第8章 交際費等の課税の特例
第61条の4 《交際費等の損金不算入》 関係
61の4(1)−1 措置法第61条の4第6項に規定する「交際費等」とは、交際費、接待費
、機密費、その他の費用で法人がその得意先、仕入先その他事業に関係ある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものをいうのであるが、主として次に掲げるような性質を有するものは交際費等には含まれないものとする。(昭57年直法2−11「十一」、平6年課法2−5「三十一」、平26年課法2−6「三十二」、令4年課法2−14「四十三」により改正)
61の4(1)−2 事業に直接関係のない者に対して金銭、物品等の贈与をした場合において、それが寄附金であるか交際費等であるかは個々の実態により判定すべきであるが、金銭でした贈与は原則として寄附金とするものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。(平6年課法2−5「三十一」により改正)
61の4(1)−3 法人がその得意先である事業者に対し、売上高若しくは売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに金銭で支出する売上割戻しの費用及びこれらの基準のほかに得意先の営業地域の特殊事情、協力度合い等を勘案して金銭で支出する費用は、交際費等に該当しないものとする。(平6年課法2−5「三十一」、平30年課法2−8「一」により改正)
(注)
61の4(1)−4 法人がその得意先に対して物品を交付する場合(61の4(1)−3(注)2の場合を除く。以下61の4(1)−4において同じ。)又は得意先を旅行、観劇等に招待する場合には、たとえその物品の交付又は旅行、観劇等への招待が売上割戻し等と同様の基準で行われるものであっても、その物品の交付のために要する費用又は旅行、観劇等に招待するために要する費用は交際費等に該当するものとする。ただし、物品を交付する場合であっても、その物品が少額物品であり、かつ、その交付の基準が61の4(1)−3の売上割戻し等の算定基準と同一であるときは、これらの物品を交付するために要する費用は、交際費等に該当しないものとすることができる。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」、平30年課法2−8「一」により改正)
61の4(1)−5 製造業者又は卸売業者が得意先に対しいわゆる景品引換券付販売又は景品付販売により交付する景品については、その景品(引換券により引き換えられるものについては、その引き換えられる物品をいう。)が少額物品であり、かつ、その種類及び金額が当該製造業者又は卸売業者で確認できるものである場合には、その景品の交付のために要する費用は交際費等に該当しないものとすることができる。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」により改正)
(注) 景品引換券付販売に係る景品の交付に要する費用を基本通達9−7−3により未払金に計上している場合においても、当該費用が交際費等に該当するかどうかは、実際に景品を交付した事業年度においてこの通達を適用して判定することとし、交際費等に該当するものは当該事業年度の交際費等の額に含めて損金不算入額を計算する。
61の4(1)−6 法人が、その得意先に対して支出する61の4(1)−3に該当する売上割戻し等の費用であっても、一定額に達するまでは現実に支払をしないで預り金等として積み立て、一定額に達した場合に、その積立額によりその得意先を旅行、観劇等に招待することとしているときは、その預り金等として積み立てた金額は、その積み立てた日を含む事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入しないで、旅行、観劇等に招待した日を含む事業年度において交際費等として支出したものとする。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」、平15年課法2−7「五十七」、令4年課法2−14「四十三」により改正)
(注) この場合に、たまたまその旅行、観劇等に参加しなかった得意先に対し、その預り金等として積み立てた金額の全部又は一部に相当する金額を支払ったとしても、その支払った金額は交際費等に該当する。
61の4(1)−7 法人が販売促進の目的で特定の地域の得意先である事業者に対して販売奨励金等として金銭又は事業用資産を交付する場合のその費用は、交際費等に該当しない。ただし、その販売奨励金等として交付する金銭の全部又は一部が61の4(1)−15の(5)に掲げる交際費等の負担額として交付されるものである場合には、その負担額に相当する部分の金額についてはこの限りでない。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」により改正)
(注) 法人が特約店等の従業員等(役員及び従業員をいう。以下同じ。)を被保険者とするいわゆる掛捨ての生命保険又は損害保険(役員、部課長その他特定の従業員等のみを被保険者とするものを除く。)の保険料を負担した場合のその負担した金額は、販売奨励金等に該当する。
61の4(1)−8 法人が取引に関する情報の提供又は取引の媒介、代理、あっせん等の役務の提供(以下61の4(1)−8において「情報提供等」という。)を行うことを業としていない者(当該取引に係る相手方の従業員等を除く。)に対して情報提供等の対価として金品を交付した場合であっても、その金品の交付につき例えば次の要件の全てを満たしている等その金品の交付が正当な対価の支払であると認められるときは、その交付に要した費用は交際費等に該当しない。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」により追加、平19年課法2−3「三十七」、平23年課法2−17「三十」、平28年課法2-11「三十一」により改正)
(注) この取扱いは、その情報提供等を行う者が非居住者又は外国法人である場合にも適用があるが、その場合には、その受ける金品に係る所得が所得税法第161条第1項各号又は法第138条第1項各号に掲げる国内源泉所得のいずれかに該当するときは、これにつき相手方において所得税又は法人税の納税義務が生ずることがあることに留意する。
61の4(1)−9 不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するものは広告宣伝費の性質を有するものとし、次のようなものは交際費等に含まれないものとする。(昭52年直法2−33「34」、昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」により改正)
(注) 例えば、医薬品の製造業者(販売業者を含む。以下61の4(1)−9において同じ。)における医師又は病院、化粧品の製造業者における美容業者又は理容業者、建築材料の製造業者における大工、左官等の建築業者、飼料、肥料等の農業用資材の製造業者における農家、機械又は工具の製造業者における鉄工業者等は、いずれもこれらの製造業者にとって一般消費者には当たらない。
61の4(1)−10 社内の行事に際して支出される金額等で次のようなものは交際費等に含まれないものとする。(昭52年直法2−33「35」、昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」により改正)
61の4(1)−10の2 法人が、災害を受けた得意先等の取引先(以下61の4(1)−10の3までにおいて「取引先」という。)に対してその復旧を支援することを目的として災害発生後相当の期間(災害を受けた取引先が通常の営業活動を再開するための復旧過程にある期間をいう。以下61の4(1)−10の3において同じ。)内に売掛金、未収請負金、貸付金その他これらに準ずる債権の全部又は一部を免除した場合には、その免除したことによる損失は、交際費等に該当しないものとする。
既に契約で定められたリース料、貸付利息、割賦販売に係る賦払金等で災害発生後に授受するものの全部又は一部の免除を行うなど契約で定められた従前の取引条件を変更する場合及び災害発生後に新たに行う取引につき従前の取引条件を変更する場合も、同様とする。(平7年課法2−7「二十八」により追加、令2年課法2−10「一」により改正)
(注)1 「得意先等の取引先」には、得意先、仕入先、下請工場、特約店、代理店等のほか、商社等を通じた取引であっても価格交渉等を直接行っている場合の商品納入先など、実質的な取引関係にあると認められる者が含まれる。
2 本文の取扱いは、新型インフルエンザ等特別措置法の規定の適用を受ける同法第2条第1号に規定する新型インフルエンザ等が発生し、入国制限又は外出自粛の要請など自己の責めに帰すことのできない事情が生じたことにより、売上の減少等に伴い資金繰りが困難となった取引先に対する支援として行う債権の免除又は取引条件の変更についても、同様とする。
61の4(1)−10の3 法人が、被災前の取引関係の維持、回復を目的として災害発生後相当の期間内にその取引先に対して行った災害見舞金の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用は、交際費等に該当しないものとする。(平7年課法2−7「二十八」により追加、平10年課法2−7「四」、平19年課法2−3「三十七」、平23年課法2−17「三十」、令2年課法2−10「一」、令4年課法2−14「四十三」により改正)
(注)1 自社の製品等を取り扱う小売業者等に対して災害により滅失又は損壊した商品と同種の商品を交換又は無償でした場合も、同様とする。
2 事業用資産には、当該法人が製造した製品及び他の者から購入した物品で、当該取引先の事業の用に供されるもののほか、当該取引先の福利厚生の一環として被災した従業員等に供与されるものを含むものとする。
3 取引先は、その受領した災害見舞金及び事業用資産の価額に相当する金額を益金の額に算入することに留意する。ただし、受領後直ちに福利厚生の一環として被災した従業員等に供与する物品並びに令第133条第1項の取得価額が10万円未満であるもの及び使用可能期間が1年未満であるものについては、この限りでない。
4 本文の取扱いは、61の4(1)−10の2(注)2の取引先に対する支援として行った金銭の支出又は事業用資産の供与若しくは役務の提供のために要した費用についても、同様とする。
61の4(1)−10の4 法人が不特定又は多数の被災者を救援するために緊急に行う自社製品等の提供に要する費用は、交際費等に該当しないものとする。(平7年課法2−7「二十八」により追加)
61の4(1)−11 協同組合等がその福利厚生事業の一環として一定の基準に従って組合員その他直接又は間接の構成員を対象にして支出する災害見舞金等は、協同組合等の性格にかえりみ、交際費等に該当しないものとする。(昭54年直法2−31「十九」により追加、平6年課法2−5「三十一」により改正)
61の4(1)−12 従業員等に対して支給する次のようなものは、給与の性質を有するものとして交際費等に含まれないものとする。(平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」により改正)
61の4(1)−13 製造業者又は卸売業者が自己又はその特約店等に専属するセールスマン(その報酬につき所得税法第204条の規定の適用を受ける者に限る。)のために支出する次の費用は、交際費等に該当しない。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」により改正)
(注) (1)に定める金品の交付に当たっては、同条第1項の規定により所得税の源泉徴収をしなければならないことに留意する。
61の4(1)−14 製造業者又は卸売業者が専ら自己の製品等を取り扱う特約店等の従業員等に対し、その者の外交販売に係る当該製品等の取扱数量又は取扱金額に応じてあらかじめ明らかにされているところにより交付する金品の費用については、61の4(1)−13の(1)に掲げる費用の取扱いの例による。(昭55年直法2−15「十三」により追加、平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」、平20年課法2−1「二十七」により改正)
61の4(1)−15 次のような費用は、原則として交際費等の金額に含まれるものとする。ただし、措置法第61条の4第6項第2号の規定の適用を受ける費用を除く。(昭52年直法2−33「36」、昭54年直法2−31「十九」、昭55年直法2−15「十三」、平6年課法2−5「三十一」、平7年課法2−7「二十八」、平19年課法2−3「三十七」、平20年課法2−1「二十七」、平23年課法2−17「三十」、平26年課法2−6「三十二」、令4年課法2−14「四十三」により改正)
(注) 進水式、起工式、落成式等の式典の祭事のために通常要する費用は、交際費等に該当しない。
(注) これらの取引関係を結ぶために相手方である事業者に対して金銭又は事業用資産を交付する場合のその費用は、交際費等に該当しない。
(注) 周辺の住民が受ける日照妨害、風害、電波障害等による損害を補償するために当該住民に交付する金品は、交際費等に該当しない。
(注) その進出に関連して支出するものであっても、主として地方公共団体等に対する寄附金の性質を有するもの及び令第14条第1項第6号イに掲げる費用の性質を有するものは、交際費等に該当しない。
61の4(1)−15の2 措置法第61条の4第6項に規定する「飲食その他これに類する行為」(以下「飲食等」という。)には、得意先、仕入先等社外の者に対する接待、供応の際の飲食の他、例えば、得意先、仕入先等の業務の遂行や行事の開催に際して、得意先、仕入先等の従業員等によって飲食されることが想定される弁当等の差し入れが含まれることに留意する。(平19年課法2−3「三十七」により追加、平26年課法2−6「三十二」、令4年課法2−14「四十三」により改正)
(注) 例えば中元・歳暮の贈答のように、単なる飲食物の詰め合わせ等を贈答する行為は、飲食等には含まれない。ただし、本文の飲食等に付随して支出した費用については、当該飲食等に要する費用に含めて差し支えない。
61の4(1)−16 製造業者又は卸売業者が特約店その他の販売業者を旅行、観劇等に招待し、併せて新製品の説明、販売技術の研究等の会議を開催した場合において、その会議が会議としての実体を備えていると認められるときは、会議に通常要すると認められる費用の金額は、交際費等の金額に含めないことに取り扱う。(平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」により改正)
(注) 旅行、観劇等の行事に際しての飲食等は、当該行事の実施を主たる目的とする一連の行為の一つであることから、当該行事と不可分かつ一体的なものとして取り扱うことに留意する。ただし、当該一連の行為とは別に単独で行われていると認められる場合及び本文の取扱いを受ける会議に係るものと認められる場合は、この限りでない。
61の4(1)−17 次に掲げる費用は、販売のために直接要する費用として交際費等に該当しないものとする。(昭50年直法2−21「41」、昭52年直法2−33「37」、昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」により改正)
61の4(1)−18 次に掲げる費用は、業務委託のために要する費用等として交際費等に該当しないものとする。(昭52年直法2−33「38」により追加、昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」、平7年課法2−7「二十八」、平19年課法2−3「三十七」、令2年課法2−10「一」により改正)
(注) 本文(1)の取扱いは、61の4(1)−10の2(注)2の取引先に該当する下請企業に対する支援として、その従業員等に対し支出する見舞金品についても、同様とする。
61の4(1)−19 建物、プラント、船舶等の建設請負等をした建設業者又は製造業者が、その発注者に対して商慣行として当該建設請負等の目的物の模型を交付するために通常要する費用は、交際費等に含まれないものとする。(昭52年直法2−33「38」により追加、平6年課法2−5「三十一」により改正)
61の4(1)−20 措置法令第37条の5第2項第1号に規定する「これらに類する物品」とは、多数の者に配付することを目的とし主として広告宣伝的効果を意図する物品でその価額が少額であるものとする。(平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」により改正)
61の4(1)−21 会議に際して社内又は通常会議を行う場所において通常供与される昼食の程度を超えない飲食物等の接待に要する費用は、原則として措置法令第37条の5第2項第2号に規定する「会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用」に該当するものとする。(昭54年直法2−31「十九」、平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」により改正)
(注)1 会議には、来客との商談、打合せ等が含まれる。
2 本文の取扱いは、その1人当たりの費用の金額が措置法令第37条の5第1項に定める金額を超える場合であっても、適用があることに留意する。
61の4(1)−22 措置法第61条の4第6項に規定する「得意先、仕入先その他事業に関係のある者等」には、直接当該法人の営む事業に取引関係のある者だけでなく間接に当該法人の利害に関係ある者及び当該法人の役員、従業員、株主等も含むことに留意する。(昭57年直法2−11「十一」、平6年課法2−5「三十一」、平26年課法2−6「三十二」、令4年課法2−14「四十三」により改正)
61の4(1)−23 措置法第61条の4第6項に規定する法人の支出する交際費等は、当該法人が直接支出した交際費等であると間接支出した交際費等であるとを問わないから、次の点に留意する。(昭57年直法2−11「十一」、平6年課法2−5「三十一」、平19年課法2−3「三十七」、平26年課法2−6「三十二」、令4年課法2−14「四十三」、令6年課法2-14「十二」により改正)
(注) 措置法令第37条の5第1項に規定する「飲食費として支出する金額」とは、その飲食等のために要する費用の総額をいう。したがって、措置法第61条の4第6項第2号の規定の適用に当たって、例えば、本文の(1)又は(2)の場合におけるこれらの法人の分担又は負担した金額については、その飲食等のために要する費用の総額を当該飲食等に参加した者の数で除して計算した金額が10,000円以下であるときに、同号の規定の適用があることに留意する。ただし、分担又は負担した法人側に当該費用の総額の通知がなく、かつ、当該飲食等に要する1人当たりの費用の金額がおおむね10,000円程度に止まると想定される場合には、当該分担又は負担した金額をもって判定して差し支えない。
61の4(1)−24 措置法第61条の4第1項に規定する各事業年度において支出する交際費等とは、交際費等の支出の事実があったものをいうのであるから、次の点に留意する。(平6年課法2−5「三十一」、令4年課法2−14「四十三」により改正)