(用語の意義)

1 この通達において用いる次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

  1. (1) 租特法 租税特別措置法(昭和32年法律第26号)をいう。
  2. (2) 沖特令 沖縄の復帰に伴う国税関係法令の適用の特別措置等に関する政令(昭和47年政令第151号)をいう。
  3. (3) 法 揮発油税法(昭和32年法律第55号)をいう。
  4. (4) 地揮法 地方揮発油税法(昭和30年法律第104号)をいう。
  5. (5) 揮発油 租特法第88条の5《用語の定義》に規定する揮発油をいう。
  6. (6) 控除対象揮発油 租特法第89条第4項に規定する控除対象揮発油をいう。
  7. (7) 課税対象揮発油 租特法第89条第18項に規定する課税対象揮発油をいう。
  8. (8) バイオエタノール等揮発油 租特法第88条の7第1項《バイオエタノール等揮発油に係る課税標準の特例》に規定するバイオエタノール等揮発油をいう。
  9. (9) 揮発油税等 揮発油税及び地方揮発油税をいう。
  10. (10) 揮発油税額等 揮発油税額及び地方揮発油税額をいう。
  11. (11) 揮発油の製造者 租特法第89条第4項に規定する揮発油の製造者をいう。
  12. (12) 販売業者 揮発油等の品質の確保等に関する法律(昭和51年法律第88号)第3条《揮発油販売業者の登録》の規定により揮発油販売業者の登録を受けた者又は石油の備蓄の確保等に関する法律(昭和50年法律第96号)第24条《石油販売業の届出》の規定により石油販売業の届出を行った者をいう。
  13. (13) 販売業者等 揮発油の製造者及び販売業者をいう。
  14. (14) 貯蔵場所 販売業者等が揮発油の製造場(法第14条第6項の規定により揮発油の製造場とみなされる場所を含む。以下同じ。)又は保税地域以外の場所で控除対象揮発油又は課税対象揮発油を販売のため所持する場所をいう。
  15. (15) 指定日 揮発油の平均小売価格(小売物価統計調査規則(昭和57年総理府令第6号)第1条に規定する小売物価統計調査の各月の結果として公表された都市別の自動車ガソリンの小売価格(消費税及び地方消費税込)を合計し、それを当該都市の数で除して得た額をいう。以下同じ。)が連続する3か月においていずれも160円を超えた旨を財務大臣が告示した日の属する月の翌月の初日をいう。
  16. (16) 指定時 指定日の午前零時をいう。
  17. (17) 適用日 揮発油の平均小売価格が連続する3か月においていずれも130円を下回った旨を財務大臣が告示した日の属する月の翌月の初日をいう。
  18. (18) 適用時 適用日の午前零時をいう。
  19. (19) 手持品控除 租特法第89条第4項又は第7項により、販売業者等が指定日に控除対象揮発油を販売のため所持する場合において、揮発油の製造者の課税標準数量に対する揮発油税額から控除対象揮発油に係る揮発油税超過額を控除し、又は揮発油の製造者に還付することをいう。
  20. (20) 手持品課税 租特法第89条第18項により、販売業者等が適用日に課税対象揮発油を販売のため所持する場合において、その所持する課税対象揮発油の数量が10キロリットル以上であるときに、販売業者等を当該課税対象揮発油に係る揮発油の製造者とみなして揮発油税等を課すことをいう。

(租特法による規定と沖特令による規定)

2 租特法第89条の規定による手持品控除又は手持品課税と、沖特令第74条の2の規定による手持品控除又は手持品課税は、根拠法令を異にするものであり、原則として沖縄県の区域内の場所で所持する揮発油については租特法第89条の規定は適用されず、沖縄県の区域以外の場所で所持する揮発油については沖特令第74条の2の規定は適用されない。したがって、手持品課税に係る所持数量が10キロリットル以上であるかどうかは、これらの適用法令ごとに判断するのであるから留意する。

(沖特令に基づく手持品控除又は手持品課税)

3 沖特令第74条の2の規定による手持品控除又は手持品課税については、この通達による取扱いを準用する。この場合において、次の表の左欄に掲げる字句は、それぞれ右欄に掲げる字句に読み替えるものとする。

租特法 沖特令
第89条第4項 第74条の2第2項
第89条第7項 第74条の2第9項
第89条第9項 第74条の2第13項
第89条第16項 第74条の2第19項
第89条第18項 第74条の2第21項
第89条第19項 第74条の2第22項
第89条第21項 第74条の2第25項
第89条第23項 第74条の2第27項

(所持者の判定)

4 控除対象揮発油及び課税対象揮発油の所持者は、当該控除対象揮発油及び課税対象揮発油の所有名義人のいかんを問わず、現に所持する者をいう。
 なお、次に掲げる控除対象揮発油及び課税対象揮発油については、それぞれ次に掲げる者が所持者となることに留意する。

  1. (1) 販売業者等が、運送業者、倉庫業者等の販売業者等以外の者に寄託(消費寄託を含む。)その他名目のいかんを問わず保管させている控除対象揮発油及び課税対象揮発油 当該控除対象揮発油及び課税対象揮発油を保管させている販売業者等
  2. (2) 他者から営業等の委託を受けている給油所で所持する控除対象揮発油及び課税対象揮発油 当該控除対象揮発油及び課税対象揮発油を現に所持する受託者
  3. (3) 指定時又は適用時に運送途中にある控除対象揮発油及び課税対象揮発油 当該控除対象揮発油及び課税対象揮発油の運送先の貯蔵場所における荷受人
  4. (4) 指定日前又は適用日前に関税法(昭和29年法律第61号)第7条《申告》又は同法第7条の2《申告の特例》に規定する手続をした控除対象揮発油及び課税対象揮発油で、指定時又は適用時において保税地域からの事実上の引取行為が終了していないもの 当該控除対象揮発油及び課税対象揮発油の引取者たる販売業者等

(貯蔵場所の区域)

5 貯蔵場所の敷地が連続しているといないとにかかわらず、敷地、建物及び貯蔵設備並びにその管理の状況等からみて、同一の貯蔵場所と認められる場合には、一の貯蔵場所として取り扱う。

(控除対象揮発油及び課税対象揮発油に該当しないものの範囲)

6 販売業者等が揮発油の製造場又は保税地域以外の場所で所持する揮発油のうち、次に掲げるものは、控除対象揮発油及び課税対象揮発油に該当しないのであるから留意する。

  1. (1) 灯油
  2. (2) 租特法第89条の3《移出に係る揮発油の特定用途免税》、同法第89条の4《引取りに係る揮発油の特定用途免税》、同法第90条《移出に係るみなし揮発油の特定用途免税》及び同法第90条の2《引取りに係るみなし揮発油の特定用途免税》の規定の適用を受けた揮発油
  3. (3) 自己の用に供する目的で所持している揮発油で、販売の目的で所持している揮発油と区分して貯蔵しているもの。ただし、その所持数量が相当であると認められ、かつ、その事実が帳簿等により明らかにされているものに限る。
  4. (4) 揮発油の製造場又は保税地域以外の場所において、基本通達第1条《定義》に規定する課税済みの揮発油と他の物(灯油を含む。)とを混和し、又は混和された揮発油。
     ただし、基本通達第9条第3項《製造の定義》に規定するコンタミネーションが発生した場合において、当該揮発油が一般の課税済みの揮発油と同等の用途に供する商品として取引され、かつ、当該コンタミネーションの事実につき同項の税務署長の証明を受けているときは、当該揮発油に含まれている課税済みの揮発油の数量に相当する数量の揮発油については、控除対象揮発油及び課税対象揮発油に該当することに取り扱う。
  5. (5) 溶剤用、洗浄用その他の用途に使用済みの炭化水素油で、廃棄若しくは焼却され又は再生用に供されることが明らかなもの。

(控除対象揮発油及び課税対象揮発油の所持数量の測定)

7 控除対象揮発油及び課税対象揮発油の所持数量の測定に当たっては、次の点に留意する。

  1. (1) 所持数量は、原則として、貯蔵容器ごとに実測した数量を温度換算した数量によることとする。ただし、給油所の地下タンク又はタンクローリー等に収容されており、通常見掛数量によって取引されるものについては、温度換算は行わない。
  2. (2) ドラム缶又は石油缶等一定の容器に収容されており、当該容器に正味数量が表示され、かつ、その表示数量によって取引されているものについては、(1)にかかわらず、その表示数量に所持個数を乗じて計算した数量を所持数量とする。
  3. (3) 指定時又は適用時に運送途中にあるものについては、(2)に該当する場合を除き、出荷時の数量(指定時又は適用時前の亡失又は欠減数量が明らかな場合には、当該数量を控除した後の数量)による。
  4. (4) (1)から(3)により測定した数量にリットル位未満の端数がある場合は、リットル位未満2位以下を切り捨てリットル位未満1位にとどめる。ただし、当該数量を常時リットル位未満を切り捨て又は四捨五入等したものとしている場合は、リットル位にとどめることとして差し支えない。

(エタノールの数量に相当する数量の算出方法)

8 バイオエタノール等揮発油に含まれるエタノールの数量に相当する数量の算出に当たっては、次による。(令元課消4−57、令3課消4-12改正)

  • (1) バイオエタノール、カーボンリサイクルエタノール又はエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの濃度が明らかな場合
    • イ バイオエタノール又はカーボンリサイクルエタノールが混和されたもの バイオエタノール等揮発油の数量にエタノール濃度を乗ずる。
    • ロ エチル-ターシャリ-ブチルエーテルが混和されたもの バイオエタノール等揮発油の数量に、エチル-ターシャリ-ブチルエーテル濃度に0.4237を乗じて得た数値を乗ずる。
  • (2) バイオエタノール、カーボンリサイクルエタノール又はエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの濃度が明らかでない場合
     バイオエタノール等揮発油の数量に百分の0.7を乗ずる。
  • (3) (1)の場合のバイオエタノール、カーボンリサイクルエタノール又はエチル-ターシャリ-ブチルエーテルの濃度の測定は、以下に定める試験方法による。
    • イ 日本産業規格(JISK2536-2(石油製品―成分試験方法))
    • ロ 日本産業規格(JISK2536-4(石油製品―成分試験方法))
    • ハ 日本産業規格(JISK2536-6(石油製品―成分試験方法))

(適用税率)

9 租特法第89条第1項の規定により指定日に同法第88条の8の規定の適用が停止され、その後、同法第89条第2項の規定により適用日に同法第88条の8の規定の適用が再開される場合における揮発油税及び地方揮発油税の適用税率は次によるのであるから留意する。

(1)揮発油税及び地方揮発油税の税率((2)を除く。)
  指定日の前日まで 指定日以後適用日の前日まで 適用日以後
沖縄県の区域以外 53,800円/キロリットル 28,700円/キロリットル 53,800円/キロリットル
沖縄県の区域内 46,800円/キロリットル 24,900円/キロリットル 46,800円/キロリットル
(2)手持品控除又は手持品課税に係る揮発油税及び地方揮発油税の税率
  手持品控除 手持品課税
沖縄県の区域以外 25,100円/キロリットル 25,100円/キロリットル
沖縄県の区域内 21,900円/キロリットル 21,900円/キロリットル