別紙

(退職年金の支給要件が満たされないため支給する退職一時金)

1−1 法人税法施行令(以下「法令」という。)附則第16条第1項第1号《退職年金の支給》に規定する「退職年金の支給要件が満たされないため支給する退職一時金」とは、使用人の退職(死亡による退職を含む。以下同じ。)の時の年齢、勤務期間又は退職年金契約への加入期間が、年金の支給要件として定められたこれらに係る要件を満たさない場合に支給される退職一時金をいうのであるから留意する。(平14年査調4-13により改正)

(退職年金に代えて支給する退職一時金)

1−2 法令附則第16条第1項第1号に規定する「退職年金に代えて支給する退職一時金」(租税特別措置法施行令(以下「措令」という。)第39条の36第4項第7号《特例適格退職年金契約における退職一時金》に規定する退職一時金を除く。)とは、次に掲げるもので、当該一時金の額がその支給の時における年金現価に相当する金額以下の金額として定められているものをいうのであるから留意する。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)

(1) 選択一時金
 退職年金規程において、あらかじめ年金の給付を受ける権利(以下「受給権」という。)を取得した使用人等(使用人又は当該使用人が死亡した場合におけるその遺族をいう。以下同じ。)につき次に掲げる事実が生じた場合に、使用人の退職後一定の期間内に限り当該使用人等の申出により年金に代えて支給する旨を定めている一時金

イ 災害

ロ 重疾病、後遺症を伴う重度の心身傷害又は死亡(生計を一にする親族の重疾病、重度の心身傷害又は死亡を含む。)

ハ 住宅の取得

ニ 生計を一にする親族の結婚又は進学

ホ 債務の弁済

ヘ イからホまでに掲げる事実に準ずる事実

(2) 少額一時金
 退職年金規程において、あらかじめ支給すべき年金の年額が少額である場合に年金に代えて支給する旨を定めている一時金

(退職年金)

1−3 法令附則第16条第1項第1号に規定する退職年金(以下「退職年金」という。)には、所得税基本通達30-2の(2)及び(4)から(6)(引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするもの)まで並びに同通達30-2の2(使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金)に掲げる退職手当等が事業主から支払われることを要件として年金が支給される場合(事業主から支払われる退職手当等が適格年金契約に基づいて支払われるものだけである場合を除く。)の当該年金が含まれることに留意する。(平14年査調4-13、平19年査調4-2により改正)

(注) 退職年金には、支給期間が5年未満のものは含まれない。

(共同委託契約及び結合契約)

1−4 複数の法人が共同して信託会社、生命保険会社又は全国共済農業協同組合連合会(以下「受託機関」という。)と適格年金契約を締結する場合には、当該複数の法人間に(1)のイ又はロのいずれかの出資関係があり、かつ、(2)のイ及びロのいずれの要件も満たすことを条件にこれを認める。(平12年査調4-30、平18年査調4−4、平19年査調4-2により改正)

(1) 出資関係

イ 当該複数の法人のうちいずれか一の法人が他のすべての法人のそれぞれの発行済株式又は出資(当該他のすべての法人が有する自己の株式又は出費を除く。)の総数又は総額の100分の20以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有していること。

ロ 当該複数の法人のうちいずれか一の法人の株主等の1人(当該株主等が個人株主等である場合には、その1人及びこれと法令第4条第1項《同族関係者の範囲》に規定する特殊な関係のある個人を含む。)が、当該複数の法人のそれぞれの発行済株式又は出資(当該複数の法人が有する自己の株式又は出費を除く。)の総数又は総額の100分の50以上に相当する数又は金額の株式又は出資を有するものであること。

(2) 退職年金規程等

イ 当該複数の法人相互間に使用人の人事交流があり、かつ、その人事交流の場合にそれぞれの法人の退職年金規程に当該人事交流の対象となった使用人の転籍に際して相互に勤続年数を通算することが明定されていること。

ロ 当該複数の法人のそれぞれの退職年金規程の内容が同一であること。

(受益者等の範囲から除外すべき者)

1−5 例えば、次に掲げるような者は、法令附則第16条第1項第2号《契約の当事者及び内容》に規定する「受益者等」( 以下「受益者等」という。) から除かれることに留意する。(平14年査調4-13、平19年査調4-2により改正)

(1) 業務委託契約、請負契約等、事業主と雇用契約以外の契約に基づく関係にある者のように使用人と認められない者

(2) 1年に満たない期間を定めて雇い入れられる者のように、日々雇い入れられる者及び臨時に期間を定めて雇い入れられる者

(加入者負担掛金の限度等)

1−6 法令附則第16条第1項第3号《受益者等の範囲》に規定する「受益者等」(以下「加入者」という。)が、事業主が払い込む同項第2号に規定する「掛金又は保険料」(以下「掛金等」という。)の一部を負担している場合であっても、その負担する掛金等の額が、事業主が払い込む掛金等の額の50%相当額以下である場合には、これを認める。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)

(使用人兼務役員の加入)

1−7 法人税法(以下「法」という。)第2条第15号《役員の範囲》に掲げる「役員」は、原則として適格年金契約の加入者とすることができないのであるが、次に掲げる要件を満たす法第34条第5項《使用人兼務役員》に規定する使用人としての職務を有する役員(以下「使用人兼務役員」という。)は、適格年金契約の加入者とすることができることに留意する。(平18年査調4-4、平19年査調4-2により改正)

(1) 使用人について定年の定めがある場合又は適格年金契約で通常の退職年齢を定めている場合には、使用人兼務役員についてもこれらの定めを適用することとされていること。

(2) 使用人兼務役員に係る掛金等の額又は給付の額の算定については、法人税基本通達9−2−23《使用人分の給与の適正額》の取扱いに準じて適正に算定されていること。

(3) 使用人兼務役員を加入者とする契約に変更する場合において、当該使用人兼務役員が使用人から使用人兼務役員に昇格したときに、使用人として勤務した期間に係る退職一時金の支給又は退職年金の支給を受けているときは、年金給付額の計算の基礎となる勤務期間については、当該使用人として勤務した期間を除いて計算することとしていること。

(予定死亡率)

1−8 例えば、厚生労働省大臣官房統計情報部から5年に1度公表される生命表(以下「国民生命表」という。)に基づく死亡率(合理的に補正したものを含む。)は、法令附則第16条第1項第5号ロ《適正な年金数理》の合理的に計算されている予定死亡率(以下「予定死亡率」という。)として取り扱う。(平14年査調4-13により改正)

(予定脱退率)

1−9 それぞれの事業主において、その算定の日前3年以上の期間における使用人の退職の事実に基づいて算定された脱退率は、法令附則第16条第1項第5号ロの合理的に計算されている予定脱退率(以下「予定脱退率」という。)として取り扱う。(平14年査調4-13により改正)

(算定の日前3年以上の期間に脱退の事実がない場合の予定脱退率)

1−10 それぞれの事業主において、掛金等の額及び給付の額の算定の日前3年以上の期間に係る使用人の退職の事実がない場合には、その算定の日から3年以内に限り、次のいずれかの予定脱退率を使用することができるものとする。

(1) 同一の事業を営み、かつ、規模が類似している他の事業主における使用人の退職の事実に基づいて算定された予定脱退率

(2) その算定の日前3年未満の期間に係る使用人の退職の事実に基づいて算定された予定脱退率

(加入者が 100人未満の場合の予定脱退率)

1−11 加入者数が 100人に満たない場合の予定脱退率は、1−9及び1−10に定める予定脱退率に代えて複数の適格年金契約の加入者の退職の事実に基づいて合理的に算定された率(以下「経験予定脱退率」という。)を使用することができるものとする。

(予定脱退率の安全率)

1−12 予定脱退率の算定に当たり安全率を見込む必要があると認められるときは、次に掲げる方法によることができるものとする。

(1) 実績値に80%から120%までの一定率を乗ずる方法

(2) 退職者数に短期間の勤続者数を含めない方法

(予定昇給率)

1−13 それぞれの事業主において、年齢別平均給与又は年齢勤続別平均給与を基礎として合理的に算定された昇給率は、法令附則第16条第1項第5号ロの合理的に計算されている予定昇給率(以下「予定昇給率」という。)として取り扱う。(平14年査調4-13により改正)

(予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率の算定基準日)

1−14 予定死亡率、予定脱退率及び予定昇給率の算定基準日は、退職年金規程の施行日、同規程の変更日、財政再計算日(法令附則第16条第1項第4号《予定利率》に規定する「当該契約の締結の時から5年以内の一定の期間」が経過する日の翌日をいう。以下同じ。)又はそれらの日前6か月以内の日とするものとする。(平14年査調4-13により改正)

(予定利率の変更)

1−15 法令附則第16条第1項第5号イ《適正な年金数理》に規定する予定利率の変更は、同項第4号に規定する財政再計算の時(次の(1)又は(2)に掲げる場合におけるそれぞれ(1)又は(2)に掲げる日を含む。以下「財政再計算の時」という。)に行うことに留意する。(平14年査調4-13により改正)

(1) 1−11に定める経験予定脱退率を使用し、予定昇給率を使用しない契約を締結する場合 当該契約の締結の時から5年以内のあらかじめ定めた一定期間ごとの対応日

(2) (1)に掲げる契約から1−9に定める事業主において使用人の退職の事実に基づく予定脱退率を使用する契約に変更する場合 当該事業主における使用人の退職の事実に基づく予定脱退率を使用することとなった日

(予定死亡率、予定脱退率又は予定昇給率の変更)

1−16 予定死亡率、予定脱退率又は予定昇給率については、それぞれ次に掲げる場合でその見直しが必要なときを除き、次回の財政再計算の時までは変更することができないことに留意する。(平14年査調4-13により改正)

(1) 予定死亡率
  予定死亡率の基礎とした国民生命表等が改められた場合

(2) 予定脱退率

イ 加入者となる資格又は定年年齢を変更した場合

ロ 合併、分割又は営業の譲渡(以下「合併等」という。)又は共同委託契約の変更等により加入者数が大幅に増減した場合

(3) 予定昇給率
  (2)のイ又はロに該当する場合のほか、事業主の給与体系又は給料、賃金等の体系が変更された場合

(財政再計算)

1−17 法令附則第16条第1項第5号ロに規定する「掛金等の額及び給付の額の算定の基礎とする予定死亡率、予定昇給率又は予定脱退率」は、原則として財政再計算の時に見直し、その結果に基づいて掛金等の額を計算することに留意する。(平14年査調4-13により改正)

(掛金等の額)

1−18 法令附則第16条第1項第6号《通常掛金等》に規定する「給与に一定の割合を乗ずる方法」とは、例えば、給与規程又は退職金規程に定められた給与の額を退職年金の給付額を算定する上での基準給与とし、これに一定の割合を乗じて掛金等の額を算出する方法がこれに該当する。(平14年査調4-13、平18年査調4−4により改正)

(注) この場合の基準給与には、法第36条《過大な使用人給与の損金不算入》に規定する特殊の関係のある使用人に対して支給する給与の額のうち不相当に高額な部分として政令で定める金額は含まれないことに留意する。

(貯蓄性年金の禁止)

1−19 加入者に対して年金として給付する金額の年金現価の額を、法令附則第16条第1項第6号に規定する「掛金等」(以下「通常掛金等」という。)に係る給付開始時の元利合計額(個々の退職年金契約に係る同項第4号に定める予定利率により計算した額とする。)と同額としているようなものである契約は、適正な年金数理に基づいたものに該当しないことに留意する。(平14年査調4-13 により改正)

(掛金等の払込方法)

1−20 通常掛金等又は法令附則第16条第1項第7号《過去勤務債務掛金等》に規定する過去勤務債務等の額に係る掛金等(以下「過去勤務債務掛金等」という。)の払込みは、年1回以上規則的に払い込む方法によらなければならない。この場合において、次に掲げる場合を除き、法人事業主にあっては1事業年度分、個人事業主にあっては1年分の掛金等の額に相当する金額を超えて払い込むことはできないことに留意する。(平13年査調4-33、平14年査調4-13により改正)

(1) 年金積立金の額が給付に必要な原資の額に満たなくなったため、給付に必要な原資の額を払い込む場合(年金数理計算時に予測できなかった事由等の発生に起因する場合に限る。)

(2) 法令附則第16条第1項第9号ハ若しくはト《要留保額の事業主返還》又は法人税法施行規則(以下「法規」という。)附則第5条第2項各号《過去勤務債務掛金等の払込み》の規定により過去勤務債務掛金等を払い込む場合

(3) 払込みが延滞した掛金等(以下「延滞掛金等」という。)を払い込む場合

(注)

1 法規附則第5条第2項第2号の規定により払い込む過去勤務債務掛金等は、確定拠出年金法(平成13年法律第88号)第3条第1項《規約の承認》に規定する企業型年金に係る規約について同法第4条第1項《承認の基準等》の規定(同法第5条第4項《規約の変更》の規定により準用される場合を含む。)により厚生労働大臣の承認を受けた日から当該企業型年金に係る規約の施行日の前日までの間に払い込むこととなることに留意する。

2 (3)の延滞掛金等の払込みは、次に掲げるいずれかの方法により行うものとする。

イ 延滞掛金等の合計額(延滞利息を含む。以下同じ。)を一括して払い込む方法

ロ 延滞掛金等の合計額を当該延滞期間に相当する期間を超えない範囲内で均等分割して払い込む方法

ハ 払込みを再開するときに、過去勤務債務等の額(法令附則第16条第1項第7号に規定する過去勤務債務等の額をいう。以下同じ。)を洗い替えし、掛金率等を改めて払い込む方法

(上場株式による過去勤務債務掛金等の払込み)

1−21 法令附則第16条第2項《上場株式による過去勤務債務等に係る掛金の払込み》の規定により過去勤務債務掛金等を金融商品取引所に上場されている株式(以下「上場株式」という。)により払い込む場合において、退職年金規程等に定める過去勤務債務掛金等の払込日(以下「払込日」という。)の2営業日前から払込日までの間のいずれかの日の金融商品取引所において公表された当該上場株式の最終の売買価格を払込日における当該上場株式による払込金額としているときは、これを認める。(平12年査調4-30により追加、平成14年査調4-13、平成19年査調4-2により改正)

(他社勤務期間の通算等)

1−22 次に掲げる場合の転籍者等については、転籍前の法人等の勤務期間(以下「他社勤務期間」という。)を通算して退職年金を支給することができるが、この場合、当該他社勤務期間に見合う過去勤務債務掛金等は、当該法人等が負担することに留意する。(平12年査調4-30により改正)

(1) 共同委託(結合)契約を締結している会社間で転籍があった場合

(2) 関係会社(勤務期間を通算する会社をいう。)から転籍があった場合

(3) 法人の分割・合併により転籍があった場合

(4) 営業の譲渡又は法人成等により従業員を引き継いだ場合

(5) その他(1)から(4)に準ずる事実がある場合

(掛金等の払込方法等の変更)

1−23 掛金等の払込期間中における掛金等の払込方法及び払込時期の変更は、次に掲げる場合を除き行うことができないことに留意する。(平12年査調4-30により改正)

(1) 財政再計算を行う場合(経験予定脱退率を使用し、予定昇給率を使用しない契約にあっては、当該契約の締結の時から5年以内のあらかじめ定めた一定期間ごとの対応日を迎える場合)

(2) 使用人の退職の事実に基づく予定脱退率、経験予定脱退率又は予定昇給率を新たに採用する場合

(3) 給付の増額、受給資格の緩和又は給付の種類を追加する場合

(4) その他払込方法又は掛金等の払込時期の変更に合理的な理由があると認められる場合

(注) この場合の払込方法とは、通常掛金等にあってはその積立方式及び払込みの形態を、また、過去勤務債務掛金等にあっては、その管理方式、払込みの形態及び償却割合をいう。

(要留保額の受益者等帰属)

1−24 法令附則第16条第1項第10号《要留保額の受益者等帰属》に規定する「当該契約の全部又は一部が解除された場合」には、退職年金規程等に規定された合理的な割合に基づく分配方法により、当該解除された部分に係る要留保額を分配しなければならないことに留意する。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)

(年金契約の一部解除)

1−25 法令附則第16条第1項第10号に規定する「当該契約の一部が解除された場合」には、同項第11号に規定する相当の事由により給付の額を減額する場合も含まれることに留意する。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)

(給付の額の減額)

1−26 法令附則第16条第1項第11号《給付の減額変更》に規定する「その減額を行わなければ掛金等の払込みが困難になると見込まれることその他の相当の事由があると認められる場合」には、例えば、次に掲げる場合がこれに該当する。(平12年査調4-30、平成13年査調4-33、平14年査調4-13、平17年査調4-9により改正)

(1) 受益者等が厚生年金基金の加入員となったため、又は既に厚生年金基金の加入員である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該厚生年金基金に係る給付の額に含めるため、当該厚生年金基金に係る給付の額に含める部分に相当する給付の額を減額する場合

(2) 受益者等が確定給付企業年金法(平成13年法律第50号)第2条第1項《定義》に規定する確定給付企業年金(以下「確定給付企業年金」という。)の加入者となったため、又は既に確定給付企業年金の加入者である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を同法第3条第1項《確定給付企業年金の実施》に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づく給付の額に含めるため、当該確定給付企業年金に係る規約に基づく給付の額に含める部分に相当する給付の額を減額する場合

(3) 給与水準の引上げ又は定年年齢の引上げ等雇用条件の改善の見返りとして給付の額を減額する場合

(4) 事業主が債務超過の状態にある等経営不振の状態に陥ったため、給付の額を減額する場合

(5) 運用利回りの著しい低下等の事由により過去勤務債務等の額が著しく増加し、給付の額を減額しなければ掛金等の払込みが困難になると見込まれるため、給付の額を減額する場合

(6) 合併又は営業の譲渡に伴い、被合併法人又は営業の譲渡を行った事業主の適格年金契約の給付水準に合わせるため、給付の額を減額する場合

(7) 受益者等が確定拠出年金法第2条第8項《定義》に規定する企業型年金加入者(以下「企業型年金加入者」という。)となったため、又は既に企業型年金加入者である当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を当該企業型年金加入者の同条第12項《定義》に規定する個人別管理資産に充てるため、給付の額を減額し、同法第54条第1項《他の制度の資産の移換》及び確定拠出年金法施行令(平成13年政令第 248号)附則第2条第3項《適格退職年金契約に関する特例》の規定により適格年金契約の資産の移換を行う場合

(8) 受益者等が中小企業退職金共済法(昭和34年法律第 160号)第2条第3項《定義》に規定する退職金共済契約(以下「中小企業退職金共済契約」という。)の被共済者となったため、当該受益者等に係る適格年金契約に基づく給付の額の一部を確定給付企業年金法附則第28条第1項《適格退職年金契約に係る資産の独立行政法人勤労者退職金共済機構への移換》に規定する被共済者持分額に含めるため、給付の額を減額し、独立行政法人勤労者退職金共済機構に引き渡す場合

(注)

1 (3)から(8)までの事由により給付の額を減額する場合には、法令附則第17条第4項《適格退職年金契約の変更承認申請》に規定する変更承認申請書又は同条第7項《適格退職年金契約の変更承認届出》に規定する届出書に、加入者の3分の2以上の同意及び加入者の3分の1以上で組織する労働組合がある場合の当該労働組合の同意(加入者の3分の2以上で組織する労働組合がある場合には、当該労働組合の同意をもって加入者の3分の2以上の同意に代えることができる。)を得ていることを明らかにする書面を添付する必要があることに留意する。

2 (7)の給付の減額を行う場合において、適格年金契約に法令附則第16条第1項第7号ハに規定する過去勤務債務等の現在額(以下「過去勤務債務等の現在額」という。)があるときは、同項第9号トの規定の適用があるが、法規附則第5条第2項第2号の規定により当該過去勤務債務等の現在額の一部について過去勤務債務掛金等の払込みを行う場合の法令附則第16条第1項第9号トに規定する払込金額に相当する金額は、法規附則第5条第2項第2号による払込みを行った後の過去勤務債務等の現在額に充てるための払込金額に相当する金額となることに留意する。

(不当に差別的な取扱い)

1−27 退職年金規程が、労働協約により定められている場合又は使用人全員の同意を得て定められている場合において、その定めが男女雇用機会均等法等他の法令の規定及び社会通念に反しないものである限り、原則として当該退職年金規程は法令附則第16条第1項第12号《不当に差別的な取扱い》に規定する「不当に差別的な取扱い」はないものとして取り扱う。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)

(信託財産等の運用に対する個別の指示)

1−28 法令附則第16条第1項第13号《個別指図等の禁止》の資産の運用に関する個別の指示とは、事業主が当該資産の運用につき特定の不動産若しくは有価証券等の取得若しくは処分につき個別の指示をし、又はこれらの財産の数量及び金額並びに購入若しくは売却の時期を個別に指示する等の行為がこれに該当するのであるから留意する。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)

(注) 次の場合は、これに該当しない。

(1) 信託契約に係る信託財産の運用に関して締結された投資一任契約の内容が、法令附則第16条第4項各号《投資一任契約の内容》に掲げる要件を満たす場合の当該信託契約の内容

(2) 法令附則第16条第5項《現物移管の指図》に規定する要留保額の全部又は一部を他の信託会社等へ移管するために有価証券等の現物移管を行う場合における当該移管に係る事業主の指図

(3) 法令附則第16条第2項《上場株式による過去勤務債務等に係る掛金等の払込み》の規定により過去勤務債務掛金等を上場株式により払い込む場合における当該払込みに係る事業主の指図

(掛金等の払込遅延)

1−29 掛金等の払込みが相当期間(おおむね1年以上)延滞し、その後継続して掛金等を払い込む見込みがないと認められる場合には、当該契約は法令附則第16条第1項第14号《契約の継続》に規定する「当該契約が相当期間継続すると認められるもの」に当たらないものとして取り扱う。(平12年査調4-30、平14年査調4-13により改正)


● 適格退職年金契約の承認等に関する取扱いについて(法令解釈通達)