課酒3−4
平成19年9月14日

国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記のとおり取り扱うこととして差し支えないこととしたので、遺漏のないように取り扱われたい。

(理由)
 新潟県中越沖地震による酒類業者の被災状況を踏まえ、被災した酒類製造場等に係る酒類製造免許等の手続について弾力的な措置を講じることにより、酒類業者の事務負担の軽減を図る必要があるため。

第一章 総則

第1 用語の意義

1 法」とは、「酒税法」(昭和28年法律第6号)をいう。

2 「令」とは、「酒税法施行令」(昭和37年政令第97号)をいう。

3 「酒類業組合法」とは、「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律」(昭和28年法律第7号)をいう。

4 「法令解釈通達」とは、平成11年6月25日課酒1−36ほか4課共同「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達の制定について(法令解釈通達)」の別冊「酒税法及び酒類行政関係法令等解釈通達」をいう。

5 「被災地域」とは、平成19年7月31日付国税庁告示第16号「新潟県の一部の地域における国税に関する申告期限等を延長する件」により指定した地域をいう。

6 「酒類製造場」とは、酒類の製造免許を受けている場所をいう。

7 「酒類販売場」とは、酒類の販売業免許を受けている場所をいう。

8 「酒類蔵置場」とは、許可を受けた未納税酒類の貯蔵場所をいう。

9 「酒類蔵置所」とは、届け出た課税済酒類の貯蔵場所をいう。

第2 通達の適用範囲等
 本通達の取扱いについては、次に掲げる場合に限り適用する。

1 平成19年新潟県中越沖地震により酒類製造場、酒類蔵置場又は酒類蔵置所の全部又は一部が被災したため、酒類の製造又は製造した酒類の貯蔵等の全部又は一部ができなくなった場合

2 平成19年新潟県中越沖地震により酒類販売場又は酒類蔵置所の全部又は一部が被災したため、酒類販売業の全部又は一部ができなくなった場合

3 酒類製造者が、1に該当する酒類製造者と直接取引を行っている場合

第二章 酒類製造者に対する取扱い

第1 酒類製造場の取扱い
 酒類製造場が被災したことにより、酒類の製造ができなくなったことから、酒類の製造を他の場所において行おうとする場合については、次により取り扱う。

1 酒類製造場を他の場所に設置することの取扱い

(1) 酒類製造場が被災したことにより、一時的に他の場所に当該製造場の一部を設置することにより酒類の製造を継続しようとする場合については、法令解釈通達第7条第1項関係の2(敷地が連続していない酒類等の製造場の取扱い)に準じ、被災した当該製造場が復旧するまでの期間、1つの酒類の製造場として取り扱うこととし、当該設置に係る異動申告書を提出するよう指導する。
 なお、当該製造場が復旧した際についても異動申告書の提出が必要であることに留意する。

(2) 酒類製造場が被災したことにより、一時的に他の場所において酒類の製造を継続しようとする場合については、原則として、移転を許可する。

2 移転の手続
 酒類製造場を移転する場合において、「酒類製造場移転許可申請書」提出時の添付書類については、「移転後の酒類製造場の所在地を明らかにすることのできる書類」があれば足りることとし、「酒類等の製造免許申請書類一覧表」に規定するその他の書類の提出時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。
 なお、1による場合には、復旧に要すると見込まれる期間を「酒類製造場移転許可申請書」の「移転の理由」欄に記載するよう指導する。

第2 酒類蔵置場等の取扱い
 酒類製造場又は酒類蔵置場(以下「酒類製造場等」という。)が被災したことにより、酒類の貯蔵又は容器詰等ができなくなったため、一時的に他の場所において、酒類の貯蔵又は容器詰等を行う場合については、次により取り扱う。

1 酒類の貯蔵のための酒類蔵置場の設置の取扱い
 酒類製造場等が被災したことにより、酒類の貯蔵ができなくなった場合又は酒類の製造を委託している者(以下「委託製造者」という。)の酒類製造場等が被災したことにより酒類が引き取られず、酒類の製造を受託している者(以下「受託製造者」という。)の酒類製造場等が狭あいとなった場合において、当該被災に係る酒類製造場等の設置者又は受託製造者が、新たに酒類蔵置場を設置しようとするときは、法令解釈通達第28条第1項関係の1(蔵置場の態様)のに定める「製造場狭あいのための蔵置場」を設置する場合の取扱いに準じて取り扱うこととし、期限を付して設置を許可する。
 なお、この場合、酒類製造場等が狭あいであるかどうかの客観的基準については、現に酒類が貯蔵できるかどうかによることとする。
 また、許可に当たっては、設置する期間及び蔵置する酒類の範囲について条件を付すこととするが、当該期間は、原則として、復旧に要すると見込まれる期間とし(ただし、必要に応じて延長可。)、当該範囲は、蔵置場を設置する者が免許を受けている品目と同一の酒類に限るものとする(2において同じ。)。

2 容器詰等の委託に係る酒類蔵置場の設置の取扱い
 酒類製造場の一部が被災したことにより、酒類の容器詰等ができなくなった場合の酒類蔵置場の設置については、法令解釈通達第28条第1項関係の1(蔵置場の態様)のに規定する「容器詰等のための蔵置場」を設置する場合の取扱いに準じて取り扱うこととし、期限を付して設置を許可する。

3 設置の手続
 1又は2により酒類蔵置場を設置しようとする場合において、「酒類蔵置場設置許可申請書」提出時の添付書類については、「酒類蔵置場の所在地を明らかにすることのできる書類」があれば足りることとし、「酒類蔵置場設置許可申請書の添付書類一覧表」に規定するその他の添付書類の提出時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

4 許可等事務の取扱官庁
 1又は2に規定する酒類蔵置場について、被災した酒類製造場等の所在地を管轄する税務署の管轄区域外に設置する場合又は2以上の酒類蔵置場を設置しようとする場合については、法令解釈通達第28条第1項関係の8(許可等事務の取扱官庁)の規定にかかわらず、当該蔵置場を設置しようとする場所の所轄税務署長限りで処理しても差し支えない。その際、当該酒類蔵置場を設置する酒類製造者の酒類製造場が被災したかどうかについて関東信越国税局酒税課に確認した上で処理する。

第3 酒類の未納税移出の取扱い

1 委託製造者の酒類製造場等が被災したことにより酒類が引き取られず、酒類の製造又は貯蔵に支障を来たすこととなる受託製造者が、当該酒類の貯蔵を他の製造者に委託するため、当該酒類を当該他の製造者の酒類製造場等に移出しようとする場合は、当該移出しようとする酒類の移出元である受託製造者の酒類製造場又は被災した委託製造者の酒類製造場等に更に移出することが明らかな場合に限り、法第28条《未納税移出》第1項第4号の規定による未納税移出の承認を与えることとして差し支えない。

2 1により移出した酒類の移入者が、移出元である受託製造者の酒類製造場又は被災した委託製造者の酒類製造場等に、当該移入した酒類を移出する場合についても、同様に未納税移出の承認を与えることとして差し支えない。

第三章 酒類販売業者に対する取扱い

第1 酒類販売場の取扱い
 酒類販売場が被災したことにより、酒類の販売ができなくなったことから、酒類の販売を他の場所において行おうとする場合については、次により取り扱う。

1 酒類販売場の移転の取扱い
 酒類販売場が被災したことにより、一時的に他の場所に販売場を設置することにより酒類の販売を継続しようとする場合については、期限付免許を付与する。この場合、移転先は原則として同一税務署管轄区域内又は同一卸売販売地域内に限るものとし、やむを得ない理由がある場合に限り、これらの区域又は地域に隣接する区域内又は地域内における期限付免許を付与することとして差し支えない。
 なお、免許に付する期限については、原則として、復旧に要すると見込まれる期間の末日とする。

2 移転の手続
 酒類販売場を移転する場合においては、原則として、次により取り扱う。

(1) 「酒類販売業免許申請書」提出時の添付書類については、「酒類販売場の所在地を明らかにすることのできる書類」があれば足りることとし、「酒類販売業免許申請書類一覧表」に規定するその他の書類の提出時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。
 なお、「酒類販売業免許申請書」の「申請の理由」欄に「被災」である旨及び移転前の販売場の所在地を、「臨時販売場の開設期間」欄に復旧に要すると見込まれる期間を、それぞれ記載するよう指導する。

(2) 「酒類販売場移転許可申請書」提出時の添付書類についても、(1)に準じて、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

第2 酒類販売管理研修等の取扱い

1 酒類販売管理者の選任届について

(1) 本通達の適用を受けて期限付免許の付与を受けた者において、酒類販売管理者に変更がない場合には、改めて酒類業組合法第86条の9《酒類販売管理者》第4項に規定する選任届出書を提出する必要はないこととして取り扱うものとする。

(2) 本通達の適用を受けて期限付免許を付与された者又は移転の許可を受けた者が、新たに酒類販売管理者を選任した場合には、選任後2週間以内に選任届出書を提出する必要があるが、その提出時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

2 酒類販売管理研修の受講について

(1) 本通達の適用を受けて期限付免許を付与された者又は移転の許可を受けた者が、新たに酒類販売管理者を選任した場合において、震災の状況等により酒類販売管理研修を受けさせることが困難であると認められるときは、酒類業組合法第86条の9《酒類販売管理者》第5項に規定にかかわらず、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。
 なお、本通達の適用を受けて期限付免許の付与を受けた者において、酒類販売管理者に変更がない場合には、改めて研修を受けさせる必要はないこととして取り扱うものとする。

(2) 平成19年7月16日以前に酒類販売管理者を選任した場合であって、同日時点で当該酒類販売管 理者が酒類販売管理研修を受講していないときの当該酒類販売管理研修の受講時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

第四章 雑則

第1 被災により休止した場合の免許の取扱い
 酒類製造場又は酒類販売場が被災したことにより、酒類の製造又は販売ができなくなった場合の免許の取扱いは、次による。

1 酒類製造免許の取扱い
 休止した酒類製造場のうち、製造の再開が明らかと認められるもの又は既に再開しているものが、被災したことによる休止期間を含めると、法第12条《酒類の製造免許の取消》第3号(法第13条《酒母等の製造免許の取消》により同号の規定を準用する場合を含む。)又は第4号本文に該当することとなる場合、これをもって製造免許を取り消すことのないよう留意する。

2 酒類販売業免許の取扱い
 休止した酒類販売場のうち、販売の再開が明らかと認められるもの又は既に再開しているものが、被災したことによる休止期間を含めると、法第14条《酒類の販売業免許》第3号に該当することとなる場合、これをもって販売業免許を取り消すことのないよう留意する。

第2 「酒類販売業休止申告書」の取扱い
 法第47条《申告義務》第3項に基づく販売業を休止又は開始した場合の申告時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

第3 「酒類蔵置所設置・廃止報告書」の取扱い
 酒類蔵置所が被災したことにより、酒類の貯蔵ができなくなった場合又は酒類製造場若しくは販売場が被災したことにより酒類の貯蔵ができなくなった場合において、新たに酒類蔵置所を設置しようとするときは、法第47条《申告義務》第4項に基づき、「酒類蔵置所設置・廃止報告書」を提出させることとするが、その提出時期については、被災状況等の実情に応じて弾力的に取り扱う。

第4 「酒類の販売数量等報告書」の取扱い
 帳簿書類等が滅失等したことにより数量等の把握が困難な場合には、酒類販売業者の被災状況等を十分に把握した上で、法第47条《申告義務》第4項に基づく「酒類の販売数量等報告書」の提出の要否を判断する。

第5 亡失等に伴う届出書等の取扱い
 法第50条の2《届出義務》第2項に基づく亡失等の届出時期については、被災状況等の実情に応じて、弾力的に取り扱う。