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- 揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例の廃止に伴う手持品控除の取扱いについて(法令解釈通達)
課消4―90
課審8―30
令和7年12月5日
各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿
国税庁長官
(官印省略)
租税特別措置法及び東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律(令和7年法律第81号。以下「改正法」という。)及び租税特別措置法施行令及び国税収納金整理資金に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和7年政令第401号)の施行に伴う揮発油税及び地方揮発油税の手持品控除の取扱いについて、下記のとおり定めたから、これにより取り扱われたい。
なお、平成22年5月11日付課消3−51ほか1課共同「揮発油価格高騰時における揮発油税及び地方揮発油税の特例税率の適用停止に伴う手持品控除の取扱い等について」(法令解釈通達)は、令和7年12月31日に廃止する。
(趣旨)
租税特別措置法第88条の8《揮発油税及び地方揮発油税の税率の特例》の廃止に伴う、揮発油に対する手持品控除の具体的な取扱いを定めるものである。
記
(用語の意義)
1 この通達において用いる次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
- (1) 法 揮発油税法(昭和32年法律第55号)をいう。
- (2) 地揮法 地方揮発油税法(昭和30年法律第104号)をいう。
- (3) 租特法 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)をいう。
- (4) 揮発油 租特法第88条の5《用語の定義》に規定する揮発油をいう。
- (5) 控除対象揮発油 改正法附則第2条第12項第4号に規定する控除対象揮発油をいう。
- (6) バイオエタノール等揮発油 租特法第88条の7第1項《バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例》に規定するバイオエタノール等揮発油をいう。
- (7) バイオエタノール 租特法第88条の7第1項第1号《バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例》に規定するバイオエタノールをいう。
- (8) カーボンリサイクルエタノール 租特法第88条の7第1項第2号《バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例》に規定するカーボンリサイクルエタノールをいう。
- (9) エチル-ターシャリ-ブチルエーテル 租特法第88条の7第1項第3号《バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例》に規定するエチル-ターシャリ-ブチルエーテルをいう。
- (10) エタノール濃度 バイオエタノール等揮発油の原容量百分中に含まれるエタノールの容量をいう。
- (11) エチル-ターシャリ-ブチルエーテル濃度 バイオエタノール等揮発油の原容量百分中に含まれるエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの容量をいう。
- (12) 揮発油税額等 揮発油税額及び地方揮発油税額をいう。
- (13) 揮発油の製造者 改正法附則第2条第1項に規定する揮発油の製造者をいう。
- (14) 販売業者 改正法附則第2条第1項に規定する販売業者をいう。
- (15) 製造者等 揮発油の製造者及び販売業者をいう。
- (16) 貯蔵場所 製造者等が揮発油の製造場(法第14条第6項≪未納税移出≫の規定により揮発油の製造場とみなされる場所を含む。以下同じ。)又は保税地域(関税法(昭和29年法律第61号)第29条《保税地域の種類》に規定する保税地域をいう。以下同じ。)以外の場所で販売のために控除対象揮発油を所持する場所をいう。
- (17) 施行日 令和7年12月31日をいう。
- (18) 施行時 施行日の午前零時をいう。
- (19) 手持品控除 改正法附則第2条第1項又は第4項により、製造者等が施行日に販売のために控除対象揮発油を所持する場合において、揮発油の製造者の課税標準数量に対する揮発油税額から控除対象揮発油に係る同条第12項第5号に規定する揮発油税超過額を控除し、又は揮発油の製造者に還付することをいう。
(所持者の判定)
2 控除対象揮発油の所持者は、当該控除対象揮発油の所有権を有する者をいう。
なお、指定日前に関税法第7条《申告》又は同法第7条の2《申告の特例》に規定する手続をした控除対象揮発油で、施行時において保税地域からの事実上の引取行為が終了していないものについては、当該控除対象揮発油の引取者たる製造者等が所持者となることに留意する。
(適用税率)
3 施行日前後の揮発油税及び地方揮発油税の適用税率は次によるのであるから留意する。
- (1) 揮発油税及び地方揮発油税の税率((2)を除く。)
- イ 施行日の前日まで 53,800円/kl
- ロ 施行日以後 28,700円/kl
- (2) 手持品控除に係る揮発油税及び地方揮発油税の税率
25,100円/kl
(具体的な手続)
4 控除対象揮発油に係る手持品控除の手続は次による。
- (1) 揮発油の製造者は、貯蔵場所ごとに、施行時における控除対象揮発油の在庫数量を確認し、その合計数量及び当該合計数量に基づき控除又は還付を受けようとする揮発油税額に相当する金額を算出した上、改正法附則第2条第5項に規定する当該控除対象揮発油の数量その他の政令で定める事項を記載した書類を作成する。
この場合における様式は、別紙様式1「控除対象揮発油の揮発油税超過額計算書」による。
- (2) 揮発油の製造者は、施行日から起算して3か月を経過する日の属する月の末日までに提出される法第10条《移出に係る揮発油についての課税標準及び税額の申告》の規定による期限内申告書又は還付申告書に、改正法附則第2条第1項又は第4項の規定による控除又は還付を受けようとする旨を付記した上で、(1)による書類を添付して、製造場の所在地を所轄する税務署長に提出する。
(貯蔵場所の区域)
5 貯蔵場所の敷地が連続しているといないとにかかわらず、敷地、建物及び貯蔵設備並びにその管理の状況等からみて、同一の貯蔵場所と認められる場合には、一の貯蔵場所として取り扱う。
(所持数量の測定)
6 控除対象揮発油の所持数量の測定に当たっては、次の点に留意する。
- (1) 所持数量は、原則として、貯蔵容器ごとに測定した数量を温度換算した数量によることとする。ただし、タンクローリー等に収容されており、通常見掛数量によって取引されるものについては、温度換算は行わない。
- (2) ドラム缶又は石油缶等一定の容器に収容されており、当該容器に正味数量が表示され、かつ、その表示数量によって取引されているものについては、(1)にかかわらず、その表示数量に所持個数を乗じて計算した数量を所持数量とする。
- (3) 施行時に運送途中にあるものについては、(2)に該当する場合を除き、出荷時の数量
(施行時前の亡失又は欠減数量が明らかな場合には、当該数量を控除した後の数量)による。
- (4) (1)から(3)により測定した数量にリットル位未満の端数がある場合は、リットル位未満2位以下を切り捨てリットル位未満1位にとどめる。ただし、当該数量を常時リットル位未満を切り捨て又は四捨五入等したものとしている場合は、リットル位にとどめることとして差し支えない。
(エタノールの数量に相当する数量の算出方法)
7 バイオエタノール等揮発油に含まれるエタノールの数量に相当する数量の算出に当たっては、次による。
- (1) バイオエタノール、カーボンリサイクルエタノール又はエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの濃度が明らかな場合
- イ バイオエタノール又はカーボンリサイクルエタノールが混和されたもの バイオエタノール等揮発油の数量にエタノール濃度を乗ずる。
- ロ エチル-ターシャリ-ブチルエーテルが混和されたもの バイオエタノール等揮発油の数量に、エチル-ターシャリ-ブチルエーテル濃度に0.4237を乗じて得た数値を乗ずる。
- (2) バイオエタノール、カーボンリサイクルエタノール又はエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの濃度が明らかでない場合
バイオエタノール等揮発油の数量に百分の1.9を乗ずる。
- (3) (1)の場合のバイオエタノール、カーボンリサイクルエタノール又はエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの濃度の測定は、以下に定める試験方法による。
- イ 日本産業規格(JISK2536―2(石油製品―成分試験方法))
- ロ 日本産業規格(JISK2536―4(石油製品―成分試験方法))
- ハ 日本産業規格(JISK2536―6(石油製品―成分試験方法))
- (4) (1)又は(2)により測定した数量にリットル位未満の端数がある場合は、リットル位未満2位以下を切り捨てリットル位未満1位にとどめる。ただし、当該数量を常時リットル位未満を切り捨て又は四捨五入等したものとしている場合は、リットル位にとどめることとして差し支えない。
(みなし製造場等の承認)
8 保税地域から揮発油を引き取る販売業者が、施行日以後1か月以内に改正法附則第2条第9項の国税庁長官の承認を受けようとする場合には、別紙様式2「揮発油税及び地方揮発油税みなし製造場承認申請書」により行う。
なお、承認を受けようとする場所(当該販売業者一者について一場に限る。)は、当該販売業者の本店又は主たる事務所の所在地のうち、手持品控除の事務処理に便宜な場所として差し支えない。
(施行日以後に控除対象揮発油が戻し入れられた場合の取扱い等)
9 施行日以後に、手持品控除を受けた控除対象揮発油が揮発油の製造場に戻し入れられた場合等における法第17条《戻入れの場合の揮発油税の控除等》及び地揮法第9条《戻入れの場合の地方揮発油税の控除等》並びに災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律第7条《控除》の規定の適用に当たっては、法第9条及び地揮法第4条の規定により課されるものとした場合の揮発油税額等に相当する金額が戻入れ控除等の対象となるのであるから留意する。