課軽2−1
課個2−10
課法4−8
課消1−61
課審8−13
査調5−8
平成28年4月12日
最終改正令和2年4月1日課軽2−1
各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿
各税関長 殿
沖縄地区税関長 殿
国税庁長官
標題のことについては、別冊のとおり定めたから、令和元年10月1日以降これにより取り扱われたい。
なお、本通達に定めがない場合には、消費税法基本通達(平成7年12月25日付課消2−25ほか4課共同「消費税法基本通達の制定について」(法令解釈通達)の別冊)の定めによる。
(理由)
「所得税法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第15号)附則、「消費税法施行令等の一部を改正する政令」(平成28年政令第148号)附則及び「消費税法施行規則等の一部を改正する省令」(平成28年財務省令第20号)附則の規定により、令和元年10月1日から消費税の軽減税率制度が実施されることによる。
(用語の意義)
1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。
(食品の範囲)
2 改正法附則第34条第1項第1号《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する「食品(食品表示法(平成25年法律第70号)第2条第1項《定義》に規定する食品(酒税法(昭和28年法律第6号)第2条第1項《酒類の定義及び種類》に規定する酒類を除く。)をいう。)」とは、人の飲用又は食用に供されるものをいうから、例えば、人の飲用又は食用以外の用途に供するものとして取引される次に掲げるようなものは、飲食が可能なものであっても「食品」に該当しないことに留意する。
(飲食料品の販売に係る包装材料等の取扱い)
3 飲食料品の販売に際し使用される包装材料及び容器(以下「包装材料等」という。)が、その販売に付帯して通常必要なものとして使用されるものであるときは、当該包装材料等も含め飲食料品の譲渡に該当することに留意する。
(注)1 贈答用の包装など、包装材料等につき別途対価を定めている場合の当該包装材料等の譲渡は、飲食料品の譲渡には該当しない。
2 例えば、陶磁器やガラス食器等の容器のように飲食の用に供された後において食器や装飾品等として利用できるものを包装材料等として使用している場合には、食品と当該容器をあらかじめ組み合わせて一の商品として価格を提示し販売しているものであるため、当該商品は改正令附則第2条第1号《飲食料品に含まれる資産の範囲》に規定する一体資産に該当する。
(一の資産の価格のみが提示されているもの)
4 改正令附則第2条第1号《飲食料品に含まれる資産の範囲》に規定する一体資産は、食品と食品以外の資産があらかじめ一の資産を形成し、又は構成しているものであって、当該一の資産に係る価格のみが提示されているものに限られるから、例えば、次のような場合は、食品と食品以外の資産が一の資産を形成し、又は構成しているものであっても、一体資産に該当しないことに留意する。
(注)1 上記(1)、(2)の場合は、個々の商品ごとに適用税率を判定することとなる。
2 上記(2)の場合に個々の商品に係る対価の額が明らかでないときは、改正令附則第6条《課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準の額に関する経過措置》の規定により、対価の額を合理的に区分することとなる。
(一体資産に含まれる食品に係る部分の割合として合理的な方法により計算した割合)
5 改正令附則第2条第1号《飲食料品に含まれる資産の範囲》に規定する「一体資産の価額のうちに当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額の占める割合として合理的な方法により計算した割合」とは、事業者の販売する商品や販売実態等に応じ、例えば、次の割合など、事業者が合理的に計算した割合であればこれによって差し支えない。
(注)1 原価に占める割合により計算を行う場合において、当該原価が日々変動するなど、当該割合の計算が困難なときは、前課税期間における原価の実績等により合理的に計算されている場合はこれを認める。
2 売価又は原価と何ら関係のない、例えば、重量・表面積・容積等といった基準のみにより計算した割合は、当該一体資産に含まれる食品に係る部分の価額に占める割合として合理的な方法により計算した割合とは認められない。
(自動販売機による譲渡)
6 自動販売機により行われるジュース、パン、お菓子等の販売は、飲食料品を飲食させる役務の提供を行っているものではなく、単にこれらの飲食料品を販売するものであるから、軽減税率の適用対象となる飲食料品の譲渡に該当することに留意する。
(飲食店業等の事業を営む者が行う食事の提供の意義)
7 改正法附則第34条第1項第1号イ《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する食事の提供(以下この項において「食事の提供」という。)には、食品衛生法施行令第34条の2第2号《小規模な営業者等》に規定する飲食店営業を行う者のみならず、飲食料品をその場で飲食させる事業を営む者が行う食事の提供の全てが該当することに留意する。
(飲食に用いられる設備)
8 改正法附則第34条第1項第1号イ《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する「テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備」(以下この項において「飲食設備」という。)は、飲食料品の飲食に用いられる設備であれば、その規模や目的を問わないから、例えば、テーブルのみ、椅子のみ、カウンターのみ若しくはこれら以外の設備であっても、又は飲食目的以外の施設等に設置されたテーブル等であっても、これらの設備が飲食料品の飲食に用いられるのであれば、飲食設備に該当することに留意する。
(飲食設備等の設置者が異なる場合)
9 飲食料品を提供する事業者とテーブルや椅子等の設備を設置し、又は管理している者とが異なる場合において、これらの者の間の合意等に基づき、当該設備を当該事業者の顧客に利用させることとしているときは、当該設備は、改正法附則第34条第1項第1号イ《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する「テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備」(以下この項において「飲食設備」という。)に該当することに留意する。
(食事の提供の範囲)
10 改正法附則第34条第1項第1号イ《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する食事の提供(以下この項において「食事の提供」という。)は、事業者がテーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備のある場所において、飲食料品を飲食させる役務の提供をいうのであるから、レストラン、喫茶店、食堂、フードコート等(以下「レストラン等」という。)のテーブルや椅子等の飲食に用いられる設備のある場所で、顧客に飲食させる飲食料品の提供のほか、飲食目的以外の施設等で行うものであっても、テーブル、椅子、カウンターその他の飲食に用いられる設備のある場所を顧客に飲食させる場所として特定して行う、例えば、次のようなものは、食事の提供に該当し、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。
(注)1 上記(1)から(5)の場合においても、持ち帰りのための飲食料品の譲渡(飲食料品を持ち帰りのための容器に入れ、又は包装を施して行った飲食料品の譲渡)は、軽減税率の適用対象となる。
なお、持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定は、本通達第11項による。
2 上記(4)、(5)の施設内に設置された売店や移動ワゴン等による弁当や飲み物等の販売は、例えば、当該施設内の座席等で飲食させるために提供していると認められる次のような飲食料品の提供を除き、同号に掲げる「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となる。
(持ち帰りのための飲食料品の譲渡か否かの判定)
11 事業者が行う飲食料品の提供等に係る課税資産の譲渡等が、食事の提供(改正法附則第34条第1項第1号イ《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する「食事の提供」をいう。以下この項において同じ。)に該当し標準税率の適用対象となるのか、又は持ち帰りのための容器に入れ、若しくは包装を施して行う飲食料品の譲渡に該当し軽減税率の適用対象となるのかは、当該飲食料品の提供等を行う時において、例えば、当該飲食料品について店内設備等を利用して飲食するのか又は持ち帰るのかを適宜の方法で相手方に意思確認するなどにより判定することとなる。
なお、課税資産の譲渡等の相手方が、店内設備等を利用して食事の提供を受ける旨の意思表示を行っているにもかかわらず、事業者が「持ち帰り」の際に利用している容器に入れて提供したとしても、当該課税資産の譲渡等は飲食料品の譲渡に該当しないのであるから、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。
(給仕等の役務を伴う飲食料品の提供)
12 改正法附則第34条第1項第1号ロ《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する「課税資産の譲渡等の相手方が指定した場所において行う加熱、調理又は給仕等の役務を伴う飲食料品の提供」は、飲食料品の譲渡に含まないものとされるため、軽減税率の適用対象とならないのであるが、同号ロに規定する「加熱、調理又は給仕等の役務を伴う」とは、課税資産の譲渡等を行う事業者が、相手方が指定した場所に食材等を持参して調理を行って提供する場合や、調理済みの食材を相手方が指定した場所で加熱して温かい状態等で提供する場合のほか、例えば、次の場合も該当するのであるから留意する。
なお、相手方が指定した場所で加熱、調理又は給仕等の役務を一切伴わないいわゆる出前は、同号に掲げる「飲食料品の譲渡」に該当し、軽減税率の適用対象となる。
(有料老人ホーム等の飲食料品の提供に係る委託)
13 老人福祉法に規定する有料老人ホーム等を設置し、又は運営する者(以下「設置者等」という。)が、外部業者へ当該施設の入居者に対する飲食料品の提供に係る調理等を委託している場合において、受託者たる当該外部業者の行う調理等に係る役務の提供は、委託者たる当該設置者等に対する役務の提供であることから、軽減税率の適用対象とならないことに留意する。
(1週に2回以上発行する新聞の意義)
14 改正法附則第34条第1項第2号《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》に規定する「1週に2回以上発行する新聞」とは、通常の発行予定日が週2回以上とされている新聞をいうのであるから、国民の祝日及び通常の頻度で設けられている新聞休刊日によって1週に1回以下となる週があっても「1週に2回以上発行する新聞」に該当する。
(軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の資産の譲渡等を一括して対象とする値引販売)
15 事業者が、軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の資産の譲渡等を同時に行った場合には、それぞれの資産の譲渡等ごとに適用税率を判定することとなるが、例えば、顧客が割引券等を利用したことにより、これら同時に行った資産の譲渡等を対象として一括して対価の額の値引きが行われており、当該資産の譲渡等に係る適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が明らかでないときは、割引券等による値引額を当該資産の譲渡等に係る価額の比率により按分し、適用税率ごとの値引額及び値引額控除後の対価の額を区分することとなることに留意する。
なお、当該資産の譲渡等に際して顧客へ交付する領収書等の書類により適用税率ごとの値引額又は値引額控除後の対価の額が確認できるときは、当該資産の譲渡等に係る値引額又は値引額控除後の対価の額が、適用税率ごとに合理的に区分されているものに該当する。
(軽減対象資産の譲渡等に係る委託販売手数料)
16 委託販売その他業務代行等(以下「委託販売等」という。)において、受託者が行う委託販売手数料等を対価とする役務の提供は、当該委託販売等に係る課税資産の譲渡が軽減税率の適用対象となる場合であっても、標準税率の適用対象となることに留意する。
なお、当該委託販売等に係る課税資産の譲渡が軽減税率の適用対象となる場合には、適用税率ごとに区分して、委託者及び受託者の課税資産の譲渡等の対価の額及び課税仕入れに係る支払対価の額の計算を行うこととなるから、消費税法基本通達10−1−12(1)及び(2)なお書《委託販売等に係る手数料》による取扱いの適用はない。
(軽減対象資産の譲渡等に係る返品、値引等の処理)
17 事業者が、その課税期間において行った軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の課税資産の譲渡等につき、当該課税期間中に返品を受け、又は値引き若しくは割戻しをした場合に、当該課税資産の譲渡等に係る返品額又は値引額若しくは割戻額につき税率の異なるごとに合理的に区分した金額を、当該課税資産の譲渡等の税率の異なるごとの金額からそれぞれ控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。
(軽減対象資産の譲渡等に係るものである場合の請求書等の記載事項)
18 改正法附則第34条第2項前段《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》の規定により読み替えられた消費税法第30条第9項第1号ハ《仕入税額控除に係る請求書等》に規定する「元年軽減対象資産の譲渡等である旨」及び同項第2号ニに規定する「元年軽減対象資産の譲渡等に係るものである旨」の記載については、軽減対象資産の譲渡等であることが客観的に明らかであるといえる程度の表示がされていればよく、個々の取引ごとに適用税率が記載されている場合のほか、例えば、次のような場合もこれに該当する。
(追記の範囲及び内容)
19 改正法附則第34条第2項前段《元年軽減対象資産の譲渡等に係る税率等に関する経過措置》の規定による読み替え前の消費税法第30条第9項第1号《仕入税額控除に係る請求書等》に掲げる書類(以下この項において「請求書等」という。)の交付を受けた事業者が、改正法附則第34条第3項の規定により、当該請求書等に記載された課税資産の譲渡等の事実に基づいて追記することができるのは、次の事項に限られることに留意する。
なお、(1)に係る追記については、本通達第18項に準じて取り扱う。
(仕入れに係る対価の返還等の処理)
20 事業者が、課税仕入れ(免税事業者であった課税期間において行ったものを除く。以下同じ。)につき返品をし、又は値引き若しくは割戻しを受けた場合に、当該課税仕入れに係る返品額又は値引額若しくは割戻額につき税率の異なるごとに合理的に区分した金額を、当該課税仕入れの税率の異なるごとの金額からそれぞれ控除する経理処理を継続しているときは、これを認める。
(困難な事情があるときの意義)
21 改正法附則第38条第1項《元年軽減対象資産の譲渡等を行う中小事業者の課税標準の計算等に関する経過措置》に規定する「困難な事情があるとき」とは、例えば、事業者が同項に規定する適用対象期間中に国内において行った課税資産の譲渡等につき、税率の異なるごとの管理が行えないことなどにより、当該適用対象期間中の当該課税資産の譲渡等の税込価額を税率の異なるごとに区分して合計することが困難である場合をいい、そのような場合には、その困難の度合いを問わず、同項に規定する経過措置を適用することができることに留意する。
(注)1 改正法附則第38条第2項に規定する「困難な事情があるとき」において同様である。
2 改正法附則第39条第1項《課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な小売業等を営む中小事業者に対する経過措置》に規定する「困難な事情があるとき」とは、例えば、事業者が同項に規定する適用対象期間中に国内において行った課税仕入れ又は当該適用対象期間中の課税貨物の保税地域から引取りにつき、税率の異なるごとの管理が行えないことなどにより、当該適用対象期間中の当該課税仕入れに係る支払対価の額又は当該適用対象期間中に保税地域から引き取った当該課税貨物に係る税込引取価額を税率の異なるごとに区分して合計することが困難である場合をいい、そのような場合には、その困難の度合いを問わず、同項に規定する経過措置を適用することができる。
なお、第40条第1項《課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者に対する経過措置》に規定する「困難な事情」において同様である。
(通常の事業を行う連続する10営業日の意義)
22 改正法附則第38条第1項《元年軽減対象資産の譲渡等を行う中小事業者の課税標準の計算等に関する経過措置》を適用する場合の「通常の事業を行う連続する10営業日」は、同項に規定する適用対象期間における通常の事業を行う連続する10営業日であればいつかを問わないのであるが、例えば、通常飲食料品と飲食料品以外の資産の譲渡等を行う事業者が、特別な営業により、ある10日間について飲食料品の譲渡のみを行うといった営業日は同項に規定する「通常の事業」を行う営業日に含まれないことに留意する。
なお、これら「通常の事業」でない営業日を含む連続する10営業日に基づき同項の規定を適用することはできないのであるが、このような「通常の事業」でない営業日を除いた前後の連続する期間の合計10営業日については、「通常の事業を行う連続する10営業日」として取り扱う。
(主として軽減対象資産の譲渡等を行う事業者)
23 改正法附則第38条第4項《元年軽減対象資産の譲渡等を行う中小事業者の課税標準の計算等に関する経過措置》に規定する「主として元年軽減対象資産の譲渡等を行う事業者」とは、同条第1項又は第2項に規定する適用対象期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額のうち、軽減対象資産の譲渡等の対価の額の占める割合がおおむね50%以上である事業者をいうものであることに留意する。
(著しく困難な事情があるときの意義)
24 改正法附則第40条第2項《課税仕入れ等を適用税率別に区分することが困難な中小事業者に対する経過措置》に規定する「著しく困難な事情があるとき」とは、同項に規定する適用対象期間中に国内において行った課税仕入れを税率の異なるごとに区分して合計することが著しく困難である場合をいうのであるから、例えば、当該適用対象期間中に軽減税率の対象となる課税仕入れとそれ以外の課税仕入れがある場合であっても、当該適用対象期間の軽減税率の対象となる課税仕入れがそれ以外の課税仕入れの回数に比し、著しく少ない場合などは、帳簿、保存書類等からこれらの課税仕入れを容易に区分することができるのであるから、他に考慮すべき事情があるときを除き、「著しく困難な事情があるとき」に該当しない。
(注) 建設業、不動産業その他の主として軽減税率の対象となる課税仕入れを行う事業者に該当しない事業者が、当該事業者の事務所、営業所等に自動販売機を設置した場合の清涼飲料水の仕入れや、福利厚生、贈答用として菓子等を仕入れた場合は、著しく困難な事情に当たらない。
(課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置等)
25 改正省令附則第12条《課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定により読み替えて適用される消費税法施行規則の一部を改正する省令(平成15年財務省令第92号。以下「15年改正省令」という。)附則第2条第2項《総額表示義務の対象とならない取引で税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》及び第4項《総額表示義務の対象となる取引で税抜価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定によりなおその効力を有するものとされる15年改正省令による改正前の消費税法施行規則第22条第1項《消費税額及び地方消費税額相当額を区分領収している場合の申告税額の計算》の規定並びに15年改正省令附則第2条第3項《税込価格を基礎とした代金決済を行う場合の課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置》の規定は、当該課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額の合計額(以下「消費税額等」という。)に相当する額を税率の異なるごとに区分している場合に適用できるのであるから、軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の課税資産の譲渡等に係る取引の代金決済を一の領収書又は請求書等により行う場合には、消費税法第43条第1項第2号《仮決算をした場合の中間申告書の記載事項等》又は同法第45条第1項第2号《課税資産の譲渡等についての確定申告》に掲げる課税標準額に対する消費税額の計算については、消費税額等に相当する額について、一円未満の端数を税率の異なるごとに区分して処理した後の金額を基礎として行うことに留意する。
また、消費税法第30条第1項《仕入れに係る消費税額の控除》に規定する課税仕入れに係る消費税額について、軽減対象資産の譲渡等とそれ以外の課税資産の譲渡等の取引の代金決済が一の領収書又は請求書等により行われた場合の平成16年2月19日付課消1−8ほか5課共同「事業者が消費者に対して価格を表示する場合の取扱い及び課税標準額に対する消費税額の計算に関する経過措置の取扱いについて(法令解釈通達)」第14項《課税仕入れに係る消費税額の計算》による処理は、税率の異なるごとに処理された後の消費税額等を仮払消費税等として経理し、同項の各態様に応じた要件を満たす処理が行われている場合にはその処理が認められる。
なお、この場合に、軽減税率の対象となる課税仕入れに係る消費税額は、仮払消費税等として経理し、その課税期間中における仮払消費税等の合計額の80分の62.4に相当する金額とする。