直所3-10
昭和53年3月1日

 標題のことについて、全国私立幼稚園連盟及び幼児教育懇話会から別紙2のとおり照会があり、これに対して別紙1のとおり回答したから、了知されたい。


別紙1

全国私立幼稚園連盟幼児教育懇話会 殿

国税庁所得税課長

 標題のことについては、貴見のとおりで差支えありません。


別紙2

昭和53年2月24日

国税庁所得税課長 殿

全国私立幼稚園連盟幼児教育懇話会

 個人立幼稚園は、学校教育法第1条に規定される幼稚園で、同法第102条1項の規定により認可されており、学校法人立幼稚園と同じ法の支配を受けその公共性・永続性を担保されております。
 しかるに、税制面におきましては、一般営利事業と同一課税されておりますために、非課税である学校法人立幼稚園、宗教法人立幼稚園との間に大きな格差が生じております。
 私立学校振興助成法第1条にいう「私学の健全な発展」に資するため、又、個人立幼稚園における教育内容の充実を国が積極的に奨励する趣旨からも、所得税に関しまして、次の如く取り扱うことが相当と考えますので、御回答賜りたくお願い申し上げます。

1.  設置者、園長及び教職員が、幼児教育の充実・発展の目的で研修会、講習会等に参加するのに要した諸経費については、その所要経費全額を必要経費とする。

2. 上記1以外に設置者又は園長の指示により園長若しくは教職員が教育内容の充実の目的で研修活動を行うため必要と思われる費用を一括前渡しした場合には、これを必要経費とすることができる。なお、その使途明細書を決算時までに、園長若しくは教職員から提出させ剰余金が生じた場合、返金したときは、これを設置者の収入とし、返金しないときは、これを園長もしくは教職員の給与収入する。

3. 設置者、園長若しくは主たる教職員が会議・打合せ等、幼稚園団体の要請による出張に要した費用については、これを必要経費とする。

4. 我が国における幼児教育の立ち遅れに鑑み、設置者、園長若しくはその指示による教職員の海外研修を目的とする渡航に要する費用については、これを全額必要経費とする。
但し、幼稚園団体の発行する説明書若しくは旅行スケジュール等、その渡航が教育研修であることを証明する資料を提出し、必要経費とすることの可否についての税務署の判断に資する。

5. 幼児教育における父母の理解と協力の必要性に鑑み、父母の研修会、講習会、視察旅行等への参加に要した費用及び父母の保育参加等幼稚園の企画する父母研修事業に要した費用で設置者の支出したものについては、これを全額必要経費とする。

6. 12月31日現在において入園料、保育料、教材費等につき未収入金が生じている場合、その未収入金については、所得税法第52条の規定により、貸倒引当金勘定への繰り入れを認める。

7. 幼稚園においては、その教育に供する建物のうち特に床の減耗が他の部分に比して早く、その取りかえのための費用も、前年度末における取得価額の10%を超えることが多いが、幼児に与える危険性の排除、教育環境の確保等のため、その費用を修繕費として全額、当該年分の必要経費とする。
 その他の教育用資産(土地を含む)の補修についても、幼稚園教育の実情に鑑み、これに準ずる。

8. 保育料、教材費、暖房費、バス維持費、給食費等のうち徴収の目的からみて、翌年1月1日以降の期間に対応する経費相当額であることが明らかなもので、その徴収年に支出されなかった部分については「前受金」として処理し、当該保育料等を徴収した翌年以降の収入金額とすることができる。