課資3−3(例規)
課所4−7
平成7年4月25日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 本年3月27日に「阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律(平成7年法律第48号)」が公布・施行されたことに伴い、阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成7年法律第11号。以下「震災特例法」という。)に係る所得税(譲渡所得関係)の取扱いを下記のとおり定めたから、今後これによられたい。

第12条((被災市街地復興土地区画整理事業による換地処分に伴い代替住宅等を取得した場合の譲渡所得の課税の特例))関係

(代替住宅等とともに取得する清算金)

12−1 震災特例法第12条第1項に規定する代替住宅等とともに清算金を取得する場合には、当該清算金は土地区画整理法第90条((所有者の同意により換地を定めない場合))の規定によりその宅地の全部又は一部について換地を定められなかったことにより支払われるものに該当するので、同項に規定する換地処分により譲渡した土地等のうち当該清算金の額に対応する部分については、租税特別措置法(昭和32年法律第26号。以下「措置法」という。)第33条第1項((収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例))又は第33条の4第1項((収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除))の規定の適用はないことに留意する。

(換地処分により譲渡した土地等に固定資産以外のものがある場合)

12−2 換地処分により譲渡した土地等の全部又は一部に棚卸資産である土地等又は雑所得の基因となる資産である土地等がある場合において、当該換地処分により、土地等及びその土地等の上に建設された被災市街地復興特別措置法(平成7年法律第14号)第15条第1項((清算金に代わる住宅等の給付))に規定する住宅又は同条第2項に規定する住宅等を取得したときは、震災特例法第12条第5項の規定により、当該住宅又は当該住宅等(以下「清算金に代えて取得をする住宅等」という。)のうち当該棚卸資産である土地等又は雑所得の基因となる資産である土地等に対応する部分は措置法第33条の3第1項((換地処分等に伴い資産を取得した場合の課税の特例))に規定する清算金に、当該対応する部分の価額は同項に規定する清算金の額にそれぞれ該当するものとみなされて、当該対応する部分の価額は、事業所得又は雑所得の金額の計算上、総収入金額に算入することとなるのであるから留意する。この場合における当該対応する部分の価額は、当該清算金に代えて取得をする住宅等の価額に、換地処分により譲渡した土地等の価額に占める当該棚卸資産である土地等又は雑所得の基因となる資産である土地等の価額の割合を乗じて計算した金額とする。

(除却される資産の損失に対する補償金)

12−3 阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令(平成7年政令第29号。以下「震災特例法施行令」という。)第11条第4項に規定する「資産(棚卸資産を除く。)が土地区画整理法第77条の規定により除却される場合において、当該資産の損失に対する同法第78条第1項に規定する補償金を取得するとき」における当該補償金とは、同法第78条第1項((移転等に伴う損失補償))の規定に基づき施行者が支払う補償金のうち、当該除却される資産自体について生ずる損失に対する補償金に限られることに留意する。
 なお、震災特例法施行令第11条第4項の規定により、措置法第33条の規定が適用される場合における同条第6項に規定する書類又は第33条の4の規定が適用される場合における租税特別措置法施行規則(昭和32年大蔵省令第15号)第15条第2項の規定中「第14条第5項各号の区分に応じ当該各号に定める書類」は、被災市街地復興土地区画整理事業の施行者の当該除却される資産及び当該除却される資産に係る補償金が措置法第33条第3項第2号の規定に該当するものであることを証する書類並びに当該補償金に関する明細書となることに留意する。

(震災特例法施行令第11条第4項と震災特例法の他の規定及び措置法の規定との関係)

12−4 震災特例法施行令第11条第4項の規定の適用がある場合における震災特例法第14条((特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例))の規定又は措置法第2章第4節の規定の適用に関しては、震災特例法施行令第11条第4項に規定する補償金を取得する場合は措置法第33条第3項第2号に掲げる場合に該当するものとされることから、例えば、震災特例法施行令第11条第4項の規定の適用がある資産については、震災特例法第14条又は措置法第37条((特定の事業用資産の買換えの場合の譲渡所得の課税の特例))の規定の適用はない。

第13条((被災市街地復興土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除の特例等))関係

(震災特例法第13条と同法の他の規定及び措置法の規定との関係)

13−1 震災特例法第13条第1項の規定の適用がある場合における同法第14条の規定又は措置法第2章第4節の規定の適用に関しては、同項に規定する土地等の買取りに該当する場合は措置法第33条第1項第2号に掲げる場合に該当するものとされることから、例えば、震災特例法第13条第1項の規定の適用がある土地等の譲渡については、同法第14条又は措置法第37条の規定の適用はないが、震災特例法第13条第1項の規定と措置法第35条((居住用財産の譲渡所得の特別控除))の規定との関係では、納税者はこれらの規定のいずれかを選択することができる。
 なお、震災特例法第13条第2項、第3項又は第5項の規定の適用がある場合における同法第14条の規定又は措置法第2章第4節の規定の適用に関しても、同様に、震災特例法第13条第2項に規定する土地等が買い取られる場合、同条第3項に規定する土地の買取り若しくは保留地の対価の額に対応する部分の譲渡に該当する場合又は同条第5項に規定する土地等の譲渡は、それぞれ措置法第34条第2項第1号((特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除))に掲げる場合、第34条の2第2項第1号((特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の譲渡所得の特別控除))に掲げる場合又は第31条の2第2項第2号((優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例))に掲げる土地等の譲渡に該当するものとされることに留意する。

(注) 土地等が震災特例法第13条第1項第1号又は第2号に掲げる場合に該当することとなったことに伴い、その土地の上に存する資産につき取壊し又は除却をしなければならなくなった場合における当該資産の対価又は損失に対する補償金については、措置法第33条の規定の適用はないことに留意する。

第14条((特定の事業用資産の買換え等の場合の譲渡所得の課税の特例))関係

(「通常の修繕によっては現状回復が困難な損壊」の意義)

14−1 「被災区域」とは、阪神・淡路大震災により滅失(通常の修繕によっては現状回復が困難な損壊を含む。)をした建物又は構築物の敷地及び当該建物又は構築物と一体的に事業の用に供される附属施設の用に供されていた土地の区域をいい、この場合における「通常の修繕によっては現状回復が困難な損壊」とは、阪神・淡路大震災により損壊をした建物又は構築物につき、その使用を中止し、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる場合の当該建物又は構築物に係る損壊をいうことに留意する。
 また、「当該建物又は構築物と一体的に事業の用に供される附属施設」とは、滅失(通常の修繕によっては現状回復が困難な損壊を含む。以下「滅失等」という。)をした建物又は構築物と機能的及び地理的な一体性を有して事業の用に供される施設をいい、例えば、滅失等をした工場の構内にある守衛所、詰所、自転車置場、浴場その他これらに類する施設又は滅失等をした建物に隣接する駐車場等の施設がこれに該当する。

(注) 「当該建物又は構築物と一体的に事業の用に供される附属施設」は、滅失等をしたものであるかどうかは問わないことに留意する。

(震災特例法第14条第1項の表の第2号の買換資産である土地等の範囲)

14−2 震災特例法第14条第1項の表の第2号の下欄のイに規定する「被災区域である土地の上に存する権利」とは、被災区域である土地(当該個人が平成7年1月17日前に取得(平成7年1月17日以後の所得税法第60条第1項各号に該当する贈与、相続、遺贈又は譲渡による当該資産(当該贈与をした者、当該相続に係る被相続人、当該遺贈に係る包括遺贈者又は当該譲渡をした者が平成7年1月16日以前に取得をしたものに限る。)の取得を含む。以下同じ。)をしたものに限る。)を現に有している個人が当該土地に係る土地の上に存する権利を取得した場合の当該土地の上に存する権利をいい、同欄のロに規定する「被災区域である土地」とは、被災区域である土地の上に存する権利(当該個人が平成7年1月17日前に取得をしたものに限る。)を現に有している個人が当該土地の上に存する権利に係る底地を取得した場合の当該底地をいうのであるから留意する。
 また、同欄に規定する「その土地の区域内にある事業の用に供される減価償却資産」には、個人が平成7年1月17日前に取得をし現に有している被災区域である土地(自用地)の区域において事業の用に供されるものが含まれることに留意する。

(被災区域である土地等を事業の用に供しているかどうかの判定)

14−3 震災特例法第14条第1項の表の第1号に掲げる譲渡資産が事業(事業と称するに至らない不動産の貸付けその他これに類する行為で相当の対価を得て継続的に行うものを含む。)の用に供しているものに該当するかどうかの判定は、原則として譲渡の時の現況により行うことになるのであるが、阪神・淡路大震災による被災の後譲渡の時までの間、当該譲渡資産を他の用途に供していないときは、阪神・淡路大震災による被災直前の状況により判定することとする。
 また、当該譲渡資産の譲渡の時までにその所有者が死亡しているときは、次に掲げる要件の全てを満たす場合に限り、当該譲渡資産の相続人が阪神・淡路大震災による被災直前において事業の用に供していたものとして取り扱う。

  1. (1) 阪神・淡路大震災による被災直前において、当該相続人は、被相続人の営む事業に従事していたものであること又は被相続人と生計を一にする親族であること。
  2. (2) 当該譲渡資産は、阪神・淡路大震災による被災の後、住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の用途(公共目的のための一時的な利用を除く。)に供されることなく譲渡されたものであること。

(措置法第37条に関する取扱いの準用)

14−4 措置法通達37−1から37−5まで、37−7から37−11まで、37−11の3から37−11の6まで、37−14から37−25まで、37−26から37−29まで、37の2−1、37の2−2、37の3−1から37の3−5まで、37の4−1、37の4−2の取扱いは、震災特例法第14条の規定を適用する場合について準用する。