課評2-25
課資2-11
課審6-15
平成23年10月13日

各国税局長 殿
沖縄国税事務所長 殿

国税庁長官

 標題のことについては、下記により取り扱うこととしたから、これによられたい。

(趣旨)
 東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)が施行されたことに伴い、同法第34条((特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例))第1項及び同法第35条((特定土地等及び特定株式等に係る贈与税の課税価格の計算の特例))第1項に規定する特定土地等及び特定株式等の東日本大震災の発生直後の価額の評価に関する取扱いを定めたものである。

(用語の意義)

1 この通達において、次に掲げる用語の意義は、それぞれ次に定めるところによる。

  • (1) 震災特例法  東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律(平成23年法律第29号)をいう。
  • (2) 震災特例法施行令  東日本大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律施行令(平成23年政令第112号)をいう。
  • (3) 震災  震災特例法第2条((定義))第1項に規定する東日本大震災をいう。
  • (4) 評価通達  昭和39年4月25日付直資56、直審(資)17「財産評価基本通達」(法令解釈通達)をいう。
  • (5) 指定地域  震災特例法第34条第1項に規定する指定地域をいう。
  • (6) 特定土地等  震災特例法第34条第1項に規定する特定土地等をいう。
  • (7) 特定株式等  震災特例法第34条第1項に規定する特定株式等をいう。
  • (8) 評価対象法人  評価しようとする株式の発行法人又は出資に係る出資のされている法人をいう。
  • (9) 動産等  震災特例法施行令第27条((特定土地等及び特定株式等に係る相続税の課税価格の計算の特例等))第1項に規定する動産等をいう。
  • (10) 課税時期  相続、遺贈(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を含む。以下同じ。)若しくは贈与(贈与者の死亡により効力を生ずる贈与を除く。以下同じ。)により財産を取得した日又は相続税法(昭和25年法律第73号)の規定により相続、遺贈若しくは贈与により取得したものとみなされた財産のその取得の日をいう。
  • (11) 直前期末  課税時期の直前に終了した事業年度の末日をいう。

(特定土地等の震災の発生直後の価額)

2 特定土地等の震災の発生直後の価額については、震災特例法施行令第27条第3項第1号の規定により、特定土地等の課税時期における現況が震災の発生直後も継続していたものとみなして当該特定土地等を評価した価額となるのであるから留意する。
 したがって、特定土地等について、課税時期から震災の発生直後までの間に区画形質、権利関係等の変更があった場合でも、これらの事由は考慮しないことに留意する。

(特定株式等の判定)

3 評価対象法人の株式又は出資が特定株式等に該当するかどうかは、震災特例法施行令第27条第1項の規定により、評価対象法人が課税時期に保有していた資産の価額の合計額のうちに占める指定地域内にあった動産等の価額の合計額の割合が10分の3以上であるかどうかにより判定するのであるが、この場合に当該動産等の価額の合計額の割合が10分の3以上であるかどうかは、評価対象法人の保有していた各資産を、課税時期において評価通達の定めるところにより評価した価額に基づき判定するのであるから留意する。

(特定株式等の震災の発生直後の価額)

4 震災特例法施行令第27条第3項第2号に定める金額は、評価通達の定めによって評価した1株当たりの特定株式等の価額にその特定株式等の数を乗じて計算した額による。ただし、次に掲げる場合には、それぞれ次に掲げるところによる。

  • (1) 評価通達180((類似業種比準価額))に定める類似業種比準価額によって評価する場合
     評価通達183((評価会社の1株当たりの配当金額等の計算))に定める評価会社の「1株当たりの配当金額」、「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」を次に掲げるところにより計算した金額によって評価した1株当たりの特定株式等の価額
    • イ 「1株当たりの配当金額」
       次のロにより計算した「1株当たりの利益金額」に次に掲げる割合を乗じて計算した金額
      (1-底地割合)×課税時期におけるその一般定期借地権の残存期間年数に応ずる年6%の複利年金現価率/一般定期借地権の設定期間年数に応ずる年6%の複利年金現価率
    • ロ 「1株当たりの利益金額」
       評価通達183(2)に定めるところにより計算した「1株当たりの利益金額」と震災の発生直後の状況に基づいて合理的に見積もった震災の発生日を含む事業年度の所得金額を基として計算した利益金額の見積額(以下「見積利益金額」という。)を直前期末における発行済株式数(1株当たりの資本金等の額が50円以外の金額である場合には、直前期末における資本金等の額を50円で除して計算した数によるものとする。以下同じ。)で除して計算した金額との合計額(その金額が負数のときは0とする。)の2分の1に相当する金額
    • ハ 「1株当たりの純資産価額(帳薄価額によって計算した金額)」
       評価通達183(3)に定める「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」。ただし、上記ロの見積利益金額が欠損となる場合には、次に掲げる金額の合計額を直前期末における発行済株式数で除して計算した金額とする。
      • (イ) 評価通達183(3)に定める直前期末における資本金等の額
      • (ロ) 評価通達183(3)に定める法人税法(昭和40年法律第34号)第2条((定義))第18号に規定する利益積立金額に相当する金額(法人税申告書別表五(一)「利益積立金額及び資本金等の額の計算に関する明細書」の差引翌期首現在利益積立金額の差引合計額
      • (ハ) 上記ロに定める見積利益金額

        (注) 上記(イ)から(ハ)の合計額が負数となる場合には、その金額を0とするのであるから留意する。

  • (2) 評価通達185((純資産価額))に定める「1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)」によって評価する場合
     課税時期における各資産を評価通達の定めるところにより評価した価額の合計額を、課税時期において指定地域内にあった動産等(評価対象法人が平成23年3月11日において保有していたものに限る。)の状況が震災の発生直後の現況にあったものとみなして、震災の発生直後におけるその動産等の価額として評価した各資産の価額の合計額として評価した1株当たりの特定株式等の価額

    (注) 評価対象法人が課税時期前3年以内に取得又は新築した土地及び土地の上に存する権利並びに家屋及びその附属設備又は構築物の価額についても、震災の発生直後におけるこれらの資産の価額として評価するのであるから留意する。

  • (3) 評価通達188-2((同族株主以外の株主等が取得した株式の評価))の定めによって評価する場合
     評価通達188-2に定める評価会社の「その株式に係る年配当金額」を上記(1)イにより計算した金額(ただし、その金額が2円50銭未満のものにあっては2円50銭とする。)によって評価した1株当たりの特定株式等の価額

(特定株式等の特定の評価会社の株式等の判定)

5 特定株式等が評価通達189((特定の評価会社の株式))の(1)から(6)に定めるいずれの株式又は出資に該当するかどうかは、課税時期における当該特定株式等に係る評価対象法人の現況により判定するのであるから留意する。