※ 令和5年8月10日付課消2−9ほか5課共同「消費税法基本通達の一部改正等について(法令解釈通達)」の発遣により、本通達は、令和5年10月1日をもって廃止されています。


課軽2−8
課個2−13
課法4−17
課消2−7
課審8−18
査調5−6
平成30年6月6日
最終改正令和4年6月28日課軽2−4

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官
(官印省略)

標題のことについては、別冊のとおり定めたから、令和5年10月1日以降これにより取り扱われたい。

(理由)
 「所得税法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第15号)、「所得税法等の一部を改正する法律」(平成30年法律第7号)、「消費税法施行令等の一部を改正する政令」(平成30年政令第135号)及び「消費税法施行規則等の一部を改正する省令」(平成30年財務省令第18号)の規定により、令和5年10月1日から消費税の仕入税額控除制度に適格請求書等保存方式が導入されることによる。

別冊
消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関する取扱通達

第一 定義関係

(用語の意義)

  • 1−1この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
     なお、定めがないものは、消費税法基本通達(平成7年12月25日付課消2−25ほか4課共同「消費税法基本通達の制定について」(法令解釈通達)の別冊)に定めるところによる。
    • (1) 28年改正法 所得税法等の一部を改正する法律(平成28年法律第15号)
    • (2) 改正法 所得税法等の一部を改正する法律(平成30年法律第7号)
    • (3) 改正令 消費税法施行令等の一部を改正する政令(平成30年政令第135号)
    • (4) 改正省令 消費税法施行規則等の一部を改正する省令(平成30年財務省令第18号)
    • (5) 法 28年改正法及び改正法による改正後の消費税法
    • (6) 令 改正令による改正後の消費税法施行令
    • (7) 規則 改正省令による改正後の消費税法施行規則
    • (8) 適格請求書 法第57条の4第1項に規定する適格請求書をいう。
    • (9) 適格簡易請求書 法第57条の4第2項に規定する適格簡易請求書をいう。
    • (10) 適格請求書発行事業者 法第2条第1項第7号の2に規定する適格請求書発行事業者をいう。
    • (11) 軽減対象課税資産の譲渡等 法第2条第1項第9号の2に規定する軽減対象課税資産の譲渡等をいう。
    • (12) 軽減税率 100分の6.24をいう。
    • (13) 標準税率 100分の7.8をいう。
第二 適格請求書発行事業者の登録制度関係

(登録申請書を提出することができる事業者)

  • 2−1適格請求書発行事業者の登録(法第57条の2第1項《適格請求書発行事業者の登録等》に規定する登録をいう。以下同じ。)を受けることができるのは、課税事業者に限られるのであるが、免税事業者であっても、例えば、次の場合のように、登録を受けようとする課税期間において課税事業者となるときは、法第57条の2第2項《適格請求書発行事業者の登録申請》に規定する申請書(以下「登録申請書」という。)を提出することができることに留意する。
    • (1) 免税事業者である事業者が、基準期間における課税売上高が1,000万円超であることにより、翌課税期間から課税事業者となる場合
    • (2) 免税事業者である事業者が、法第9条第4項《課税事業者の選択》に規定する届出書(以下「課税事業者選択届出書」という。)を提出し、課税事業者となることを選択する場合
    • (注) 免税事業者が課税事業者となる課税期間の初日から登録を受けようとするときは、原則として、当該課税期間の初日の前日から起算して1月前の日までに登録申請書を提出しなければならない。

(新たに事業を開始した場合の適格請求書発行事業者の登録)

  • 2−2新たに事業を開始した事業者が、その事業を開始した日の属する課税期間の初日から適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合の規則第26条の4第1号《事業を開始した日の属する課税期間等の範囲》に規定する「国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した日の属する課税期間」については、原則として、個人事業者が新たに事業を開始した日の属する課税期間及び法人の設立の日の属する課税期間をいうのであるが、非課税資産の譲渡等のみを行っていた事業者又は国外取引のみを行っていた事業者が、新たに国内において課税資産の譲渡等に係る事業を開始した課税期間もこれに含まれることに留意する。
     また、次に掲げる課税期間も、これに含むものとして取り扱う。
    • (1) その課税期間開始の日の前日まで2年以上にわたって国内において行った課税資産の譲渡等又は課税仕入れ及び保税地域からの引取りがなかった事業者が、課税資産の譲渡等に係る事業を再び開始した課税期間
    • (2) 設立の日の属する課税期間においては設立登記を行ったのみで事業活動を行っていない免税事業者である法人が、その翌課税期間等において実質的に事業活動を開始した場合の当該課税期間等

(登録番号の構成)

  • 2−3適格請求書発行事業者登録簿に登載する登録番号(法第57条の2第4項《適格請求書発行事業者の登録等》に規定する登録番号をいう。以下同じ。)は、次の区分に応じ、それぞれ次によるものとする。
    • (1) 法人番号を有する課税事業者 法人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号)第2条第15項《定義》に規定する法人番号をいう。)及びその前に付されたローマ字の大文字Tにより構成されるもの
    • (2) (1)以外の課税事業者 13桁の数字(法人番号と重複しないものとし、当該課税事業者の個人番号(同法第2条第5項に規定する個人番号をいう。)は利用しないものとする。)及びその前に付されたローマ字の大文字Tにより構成されるもの

(適格請求書発行事業者の登録の効力)

  • 2−4適格請求書発行事業者の登録は、適格請求書発行事業者登録簿に登載された日(以下「登録日」という。)からその効力を有するのであるから、法第57条の2第7項《登録等の通知》による通知を受けた日にかかわらず、適格請求書発行事業者は、登録日以後に行った課税資産の譲渡等について法第57条の4第1項の規定に基づき適格請求書を交付することとなることに留意する。
    • (注)1 登録日から登録の通知を受けた日までの間に行った課税資産の譲渡等について、既に請求書等の書類を交付している場合には、当該通知を受けた日以後に登録番号等を相手方に書面等(既に交付した書類との相互の関連が明確であり、当該書面等の交付を受ける事業者が同項各号に掲げる事項を適正に認識できるものに限る。)で通知することにより、これらの書類等を合わせて適格請求書の記載事項を満たすことができる。
    • (注)2 適格請求書発行事業者の登録がされた場合、登録日その他の適格請求書発行事業者登録簿に登載された事項が、インターネットを通じて公表されることとなる。また、適格請求書発行事業者の登録が取り消された又はその効力を失った場合のその年月日についても同様である。

(適格請求書発行事業者における法第9条第1項本文の適用関係)

  • 2−5適格請求書発行事業者は、その登録日の属する課税期間以後の課税期間については、法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定の適用はないことに留意する。
     なお、適格請求書発行事業者の登録を受けていないとすれば同項本文の規定の適用がある事業者が、その適用を受けるには、その適用を受けようとする課税期間の前課税期間の末日から起算して30日前の日の前日までに、法第57条の2第10項第1号《適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める場合の届出》に規定する適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書の提出が必要となる。
    • (注) 法第9条第4項《課税事業者の選択》の規定により課税事業者を選択している適格請求書発行事業者が、同条第1項本文の規定の適用を受けるには、法第57条の2第10項第1号に規定する適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書及び法第9条第5項《課税事業者の選択不適用》に規定する届出書の提出が必要となる。

(相続があった場合の登録の効力)

  • 2−6相続(法第2条第4項《相続等の意義》に規定する相続をいう。)があった場合における適格請求書発行事業者である被相続人の登録は、その事業を承継した相続人が法第57条の3第3項《適格請求書発行事業者が死亡した場合における手続等》の規定により適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者とみなされることとなる同項に規定するみなし登録期間後にその効力を失う。したがって、当該相続人が当該みなし登録期間後においても適格請求書を交付しようとするときは、新たに登録申請書を提出し、適格請求書発行事業者の登録を受けなければならないことに留意する。
     なお、当該相続人が当該みなし登録期間中に登録申請書を提出した場合において、当該みなし登録期間の末日までに当該申請書に係る適格請求書発行事業者の登録又は法第57条の2第5項《適格請求書発行事業者の登録の拒否》の処分に係る通知がないときは、同日の翌日から当該通知が当該相続人に到達するまでの期間はみなし登録期間とみなされることから、その間の相続人による適格請求書の交付は被相続人の登録番号により行うこととなる。

(合併又は分割があった場合の登録の効力)

  • 2−7合併又は分割があった場合における適格請求書発行事業者の登録の効力は、それぞれ次のようになることに留意する。
    • (1) 吸収合併(法第11条第1項《吸収合併があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する合併をいう。以下同じ。)又は新設合併(同条第3項《新設合併があった場合の納税義務の免除の特例》に規定する合併をいう。以下同じ。)があった場合において、被合併法人が受けた適格請求書発行事業者の登録の効力は、当該被合併法人の事業を承継した合併法人には及ばない。したがって、当該合併法人が適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、新たに登録申請書を提出しなければならない。
       なお、法人が、新設合併によりその事業を承継した場合又は吸収合併により適格請求書発行事業者の登録を受けていた被合併法人の事業を承継した場合において、当該法人が合併があった日の属する課税期間中に登録申請書を提出したときは、当該課税期間は、規則第26条の4第1号《事業を開始した日の属する課税期間》又は第2号《合併があった日の属する課税期間》に規定する課税期間に該当する。
    • (2) 分割があった場合において、分割法人が受けた適格請求書発行事業者の登録の効力は、当該分割により当該分割法人の事業を承継した分割承継法人には及ばない。したがって、当該分割承継法人が適格請求書発行事業者の登録を受けようとするときは、新たに登録申請書を提出しなければならない。また、法第12条第7項第2号又は第3号《分割等の意義》に該当する分割等により新設分割親法人の事業を引き継いだ新設分割子法人についても同様である。
       なお、法人が、新設分割によりその事業を承継した場合又は吸収分割により適格請求書発行事業者の登録を受けていた分割法人の事業を承継した場合において、当該法人が新設分割又は吸収分割があった日の属する課税期間中に登録申請書を提出したときは、当該課税期間は、規則第26条の4第1号又は第3号《分割があった日の属する課税期間》に規定する課税期間に該当する。

(事業の廃止による登録の失効)

  • 2−8法第57条の2第10項第2号《適格請求書発行事業者の登録の失効》に規定する「適格請求書発行事業者が事業を廃止した場合」には、法第57条第1項第3号《事業を廃止した場合の届出》に規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があった場合のほか、法第9条第5項《課税事業者の選択不適用》、第19条第3項《課税期間の特例の選択不適用》、第37条第5項《中小事業者の仕入れに係る消費税額の控除の特例の選択不適用》、第42条第9項《任意の中間申告書の提出の取りやめ》又は第45条の2第2項《法人の確定申告書の提出期限の特例の取りやめ》のいずれかに規定する事業を廃止した旨の届出書の提出があった場合も含むことに留意する。
第三 適格請求書発行事業者の義務等関係

(適格請求書の意義)

  • 3−1適格請求書とは、法第57条の4第1項各号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる事項を記載した請求書、納品書その他これらに類する書類をいうのであるが、同項各号に掲げる事項の記載があれば、その書類の名称は問わない。
     また、適格請求書の交付に関して、一の書類により同項各号に掲げる事項を全て記載するのではなく、例えば、納品書と請求書等の二以上の書類であっても、これらの書類について相互の関連が明確であり、その交付を受ける事業者が同項各号に掲げる事項を適正に認識できる場合には、これら複数の書類全体で適格請求書の記載事項を満たすものとなることに留意する。

(適格請求書の記載事項に係る電磁的記録の提供)

  • 3−2適格請求書発行事業者が、法第57条の4第5項の規定により、適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書の交付に代えて行う、これらの書類に記載すべき事項に係る電磁的記録(電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律第2条第3号《定義》に規定する「電磁的記録」をいう。以下同じ。)の提供には、光ディスク、磁気テープ等の記録用の媒体による提供のほか、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
    • (1) いわゆるEDI取引を通じた提供
    • (2) 電子メールによる提供
    • (3) インターネット上のサイトを通じた提供
  •  また、適格請求書に係る記載事項につき、例えば、納品書データと請求書データなど複数の電磁的記録の提供による場合又は納品書と請求書データなど書面の交付と電磁的記録の提供による場合のいずれにおいても、本通達3−1後段に準じて取り扱うこととなる。

(適格請求書等の記載事項の特例)

  • 3−3法第57条の4第1項及び第2項《適格請求書発行事業者の義務》に規定する記載事項のうち、次に掲げる事項は、取引先コード、商品コード等の記号、番号等による表示で差し支えない。
     ただし、表示される記号、番号等により、当該記載事項である「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」について、当該資産の譲渡等が課税資産の譲渡等かどうか、また、当該資産の譲渡等が課税資産の譲渡等である場合においては、軽減対象課税資産の譲渡等かどうかの判別が明らかとなるものであって、適格請求書発行事業者とその取引の相手方との間で、表示される記号、番号等の内容が明らかであるものに限るものとする。
    • (1) 法第57条の4第1項第1号《適格請求書発行事業者の義務》に規定する「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」、同項第3号に規定する「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」及び同項第6号に規定する「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」
    • (2) 法第57条の4第2項第1号《適格請求書発行事業者の義務》に規定する「適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号」及び同項第3号に規定する「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」
    • (注) 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号につき、取引先コード等の記号、番号等で表示する場合においては、当該記号、番号等により、登録の効力の発生時期等の履歴が明らかとなる措置を講じておく必要がある。

(家事共用資産を譲渡した場合の適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)

  • 3−4個人事業者である適格請求書発行事業者が、事業と家事の用途に共通して使用するものとして取得した資産を譲渡する場合には、その譲渡に係る金額を事業としての部分と家事使用に係る部分とに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第57条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、当該事業としての部分に係る金額に基づき算出することとなることに留意する。

(共有物の譲渡等における適格請求書に記載すべき課税資産の譲渡等の対価の額等)

  • 3−5適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者以外の者である他の者と共同で所有する資産(以下「共有物」という。)の譲渡又は貸付けを行う場合には、当該共有物に係る資産の譲渡等の金額を所有者ごとに合理的に区分するものとし、適格請求書に記載する法第57条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」及び同項第5号に掲げる「消費税額等」は、自己の部分に係る資産の譲渡等の金額に基づき算出することとなることに留意する。

(適格請求書発行事業者でなくなった場合の適格請求書の交付)

  • 3−6適格請求書発行事業者が適格請求書発行事業者でなくなった後、適格請求書発行事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等を受ける他の事業者(法第57条の4第1項《適格請求書発行事業者の義務》に規定する「他の事業者」をいう。)から当該課税資産の譲渡等に係る適格請求書の交付を求められたときは、当該他の事業者にこれを交付しなければならないことに留意する。

(媒介者等に対する通知の方法)

  • 3−7適格請求書発行事業者が、媒介者等(令第70条の12第1項《媒介者等による適格請求書等の交付の特例》に規定する「媒介者等」をいう。以下同じ。)を介して国内において課税資産の譲渡等を行う場合において、同項の規定の適用を受けるには、当該媒介者等が当該課税資産の譲渡等の時までに当該事業者から適格請求書発行事業者の登録を受けている旨の通知を受けていることが要件となるが、当該通知の方法については、例えば、当該事業者が個々の取引の都度、事前に登録番号を当該媒介者等へ書面等により通知する方法のほか、当該事業者と当該媒介者等との間の基本契約書等に当該事業者の登録番号を記載するといった方法がある。

(媒介者等が交付する適格請求書等の写しの内容)

  • 3−8媒介者等が令第70条の12第1項《媒介者等による適格請求書等の交付の特例》の規定により事業者に代わって適格請求書等(同項に規定する「適格請求書等」をいう。以下同じ。)を交付し、又は適格請求書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を提供した場合には、当該適格請求書等の写し又は当該電磁的記録を当該事業者に対して交付し、又は提供しなければならないが、例えば、当該適格請求書等に複数の事業者に係る記載があるなどにより当該適格請求書等の写しをそのまま交付することが困難な場合には、当該適格請求書等に記載された事項のうち当該事業者に係る事項を記載した精算書等を交付することで差し支えないものとする。
     なお、この場合には、当該媒介者等においても交付した当該精算書等の写しを保存するものとする。

(3万円未満のものの判定単位)

  • 3−9令第70条の9第2項第1号《適格請求書の交付を免除する課税資産の譲渡等の範囲等》及び規則第26条の6第1号《適格請求書等の交付が著しく困難な課税資産の譲渡等》に規定する「税込価額が3万円未満のもの」に該当するかどうかは、一回の取引の課税資産の譲渡等に係る税込価額(法第57条の4第1項第4号《適格請求書発行事業者の義務》に規定する「税込価額」をいう。)が3万円未満であるかどうかで判定するのであるから、課税資産の譲渡等に係る一の商品(役務)ごとの税込価額によるものではないことに留意する。

(公共交通機関特例の対象となる運賃及び料金の範囲)

  • 3−10令第70条の9第2項第1号イからニまで《適格請求書の交付を免除する課税資産の譲渡等の範囲等》に掲げる旅客の運送には、旅客の運送に直接的に附帯するものとして収受する特別急行料金、急行料金、寝台料金等を対価とする役務の提供は含まれるが、旅客の運送に直接的に附帯するものではない入場料金、手回品料金、貨物留置料金等を対価とする役務の提供は、含まれないことに留意する。

(自動販売機及び自動サービス機により行われる課税資産の譲渡等の範囲)

  • 3−11規則第26条の6第1号に規定する「自動販売機又は自動サービス機」とは、商品の販売又は役務の提供(課税資産の譲渡等に該当するものに限る。以下「商品の販売等」という。)及び代金の収受が自動で行われる機械装置であって、当該機械装置のみにより商品の販売等が完結するものをいい、例えば、飲食料品の自動販売機のほか、コインロッカーやコインランドリー等がこれに該当する。
    • (注) 小売店内に設置されたセルフレジなどのように単に代金の精算のみを行うものは、これに該当しないことに留意する。

(適格請求書に記載する消費税額等の計算に係る端数処理の単位)

  • 3−12適格請求書発行事業者が適格請求書に記載する消費税額等(法第57条の4第1項第5号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる「消費税額等」をいう。)は、令第70条の10《適格請求書に記載すべき消費税額等の計算》に規定する方法により、課税資産の譲渡等に係る税抜価額(法第57条の4第1項第4号に規定する「税抜価額」をいう。)又は税込価額(同号に規定する「税込価額」をいう。)を税率の異なるごとに区分して合計した金額を基礎として算出し、算出した消費税額等の1円未満の端数を処理することとなるのであるから、当該消費税額等の1円未満の端数処理は、一の適格請求書につき、税率の異なるごとにそれぞれ1回となることに留意する。
    • (注) 複数の商品の販売につき、一の適格請求書を交付する場合において、一の商品ごとに端数処理をした上でこれを合計して消費税額等として記載することはできない。

(課税標準額に対する消費税額の計算)

  • 3−13その課税期間に係る法第45条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる税率の異なるごとに区分した課税標準額に対する消費税額は、原則として、同項第1号に掲げる課税標準額につき、税率の異なるごとに標準税率又は軽減税率を乗じて算出した金額を合計する方法(以下3−13において「総額割戻し方式」という。)により算出した金額となるのであるが、その課税期間中に国内において行った課税資産の譲渡等(同条第5項ただし書の規定に係るものを除く。)につき交付した適格請求書又は適格簡易請求書の写しを法第57条の4第6項《適格請求書発行事業者の義務》の規定により保存している場合(同項の規定により同項に規定する電磁的記録を保存している場合を含む。)には、当該適格請求書又は当該適格簡易請求書に記載した同条第1項第5号又は第2項第5号に掲げる消費税額等及び当該電磁的記録に記録した消費税額等の合計額に100分の78を乗じる方法(以下3−13において「適格請求書等積上げ方式」という。)により算出した金額とすることができることに留意する。
     また、取引先ごと又は事業ごとにそれぞれ別の方式によるなど、総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用することとしても差し支えない。
    • (注)1 法第57条の4第2項第5号に掲げる事項につき、適用税率のみを記載した適格簡易請求書には、消費税額等の記載がないため、適格請求書等積上げ方式によることはできない。
    • (注)2 その課税期間に係る法第45条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、適格請求書等積上げ方式による場合(総額割戻し方式と適格請求書等積上げ方式を併用する場合を含む。)には、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第46条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法によることはできない。

(登録前に行った課税資産の譲渡等に係る対価の返還等)

  • 3−14適格請求書発行事業者が、適格請求書発行事業者の登録を受ける前に行った課税資産の譲渡等(当該事業者が免税事業者であった課税期間に行ったものを除く。)について、登録を受けた日以後に売上げに係る対価の返還等を行う場合には、当該対価の返還等についても法第38条第1項の適用があるが、当該対価の返還等に関する法第57条の4第3項《適格返還請求書の交付義務》の規定の適用はないことに留意する。

(適格請求書発行事業者でなくなった場合の適格返還請求書等の交付)

  • 3−15適格請求書発行事業者が適格請求書発行事業者でなくなった後において、適格請求書発行事業者であった課税期間において行った課税資産の譲渡等につき、売上げに係る対価の返還等を行った場合には、適格返還請求書を交付しなければならないことに留意する。

(適格返還請求書の交付方法)

  • 3−16一の事業者に対して、適格請求書及び適格返還請求書(法第57条の4第3項に規定する「適格返還請求書」をいう。以下同じ。)を交付する場合において、それぞれの記載事項を満たすものであれば、一の書類により交付することとしても差し支えない。
     また、その場合の適格請求書に記載すべき同条第1項第4号に掲げる「課税資産の譲渡等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」と適格返還請求書に記載すべき同条第3項第4号に掲げる「売上げに係る対価の返還等に係る税抜価額又は税込価額を税率の異なるごとに区分して合計した金額」については、継続適用を条件にこれらの金額の差額を記載することで、これらの記載があるものとして取り扱う。この場合において、適格請求書に記載すべき消費税額等(同条第1項第5号に掲げる「消費税額等」をいう。)と適格返還請求書に記載すべき売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等(同条第3項第5号に掲げる「売上げに係る対価の返還等の金額に係る消費税額等」をいう。)についても、当該差額に基づき計算した金額を記載することで、これらの記載があるものとする。

(修正適格請求書の記載事項)

  • 3−17法第57条の4第4項《適格請求書発行事業者の義務》に規定する「修正した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書」には、当初に交付した適格請求書、適格簡易請求書又は適格返還請求書との関連性を明らかにした上で、修正した事項を明示した書類等も含まれることに留意する。
第四 適格請求書等保存方式による仕入税額の控除関係

(家事共用資産を取得した場合の課税仕入れに係る消費税額等)

  • 4−1個人事業者が資産を事業と家事の用途に共通して消費し、又は使用するものとして取得した場合、その家事消費又は家事使用に係る部分は課税仕入れに該当しないことから、令第46条第1項第1号から第5号まで《課税仕入れに係る消費税額の計算》に掲げる消費税額等のうち課税仕入れに係る部分の金額又は同項第6号に掲げる課税仕入れに係る支払対価の額は、事業の用途に消費し、又は使用する部分の金額として、当該資産の消費又は使用の実態に基づく使用率、使用面積割合等の合理的な基準により計算することとなることに留意する。

(立替払に係る適格請求書)

  • 4−2課税仕入れに係る支払対価の額につき、例えば、複数の事業者が一の事務所を借り受け、複数の事業者が支払うべき賃料を一の事業者が立替払を行った場合のように、当該課税仕入れに係る適格請求書(以下「立替払に係る適格請求書」という。)が当該一の事業者のみに交付され、当該一の事業者以外の各事業者が当該課税仕入れに係る適格請求書の交付を受けることができない場合には、当該一の事業者から立替払に係る適格請求書の写しの交付を受けるとともに、当該各事業者の課税仕入れに係る仕入税額控除に必要な事項が記載された明細書等(以下「明細書等」という。)の交付を受け、これらを併せて保存することにより、当該各事業者の課税仕入れに係る適格請求書の保存があるものとして取り扱う。
     なお、一の事業者が、多数の事業者の課税仕入れに係る支払対価の額につき一括して立替払を行ったことにより、当該一の事業者において立替払に係る適格請求書の写しの作成が大量となり、その写しを交付することが困難であることを理由に、当該一の事業者が立替払に係る適格請求書を保存し、かつ、当該一の事業者以外の各事業者の課税仕入れが適格請求書発行事業者から受けたものかどうかを当該各事業者が確認できるための措置を講じた上で、明細書等のみを交付した場合には、当該各事業者が交付を受けた当該明細書等を保存することにより、当該各事業者の課税仕入れに係る適格請求書の保存があるものとする。
    • (注)1 当該明細書等の書類に記載する法第57条の4第1項第4号及び第5号《適格請求書発行事業者の義務》に掲げる事項については、課税仕入れを行った事業者ごとに合理的に区分する必要がある。
    • (注)2 当該各事業者の課税仕入れが適格請求書発行事業者から受けたものかどうかを当事者間で確認できるための措置としては、例えば、当該明細書等に当該各事業者の課税仕入れに係る相手方の氏名又は名称及び登録番号を記載する方法のほか、これらの事項について当該各事業者へ別途書面等により通知する方法又は立替払に関する基本契約書等で明らかにする方法がある。

(課税仕入れに係る消費税額の計算)

  • 4−3その課税期間に係る法第45条第1項第2号《課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについての確定申告》に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項《消費税額の積上げ計算》の規定の適用を受ける場合には、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算につき、令第46条第1項《課税仕入れに係る請求書等による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「請求書等積上げ方式」という。)又は同条第2項《課税仕入れに係る帳簿による消費税額の積上げ計算》に規定する計算の方法(以下「帳簿積上げ方式」という。)によることとなることに留意する。
     また、その課税期間に係る法第45条第1項第2号に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算につき、同条第5項の規定の適用を受けない場合には、法第30条第1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の計算に関し、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式のほか、令第46条第3項《課税仕入れに係る支払対価の合計額から割戻す方法による消費税額の計算》に規定する計算の方法(以下「総額割戻し方式」という。)によることもできるのであるが、請求書等積上げ方式又は帳簿積上げ方式と総額割戻し方式との併用はできないことに留意する。
    • (注) 請求書等積上げ方式と帳簿積上げ方式との併用は可能である。

(帳簿積上げ方式における「課税仕入れの都度」の意義)

  • 4−4令第46条第2項《課税仕入れに係る消費税額の計算》に規定する「その課税仕入れの都度、・・・法第30条第7項に規定する帳簿に記載している場合」には、例えば、課税仕入れに係る適格請求書の交付を受けた際に、当該適格請求書を単位として帳簿に記載している場合のほか、課税期間の範囲内で一定の期間内に行った課税仕入れにつきまとめて交付を受けた適格請求書を単位として帳簿に記載している場合がこれに含まれる。

(帳簿及び請求書等の記載事項の特例)

  • 4−5法第30条第7項《仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存》に規定する課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿及び請求書等に関して同条第8項第1号《仕入税額控除に係る帳簿》、令第49条第4項各号《仕入明細書等の記載事項》及び同条第6項各号《卸売り等に係る一定書類の記載事項》に掲げる記載事項のうち、次のものは、取引先コード、商品コード等の記号、番号等による表示で差し支えない。ただし、表示される記号、番号等により、記載事項である「課税仕入れに係る資産又は役務の内容」、「特定課税仕入れの内容」及び「課税資産の譲渡等に係る資産又は役務の内容」について、その仕入れ又は資産の譲渡等が課税仕入れ又は課税資産の譲渡等かどうか、また、当該資産の譲渡等が課税資産の譲渡等である場合においては、軽減対象課税資産の譲渡等かどうかの判別が明らかとなるものであって、(1)に掲げる記載事項を除き、取引の相手方との間で、表示される記号、番号等の内容が明らかであるものに限るものとする。
    • (1) 法第30条第8項第1号イに掲げる「課税仕入れの相手方の氏名又は名称」、第2号イに掲げる「特定課税仕入れの相手方の氏名又は名称」、同項第1号ハに掲げる「課税仕入れに係る資産又は役務の内容」及び第2号ハに掲げる「特定課税仕入れの内容」
    • (2) 令第49条第4項第1号に規定する「書類の作成者の氏名又は名称」、同項第2号に規定する「課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号」及び同項第4号に規定する「課税仕入れに係る資産又は役務の内容」
    • (3) 令第49条第6項第1号に規定する「書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号」、同項第3号に規定する「課税資産の譲渡等に係る資産の内容」及び同項第6号に規定する「書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称」
      • (注)1 令第49条第4項第2号に規定する「課税仕入れの相手方の氏名又は名称及び登録番号」又は令第49条第6項第1号に規定する「書類の作成者の氏名又は名称及び登録番号」につき、取引先コード等の記号、番号等で表示する場合においては、当該記号、番号等により、登録の効力の発生時期に関する変更等の履歴が明らかとなる措置を講じておく必要がある。
      •   2 適格請求書及び適格簡易請求書の取扱いについては、本通達3−3による。

(課税仕入れの相手方の確認を受ける方法)

  • 4−6法第30条第9項第3号《請求書等の範囲》に規定する「課税仕入れの相手方の確認を受けたもの」とは、保存する仕入明細書等に課税仕入れの相手方の確認の事実が明らかにされたもののほか、例えば、次のようなものが該当する。
    • (1) 仕入明細書等への記載内容を通信回線等を通じて課税仕入れの相手方の端末機に出力し、確認の通信を受けた上で自己の端末機から出力したもの
    • (2) 仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録につきインターネットや電子メールなどを通じて課税仕入れの相手方へ提供し、当該相手方からその確認をした旨の通知等を受けたもの
    • (3) 仕入明細書等の写しを相手方に交付し、又は当該仕入明細書等に記載すべき事項に係る電磁的記録を相手方に提供し、一定期間内に誤りのある旨の連絡がない場合には記載内容のとおりに確認があったものとする基本契約等を締結した場合における当該一定期間を経たもの

(課税仕入れの相手方の住所又は所在地の記載を要しないものとして国税庁長官が指定する者の範囲)

  • 4−7令第49条第1項第1号《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に規定する「国税庁長官が指定する者」は次による。
    • (1) 令第70条の9第2項第1号イからニまで《適格請求書の交付を免除する課税資産の譲渡等の範囲等》に掲げる旅客の運送に係る役務の提供を受けた場合の当該役務の提供を行った者
    • (2) 規則第26条の6第2号《適格請求書等の交付が困難な課税資産の譲渡等》に規定する郵便の役務及び貨物の運送に係る役務の提供を受けた場合の当該役務の提供を行った者
    • (3) 規則第15条の4第2号《請求書等の交付を受けることが困難な課税仕入れ》に規定する「その旅行に必要な支出に充てるために事業者がその使用人等又はその退職者等に対して支給する金品」及び同条第3号に規定する「通勤手当」に該当するもののうち、通常必要であると認められる部分に係る課税仕入れを行った場合の当該課税仕入れに係る同条第2号に規定する使用人等又は同号に規定する退職者等及び同条第3号に規定する通勤者
    • (4) 令第49条第1項第1号ハ(1)から(4)まで《課税仕入れ等の税額の控除に係る帳簿等の記載事項等》に掲げる資産に係る課税仕入れ(同号ハ(1)から(3)までに掲げる資産に係る課税仕入れについては、古物営業法、質屋営業法又は宅地建物取引業法により、これらの業務に関する帳簿等へ相手方の氏名及び住所を記載することとされているもの以外のものに限り、同号ハ(4)に掲げる資産に係る課税仕入れについては、事業者以外の者から受けるものに限る。)を行った場合の当該課税仕入れの相手方

(古物に準ずるものの範囲)

  • 4−8規則第15条の3《古物に準ずるものの範囲》に規定する「古物営業法(昭和24年法律第108号)第2条・・・第1項に規定する古物に準ずる物品及び証票」とは、古物営業法上の古物に該当しない、例えば、金、銀、白金といった貴金属の地金やゴルフ会員権がこれに該当する。
     また、同条に規定する「古物営業と同等の取引方法」とは、当該古物に準ずる物品及び証票の買受けに際して、例えば、古物営業法第15条《確認等及び申告》の規定に基づき相手方の住所、氏名等の確認等を行うとともに、同法第16条《帳簿等への記載等》の規定に基づき業務に関する帳簿等への記載等を行うなど、古物商が古物を買い受ける場合と同等の取引方法にあることをいうことに留意する。

(通常必要であると認められる出張旅費、宿泊費、日当等)

  • 4−9規則第15条の4第2号《請求書等の交付を受けることが困難な課税仕入れ》に規定する「その旅行に必要な支出に充てるために事業者がその使用人等又はその退職者等に対して支給する金品」とは、例えば、事業者が、使用人等(同号に規定する「使用人等」をいう。)又は退職者等(同号に規定する「退職者等」をいう。)が次に掲げる旅行をした場合に、使用人等又は退職者等に出張旅費、宿泊費、日当等として支給する金品がこれに該当するのであるが、同号に規定する課税仕入れは、当該金品のうち、その旅行について通常必要であると認められる部分に係るものに限られることに留意する。
    • (1) 使用人等が勤務する場所を離れてその職務を遂行するために行う旅行
    • (2) 使用人等の転任に伴う転居のために行う旅行
    • (3) 退職者等のその就職又は退職に伴う転居のために行う旅行
      • (注) 同号に規定する「その旅行について通常必要であると認められる部分」の範囲は、所基通9−3《非課税とされる旅費の範囲》の例により判定する。

(通常必要であると認められる通勤手当)

  • 4−10規則第15条の4第3号《請求書等の交付を受けることが困難な課税仕入れ》に規定する「通勤者につき通常必要であると認められる部分」とは、事業者が通勤者に支給する通勤手当が、当該通勤者がその通勤に必要な交通機関の利用又は交通用具の使用のために支出する費用に充てるものとした場合に、その通勤に通常必要であると認められるものをいう。したがって、所法令第20条の2各号《非課税とされる通勤手当》に定める金額を超えているかどうかにかかわらないことに留意する。

(控除対象外仕入れに係る支払対価の額の意義)

  • 4−11 控除対象外仕入れに係る支払対価の額(令第75条第8項《控除対象外仕入れに係る調整計算》に規定する「控除対象外仕入れに係る支払対価の額」をいう。以下4−11、4−13及び4−14において同じ。)とは、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る支払対価の額のうち、当該者から行った課税仕入れであることにより、法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》の規定の適用を受けないこととなるものに限られるのであるから、例えば、適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る支払対価の額であっても、同条第7項括弧書《仕入税額控除に係る帳簿及び請求書等の保存》の規定により同項に規定する帳簿のみの保存によって同条第1項の規定の適用を受けることとなる課税仕入れに係る支払対価の額は、控除対象外仕入れに係る支払対価の額に含まれないことに留意する。

(取戻し対象特定収入の判定単位)

  • 4−12 令第75条第9項《取戻し対象特定収入の判定》に規定する取戻し対象特定収入(令第75条第8項《控除対象外仕入れに係る調整計算》に規定する「取戻し対象特定収入」をいう。以下4−14までにおいて同じ。)の判定は、課税仕入れ等に係る特定収入(令第75条第4項第1号イ《国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例》に規定する「課税仕入れ等に係る特定収入」をいう。以下4−14までにおいて同じ。)ごとに、その課税仕入れ等に係る特定収入により支出された課税仕入れに係る支払対価の額の合計額を基礎として行うこととなる。
     したがって、補助金等の一部の返還があった場合においては、当該返還後の補助金等により支出された課税仕入れに係る支払対価の額の合計額を基礎として、同条第9項に基づく取戻し対象特定収入の判定を行うことに留意する。

(借入金等の返済又は償還のための補助金等の取扱い)

  • 4−13 令第75条第1項第1号《国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例》に規定する借入金等(以下4−13において「借入金等」という。)の返済又は償還のための補助金等(課税仕入れ等に係る特定収入に該当するものに限る。以下4−13において同じ。)の交付を受けた場合の当該補助金等に係る控除対象外仕入れに係る支払対価の額は、当該借入金等に係る事業を行った課税期間において当該借入金等により支出された適格請求書発行事業者以外の者から行った課税仕入れに係る支払対価の額のうち当該補助金等により返済又は償還される部分の金額となる。
     また、この場合における同条第9項《取戻し対象特定収入の判定》に基づく取戻し対象特定収入の判定は、借入金等に係る事業を行った課税期間において当該借入金等により支出された課税仕入れに係る支払対価の額の合計額のうち補助金等により返済又は償還される部分の金額を基礎として行うこととなる。
     なお、同条第8項《控除対象外仕入れに係る調整計算》に規定する取戻し対象特定収入のあった課税期間は、借入金等の返済又は償還のための補助金等が交付された課税期間となることに留意する。

(令第75条第1項第6号ロに規定する文書により控除対象外仕入れに係る支払対価の額の合計額を明らかにしている場合の適用関係)

  • 4−14 令第75条第1項第6号ロ《国、地方公共団体等の仕入れに係る消費税額の特例》に規定する文書により控除対象外仕入れに係る支払対価の額の合計額を明らかにする場合の同条第8項及び第9項《控除対象外仕入れに係る調整計算及び取戻し対象特定収入の判定》の適用については、次による。
    • (1) 取戻し対象特定収入の判定単位
       令第75条第1項第6号ロに規定する文書により使途を特定した課税仕入れ等に係る特定収入であっても、課税仕入れ等に係る特定収入ごとに同条第9項に基づく取戻し対象特定収入の判定を行う。
       ただし、その課税仕入れ等に係る特定収入が消費税法基本通達16−2−2(2)ニに掲げる方法により使途を特定したものであって、控除対象外仕入れに係る支払対価の額の合計額についても同様の方法により明らかにしている場合のように課税仕入れ等に係る特定収入ごとに同項に基づく取戻し対象特定収入の判定を行うことが困難な場合においては、当該課税仕入れ等に係る特定収入をまとめて、当該判定を行うこととして差し支えない。

      (注) 「使途を特定」とは、令第75条第1項第6号及び同条第4項に規定する「…のためにのみ使用することとされている…」に該当することとなる場合をいう。

    • (2) 控除対象外仕入れに係る支払対価の額
       消費税法基本通達16−2−2(2)ニに掲げる方法と同様の方法により、課税期間における支出を基礎として按分計算を行うことで控除対象外仕入れに係る支払対価の額の合計額を明らかにする場合において、当該按分計算により算出した額を控除対象外仕入れに係る支払対価の額として、令第75条第8項及び第9項を適用することは差し支えない。

第五 経過措置関係

(免税事業者に係る適格請求書発行事業者の登録申請に関する経過措置)

  • 5−128年改正法附則第44条第4項《適格請求書発行事業者の登録等に関する経過措置》の規定により、適格請求書発行事業者の登録開始日(同条第3項に規定する「登録開始日」をいう。)が令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中である適格請求書発行事業者の登録がされた場合には、当該登録開始日から当該課税期間の末日までの間における課税資産の譲渡等及び特定課税仕入れについては、法第9条第1項本文《小規模事業者に係る納税義務の免除》の規定は適用されないのであるから、当該課税期間において免税事業者である事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合には、登録申請書のみを提出すればよく、課税事業者選択届出書の提出を要しないことに留意する。
    • (注) 28年改正法附則第44条第4項の規定の適用を受け、令和5年10月1日から令和11年9月30日までの日の属する課税期間中に適格請求書発行事業者の登録を受けた事業者は、当該登録を受けた課税期間の翌課税期間以後の課税期間についても法第9条第1項本文の規定の適用はないこととなる。
       なお、当該事業者(適格請求書発行事業者の登録を受けていないとすれば、同項本文の規定の適用がある事業者に限る。)は、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含む場合、法第57条の2第10項第1号《適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める場合の届出》に規定する適格請求書発行事業者の登録の取消しを求める旨の届出書を提出し、当該登録の取消しを受けることで、法第9条第1項本文の規定が適用されるが、登録開始日の属する課税期間が令和5年10月1日を含まない場合、登録開始日の属する課税期間の翌課税期間から登録開始日以後2年を経過する日の属する課税期間までの各課税期間については、同項本文の規定は適用されない。

(困難な事情がある場合の意義)

  • 5−2改正令附則第15条に規定する「困難な事情」については、28年改正法附則第44条第1項ただし書に規定する5年施行日の6月前の日(法第9条の2第1項の規定により法第9条第1項本文の規定の適用を受けないこととなる事業者にあっては、5年施行日の3月前の日)までに登録申請書を提出することにつき困難な事情があれば、その困難の度合いを問わず、改正令附則第15条に規定する経過措置を適用することができることに留意する。
    • (注) 5年施行日とは、28年改正法附則第32条第3項に規定する「5年施行日」をいい、具体的には令和5年10月1日を指す。