第9章 土地の譲渡等がある場合の特別税率

第62条の3 《土地の譲渡等がある場合の特別税率》 関係

(公益法人等に対する適用)

62の3(1)−1 公益法人等又は人格のない社団等が行った措置法第62条の3第2項第1号イ及びロに掲げる行為については、当該行為が収益事業に該当する場合に限り、同条第1項又は第9項の規定の適用があることに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加、平5年課法2−1「二十二」、平7年課法2−7「二十九」、平29年課法2−17「二十五」により改正)

(譲渡損失がある場合の譲渡利益金額の合計額)

62の3(1)−2 措置法第62条の3第1項に規定する「土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の合計額」を計算する場合において、当該事業年度に譲渡(適格現物出資、適格現物分配又は適格株式分配による移転を除くものとし、同条第2項第1号イ(1)及び(2)に掲げる行為を含む。62の3(2)−8、62の3(2)−9、62の3(3)−2及び62の3(3)−3を除き、以下同じ。)をした土地若しくは土地の上に存する権利(以下「土地等」という。)又はその有する資産が主として土地等である法人の発行する同号ロに規定する株式若しくは出資(措置法令第38条の4第2項に規定する譲渡が行われた当該株式又は出資に限る。)のうちに措置法第62条の3第2項第2号に規定する譲渡利益金額がマイナスとなるものがあるときは、そのマイナスの金額は譲渡利益金額の合計額の計算上通算することに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加、平5年課法2−1「二十二」、平6年課法2−5「三十三」、平11年課法2−9「四十」、平14年課法2−1「四十六」、平15年課法2−7「五十八」、平20年課法2−1「二十八」、平22年課法2−7「二十」、平29年課法2−17「二十五」により改正)

(注) 同条第1項に規定する「土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の合計額」がマイナスとなる場合であっても、当該マイナスの金額は、同条第9項に規定する「土地等の譲渡に係る譲渡利益金額の合計額」又は措置法第63条第1項に規定する「短期所有に係る土地の譲渡等に係る譲渡利益金額の合計額」の計算上通算することができないことに留意する。

62の3(1)−3 削除(平3年課法2−4「十九」により追加、平20年課法2−1「二十八」により削除)

(土地等の取得の時期の判定)

62の3(1)−4 措置法第62条の3の規定を適用する場合において、法人の有する土地等を取得した日とは、当該土地等の引渡しを受けた日をいうものとする。ただし、引渡しの日に関し特約がある場合を除き、当該土地等の売買代金の支払額(手付金を含む。)の合計額がその売買代金の30%以上になった日(その日が売買契約締結の日前である場合には、その締結の日)以後引渡しまでの間の一定の日をもって法人がその取得の日としているときは、これを認める。(平3年課法2−4「十九」により追加、平23年課法2−17「三十一」により改正)

(注)

  1. 1 土地等の売買代金の支払のため手形の振出し(裏書譲渡を含む。以下同じ。)をした場合には、当該手形が次の全ての要件を備えているものであるときに限り、その振出しの日において土地等の売買代金の支払があったものとして取り扱う。
    1. (1) 当該手形の期日において券面額の支払を現に行っていること。
    2. (2) 当該手形の振出しの日(裏書譲渡の場合には、その裏書の日)から手形の期日までの期間が120日を超えないこと。
  2. 2 土地の上に存する権利の引渡しを受けた日とは、その土地につき当該権利に基づき使用収益等を行うことができることとなった日をいう。

(土地等の引渡しの日に関し特約がある場合)

62の3(1)−5 62の3(1)−4において「引渡しの日に関し特約がある場合」とは、例えば、地方公共団体と公有水面の埋立地を分譲する契約を締結した場合に埋立て後その土地の引渡しを受けることとしているとき、土地付マンションの分譲契約を締結した場合にマンションしゅん(竣)工後建物と合わせてその土地等の引渡しを受けることとしているとき、建物の取壊し、撤去を条件として土地等の引渡しを受けることとしている場合等をいうものとし、単に代金完済後所有権の移転又は引渡しを行う旨の条件が付されていてもここにいう特約がある場合には該当しないものとする。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(一団の宅地につき取得時期の異なるものが多数含まれている場合)

62の3(1)−6 法人が一団の宅地に属する土地等の譲渡をした場合において、当該一団の宅地に属する土地等のうちにその取得時期の異なるものが多数あるため、当該譲渡をした土地等の取得時期を明らかにすることが困難であるときは、当該譲渡をした土地等は、取得時期の異なるものがその面積の比に応じて平均的に含まれている等合理的な方法により区分するものとする。この場合において、その区分につき、法人の採用している方法が合理的でないと認められるとき又はその区分をしていないときは、当該譲渡に係る土地等は、取得時期の異なるものがその面積の比に応じて平均的に含まれているものとして取り扱う。(平3年課法2−4「十九」により追加、平23年課法2−17「三十一」により改正)

(注)

  1. 1 法人がその区分につき、先入先出又は後入先出の基準により、継続して、かつ、その一団の宅地に係る全ての譲渡についてその区分をしている場合には、その先入先出又は後入先出の基準による区分は、合理的な方法による区分に該当するものとする。
  2. 2 異なる取得価額の土地から成る一団の宅地の一部を譲渡した場合の原価の額の計算については、62の3(3)−4を参照する。

(転用未許可農地に係る権利)

62の3(1)−7 措置法第62条の3第2項第1号イに規定する土地の上に存する権利には、地上権、土地の賃借権及び地役権のほか、転用未許可農地の価値が反映している契約上の権利で現実に取引の対象とされているものを含むものとする。この場合において、当該転用未許可農地の権利に係る土地を取得するに至ったときは、当該土地は、当該権利の取得の日から引き続き有していたものとして取り扱う。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(自ら公有水面の埋立てにより取得した土地)

62の3(1)−8 措置法第62条の3第2項第1号イに規定する土地等(以下「一般土地等」という。)は、他の者から取得したものに限らないのであるから、法人が自ら公有水面の埋立てにより取得した土地はこれに含まれることに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(注) 「自ら公有水面の埋立てにより取得した土地」とは、法人が公有水面埋立法第2条の免許を受け、自ら埋立工事又は干拓工事を行って取得した土地(埋立免許権の譲渡が形式的であり、当該埋立免許権の譲渡を受けた者の名義により埋立てをしたことについて相当の理由がある場合又は国若しくは地方公共団体が同法の規定により行う公有水面の埋立てについて、法人が国若しくは地方公共団体の委託を受けて埋立てを行った場合において、その費用を負担してその埋立てに係る工事を行い、又は管理し、かつ、自ら埋立てをしたことと同様の実質を有していると認められるときにおける当該埋立てに基づき取得した土地を含む。)をいう。

(仲介行為者が2以上である場合の仲介行為の判定)

62の3(1)−9 土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為につきその行為をした者が2以上である場合において、これらの者のいずれにもその依頼者から当該行為に係る報酬が支払われているときは、その行為が措置法令第38条の4第1項に規定する仲介行為(以下「仲介行為」という。)に該当するかどうかは、その報酬の額の合計額により判定するものとする。(平3年課法2−4「十九」により追加、平14年課法2−1「四十六」により改正)

(注)

  1. 1 土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し報酬を受ける行為に関し、その行為をした者が情報提供者に対し支払う金額は、依頼者からの支払ではないから、その行為をした者がその依頼者から代理受領をしたと認められる場合を除き、当該行為に係る報酬の額には該当しない。
  2. 2 仲介行為に該当する場合の原価の額の計算については、62の3(3)−5を参照する。

(売主及び買主の双方から報酬を収受する場合の仲介行為の判定)

62の3(1)−10 法人が土地等の売買又は交換の媒介の行為をし、その当事者の双方から報酬を受けた場合において、当該報酬を受ける行為が仲介行為に該当するかどうかは、その報酬の支払者の異なるごとに判定する。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(注) 概算法による経費の額の計算については、62の3(4)−7を参照する。

(宅地建物取引業法に規定する報酬の額の範囲)

62の3(1)−11 法人が土地等の売買又は交換の代理又は媒介の行為をした場合において、当該行為につき受ける収入金額を対価の部分と当該行為に通常要する費用の額に対応する部分とに区分しているときであっても、次に掲げるものを除き、その行為に係る報酬の額は、当該収入金額によることに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加、平16年課法2−14「十八」、令2年課法2-17「二十二」により改正)

  1. (1) 昭和45年10月23日付建設省告示第1552号「宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買等に関して受けることができる報酬の額を定める件」第91ただし書に規定する広告の料金相当額
  2. (2) 依頼者の特別の依頼により行う遠隔地における現地調査に要する費用で事前に依頼者の承諾があるものにつき別途に受領した金額

(山林原野の仲介行為)

62の3(1)−12 法人が山林原野等宅地以外の土地等の売買又は交換の代理又は媒介の行為をした場合において、当該行為につき宅地建物取引業法第46条第1項に規定する報酬の額を超える報酬を受けるときは、当該行為は、仲介行為に該当することに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(仲介行為と土地等の取得時期との関係)

62の3(1)−13 仲介行為については、当該仲介行為に係る土地等の譲渡をする者の当該土地等の取得の日いかんにかかわらず、平成4年1月1日以後に行われたものの全てについて、措置法第62条の3第2項第1号に規定する土地の譲渡等に該当することに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加、平23年課法2−17「三十一」により改正)

(仲介報酬の分割払を受ける場合の重課の計算)

62の3(1)−14 土地等の売買又は交換の代理又は媒介に関し受ける報酬が、仲介行為に関し受ける報酬(以下「一般重課対象報酬」という。)に該当するかどうかは、その報酬が事業年度を異にして分割払されるときにおいてもその全額により判定するのであるが、この場合における措置法第62条の3の規定の適用については、次による。(平3年課法2−4「十九」により追加、平15年課法2−7「五十八」、令4年課法2−14「四十四」により改正)

  1. (1) その分割払を受ける金額のみで既に一般重課対象報酬に該当する場合のその支払を受ける事業年度 当該事業年度においてその支払を受ける金額を基として措置法第62条の3の規定を適用するが、その報酬に係る譲渡利益金額がマイナスとなる場合であっても、他の土地の譲渡等に係る譲渡利益金額との通算は行わない。
  2. (2) (1)の事業年度後に残金の支払を受ける事業年度その残金の支払を受ける日を含む事業年度においてその報酬の全額の支払を受けるものとして計算した譲渡利益金額から当該(1)の事業年度において既に一般重課対象報酬に該当するため課税された譲渡利益金額に相当する金額を控除した残額を当該事業年度における当該報酬に係る譲渡利益金額とする。
  3. (3) その分割払を受ける金額のみでは一般重課対象報酬には該当しないが残金の支払額とを合計すれば一般重課対象報酬に該当する場合のその残金の支払を受ける事業年度 その残金の支払を受ける日を含む事業年度においてその報酬の全額の支払を受けるものとして計算した譲渡利益金額を当該事業年度における当該報酬に係る譲渡利益金額とする。

(土地等の譲渡−借地権が消滅した場合)

62の3(1)−15 令第137条に規定する借地権又は地役権(以下「借地権」という。)を有する法人が、当該借地権の消滅に際して立退料その他その消滅の対価の支払を受けた場合(当該対価の支払を受けるべき場合においてその全部又は一部の支払を受けなかったときを含む。)には、当該借地権の譲渡があったものとする。この場合において、措置法第62条の3の規定の適用については、その土地を所有していた者は、その支払った立退料その他その消滅の対価の額に対応する部分の土地をその借地権の消滅の時に取得したものとして取り扱う。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(注) 借地権を消滅させた場合の譲渡対価の額については、62の3(2)−7を参照する。

(土地等の取得−借地権者が底地を取得した場合)

62の3(1)−16 借地権を有する法人が当該借地権に係る土地を取得したことによりその借地権が消滅した場合には、その消滅後の土地については、消滅した借地権に対応する部分の土地は当該借地権の取得の日に取得し、当該借地権に対応する部分以外の部分の土地(以下「底地」という。)は、その借地権が消滅した日に取得したものとして取り扱う。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(借地権割合が2分の1未満である土地に係る借地権の譲渡)

62の3(1)−17 借地権の設定につき令第138条第1項の規定の適用がない場合であっても、借地権者が当該借地権を譲渡したときは、その譲渡の行為は、措置法第62条の3第2項第1号イに掲げる行為に該当することに留意する。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(造成工事の対価として土地を交付する場合)

62の3(1)−18 土地の所有者が他の者にその土地の造成工事を請け負わせた場合において、その契約に基づき対価の支払に代えて造成後の土地の一部を交付したときは、その造成完了時に、土地の所有者にあっては当該交付に係る土地の譲渡をしたものとし、造成工事を請け負った者にあってはその取得をしたものとする。この場合において、当該交付に係る土地の譲渡価額は、当該造成工事に係る契約において造成工事の対価の額が定められているときはその金額により、その定めがないときはその造成完了時の価額による。(平3年課法2−4「十九」により追加)

(注) 契約によりその造成工事に係る対価の額が定められていない場合において、譲渡対価の額及び取得価額とすべき価額を当該造成工事を請け負った者が支出した当該造成工事の原価の額と請負工事に係る通常の利益の額との合計額によっているときは、これを認める。

(土地類似株式等の判定)

62の3(1)−19 措置法令第38条の4第2項第1号に掲げる株式等(以下「土地類似株式等」という。)に該当するかどうかは、法人が株式(出資を含む。以下「株式等」という。)を同項第2号の規定に該当して譲渡をした時の現況により判定し、同項第1号に規定する特殊関係株主等の有する株式等の割合が当該株式等の発行法人の発行済株式又は出資(当該発行法人が有する自己の株式等を除く。以下「発行済株式等」という。)の総数又は総額の100分の30以上である時において土地類似株式等に該当するかどうかは問わないものとする。この場合において、同一発行法人の株式等につき同一事業年度において譲渡が2回以上行われているとき(当該事業年度において譲渡をした株式等の数又は金額の合計が、当該発行法人の発行済株式等の総数又は総額の100分の5に当該事業年度の月数を乗じてこれを 12で除して計算した数又は金額以上である場合に限る。)は、そのいずれかの譲渡の日の現況において、土地類似株式等に該当するかどうかにより判定するものとする。(平3年課法2−4「十九」により追加、平14年課法2−1「四十六」、平15年課法2−7「五十八」、平19年課法2−3「三十八」、平19年課法2−5「三」により改正)

(総資産の価額の総額の算定が困難な場合の簡便計算)

62の3(1)−20 法人が譲渡をした株式等に係る発行法人の土地保有割合を計算する場合において、当該譲渡の時の現況における当該発行法人の有する資産の価額の総額の算定が困難と認められるときは、当該資産の価額は、次の算式により計算した金額によるものとする。(平3年課法2−4「十九」により追加、平15年課法2−7「五十八」、平15年課法2−22「二十九」、平19年課法2−3「三十八」により改正)

(算式)

当該株式等の譲渡対価の額/譲渡株式等の数又は金額×発行法人の発行済株式等の総数又は総額+発行法人が有する負債の金額(退職給付引当金の額を含む。)

(譲渡直前に借入れ等を行った場合の土地類似株式等の判定)

62の3(1)−21 土地類似株式等を判定する場合において、その判定しようとする株式等の発行法人の有する借入金等の債務のうちに、その債務の発生の理由に合理性がなく、その判定を免れるためのものと認められるものがあるときは、その債務に見合う資産はないものとして当該判定を行うものとする。(平3年課法2−4「十九」により追加、平5年課法2−1「二十二」により改正)