業者が還付を受ける消費税等の額は、納税申告書に記載された税額については当該納税申告書が提出された日の属する年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入し、更正に係る税額については当該更正のあった日の属する年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入する。ただし、当該個人事業者が申告期限未到来の当該納税申告書に記載すべき消費税等の額を未収入金に計上したときの当該金額については、当該未収入金に計上した年の事業所得等の金額の計算上、総収入金額に算入することとして差し支えない。

(少額の減価償却資産の取得価額等の判定)

9 令第138条((少額の減価償却資産の取得価額の必要経費算入))、令第139条((一括償却資産の必要経費算入))又は令第139条の2((繰延資産となる費用のうち少額のものの必要経費算入))の規定を適用する場合において、これらの規定における金額基準を満たしているかどうかは、個人事業者がこれらの規定の適用がある減価償却資産に係る取引について適用することとなる税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用することとなる方式により算定した取得価額又は支出する金額により判定することに留意する。
 措置法に規定する特別償却等において定められている金額基準についても、同様とする。

(資産に係る控除対象外消費税額等の処理)

10 令第182条の2第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))に規定する資産に係る控除対象外消費税額等(以下「資産に係る控除対象外消費税額等」という。)については、同条の規定の適用を受け、又は受けないことを選択することができるが、同条の規定の適用を受ける場合には、資産に係る控除対象外消費税額等が生じた年において、その全額について同条の規定を適用することになることに留意する。

(注) 事業所得等を生ずべき業務のうち2以上の所得を生ずべき業務について税抜経理方式を適用している場合には、それぞれの業務に係る取引ごとに上記の取扱いを適用するものとする。

(資産の範囲)

11 令第182条の2((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))の資産には、固定資産、棚卸資産、山林のほか繰延資産が含まれるが、前払費用(一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。)は含まれないことに留意する。

(適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税等の処理)

11の2 国内において行った消法第2条第1項第7号の2((定義))に規定する適格請求書発行事業者以外の者から行った同項第12号に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れ並びに消法令第46条第1項第5号及び第6号((課税仕入れに係る消費税額の計算))に掲げる課税仕入れを除く。)に係る取引について税抜経理方式で経理をしている場合であっても、その取引の対価の額と区分して経理をした消費税等の額に相当する金額を当該課税仕入れに係る取引の対価の額に含めて所得税の課税所得金額を計算することになることに留意する。

(注) この取扱いによった場合においても、2((税抜経理方式と税込経理方式の選択適用))の適用については、税込経理方式で経理をしたことにはならないことに留意する。

(控除対象外消費税額等の対象となる消費税法の規定)

11の3 税抜経理方式を適用することとなる個人事業者が国内において行う課税仕入れ等(消法第2条第1項第7号の2((定義))に規定する適格請求書発行事業者以外の者から行った同項第12号に規定する課税仕入れ(特定課税仕入れ並びに消法令第46条第1項第5号及び第6号((課税仕入れに係る消費税額の計算))に掲げる課税仕入れを除く。)を除く。)につき、消法第30条第2項((仕入れに係る消費税額の控除))のほか、例えば、次の規定の適用を受ける場合には、当該規定の適用を受ける取引に係る仮払消費税等の額は、控除対象外消費税額等となることに留意する。

(1) 消法第30条第7項及び第10項から第12項まで(同条第7項及び第11項にあっては、ただし書を除く。)

(2) 消法第36条第5項((納税義務の免除を受けないこととなった場合等の棚卸資産に係る消費税額の調整))

(譲渡所得の基因となる資産の譲渡がある場合の処理)

12 譲渡所得の基因となる資産の譲渡で消費税が課されるものがある場合には、当該資産の譲渡を当該資産をその用に供していた事業所得等を生ずべき業務に係る取引に含めて、6((仮受消費税等及び仮払消費税等の清算))の取扱いを適用するものとする。

(山林所得の概算経費控除等の取扱い)

13 措置法第30条((山林所得の概算経費控除))及び第30条の2((山林所得に係る森林計画特別控除))の規定を適用する場合におけるこれらの規定に規定する「収入金額」及び「伐採費、運搬費その他の財務省令で定める費用」は、個人事業者が適用している税抜経理方式又は税込経理方式に応じ、その適用している方式により算定する。
 措置法第31条の4((長期譲渡所得の概算取得費控除))の規定を適用する場合における同条に規定する「収入金額」についても同様とする。

附則

(経過的取扱い(1)…改正通達の適用時期)

 別に定めるものを除き、この法令解釈通達による改正後の取扱いは、令和5年10月1日以後に国内において個人事業者が行う資産の譲渡等(消法第2条第1項第8号((定義))に規定する資産の譲渡等をいう。以下同じ。)、国内において個人事業者が行う課税仕入れ(同項第12号に規定する課税仕入れをいう。以下同じ。)及び保税地域(同項第2号に規定する保税地域をいう。以下同じ。)から引き取られる課税貨物(同項第11号に規定する課税貨物をいう。以下同じ。)に係る消費税について適用し、同日前に国内において個人事業者が行った資産の譲渡等、国内において個人事業者が行った課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物に係る消費税については、なお従前の例による。

(経過的取扱い(2)…適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置)

 個人事業者が国内において行った課税仕入れ等につき、所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号。以下「平成28年改正法」という。)附則第52条第1項 ((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置))(消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第135号。以下「平成30年改正令」という。)附則第22条第2項又は第3項((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税額の計算に関する経過措置))の規定により読み替えて適用する場合を含む。以下同じ。)の規定の適用を受ける場合には、この法令解釈通達による改正後の11の2((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税等の処理))の取扱いは、適用しない。この場合において、当該課税仕入れ等に係る取引について税抜経理方式を適用するときは、所得税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第131号)附則第11条第3項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入に関する経過措置))の規定による読替え後の令第182条の2第5項((資産に係る控除対象外消費税額等の必要経費算入))に規定する当該課税仕入れ等の税額及び当該課税仕入れ等の税額に係る地方消費税の額に相当する金額の合計額をこの法令解釈通達による改正後の1(13)((用語の意義))に規定する仮払消費税等の額とする。
 平成28年改正法附則第53条第1項 ((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る税額控除に関する経過措置))(平成30年改正令附則第23条第2項又は第3項((適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る消費税額の計算に関する経過措置))の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定の適用を受ける場合についても同様とする。